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ブランドン・ヒル氏講演(全2記事)

「デザイナーじゃなくても守るべき」btraxが社内で共有するビジュアルヒエラルキー

クリエイターに「いいキッカケ」をというコンセプトのもと、チームラボ、LIG、IMJの3社で共同開催している、クリエイター向けイベントの第4弾。 サンフランシスコに本社を構える、日米市場向けBranding/Marketing会社「btrax」のCEO Brandon K. Hillが、これからの時代のビジネスとサービスの価値をどのように提供していくべきかを、サンフランシスコ・シリコンバレーの現状とともに語りました。

サンフランシスコでスタートアップを始めるメリット

ブランドン・ヒル氏(以下、ヒル):質問ある方、いらっしゃったら。1人で喋ってても寂しいので。

質問者1:サンフランシスコいいなぁと思いながら聞いてましたけども、競争率が高いと。サンフランシスコでスタートアップを始めている日本人っていらっしゃるんですか?

ヒル:少なからずいますよ。日本でやって、拠点をガバっと移してサンフランシスコでやるという。Japan Nightで前に言った、Ringというプロダクトを作っているログバーとか。あとあっちで始めたのは、(福山)太郎とSunny(Tsang)がやってるAnyPerk。Yコンビネータ-というアクセラレータに入って。あっちベースで最初からやっているところもありますね。

質問者1:Webのスタートアップなので、世界中どこにいてもプロダクトは世界中配信できますと。ただ、サンフランシスコを拠点にした場合、おいしいところはVCとか横のつながりがあるところでしょうか?

ヒル:それ、すごい良い質問でして。構造的に言うと、さっき言ったように、制作チームを日本に置くのが一番コスパが安いんです。なので、それはそこに置いておくべきなんですね。エンジニアリングとか。

ただ、資金調達とマーケットに対応するための正しいサービス設計というのは、世界レベルに展開したいんだったらサンフランシスコが一番いいんですよね。

ユーザーが何を求めているのかフィードバックを得たり、VCから資金調達するにしろしないにしろアドバイスがもらえるし、コネクションもできるので。ビジネス的な展開がすごくしやすい。

あとは、これはすごい隠れたベネフィットとして、「アメリカで展開している」ということが日本での差別化にもなるんですよ。見た目上の話ですよ。「全米が泣いた」みたいな(笑)。

(会場笑)

そういうブランディングができる。リバースブランディングなんですけど。実際、うちの会社のコワーキングスペースも、そういう理由でサインアップしてくれているところもあるんですよ。

サンフランシスコに拠点を置いたこと自体に価値があるというか。日本だけじゃなくて他の国のスタートアップも、サンフランシスコに本社があるように見せているところも多いですよ。やっぱり「世界のトップの街にある」というふうに見せるのはすごい重要なので。

質問者1:ありがとうございます。

社員がデザイン思考を身につけるには

質問者2:さっきの「全員がデザイナー」というのは、すごくよくわかるなと思いました。うちの会社のディレクターとかエンジニアもそういう考え方が大事だなと思うんですけど、実際にどういう考えをすればいわゆるデザイン思考になるのか。ブランドンさんは会社の方にどういうものを求めたり、何を提供してそういう考え方を……。

ヒル:まず、会社でデザインに関するウィークリーのワークショップをやってるんですよ。(山名)啓太なんかもこの前やってくれたんだけど。「デザイナーじゃなくても守るべきレイアウトのルール」というのをやってくれたんですね。

例えば、1つの書類を作るにしても、見出し、小見出し、本文改行とかってあるじゃん。それが人によって見やすくも見づらくもなって。それは、ルールを知っているかどうかだと思うんですよ。日本語で言うと何だっけ? ビジュアルヒエラルキーかな?

それを基本的には押さえる。バックオフィスとか総務とか、従業員向けの書類を作るじゃないですか。それでずれていたりとか、デザイン的におかしいことがあったら、僕はめちゃくちゃ指摘するんですよ。それで差がでる。

あとは、応募者の履歴書が来るじゃない? 僕が見るときは、改行などがずれていたら当然アウトですよ。

そういうのを日々やっているから、スタッフはみんな身につくんですよね。「これやったら社長怒るな」みたいな。

会社の家具の並べ方とか、いわゆるセンスある・ないってあるよね? 買うお菓子とかさ。だから、最近うちで買ってるお菓子は会社のインテリアに合うパッケージになってきてるからね(笑)。

(会場笑)

ヒル:中身とか関係なく……。「ああ、気遣ってくれてるな」と思ってすごいうれしいんだけど。

できるインターンの採用方法

質問者3:採用はどうしてるんですか? 競争率が激しい中で人件費も……。

ヒル:うちは基本的にはインターントゥーハイヤー(intern to hire)なので。インターンをしてもらって、お互いにいいなと思ってから本採用が基本なんですね。あとはなるべく若い人のほうがコストが下げやすい。

あとは裏ワザでインターンの子、日本から来る子はうちに住まわしたりしてる(笑)。「家賃かからないよ」って言って。僕のバイクの後ろに乗って通勤してる。忠誠心めっちゃ上がるよ(笑)。

(会場笑)

質問者3:インターンはどこでゲットしてるんですか?

ヒル:応募は常にありますね。ただ、LIGさんと一緒でうちはブログがあって。そこを見て応募することが多い。あと、さっき啓太とも話してたんですけど、イベントをやった時に「イベントインターン・ボランティア」を募集してる。昨日も20〜30人いたんですけど、その中で「この子は優秀だな」って思った子は声かけたりとか。

イベントのマネジメントってすごい実力出るんですよ。仕事力って言うんですか。気が利いて動けるかどうかとか。即座にしなきゃいけないじゃないですか。それをやるとすごい見えますね。役職に関係なく、仕事ができそうな人とそうでない人と。なので、イベントもそういうのにはいいなと思います。

UX設計を学ぶイノベーションプログラム

質問者3:先ほどサービスデザインができて、UXを考える人材が貴重だとおっしゃっていたんですけど、例えば、ブランドンさんが日本にいらっしゃれば良きメンターになってくださると思うんです。

なかなか日本では、自分の周りでそういったビジネスのデザインをちゃんと考えられて、適切なアドバイスができるメンターさんがいないように感じています。そのあたり、どう思われますか?

ヒル:啓太、どうなの日本? どうやって学ぶの?

山名啓太氏(以下、山名):僕も日本に帰ってきて1ヵ月くらいなので。正直まだそんなに把握しきれていないんですけど。

ヒル:でも彼は言ってたんですよ。「僕と接する時間が減ると困ります」って。言ってたよね?

山名:僕とマークですね。

ヒル:もう1人サービスデザインの主任がいるんですけど。

山名:今、ある程度いくと、あとは自分でいろんな人から吸収できるんですね。UXというのは、特にUXデザイナーという名前で、一番「デザイン」という言葉が曖昧で、UXデザイナーという人が「UXを設計する人」みたいになってますけど、UXというのはエンジニアやプランナー、アカウントマネージャー、みんなで作るものなんですよ。

その会社の提供するサービスなんですよ。ということは、みんないろんな視点をUXに対して持ってるんですね。なので、みんな僕にとってはディレクターで、日本に帰ってきてけっこう積極的にネットワークを……。

ヒル:ハッカソンもね。

山名:そうです。毎週ハッカソンを。

ヒル:そういうのに参加するのも。

山名:さっきも紹介した、弊社のイノベーションプログラムなんですけど、日本のクライアントさんにチームを作ってもらって、サンフランシスコで研修しながら一緒にサービスデザインをしていくというプログラムですね。

彼らはもともとものすごいポテンシャルを持っているエンジニアたちで、もう「UXエンジニアになる」って公言してるんですね。彼らは今、どんどん成長して伸びていて、僕も彼らから学ぶことがあって。

ヒル:企業間を超えたハッカソンはいいと思いますよね。社外の人とも組んで。まあ課外活動なんですけど。そのハッカソンに彼(山名氏)は出てるんですけど、僕審査員やるんですよ。大丈夫なのかなって(笑)。公正な審査を。

山名:まあ公正な審査を。ネットワーキングのイベントとかに参加して、いろんな方とお話するんですけど、UXという言葉は日本でも今注目されていて、みなさんいろんな視点でいろんな考え方をされているので、UXデザインを定義することは今のところ不可能だと思うんですよ。

でもいろんな人の知見とかをいただいて、理想に近いUXを設計することは可能だと思っていて。ぜひ会えますようにと思ってます(笑)。

質問者3:ありがとうございます。

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