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スタートアップ・ピッチ2 クラウドワークス(全1記事)

国内市場1兆円規模へ クラウドワークスが変える日本の働き方

2015年6月26・27日の2日間にわたって、起業やスタートアップへの関心が高い大学生に向けて、起業家の生の声を届ける「IVS SEEDS 2015 Summer」が開催されました。初日のスタートアップ・ピッチに登壇した、クラウドワークス・吉田浩一郎氏は、「“働く”を通して人々に笑顔を」という自社のミッションをもとに、クラウドソーシングの活用事例と日本と世界中で変わりつつある働き方を紹介しました。

クラウドワークスが変える日本の働き方

吉田浩一郎氏(以下、吉田):みなさん、こんにちは。クラウドワークスの社長をやっています吉田です。本日は、よろしくお願いします。

クラウドワークスは、安倍(晋三)首相が提唱した「第1回日本ベンチャー大賞」で審査委員会特別賞(ワークスタイル革新賞)を受賞しています。それだけ、日本中の働き方を今後変えていく可能性があると認めていただいているわけです。

昨年、日経新聞で「第2のソフトバンク」として取り上げられており、大変急速に成長しています。

実際に、去年の「SoftBank World 2014」では、孫さん、アリババのジャック・マーさんの後に私が登壇させていただいて、お話をさせていただきました。(なお)今年の「SoftBank World 2015」にも呼んでいただき、特別講演を予定しております。

昨年12月には、赤字のままで東証マザーズに上場させていただいております。赤字上場というのは非常に特殊でして、実はIT業界で(2000年の)サイバーエージェント以来14年ぶりとなります。非常に成長している分野においてのみ認められる上場の在り方といった形で、チャレンジさせていただきました。

ヤフーオークションがモノを売り買いしているとしたら、(いわばクラウドソーシングでは)モノがスキルになった。(つまり)クラウドソーシングは、インターネット上に集まる個人のいろんなスキル(をやり取りするサービスに当たります)。

例えば、子供の寝た後で2時間だけ働けるというスキルを、子育て中のママがインターネットオークションのように世界中の企業に対して販売することができるといったイメージですね。

そう考えると、20世紀はインターネットがなかった時代ですから、会社に所属するというのが(主な)働き方でしたが、(今後は)インターネットによって世界中で空いているリソースや個人のスキルみたいなものが全部「見える化」される。

(したがって)学生のみなさんのスキル、あるいは子育て中のママやフリーター、フリーランス、退職したシニアの方々といったあらゆる労働力が企業を(自ら)活用できるという、まったく新しい世界が今始まろうとしています。

大企業や政府と連携した仕事の仕組み

(弊社では)実際に多種多様な仕事が登録されてるんですけども、特徴的なのは年収1000万円をクラウドワークス(経由の仕事)だけで実現している(人がいることです)。

在宅でパソコンを触っているだけで年収1000万円を実現することができているわけですね。まったく新しい働き方が始まっています。

こうした働き方を企業も活用しています。実際に、国内時価総額ランキングでいくと、トップ10のうち8社、トヨタ自動車、三菱UFJフィナンシャル・グループ、NTTドコモ、ソフトバンク、NTT、KDDI、あと本田技研工業ですね。

そういった企業が軒並み個人の力を活用している。例えば、みなさんのお母様に対して、ソニーやパナソニックが(仕事を)発注するなんてことがこれからの可能性として生まれているということです。

最新の事例でも、左上の味の素(が使用する写真の提供)とか、三井不動産の新しいららぽーとの設備のデザインを我々がやらせていただいたりしています。

ですので、もしみなさんが入社いただいた場合は、日本中のあらゆる企業に対して(仕事を)提案することができるということですね。もう本当に、消費財から製造業からいろんな業界に対して提案が可能です。

企業だけでなく、政府にも提案が可能です。実際に経済産業省が発注したお仕事を神戸の在宅デザイナーが受けて、政府に1回も訪問せずに、受注から納品までを完結させています。

この働き方も非常に広がっていて、(現在では)政府6省から活用いただいているのです。

また、みなさんの生まれ故郷が地方にあるとしたら、そういった地域の方々もご提案可能です。地域活性化といった形で、実際にもう20以上の都道府県、例えば京都府のゆるキャラ「まゆまろ」のデザインコンテストなどを我々が実施させていただいております。

クラウドソーシングの活用事例

日本だとクラウドソーシングの形で個人の力を活用するのは結構珍しいですけども、実はアメリカでは2005年ぐらいから(すでに)始まっています。

その概念を提唱した(「WIRED」のコントリビューティング・エディターである)ジェフ・ハウさんとMITメディア研究所の伊藤穣一さんのお二人に我々のアドバイザーに就いていただいて、「海外の事例をどうやって日本で活かせるだろうか」ということを念頭において、いろんな事例作りに取り組んでいます。

実際に、世界最大の飲食メーカーとなるネスレは、新しいお菓子作りを自社ではなく、クラウドワークス上のユーザーと一緒に作るというプロジェクトを仕掛けています。そういったことも、みなさんが提案可能ということですね。

あるいはユナイテッド航空も(自社の)マーケティングのアイデアをユーザーから募集するという大胆なことをやっています。(スクリーンを指して)これ、「羽田--サンフランシスコ線の販売戦略アイデア募集」って書いてあるんですけど、「それって航空会社の仕事じゃないか」「航空会社からそれ取ったらあと何やるんだ」みたいな感じですけどね。

そういった形でユーザーさんのいろんな力や知恵を借りるという、いわゆる「共創」という新しい流れが始まっています。

Google採択の月面上陸日本人チームについても、クラウドワークス上で人材をマッチングさせた上で、「一緒に月へ行こう」というプロジェクトを始めています。

あるいは、クリスティアーノ・ロナウドの公式ロゴ、日本展開の商品ロゴも、我々が作らせていただいたりしてますね。

(あとは)映画のプロモーションにも使っていただいてるんです。『her』という(映画に登場する)、サイバー上の彼女について、実際の姿はどういうデザインなのかを(一般から)募ったりしてるんです。あるいはモノ作りでも使えますよ。

アップリカでは、ベビーカーの3Dの商品デザイナーを募集するということで、日本中のプロからアマチュアまでいろんなアイデアを集めて今モノ作りに励んでいます。

創業400年となる、日本の伝統的なモノ作りに携わる方々も、(我々のサービスを用いて)歴史上初めて外部の声を聞いたりしています。

我々のサービス(の源泉)は、インターネットの向こうに集まっているいろんな人のアイデアだけです。

なので、みなさんのアイデア次第で「じゃあ、こんな技術をつなげばおもしろいんじゃないか」とか「こんなデザインの力を活かしたらいいんじゃないか」などの(いわゆる)「翻訳の力」を駆使することができ、あらゆる企業に対して何でも提案可能となるのです。

我々は、政府・行政・上場企業をはじめとして、実に(創業後)3年間で(実に)9万社のクライアントを抱えています。

国内のこういった個人の力を活用する市場は急速に成長していて、今では「1兆円市場」と呼ばれています。

地方在住者や高齢者の働くインフラを構築

一方で、(クラウドソーシングは)企業だけではなくて、日本中の個人の働き方を変えるサービスでもあります。

(我々の仕事の)約8割が東京以外での受注となっていますが、東京の仕事をどこでもできるということでもあるため、地域活性化にもいろいろ取り組んでいます。

この宮崎県日南市というのは、空港から1時間ぐらい離れており、なかなか企業や観光誘致が難しいところです。そこに対しても我々のサービスで仕事をもたらせば、(住民たちが満足に)生活できるということでやらせていただいてまして。

その取り組みが先々週(2015年6月16日)の『ガイアの夜明け』で放映されています。

もちろん、最近では日本全国のみならず、世界130ヵ国ぐらい会員登録があって(サービスを)使っていただいております。

年齢も関係ありません。最高年齢85歳までクラウドワークスで働いていて、70代で月20万円ぐらい稼いでいる人が非常にたくさんいます。

(うれしいことに)実に91%の人から「働く機会が増えた」と回答いただいています。

「今後の日本社会の見通しと課題」としては、20世紀の働き方の選択肢が大企業、正社員(に限定され)、それをドロップアウトするとなかなかもう社会的信用を得られない問題がありました。

しかし(現実として)、正社員比率というのは(もはや)50%を切っています。残り55%の働くインフラを誰もまだ作っていないんですね。それを我々がクラウドワークスを通して作りたいと思っていて。

例えば、子育てが終わったら、クラウドワークスの実績(を見て)、「この人はソニーや東芝の仕事をして、企業の評価も5段階で4でした。だから正社員に復帰できます」といったような働き方の選択肢を増やす未来を作っていきたいと思っています。

クラウドワークスのミッションと社内体制

また、仕事だけじゃなくて教育や社会保障の3つの軸からさまざまな取り組み(を行っており)、マイクロソフトや新聞社、あるいは生命保険と組んで個人向けの新しい保険を開発したりしています。

そういった意味では、(クラウドワークスのサービスは)300万社の企業に新しい経営の在り方、そして個人に新しい収入源をもたらすということです。

我々は企業として報酬が得られるだけでなくて、人の気持ちが届くようなプラットフォームにしたいということで「ありがとうボタン」というものを作っているんですが、今実に200万回以上押されています。

クラウドワークスのミッションは「“働く”を通して人々に笑顔を」でございますが、それに向けてさまざまな取り組みを日々行っております。

インターネットの向こう側にいるユーザーと交流することも日々やっていますし、

あるいはUX改善というのが我々の共通言語で(ある以上)、エンジニアであろうとも経理であろうとも営業であろうとも、(改善会の席で)分けへだてなくユーザーについて考えてみんなでまとまろうという取り組みをやっています

これが全社キックオフの風景ですね。

新卒社員の入社式です。この間研修にも行ってきました。

そして、「クラウドワークスMBA」という名で、社内のいろんな知識をまとめて研修をするプログラムをやっています。

そういった中から(人材を)育てており、25歳の成田(修造)を今副社長に抜擢しています。若手を積極登用しており、2016年は新卒の30名採用を予定しているので、ぜひ積極的に応募いただければ(と思います)。

我々が補助する形で、他部署の人たちと交流するための「シャッフルランチ」や、朝早く出社するとみんなで朝食を食べながら交流できる「朝パン」も社内でやっています。

あるいはヨガ部や自転車部とかボードゲーム部といった形でも盛り上がっています。

クラウドソーシング利用者の声

それでは、最後にムービーをちょっと見ていただければと思います。

(ビデオ開始)

松本芳正氏:今、67歳になります。会社を(定年)退職した後にいろいろ調べましたら、クラウドワークスのビジネスの仕組みが非常によくできていたので登録したんですよね。

医療系のアプリなんですけど、3~4時間かけてプロトタイプを作りました。数日後、実際に発注されるお医者様とお会いして、その場で契約をいただきました。実際にアプリが完成すると、結構反響も大きくて「作成してよかったかな」と思っています。

いろいろな角度のニーズがありまして、必要とされる基礎技術がみんな違うんですよね。クラウドワークスからいただいた案件によって、私自身も技術的に育てていただいたことです。

世の中の人に多く使っていただいて便利になるアプリとか、クラウドワークスの発注者の方と一緒に作っていけたらやりがいもありますし、「うれしいかな」と思っています。

大塚恵氏:出産を機に会社を辞めたんですけど、「自分の技術を活かせる部分はないかな」というところでクラウドワークスの存在を知って、(コンペに)参加してみたら採用していただいて、そこから自信がついて活用させていただいている感じです。

バスソルトのパッケージデザインをさせていただいたんですけども、自分の作ったものがお店に並んでいるのを見たときに、「個人で、家でもできちゃうんだな」とすごい感動しました。

育児を優先しながら、自分のスキルもそのまま活かしつつ、自分の中で(仕事と育児の)バランスを決められるので、今なら「何もしていないよりは充実度や満足度が上がったかな」って思います。

会社を辞めてから、通常は(職歴が)「ブランク」になるじゃないですか。自分で好きな仕事を見つけて実績を積めるところがあると(本当にありがたいです)。後々、完全に(仕事)復帰をしようと思っているので、そのときに「こういうのをやってきました」というのを実績として活かしていきたいなと考えています。

五十嵐健祐氏:あるひとつの不整脈が原因で起こる脳卒中があり、救急車で運ばれる前に(不整脈を)見つけてあげれば脳卒中を起こさずにすむ。そこで、クラウドワークスを通じて、「こういうアイデアあるんだけどもできる人はいないか」と募ってみたところ、何人かの優秀なエンジニアから「作れるよ」というお返事をもらいました。

その中でひとり、不整脈を取れるアプリを作ってきてくれて、数ヵ月一緒にやって「心房細動検出アプリ」を日本で初めてリリースすることができたことがきっかけです。

医療従事者は臨床の現場で、「これはもっとこうしたほうがいいんじゃないか」とか「これはおかしいんじゃないか。もっとこう変えられるんじゃないか」というアイデアを抱えていることが結構多いです。

ただ、今まで、現実的に何かのプロダクトやソリューションを作ろうとまではなかなかいきませんでした。一番大きく変わったのは、今までできなかったことが、クラウドワークスを通じて可能になってきたことだと思います。

医療系のアプリは非常に難しくて、今ソフトウェアで診断してはいけないことになっているのですが、疾病の啓発で「こういう病気がある」と指摘するのが受診のきっかけになったりする。(実際に)アプリを見て来てくれたという患者さんが何人もいらっしゃいます。

今、みなさんが手元に持っているスマートフォンは、昔の医療機器と同等、あるいはそれ以上のスペックを持っており、それを使ったセンシング機能は、これからどんどんどんどん発達していくと思います。

将来的には、私たちの生活の中に(アプリによって)ヘルスケアというのが湯水のように染み込んで浸透していく世の中になっていくんじゃないかと思います。

(ビデオ終了)

吉田:ぜひ一緒に世界を変えましょう! ありがとうございました!

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