
2025.02.26
10年前とここまで違う 落とし穴だらけの“ERP to ERP”基幹システム刷新が抱えるリスクと実情
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古川健介氏(以下、古川):こんにちは。よろしくお願いします。
木村新司氏(以下、木村):よろしくお願いします。
古川:AnyPayの木村さんにいろいろ聞きたいなと思っているんですが、せっかくなのでAnyPayの話だけではなくて、そもそも木村さんが金融やFinTech、貨幣など、お金についてどう考えているのかみたいなところを聞ければなと思っております。
僕は聞きたいことが6,000個ぐらいあって、なにを聞くかすごい迷ったんですけれども。その中で厳選していろいろ聞いていきたいなと思っております。お願いします。
木村:よろしくお願いします。
古川:さっそくなんですが、木村さんはいろんなエンジェル投資のほか、自分の会社もやっているかと思うんですけれども。今なにをやっているのか、ちょっと紹介してもらっていいですか?
木村:はい。今やっているものでいうと、DasCapitalという、ファンドじゃないんですけど、投資法人をやっています。資料でも出しましたけど、今27社ぐらいに投資をしています。半分は日本、半分は海外というところで、その中でFinTechも扱っていますし、いろんなところに投資をしています。
というのと、ちょうど先日Gunosyにも取締役(非常勤)として戻っています。あとはAnyPayという会社もやっています。AnyPayの中でpaymo、AnyPay、あとは今ICOのコンサルティングというものもやっています。
その他、ANGOという会社でクリプトのインデックス、仮想通貨関連のビジネスなんですけれども、これをシンガポールで法人を立ち上げてやっています。とにかくいろいろやっていますね。
古川:そうですよね。とくに今日はAnyPayの話などを聞きたいなと思っているんですけれども。
AnyPayやANGOプロジェクトって、それぞれ関連してそうな事業だと思うんです。なにか具体的に「将来こうなるだろう」という未来像があってやられているのかなと思うんですけど、どんな未来を想像しながらやっているんですか?
木村:一番わかりやすい話でいうと、スマートフォンの中にお金が乗るということが未来の中では確実にもう起きるので、そのための準備をしています。……という言い方が正しいかなと思っています。
その中で、AnyPayみたいにパッとリンクを送って代金が支払えたり、paymoみたいにお金をユーザー同士で支払えたりできます。
ビットコインや仮想通貨・暗号通貨みたいに、お金そのものがデジタルになっています。例えばpaymoなどでお金が支払われているのは数字ですけど、ビットコイン自体は本当の価値というか、デジタルですけれども価値があるものです。
実際には、そのあとのネットワークの中にはそういう暗号通貨が乗って動くようになっていくとは思っています。それを支払うネットワークの準備をしている感じですね。
古川:なるほど。支払いのネットワークなんですね。
古川:普通の通貨をスマートフォンでデジタル化してやりとりできるというのは、これはみんなも想像しやすいと思うんです。そのなかで暗号通貨はそもそも普通の通貨とはぜんぜん別物として発展していくのか、どうなるか、みたいなことについてはどう思っていますか?
木村:これはいろんな意見があると思っています。暗号通貨自体、日本の場合「仮想通貨」と呼ばれちゃってますけど、英語の場合は「cryptocurrency」(暗号通貨)なんです。
仮想なのかというと、僕はもう仮想じゃないと思っているんですね。なぜかというと、マイニングをするためにはやっぱり1ビットコインを掘るのに数千ドルぐらいはかかっている。今ビットコインの価格が4,000ドルぐらいなんですよね。
それを掘らないと出てこない。電気代を払わないと出てこないんだけど、出てくるとそれはもう誰かが買ってくれる状態なのです。金(きん)と同じで、いくらかかけて掘ると、金(きん)も誰かが買ってくれるわけですよね。
それと同じで、掘るのがどんどん難しくなっていく。今後は掘るコストがもっと上がっていくので、ビットのコインの価値はそれを見越して価格がついているかなと思っています。
そういう意味で暗号通貨は、ダウンサイドというかファンダメンタルズとしては、掘るコストがやっぱりファンダメンタルズとしてあります。なので、仮想ではもうないよとは思っていますね。
古川:ああ、なるほど。(Bitcoinは)「デジタルゴールド」と呼ばれたりするじゃないですか。やっぱり性質的には金(きん)に近いのか、それとも決済に使われる通貨に近いのかというと、どっちなんですかね?
木村:どっちにもなれるから、すごく混乱を生んでいるのかなと思ってるんですけど。金(きん)に近いところはまさに金(きん)に近いと思っていて、掘るとマーケットがあって誰かが買ってくれる。
金(きん)の場合、金本位制というのがもともとあって、ドルがあって、それと同じ量しかドルを出さなかったというところから変わっていったと思います。
結局はマイニング通貨、いわゆる日本の法律でいうと第一号仮想通貨は、これはマイニングで誰かがお金を払って生んでいて、ブロックチェーンに書かれたものが二度と消えないものになっているわけですよね。
それはほとんど金(きん)に近いのです。現実世界で電気代を払って誰かが生み出してます。これが金(きん)だとすると、その上に今のドルみたいな通貨や紙幣みたいなものができていくんだろうなと思っていますね。
古川:ああ、なるほど。本当に金(きん)みたいですね。
木村:そうですね。それがICOだったり、コインだったり、トークンだったり。そういう話だろうなと思いますね。
古川:金本位制って、20世紀のはじめのあたりですごく人気があったじゃないですか。1970年代ぐらいにアメリカがやめてからなくなったと思うんですけど、そこから先は通貨発行し放題じゃないですか。それと同じようなことがビットコイン上のICOでも起こっていくんですかね? 膨張していくというか。
木村:価値の本質のところは、やっぱり先ほど申し上げた第一号仮想通貨のところは金(きん)のような状態になると思います。
結局、金(きん)があってドルがあって、金(きん)とドルを切り離している。切り離さないと、現実世界の経済が大きすぎて、「金(きん)とドルの量が一緒だともう回らないよ」「紙幣が足りないよ」という状態になったと思うので。
そうではなくて、国のキャッシュフローというか、「国の信用においてドルを発行します」みたいなことが起きて、さらに経済が発展していったわけじゃないですか。そうでもないと、金(きん)の信用だけだと世界は開発できません。それが、ニクソンショックでドルと金(きん)を切り離したというところだと思うんですけど。
アメリカがずっと成長していればいいと思うんですけど、アメリカだけじゃなくて新興国も含めてものすごく大きくなってきています。つまり「アメリカの信用だけじゃドルが足りないんじゃないのか?」いう状況になっていると思っているんですね。
その中でデジタル通貨が金(きん)みたいなものとして生まれてきて、それに付随するコイン、トークンがわっと出てくる。そういう状態なのかなと思っています。
古川:なるほど。暗号通貨が出て、今、暗号通貨全体の時価総額は11兆円とかそんな感じですよね。
木村:そうですよね。
古川:それって今までなかった富が生まれているわけじゃないですか。直感的に言うと、突然11兆円分ぐらいの富が生まれたと思うんです。これは、個人的にはちょっと不思議な感じがするんですけど、どう思われていますか?
木村:その分、結局は電気代を払っているんですよね(笑)。
古川:まあ、そうですね。うん。
木村:それが電気代として、電気やGPUのコストとして支払われているのか、もしくは土の中からアルミニウムを採って、それを電気を使って精錬してアルミニウムとして出すのと、実はほとんど変わらないんです。
なぜかというと、消えないんだからという。そういうことなのかなと思っていますね。なので、11兆分を掘ったんだよと、そういう話だと思っています。
古川:それ、おもしろいな。なるほど。
古川:ちなみにちょっと過去を聞いてみたいと思います。今、いわゆる貨幣経済が成り立っていると思うんですけど、それより前は、いわゆる贈与経済だったり共有経済というのがあったと思っています。
今はまたインターネットとスマートフォンで、そういうお金をあげたり、なにかをシェアリングすることが増えていると思います。なにかこのへんについて、木村さんが考えていることみたいなものってありますか?
木村:今みたいにメルカリが出てきたり、CASHが出てきたり、polcaが出てきたり。もともとなぜこれらが起き始めたかというと、やっぱりスマートフォンだと思っていますね。
物と物、お金のやりとりは、やっぱり手元にあって同時接続の数が増えて、すぐお金を渡せたりする。メルカリだったらすぐマッチングされて物が売れるとかですね。そうなってくると、個人と個人がつながってなにかができる状態になったというのが、やっぱり一番大きいなと思ってはいますけどね。
それが出てきたので、個人が物を売ったりするなど、今までは企業が物を売ってたのが個人が物を売れるようになり、お金が送れるようになって……という流れになってきているとは思っていますね。もちろん、経済の変化もあると思うんですけど、スマートフォンのおかげかなと思っています。
古川:いわゆるVALUやタイムバンクなどいろんなものができていて、それを「新しい経済が複数立ち上がっている」みたいな言い方をする人もいます。そのあたりをどう見ていますか?
木村:個人に価値がつく……。今までの銀行のシステムは、銀行しか持たなかったわけですよね。すごくわかりやすく言うと、銀行のシステムは、例えば送金をしたり、送金したり、保管をするためには銀行のシステムコストがかかるんですよね。それに対して、収入でいうと送金手数料を得る。そのスプレッドをとって利益としているわけですよね。
これは銀行のライセンスがないとできなかったビジネスが、例えばブロックチェーンでいうと同じようなことで、マイニングコスト払って売るとスプレッドで入ってくるわけですよね。これって。ほぼ同じことを実はやっているわけです。
それが、今までライセンスがあって大きなシステムしかできなかったことが外でできるようになってきている。そのため、いろんなところで起きているかなと思っています。
Airbnbもそうですけど。ホテルという大きな箱を作って予約システムを作って……というところから、個人が自分の家をAirbnbで、スマートフォンで人を泊まらせて予約することができるみたいな。
やっぱりスマートフォンになってからは、コンピュータが手元にあり、大企業が作っていた仕組みを個人が持てるようになってきています。そこでそれぞれの経済が起きるようになってきているな、とは思っています。
古川:同時接続数が増えたから、個人でもマッチングできるようになったという。
木村:そうです。システムコンピュータは、これがコンピュータでという。
古川:なるほど。
古川:ちなみにpolcaだと、知らない人に300円などあげる人がすごく増えているみたいなニュースがあったりするんですけど、これについてはどう思いますか? なぜ人は知らない人に300円を払うのかという。
木村:そうですね、なんか僕が見てて思うのは、みんな今まで物を買ってたと思うんですよね。「買って」が「もらう」となるように、お金の流れが逆に向き始めているなと思っていて。
古川:逆に?
木村:キャッシュをもらうんですね。どっちかというと。
古川:そうですね。感覚的にはそうですね。
木村:polcaもそうですよね。メルカリも売ったらもらえますしね。だんだん個人の価値を売る、もしくは物を売るとかで、個人に向かってお金が動き始めているなと思っていますね。
古川:これが会社と違うところは、会社だと「売って売上がたつ」という感じですけど、個人だと「もらう」という感覚になるんですね。
木村:そうですね。ある意味、自分のおもしろさを売っているなど、そういう話だと思うんですけど。今までは、ほとんど大企業に向かってお金が支払われていたと思うんですよね。それが逆になりつつあるという意味合いで、polcaなどを僕は見てますね。パフォーマンスをしたらお金もらえるみたいな。
古川:そうですよね。うん。今、「お金の使い先がない」みたいな話よく聞くんですけども、そういったお金は今後どのあたりに向かうんですかね? polcaなどが1つの例かなと思うんですけど。
木村:個人に向かって、なんかもうエンターテイメントを含めて、例えば投げ銭もいっぱいありますよね。今でいうとね。
やっぱり個人がパフォームできるメディアが増えて、いつもみんなが持っているようなものじゃなくて、もっとおもしろいもの、ちょっと違ったものをパッと買えるというので、そっちに向かっているのかなとは思っていますね。
あとFinTechという意味で言うと、やっぱり大きな意味でFinTechの企業がいっぱい出てきているじゃないですか。それはなぜかというと、やっぱりマイナス金利でお金を、しかも景気が今良くて、お金を使わないといけないんだけど、それを使う方法がなかったりする。
マイナス金利で株価もいいですし、それで運用しないといけないよねといったときに、若い人たちも含めてあまり運用したことないけどロボアドバイザーが出てきている。これにはやっぱり、もともとはアベノミクスから来ているんです。
株価が上がって投資をしようとしている人が増えて、システムでできるよというやっぱり機会が生まれてきている。だんだん個人も含めて変わってきているなとは思っていますね。
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