2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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松舘渉氏(以下、松舘):直近の取り組みとは別に、やはり中長期的に見ていくと、「シェアリングエコノミー」という考え方が非常に加速していくと思います。
自家用車を使っている方もカーシェアリングに切り替えるという動きも普通になってきていますよね。ですが、タクシー使っている人がシェアということでバスを使うかというと、なかなかそうはいきません。シェアリングエコノミーが増えてきた時にタクシーやバス、こういったものを使っている方が、デマンド型でもうちょっと便利で安い、自由に動ける公共交通を使っていくような動きになっていくだろうと推測しています。
さらに先には自動運転が普及してくると、今でも若者の自家用車離れというものも進んでいますが、そもそも自分で運転することがなくなっていく以上、所有という概念もなくなっていくんじゃないかと考えています。
今後、本当に自動運転が流行ってきた時に、オンデマンド型で乗り合いの自動運転車両が街中で走っていて、乗りたい時に呼べばすぐ来てくれる。そんな世の中になっていくんじゃないかと思っています。そういった需要の受け皿として、この技術を使えればと思っています。
ここからは、もう少し具体的に、どんなことに役立てていくのか、ビジネスの観点から少しお話していきたいと思っています。今、我々が考えているのは、直近のビジネスとして社会実装を目指すところが3つ程ございます。
1つは先ほどお見せしたようなオンデマンドリアルタイムのサービス、これを普及させていく。今、狭い地域で沢山のタクシー業者が入っている所もありますし、そもそも同じ会社の中でドライバー自体が競争していたり、歩合制の競争社会で勘や経験に頼って営業しているという状況です。
バスはバスで乗るかどうか分からないけど、とにかく走ってる、みたいな状況も沢山あるわけです。とにかくこういった公共交通や、もしかしたら自家用車など、それ以外の移動手段や物流も含めて、地域全体の交通の最適化という考え方を進めていく。
とくにバスもタクシーもそうなんですが、今、ドライバー不足だと言われていています。そして今後それがますます加速する中で、自動運転はその1つの解決方法になるかも知れません。限られた人、車両でいかにして効率よく運ぶのか。ここが肝になってくるのかなと思います。AIやデータを活用して、こういった社会を目指していくというところです。
こうした交通ができてくると、人を運ぶことはサービスではなくて、移動させる方法自体がプラットフォームになっていくだろうと感じてます。ですので、このプラットフォームを使って、いろんなサービスの価値を向上させる結合が考えられていくだろうと。
例えば、観光パックの中に現地での乗り放題タクシーがあったらどうでしょう。レンタカーを借りなくても良いですし呼べば来るし、タクシー1台を借りると1日5、6万円しちゃう世界をみんなでシェアして使いましょうということです。
それから、医療や介護でも明日3時に病院の予約が決まったら、行きと帰りの交通手段を予約と同時にセットで提供してあげるとかですね。教育・スクールといった所でも送迎が必要になってくるでしょうし、これをクラウド上で公開することによって、こんなにいろんなサービスが自由に使えます。ですから、移動手段をサービスとセットで使うというところを目指していきなたいなと思っています。
この発展系ですが、送迎サービス自体のシェアということも考えらます。今は、駅前から郊外のショッピングモールや遊園地に、それぞれ30分や1時間に1回、大きなシャトルバスを走らせています。こうした送迎サービス自体を全部シェアすれば、大きなバスを使う必要もないので、もう少し細かくデマンドに応じて人を運べるような、大量バッチ輸送よりもジャストインタイムに人を運ぶような、そんな送迎サービスというのを地域で作れないかと考えています。
これは町中の医療関係だけのネットワークとして使っても良いですし、それ以外の業体が入っても良いと思います。こういう各自で行っている送迎をみんなでシェアしてしまったほうがみんな便利になるし、各事業者にも便利になるんじゃないかと期待しております。
3つ目ですけれども、これは定点発着型のサービスですね。イメージしやすいのは空港までの乗り合いです。これは既にサービスをやっているところがありますが、自宅やホテルに寄って空港まで運んでいきます。そして今度は空港からホテルや自宅まで、ドアツードアで運んでいく。こういったところでの応用もできます。
全国でLCCも増えてきて、深夜早朝便が増えてきているなかで、空港の近くで前泊しなくてはいけません。ですが、朝の3時や4時でも自宅まで迎えに来てくれるサービスがあれば、小さいお子さんを連れて、大きな荷物を持って空港まで行かなければいけない方にも、負担を軽減できるんじゃないかと思っています。こういうところに、サービスを活かしていきたいと考えております。
シェアリングエコノミーというところで少しお話をさせていただきます。こういったサービスが生まれた時、料金はどうなっていくのかみなさん気になるところだと思います。実は今年も夏から秋にかけて、いろんな所で実験をやっていくのですが、この料金がどれだけ適切なのか、この料金だったら乗り合いでみんなが満足できるかどうか。そういうところを探っていきたいと思っております。
国土交通省が、来年乗り合いを解禁していく上での懸念もあります。乗り合いをすることによって料金が安くなって、タクシードライバーの実入りが少なくなる。これはぜんぜんうれしい話でもない。
やはり、乗客にとっては安いし、沢山の人が乗るから事業者の売上が上がる、そしてドライバーの給料も上がるモデルを作っていかなければいけないわけです。その落とし所を探っていきたいと思っています。
今後考えられるのは、タクシー自体が携帯の使用料と同じように定額制になったり、もしかしたら2段階定額のように、「◯キロまでは◯円」みたいなそんなものだったりとか。JTBジェロンタクシーも実験をしていますが、エリアを限って「ここは定額ですよ」「このエリア間だったら均一料金ですよ」など、こういったことも考えられます。マイルを購入しておいて、使った分が減っていくとか、いろいろなビジネスが考えられると思っています。
我々が探りたいのは、乗り合いすることによって、当然料金が安くなる。ですがどれだけ安くなるのかは分からず、かつどういうあり方であれば公平感が出るのか、といったところを試していきたいと思っております。
なので、Aさん、Bさん、Cさんが乗り合った場合に、Aさんが最初乗っていてこれだけの距離で、Bさんは途中から乗って長い距離を乗って、Cさんはちょっとだけ乗った。単純に言うと3人で3等分しましょうね、と。これは簡単なんですが、それでは公平感は出ませんよね。こういうところを、ゲーム理論などを使いながら、みなさんが乗り合いにどれだけ貢献したかというところで、ある程度割引にしようと。そういった理論を実験などで確かめていきたいと思っています。
今後考えられるのは、乗り合いしたくないし急いで行きたいという人には、通常のタクシー料金と同じくらいで良いとか。逆に時間があるからゆっくりで良いよ、30分くらい乗り合っても良いから料金が安くなるとか。不確定な状況ながら事前確定も合わせて試したいと考えています
乗りたい場所と降りたい場所を指示してもらっているので、料金を事前に提示して納得して乗ってもらう。これは全タク連でも事前に料金確定することを目指している中で、乗り合いに関してもそういうところを実現していきたいと思っています。そうなると乗り合いの発生確率によって料金を考えるなど、こういったところを探っていきたいと思っています。
単純なことですが、料金が下がって利用者が増えればその分事業者の売り上げが上がる。売り上げが上がったうち、この利益の半分くらいを乗客の方に寄与していけば、連鎖的にみなさん料金が下がる、事業者は売り上げが上がる。というモデルを作っていけたら良いなと思っています。これがシェアリングエコノミーの本当に目指すところだと思っております。
今後の計画ですが、今年から大都市での実証実験を計画しています。数十〜100台くらいの車両を使って、比較的大きなエリアで実証実験をやっていこうと思っています。
自動運転との連携などの相談もあります。世間の流れに乗って、東京オリンピックまでには実現していきたいと思っています。
可能であれば、東京オリンピックで沢山の選手や関係者、観客が来るなか、箱物は沢山作っているかもしれないですが、交通事情は本当に大丈夫かという問題がまだまだあります。大型バスが沢山路面に停まっていたら、それだけ交通の障害になるわけです。その交通の健全化に貢献できればと思っています。
この3月にはNTTドコモとこんな声明を発表させていただきました。AI運行バスと言っていますが、次世代のモビリティプラットフォームを作っていきましょうという共同研究です。
我々は今ご紹介したように、オンデマンド乗合い配車決定という技術を活かそうとしています。一方、ドコモはAIタクシーという名前で、人口統計データや気象データ、交通情報、いろいろなイベント情報などを用いて30分後の人の移動需要予測を割り出そうという試みを進めています。これらを組み合わせて、いかに最適な交通を提供できるか。こういう分野を共同研究させていただこうと思っています。
我々はデマンドが入ったら配車しますが、それに加えて「そろそろこの辺に需要があるよね」というのがわかっていたら、そこにちゃんとタクシーなりバスを配備して、デマンドがあったらすぐ乗せてあげる。このような全体最適を目指していきたいと思っています。
それから、先ほどお話しした定点発着型のサービスを、7月から名古屋に本社がある「つばめグループ」と提携し、サービスとしてこの技術を使ってもらうということもスタートしています。
中部国際空港セントレアと名古屋市街、自宅から空港まで、そして空港から自宅までのピストン輸送です。行って帰ってくるだけでも、名古屋市街からセントレアまで片道だいたい1時間くらいかかるので、その往復2時間をいかに上手く乗り合いをして人が動くのか、その計算をSAVが行う。どういう順番でどういうルートで迎えにいくかというのと、プラスアルファで何台の車両で運行するのが最も最適かを計算する。事前予約型で、前日までに運航ルートを決定しているという、そんなサービスにカスタマイズしています。
これも先ほどLCCの深夜早朝便の話もしましたが、それだけではなく、ツアーで来てみんなで帰っていくインバウンドから、今は個人旅行も増えてきていますし、シェアリングエコノミーの中でもAirbnbや民泊などが流行っていくと、そもそも自分が泊まる所に看板なんか出ているわけではなく、行き方も分からないこともあります。そういう意味では、事前に予約をしておいて、空港に着いたらちゃんと迎えのタクシーがあって、行き帰りは自宅・泊まる所までドアツードアで運んでくれる。
こういった「インバウンド」+「LCC」+「シェアリングAirbnb」なども含めて、こういったところでの需要は確実に増えてくるだろうなと感じていますす。当然これは名古屋だけの話ではなくて、関西でも九州でも、中には長野や群馬辺りから成田空港や羽田空港まで送迎しているようなサービスもあるわけです。ここを最適に効率良く計算するというサービスを今、スタートしたところでございます。
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