2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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マルゴ・キャリントン氏(以下、キャリントン):それでは今村さん、どうぞプレゼンテーションをお願いします。
今村久美氏(以下、今村):日本語でお話をさせていただきます。非常に素敵なプレゼンテーションの後に、ドメスティックなお話になってしまうんですけれども、私は15年前にNPOを立ち上げてずっと教育活動にかかわる仕事をしてきました。
よく共有されているデータなんですけれども、私たち日本の子供たちや若者たちが、自信がない、そして自己肯定感が低いということが、何度もメディアも取り上げている統計的な事実と言われています。
例えば、「あなたは自分の将来について明るい希望を持ってますか」という問いに対して、5人に2人が「希望を持てない」と言っていたり、「自分には長所があるか」と聞かれると、約3割ほどが、「自分には長所はない」と言っているというのが、日本の子供たち、若者たちのメンタリティです。
また、若者たちが働くということにもスムーズにチャレンジできない状態が進行しているということも言われていて、仕事をしていない若者が60万人、これは全体の2%にもなっていると。
また、引きこもりと言われる存在の人もすごく増えてきていると。そんなことが言われている中で、私自身も、昔を思い出すとすごく自信がなかったなと思うんです。みなさんはいかがでしょうか。
私たちは、当たり前のように学校に通うという権利を得て、学ぶ機会を得ているのに、いつからそれを自信に変えられなくなっているのか。
昔の(時代を描いた)朝ドラ、『花子とアン』というのが日本のドラマであるんですけど、学ぶというだけでも幸せだと思うような画を見る機会があるんですけど、「いつからこの贅沢な環境で、私たちは学ぶという機会、教育を受けるという機会を自分の自信に変えるということができなくなってきているのだろう」というのが、ずっと私が思ってきたことであり、私自身がそうだったなと思っています。
その中で、私たちは15年前から先生という立場で、プロフェッショナルな教育者という立場ではない人たちが、子供たち、特に中高生の世代、ティーンエイジャーたちにかかわっていくような社会の仕組みを取り戻していく取り組みを始めました。
1つは中高生たちのアフタースクールを作るということ、これは今、全国に4拠点あります。また、学校に対してコミュニケーションのプログラムをアウトリーチとして取り入れて訪問して、学校教育のなかの仕組みに、社会と高校生たちとつなぐような取り組みを入れていくということをずっと行ってきました。
これは東京都の文京区にある拠点なんですけれども、ここには日本の東京都の中高生たちが日々、一ヵ月で2万人くらいの子たちが来るんですけれども。アフタースクールなので、学校が終わった後の子供たちが来て、自分の居場所を見つけたり、何かのプロジェクトに取り組んだり、いろいろなことをワイワイとやっております。
そんなことをずっとしてきたんですけど、2011年東日本大震災が起きたときに、私もカタリバという、教育に学校外から取り組む活動を始めて10年間、自分が何を変えられたんだろうと思うと、何かを変えられた実感がずっと持ててなかったんです。
これから事業をどうしていくのか、悩んでいたときに震災が起きて、私はこの写真に見えている女川町というところに、震災が起きた直後に行きました。ここはもともと、素敵な海の真横にあるきれいな町です。
これが震災から1年後、まったく同じところから撮られた写真で、ほぼすべてのものが壊滅してしまった場所なんですけれども、ここに行ったときに思ったんです。
私たちは何かモチベーションを持つとか、自分のなかの自発性を源泉に前向きにチャレンジするということを忘れてしまったけれども、この東日本大震災はもしかしたら、そういったものを取り戻していくチャンスになるかもしれないと。
こんなことを言うと、日本のメディアの方々には不謹慎と怒られるかもしれないと思ったんですが、何か私たちが忘れてしまっているものを、ぶつけられる機会に変えていけるんじゃないかと思い、私自身も東北にそのまま住みつきました。
私がフィールドにしたのは、女川町と大槌町という、町の1割の方が亡くなってしまって、住居も8割方なくなってしまっているような場所です。ここに2つのアフタースクールを作りました。
一番左上の写真は体育館なんですけど、私が行ったときには、ここに600人が暮らす状態になっていて、ダンボールで家を作っているような状態があり、右の写真は仮設住宅に移っても、家庭のなかでお酒を飲むお父さんと、テレビを観ているお母さんの横で勉強ができないと言って外に出て子供たちが勉強していたり、また学校も体育館の中をいくつかに区切って、いくつかの学校が共存しながら教室を作っていたりという状態が起きていました。
ここで私たちは、地元の方々を雇用したり、カタリバの東京で活動していたメンバーを地域に、女川町、大槌町に住民票を移していただいたり、私自身そのメンバーになって、子供たちが自由にのびのび過ごせる、勉強と遊びの場所を作りました。
2015年、つい最近の様子なんですけれども、2拠点とも町は工事現場になっておりまして、まだ何かが建ったという状態ではないんですが、ゆっくりと復興が進んでおります。
ずっとそういったことをしてきて、初めは子供たちが学ぶ居場所を私たちが作るということをしたんですけれども、その間に子供たちから見えてきたのは、自分も復興の当事者になりたい、自分も何かチャレンジしたいという声でした。
例えば、1人の生徒の事例なんですけど、彼女は身の周りがすべて流されてしまった、釜石市の鵜住居というところに住んでいる高校生の子なんですけど、地域の自治会の人たちに提案をしました。
今回の震災で、かなりの方々が家族が心配で家に走って戻って、家中探している間に流されてしまったので、次に地震が起きたら、玄関に「避難しました」というカードを置いて逃げようということを、自分の自治体では取り組もうという、非常にシンプルなプロジェクトなんですけど。
他にも高校生が、「大槌町は星がすごくきれいなところだから、震災でいろんなものがなくなったけど、復興支援に来てくれる人たちに、星がきれいな大槌町に観光に来てもらえるように自分が星のガイドをするんだ」とか。
そういうことを立ち上げる子とか、高校生たちがいろんなプロジェクトを立ち上げていくことを応援する活動をしています。
そんななかで、プロジェクトに取り組んでいる生徒や子供たちにいろいろとアンケートを採ってみると、日本では「学校以外のところでチャレンジすることを、あまり周りの大人に応援してもらえない」と答える子がすごく多いんですね。
これはアンケートなんですけれども。自分で何かチャレンジしたいと思ってプロジェクトに取り組んでいる子たちが左側、右側は大人たちが取り組んでいるプロジェクトや自治会のプロジェクトに参加した子たちのアンケートなんですけど、左側の子たちのほうが、「学校の先生の応援が得られない」と答えてるんですね。
学校の先生たちは忙しいから、学校の外で生徒たちが安全に活動できているかすごく心配になると。だから生徒たちが、学校や家庭の枠組みを超えたところで何かしでかすということに、決してネガティブなわけじゃないんですけど、大丈夫かなと心配をされています。なかなか、生徒たちが社会とつながって何かやってやるみたいなことを応援しづらいというのがあるみたいです。
私たちとしては、そういった学校外の機会は、実は生徒たちのクリエイティビティをすごく伸ばすんじゃないかと感じていまして、学校などのフォーマルな時間のなかで学ぶということにプラスして、それ以外の余暇の時間にもっと生徒たちがクリエイティビティを発揮できるような機会を日本の中で充実させることができないかということを、今取り組んでいるという、そんな仕事をしてきました。以上です。
(会場拍手)
キャリントン:ありがとうございました。とても興味深い議論になりそうです。ジャーナリストのみなさんとお昼を食べながら話をしたんですが、そのときに日本には悲観的な声があるというお話が出てきていましたので、3名の若い方々から、どうやって前向きな変化を起こしていけるのか、というようなお話をうかがえたことはとてもうれしいことです。
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