2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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長崎忠雄氏:AWSがこれだけ日本全国津々浦々、さまざまなお客様にご利用いただけるようになった背景として、ユーザーコミュニティの存在があります。我々はJapan AWS User Group(JAWS)と呼んでおりますが、(このような)非常にかわいいサメのロゴを使っています。
今現在、北海道から沖縄まで50箇所の拠点がございます。九州においては8拠点、福岡・佐賀・長崎・熊本・北九州・大分・宮崎・鹿児島。これはAWSのユーザーが有志でお集まりいただき、新しい使い方や最新情報を皆様同士でシェアする。そうすることによって、お客様同士でAWSの使い方をどんどん活性化させていく。これが草の根的に、全国津々浦々に広まっております。
これは、世界を見ても例がないユーザーグループでございます。我々はこのJAWSというコミュニティは非常に重要だと思っておりまして、JAWSそのものが本格的に日本で活動する前から、有志で情報交換をしていただいておりました。今日の夜もJAWS-UG福岡というナイトイベントを用意しております。ぜひ、興味のある方は遠慮なくこちらのイベントに奮って参加していただければと思います。
もともとJAWSは、どちらかというとデベロッパー向けのコミュニティ、ユーザーグループですが、最近はエンタープライズの方の参加も増えてきております。昨年、エンタープライズ向けのユーザーグループも発足いたしました。今日、この後ご登壇いただきます(東急ハンズの)長谷川さんも、Enterprise JAWS-UGのコアメンバーの一人でございます。
AWSを活用して、日本のITを変えていこう、もっとより良くしよう、といった有志が40名以上集まっていただいて、3ヶ月に1回サブグループの勉強会なんかをやりながらそれぞれの事例を持ち寄り、こうやったらもっとAWSを使えるようになる、といったような話し合いをしていただいております。
我々は、こういったお客様に支えられていると思っております。デベロッパーのコミュニティだけではなく、エンタープライズのCIOですとか決裁権を持つ本部長クラスの方々が、お忙しいなか時間を取ってお集まりいただき、AWSのユースケースをお話しいただく。それが草の根的にどんどん広がっているというのが日本のクラウドファーストの最前線だと思っております。
この場を借りて、ユーザーグループの皆様には改めて御礼を申し上げたいと思います。
ユーザーだけではございません。AWSというクラウドを軸に、新しいパートナーエコシステムというのも構築されつつあります。先ほどのgrowth cycleのところで、エコシステムは非常に重要だというお話をしました。
例えばライセンス。今まで投資してきたライセンスをクラウドに移行したときに、動かすことができるのか。また新しくライセンスを買いたくない。ごもっともでございます。
今まで持っていたものを持ち込める、BYOL(Bring Your Own License)。日本語でライセンス持込と書いてありますが、そういったことができるパートナーを、世界のみならず日本のお客様とお話をして、どんどん増やしております。
あとは、AWSをベースにITサービスを提供されているベンダーが非常に多いです。ハードウェアあるいはソフトウェアのベンダー、そういった皆様がクラウド対応を推進することによって、よりシームレスにAWSをお使いいただける。あと、(お客様が)AWSを使うことを決めた、じゃあ誰がサポートしてくれるのといったときに、構築ですとか運用をしてくれるパートナーが必要になってきます。
そういったシステムインテグレーションをするパートナー様が、日本全国にかなりの数いらっしゃいます。今日もそういったお客様がブースを出していらっしゃいますので、ぜひお気軽にお声がけいただければと思っております。
我々アマゾン データ サービス ジャパンには、導入支援からコンサルティング、更にはトレーニングをするチームもございます。当然サポートのチームもおります。我々のサポートは24時間365日、すべて日本語で提供しております。
たまに(まだサポートを利用されていない)お客様から「全部英語でやるんじゃないか」という声をいただくことがありますが、まったくそんなことはございません。すべて日本語で日本人が対応する、非常に質の高いサポートを提供しています。
AWSが提供しているサービスは非常に多岐にわたります。2006年にサービスを開始したときには、S3というストレージのサービスしかございませんでした。
いまや、40種類近いサービスがございます。我々がサービスをどうやって増やしているかというと、お客様の声、これをベースにサービスを増やしております。いってみれば、AWSのロードマップというのはすべてお客様の声を基に作成されているといっても過言ではないと思っております。
これはイノベーションのペースです。2008年に我々が出した新しいサービス、あるいは新しい機能。わずか24しかございませんでした。2009年にその2倍の48。2010年には61。2011年に82に増えまして、2012年に100を超えて159。2013年、200を超えて280。今年(2014年)はあと数ヶ月しかございませんが、おそらく400を超える勢いで新しいサービスや新機能が次々と生み出されております。
この右肩上がりのペースを見てご理解いただけると思いますが、本当にすごい勢いで、社内でインベンションとイノベーションを起こしている。でも、これの基となるのはすべてお客様なんですね。世界に数十万いるお客様、日本で2万を超えるお客様がいらっしゃいます。お客様と対話をし、耳を傾けながら、我々のロードマップは形作られている。
我々のインフラの部分ですね。先ほど言いましたリージョンであるとか、アベイラビリティゾーンという、いわゆるコンクリートの箱の部分。その上にさまざまなサービスを提供しております。メジャーなものとしては40を超えるクラウドのサービス。その40の中に、サブセットとしてさまざまな選択肢をお客様に提供できているとお考えいただければと思います。
我々は、いわゆる業界スタンダードであるインテルさんのアーキテクチャーを採用しております。よく「クラウドはブラックボックスだね」と言われることがあるんですが、我々は紛れも無く業界の標準であるインテルさんのアーキテクチャー、チップを採用しております。
クラウドの良さは、要は4年、5年と既存の投資に縛られないわけです。先ほど言いましたように、AWSはめざましい勢いで新しいインスタンスやサービスを提供しておりますので、お客様は最高のパフォーマンスのインスタンスを常に享受いただける、というのがひとつのメリットでございます。
最近発表した面白い、興味深いサービスとして「仮想デスクトップ」がございます。VDI(Virtual Desktop Infrastructure)ですね。Amazon WorkSpacesという、モバイル端末を問わず、今までだとお客様自身がキッティングとかメンテナンスをしなきゃいけない(ところ)、それをフルマネージドでクラウド上でできるVDIでございます。
あるいはAmazon Zocaloというファイルの共有サービス。皆さんいろんなサービスをお使いいただいていると思いますが、これは企業間でセキュアに、ファイルの共有をチームメンバーとやる新しいサービスです。
あと、モバイル化も我々はかなり進めておりまして、モバイル開発者様向けの新しいサービスもどんどん出していっております。認証をスムーズにするものですとか、アプリケーションがどういうふうに使われているかというレポートを出すサービスですとか、今後モバイルの分野のサービスもどんどん増えてまいります。
あとは、最近のトレンドとして「ビッグデータ」が注目されておりますが、我々はそこに「リアルタイム」というキーワードを付けたいと思います。Hadoopベースのマネージドサービス(Amazon EMR)があったり、Amazon Redshiftというデータウェアハウスのサービス、これはAWS史上最速で伸びているサービスですが、これもフルマネージドのデータウェアハウスサービスとして、ビッグデータの活用をサポートしています。
ここに加わったAmazon Kinesisというのは、リアルタイムでストリーミングデータを収集・処理できるサービスです。これまでのビッグデータは、データを蓄えてそれを後から分析するというのが今までのモデルだったんですが、Kinesisのようなサービスが出てきたことによって、待たずにリアルタイムで分析してリアルタイムで結果を出していくと。経営判断のスピードをどんどん早めることができるという非常に興味深いサービスで、こちらも非常に伸びております。
多くのエンタープライズのお客様が、AWSにこれだけのスピードで移行してきているのには、実は理由があります。大きく3つ挙げるとすると、これらのサービスです。
ひとつはAmazon VPC(リンク:http://aws.amazon.com/jp/vpc/ )と呼ばれる仮想プライベートクラウドを構築できるサービスです。二つ目が、高速で自社のデータセンターとAWSをインターネットを経由せず接続する専用線接続(AWS Direct Connect (リンク:http://aws.amazon.com/jp/directconnect/ ))です。なぜかというと、3年前4年前は今のAWSの機能、ラインナップがなかったわけですよね。ですので、お客様としては(社内システムには)従来型のIT投資をするしかなかった。
すでに投資してきたものがあります。減価償却で4~5年使っていかなきゃいけない。でも、新しいサービス、追加のサービスでAWSを使いたいというお客様が非常に多いです。
そういったときにVPN接続であったり専用線で接続することで、今まで投資してきた資産を無駄にせず、シームレスにAWSと既存のデータセンターを接続すると。そういったサービスを出すことによって、お客様の移行のスピードが速くなってきております。
あと、先ほど触れましたけれど、すでに投資してきたライセンスをAWS上に移行(BYOL:ライセンス持込)することができます。このスキームを、我々はソフトウェアのベンダーさんと膝を突き合わせながら話し合いを続けております。この3つが、エンタープライズ企業の皆様のAWSへの移行を促進する特徴だと考えております。
お客様は実際、どのようにAWSを使っているんだろうかということをよく聞かれます。大きく3つのパターンがあると思っております。ひとつは、今言いましたように投資してきたものがあります。そのリソースを、クラウドを使うことによって補完していきましょう、あるいはさらに増強していきましょうというのがひとつのパターンです。
二つ目は、今オンプレミスで動かしているアプリケーションあるいはデータを、そのまままるっとクラウドに持っていきましょうというものです。移行ですね。三つ目は、まったく新しくゼロからアプリケーションあるいはサービスをAWS上で構築していくと。新規のパターンです。この3つのパターンが、お客様として多く見受けられます。
例えば、こちらはトヨタさんですね。国内で11のドメインを、今までバラバラに管理されてらっしゃいました。あれだけの国際企業ですので、かなり大変な作業だったと聞いております。それぞれ別々に管理をして、まったくシームレスに繋がってなかった。それをすべてAWSベースで作り変えたという話です。
全面移行されまして、5年間の運用コスト、TCO (Total Cost of Ownership) を60%から70%近く削減することに繋がったと。ただ、トップの方がおっしゃっていたのは「コストだけではない」と。コストは当然下がったんだけれど、スピードがかなりアップした。いわゆる柔軟性、アジリティ。
サイト運営するにあたって、さまざまな新しい検証であるとか実験、あるいは障害も起きます。そういったときに、今までの凝り固まったシステムではなくAWSであることにより、スピードがかなり縮まったという話をいただいております。
これはNHKさんですね。去年(2013年)の12月31日、視聴率の大変高い番組ですが、実験的にセカンドスクリーンをやりました。モバイル端末で、例えばある歌手が出てきたときに歌手や楽曲の情報を端末で見れるという。非常にユニークな事例です。
今年もまた行うと聞いておりますが、これはあるパートナーさんと組みまして、毎秒数十万アクセスとありますがピークは数百万を想定して、システム構築をされております。
先ほど我々は11のリージョンがあると言いました。たしか、(この事例では)7以上の世界のデータセンターを利用して、数ヶ月で構築されたという話を聞いております。非常に面白いのが、マニュアルの手作業で運用するとミスが発生すると。ですので、すべてスクリプトを書いてコマンドで操作しています。要はソフトウェア化して運用しているわけですね。
で、無事に膨大なトラフィックを処理することができたと。これはわずか1日だけ、紅白歌合戦という3時間4時間のために数百台~数千台のサーバーを調達し、世界のデータセンターを駆使して作り上げて、無事にサービスインして成功に終わったと聞いております。
あるいはビッグデータ。これは関西の回転寿司のスシローさんですね。もともとウェブサイトなんかをAWSで検討していただいておりまして、彼らはお皿にRFIDのチップを載せていました。データを採っていたわけですね。年間10億件のデータが貯まっています。すごいデータです。過去4年にさかのぼると40億件のデータがあると。
今まで、ここに宝の山があるんじゃないかと情報システムの部長さんがおっしゃっていました。あきんどスシローさんの情報システム部はたしか、わずか5名前後で運営されていると聞いております。データウェアハウス、Redshiftというサービスが出ました。使った分だけお支払いいただく、初期費用はゼロです。
彼らが持っているBI(Business Intelligence)のツールとそれを組み合わせて、実験をしました。10億件のデータを分析するのにわずか数日だったわけですね。結果的に上手くいく、それもかなり低コストでできた。インフラにかかった費用はわずか数万円だと聞いております。これは従来型だと、数百万円~数千万円の稟議を上げないといけないわけですね。
新鮮な寿司ネタを扱うことがコア・コンピタンスである寿司屋さんにとって、数億件・数千万円のシステムを構築したいのでデータウェアハウスをさせてくださいと言っても、経営陣にはノーと言われると。そこで、AWSの威力が発揮されました。年間10億件、さかのぼって40億件以上のデータが、クラウド上のデータウェアハウスあるいはBIツールを使うことによって分析され、その効果を大幅な低コストで実証することができました。
それだけではありません。いまや、15分後の需要予測までが各店舗で実現できるようになっています。この情報システム部の部長さんは、経営に貢献することがミッションでございます。(ITの)お守りをすることじゃありません。
ですので、このような経営に貢献する新しいITの仕組みを、次々に考えていただいています。その裏をAWSでサポートさせていただいております。AWSの利用はコストと先ほど言ったスピード、その2つのメリットを兼ね備えているわけですね。要は、何か新しいものを生み出そうとしたときに、AWSがインフラの面で縁の下の力持ちとして支えることができているひとつの例だと思っております。
業務アプリケーションも、数多くAWS上で稼働しております。SAPさん、ワークスアプリケーションズさん、オラクルさん、インフォアさん。さまざまなERP(Enterprise Resource Planning)で構築された、いわゆるミッションクリティカルと言われているワークロードが多数AWS上で稼働しております。
例えば日本通運さんなんかは、数千あるアプリケーション、プライベートクラウドを構築されております。これを向こう4~5年かけて、すべてAWSに移行するということを大々的に表明されてらっしゃいます。
丸紅さんも、日本通運さんに似た事例でございます。今までプライベートを構築していたんだけども、運用とメンテナンスが非常に大変であると。向こう数年かけて、数百あるシステムをすべてAWSに移行するということを言っておられました。
先般記事がありましたけれど、今や自前でメンテナンスするというのは少年野球のようなものだと。AWSと自前のITを比べると、少年野球とメジャーリーグくらいの違いがあるというような表現をされておられまして、非常に面白いことを言うなと思いました。
我々には世界中に数十万のお客様がいるのですが、そうしたお客様から日々フィードバックをいただきます。そのフィードバックをサービスにどんどん反映していっているわけです。それはセキュリティに関しても然りです。セキュリティの要件、これは毎日お客様から来ます。毎日我々はセキュリティの要件を詰めて、お客様が満足するよう改善、追加していっているわけですね。
これを自前でやるのと、AWSのように世界中にお客様がいて、その多くのフィードバックを取り入れ続けるサービスと、どちらを使うのがビジネスにとってメリットがあるかというのは、お考えいただければ容易にわかるのではないかと思います。
セキュリティはAWSのトップ・プライオリティです。実際、我々は第三者機関に(依頼して)コンプライアンスやセキュリティに関する第三者認証というのを取って、これをガラス張りにしています。
お客様が心配な場合はこういったものをお見せすることによって、AWSが良いと言っているのではなくて、ちゃんとしたスタンダードな機関がお墨付きを与えているということを、判断基準としてご利用いただいています。
冒頭で言いましたけれど、本来のエンドユーザーの皆様、あるいはパートナー様の貴重なリソースを、ビジネスに貢献する方向に使っていただく。本来の業務に集中できるというのも、クラウド利用における重要なメリットだと思っております。
当然ながらコスト削減も大きなメリットございます。さまざまなところで90%、80%、あるいは30%のコスト削減という効果が出ております。IDCさんの調査におきましても、向こう5年間のTCOで1アプリケーションあたり70%のコスト削減ができるというデータもきちんとございます。
クラウドというのは、比較的テクノロジーに視点が集まりますが、(実際は)ビジネスの話なんですね。失敗のコストを大幅に削減できる。初期費用がゼロですし、時間がかからない。容易に試すことができる。そうすることによって、失敗のコストが下がる。より新しいイノベーションを生むことができる。
これは伊藤穰一さんがおっしゃっている言葉です。「イノベーションを増やしたいなら、失敗のコストを下げなければならない」。言い換えると、成功の確率を高めていくためには失敗を繰り返すのが重要なわけですね。より柔軟なシステム設計をすることによって、柔軟にトライアンドエラーができる。こういったシステム構築が今後重要になってくるのではないかと思っております。
最後のスライドになりますが、我々アマゾンの企業文化を再度紹介して締めくくりたいと思います。一つ目はお客様指向でございます。お客様の声なくして、我々の成功はないと思っております。
二つ目はインベンションです。先ほど挙げましたように、すさまじい勢いで我々は新サービス・新機能を開発しております。我々は自分たちで作ること、お客様に成り代わって作ることをモットーとしております。
他の会社でいくと、M&Aであるとか会社買収によって一時的にイノベーションを起こす会社もあるでしょうが、我々は創造できる人間を採用して、お客様に成り代わり発明であるとかイノベーションを継続的に起こしていくことにこだわっております。。
つまり、短期的視野でビジネスを見ておりません。我々はお客様との中長期的な信頼関係なくして成功はないと思っております。これが三つ目のアマゾンの企業文化です。 クラウドのビジネスにおいても末永いお付き合いを日本の皆様、また、本日お越しいただいている九州地区、福岡のお客様としていければと思っております。本日はご清聴いただき、ありがとうございました。
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