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若手から一騎当千の活躍を引き出す『目標設定面談』(全2記事)

若手が「長く働きたい」と思える職場の3つの要素 データから見る、部下を伸ばす関わり方

若手社員のスキルアップをしたい。目標がふわふわしている若手が多く困っている。そんな悩みを持つビジネスパーソンに向けたセミナー「若手から一騎当千の活躍を引き出す『目標設定面談』」が2025年1月5日に開催されました。データから見える若手の傾向、若手が伸びる会社が行っている3つの施策、目標設定面談の重要性とポイントとは。テーマを以上の3つに分け、「働く」にまつわるセミナーを多数開催する株式会社PDCAの学校の宮地氏がプレゼンしました。

データから見える「若手の傾向」

宮地尚貴氏:では、さっそく始めていきたいと思うんですけども、簡単に自己紹介をさせていただきます。株式会社PDCAの学校の宮地と申します。PDCAの学校には2016年に入社いたしまして、今は営業、あとは採用周りとWeb広告を担当しております。

今回は、大きく3つお話しさせていただければなと思います。まず1つが、データから見える「若手の傾向」。弊社では毎年、新入社員から入社2〜3年目の20代を対象に、700名ぐらいの方々に「ビジネススキル研修」という若手向け研修を行っております。

そこで、各回で匿名アンケートを行っております。そのアンケート結果がけっこう社内のマネジメントや若手を育成していくにあたって活かせる内容ですので、まずはそちらをご共有させていただきたいと思います。さらに世の中で開示されているデータ等も踏まえながら、どんな傾向があるのかをお伝えできればなと思います。

「若手が伸びる会社」が行っている3つの施策を2つ目にお伝えいたします。弊社では、2024年からAIのツールを取り入れております。

売上が伸びていて若手の定着も図れている企業さまがどんな施策を行っているのかを、全部システムに入れまして、そこで、3つの施策を共通してだいたいやっているんじゃないかというお話が出ております。そちらをご共有させていただきたいなと思います。

あとは、やはり個々のアプローチとしましては、若手を伸ばすにあたって目標設定面談が必要になってくるのかなと思います。なので、まずは冒頭の進め方と、あとは定期的な進捗をどう管理していくのかの面談のポイントをお伝えいたします。

後半は少しだけ弊社のご案内もあるのですが、それはどちらかというと弊社の取り組みの育成のAIシステムがどんな感じでやっているのかというお話で、ちょうど1〜2週間前ぐらいに出来上がりました。

本当はWebセミナーでお伝えする内容ではなかったんですけども、せっかくですのでちょっと情報をご提供できればなと思います。では、さっそく内容に入っていきます。

「上司に相談できる機会を作ってほしい」が年々増加

まず、若手は上司とのコミュニケーションを求めているのか。これは弊社のアンケートではなく、ラーニングエージェンシーさんが出しているアンケート結果です。「キャリア形成について会社に期待することは何か?」ということで、上司に対して相談できる機会を作ってほしい。こういうものが年々増えております。

2021年が最後にとっているデータになっておりますが、2014年から、2015年、2016年、2017年、2018年、2019年、2020年、2021年と年々、「相談できる機会が欲しい」「コミュニケーションを取りたい」が増えていっています。上司にもそうなんですけども、上司以外の社員に相談できる機会を作ってほしいというのも6ポイント増えております。

これはあくまで一般論にはなってしまうんですけども、昨今の若手はやはり、比較的上司の方々に相談できる機会を求めている傾向があるなと。「若手からもっと話しかけてくれればいいんじゃないか?」「自分からどんどん相談機会を作ってくれればいいんじゃないか?」と思われる方も、多くいらっしゃるとは思います。

私も全国各地で若手向けの教育研修に携わっている中で、よく研修を受けられている方からご相談が来ます。「報告・連絡・相談だとか、上司の方はけっこう求めていると思うんだけど、そこらへん、うまくできていますか?」というお話を個々に、させていただいた時に、だいたい「できています」と言います。

「実際どんな感じでできているんですか?」と聞くと「よく先輩と動くので先輩に相談しながらできています」と。こちらは「あっ、それいいですね」と。

それで「先輩と一緒にうまく進められていると思うんですけど、仕事の状況や何がどこまで今自分ができるようになっていて、どんなことを周囲から求められているのかをきちんと把握しているんですか?」という話をした時。

相手の方から「あぁ、それはちょっとわからないな」「基本、先輩と動いていてその上の上司とはあんまり会話ができていないですね」という返答があります。

「なぜ会話をしないんですか?」と聞くと「あっ、本当はしないといけないなと思っているんですけど、怖くて」とか「近寄りづらくて」「忙しそうで」といったお声をいただく機会がすごく多いです。

なので、心の中では「相談できる機会を作ってほしい」と思っているし「動きたいな」という心持ちなのですが、気を遣っていたり、遠慮したりでなかなか動けない方がけっこう多いんだろうなとは思っています。

「上司と合うかどうか」がモチベーションを左右する

ほかにも、弊社のアンケート結果もご共有できればなと思います。任意の匿名アンケートで、463件のアンケート結果が集まりました。

「今の会社で長く働きたいと思いますか?」という質問に対して、だいたい「はい」が多いんですね。7割ぐらいの方が「はい」と回答いただいております。25パーセントぐらいの方が「いいえ」と回答いただいていると。

「はい」と回答いただいている方の主な理由なのですが、「いろいろなことに挑戦させていただけていたり、居心地がいい」「経験できる仕事の種類と上司の人柄が肌に合うと感じた」「今の会社で出世したい」などなどポジティブなお声があっていいですね。あとは、「やりがいを感じている」「成長が実感できている」。

やはりお金や条件、ワークライフバランスという言葉もけっこう聞くとは思うんですけども、どちらかというと「はい」の理由では「上司と合う」「やりがいを感じられる」「自己成長を感じられる」などが多そうな気がしております。

一方で、「いいえ」と回答いただいている方の理由、25パーセントの方々の理由を見ていて感じるのが「上司、先輩たちも5年前後で転職されている方が多いから」という、環境に影響しているもの。

あとは、「上司を尊敬できない」「上司を見ていてワークライフバランスが取れているように感じなかった」「会社の方針と社員の気持ちが別の方向を向いている」「上司が高圧的」「スキルツリーといったものがない」「上司の愚痴が多い」と。

成長を実感できるきっかけは上司のフィードバック

やはり、上司というワードがけっこう多いと感じるんですよね。なので、上司イコール自分の将来像と捉える方が多いんじゃないかなと思っています。おそらく先ほどのアンケート結果で、「上司との関係性がいい」とか「肌に合う」という回答も「はい」の理由ではあったと思います。

もしかしたら上司との関係性、上司が密にコミュニケーションを取っているので仕事のやりがいなどを体感できていたり、上司から例えば「できなかったところができるようになったね」「レベルが上がっているね」と定期的にコミュニケーションが取れていることによって成長を実感できている。

もちろん、本人たちがこのやりがいや自己成長を作っていっているところも大きくあるとは思うんですけども、もしかしたら上司との関係性によって生まれている部分も多くあるんじゃないかなと思います。なぜなら、この「いいえ」の理由があまりにも「上司が、上司が」が多いです。

上司との関係性はどうなのかもアンケートをとってみました。「上司の方との相性についてお聞かせください」と。Googleフォームで毎回とってはいるんですけども、「とても合う」「やや合う」が9割近くを占めております。だいたい「合う」と感じておられる方が多いので、多くの企業さまでは問題として上がっていないケースが多いのかなと思います。

気にかけているか・気にかけていないかで気持ちが大きく違う

「合う」と回答いただいている企業さまの理由なのですが、こちらです。「合う」と回答いただいている若手の方の理由です。「わからないことがあればすぐ教えてもらえる」「親身に話になってくれたり、悩みを聞いてくれる」「話を聞いてくれる」「目的、目標を提示してくれる」。

あとは、「仕事の進め方に共感できる」「上司と2人で話す場を積極的に設けてくれる」「忙しいのにもかかわらず丁寧に質問に答えてもらえる」「明るく話してくれる」「わからないところを聞いても嫌な顔1つしない」。この中で、相性の話をしているのというのが、おそらくこの「仕事の進め方に対する考え方に共感できる部分がある」。ここは、相性的なお話なんじゃないかなと思います。

それ以外の理由が、人間性だとか、タイプが合うというよりは、親身になって教えてくれるとか、コミュニケーション頻度が多いとか、感謝しているから何となく相性が合うみたいな、そんな回答になっているのかなと思っております。

なので、相性うんぬんではなくて、コミュニケーションが取れているか取れていないかが結果として出ているんだろうなと。

やはり「合わない」と回答している理由は、「発言に対して責任を持たない」ということが嫌なのかもしれないですね。あとは「高圧的な態度を取られる」「機嫌を表に出す」「話しかけづらい」「指示がわかりづらい」「放任意識が強い」「人の考えをあまり聞かない」などなど。

ちょっとピックアップするかたちになってしまいますけれども、放任意識、話しかけづらいところを見ると、コミュニケーションが取れていないから何となく合わないと感じている。

そんなかたちになっているんだろうなと思いますので、どちらかというと若手への指導のところで、上司のみなさまは例えば、「どうやって今の若手にコミュニケーションを取ろうか?」「どのぐらい近づいていいんだろうか?」と悩まれる企業さまは多いと思います。

ただ、質は求めていないんだろうなと思っております。「今、仕事は大丈夫そう?」「困っていることはない?」など、気にかけているかかけていないかで若手の働きやすさがけっこう変わってくるんだろうなと思っております。

悩んでいてもけっこうもったいないですし、正解がないところにはなってしまいますので、まずはコミュニケーションの頻度を担保できているのか、できていないのかは、ぜひ見返してみていただくのもいいのかなと思います。

制度設計よりは、ふだんの意識をいかに部下に向けるか

ですので、アンケート結果からわかることとしては、「やりがい」「自己成長」「上司との関係性」の3つのいずれかで、長く働きたい、働きたくないというところの回答が出ています。
特に「長くこの会社で働きたいです」とおっしゃっている方は、「やりがい」「自己成長」「上司との関係性」のどれかで(ポジティブな)回答をいただいています。

やりがい・自己成長はもちろん本人たちが作り出していくものなので、すべてが上司の責任というわけではありませんが、上司の方々の接し方によって、やりがい・自己成長を感じさせることもできるということになるんですね。

なので、中小企業さまだと、例えばキャリア設計がうまくできていないとか、評価制度があいまいだったり。職域・職務設定、各階層に何が求められるのか、あとは十分な教育制度など、弊社も含めて整っていないケースが圧倒的に多いと思うんですよ。

そうなった時に、若手が例えば早期離職をしますと。「あぁ、うちの会社はいろいろ制度が整っていないからな……」と諦めるのではなくて、上司の方の日頃の関わり方によって、もしかしたら制度設計がうまくいっていなくても若手の定着を図ることができるかもしれないというのはけっこうあるのかなと思います。

制度うんぬんというよりは、現場の上司の方がどのぐらい部下育成に対して意識を向けることができているか。もちろん部下育成に上司の方が意識を向けるにあたって、例えば管理職にはきちんと、部下育成がもう責任として入っているんだという職責の設定が必要にはなってくるとは思います。

ただ、それを上司の方が不満として言うのも違うなと思いますので、上司の方の関わり方次第で若手を伸ばすことも活かすこともできるということは、ぜひ押さえていただければと思います。

目標を浸透させる施策づくりがしっかりできているか

ちなみにそのほかにも定期的にアンケートをとっています。ちょうど6月半ばぐらいに、全受講生、若手の方々にとっているアンケートの中には、新入社員の方も多くいらっしゃいます。入社からだいたい3ヶ月ぐらい経った頃のアンケートです。

上司からの目標を理解できていない若手が、なんと54パーセントと。いまだ不安な日々を過ごしている若手が32パーセントという結果が出ております。

「会社、上司から業務上の目標や期待を伝達されていますか?」という問いに対して、「期待や目標を伝達されており十分理解している」という方が46パーセント。「期待や目標を伝達されているが理解しきれていない」という方が45パーセント。「まったくされていないです」という方が9パーセント。

「目標を伝達されているが理解されていない」「まったく伝わっていない」という方の回答を、見てみたいなと思うんですけども、ここが本日の内容とちょっと関連していきます。

「目標は伝えられているが、ざっくりとしていてよくわからない」「1回伝えたきりで終わってしまっている」「なんでこの目標なのか根拠が不明」。だいたいこのあたりを見ていただければなと思います。多くの企業さまで、例えば1回伝えて後は放任というケースって、圧倒的に多いと思うんですね。ただそれだと浸透していかないと思っています。

例えば、よく企業さまで理念浸透の施策を取られるケースもあると思うんですけども、理念を作って終わりとかですね。管理職の方へ何を求めるのか? 職責を作って終わり。だいたい1回伝達して終わっているから、運用が形骸化してしまっております。

なので、目標なども一度伝えて、その目標に対して、この1ヶ月進みましたけれども、今目標に対して現状どんな状況で、あとどのぐらい足りないのか。まずはどんな行動をすべきなのかを定期的に追っていかないと、どんな施策も浸透していかないところがあるのかなと思います。

浸透させるような施策を行っていないことによって、目標を理解できていない、不安な日々を過ごしているという方々が圧倒的に多く、結果的に上司や会社に返ってきます。なので、生産性が上がらない、若手が伸びない、中には離職してしまう。そこで管理職の方がいつまで経っても現場から抜けられないという悪循環が起こってしまいますので。

部下、若手を育成することによって最終的には自分たちに返ってくるところも多くありますので、このあたりで定期的に部下の面倒を見ることは、この後お伝えさせていただく目標設定面談の進め方を通じて、ぜひお持ち帰りいただければなと思います。

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