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外食ビッグデータはアイデアの宝庫! 食のデータに見る生活者インサイト(全3記事)

20周年を迎えるぐるなびの野望「かつてないマーケティングで飲食業界を変えたい」

プロモーションとクリエイティブの両輪から、ビジネス・マーケティングの効果を最大化させるためのノウハウやソリューションを、講演や展示を通じて提供する「宣伝会議 プロモーション&クリエイティブフォーラム」。8月31日に行われた「外食ビッグデータはアイデアの宝庫! 食のデータに見る生活者インサイト」では、創業20年目を迎える「ぐるなび」が、ビッグデータをもとにしたプロモーション事例を紹介しました。

ぐるなびは今年で20周年

高橋俊也氏:よろしくお願いします。私、株式会社ぐるなびプロモーション部門の高橋と申します。本日はよろしくお願いします。

簡単に私の自己紹介をさせていただきたいと思います。私は、もともとバックグラウンドは、決済や金融というところで、実は食の領域は門外漢でした。

この会社に入ってちょうど7年目になりますが、今なにをしているかと言いますと、ぐるなびがネットワークしている飲食店さんやシェフのみなさまを、食品メーカーさんやカード会社さん、自治体さんといった方に活用していただいて、プロモーションを企画提案させていただいて、実行するというのが私の仕事でございます。

本日は、「食のビッグデータビジネス」というけっこう堅い名前が書いてありますが、今日みなさんに知っていただきたいのは、ぐるなびはどういう食のデータを収集・蓄積しているかというところですね。そして、ビッグデータを使ったいくつかの事例を紹介させていただきたいと思います。

実際、我々も、持っている自分たちのデータをどう使ったらいいか試行錯誤をしてきているんですけど、ぜひみなさんにもこの我々のビッグデータを理解していただいて、いろいろコラボレーションしたいなと思っていますので、ぜひお聞きいただければと思っております。

最初に、ぐるなびっていつからスタートしたの? というぐるなびの歴史から入っていきたいと思います。

ぐるなびがスタートしたのは、1996年です。つまり、今年は2016年なので、ちょうど今年で20周年を迎えます。

1996年ってどんな時代かな? と振り返ってみたらですね。96年というのは、インターネットがようやく家庭に普及し始めた時期でございます。なので、僕もちょっと調べてみたんですけど、その当時、1996年の家庭でのインターネット普及率というのは、3.3パーセント。

私も96年にちょうど社会人になりたてで、初めてのボーナスでパソコンを買った記憶があるんですけど。まだまだ画像もゆっくりゆっくり表示されるという時代だったかなと思っています。

当時なにが流行っていたかなと言うと、出来事的には、ヤフージャパンさんが96年からスタートしています。あと、ルーズソックスが流行っていたり、そういう時代でした。歌で言うと、ロンバケの久保田利伸さんの『LA・LA・LA LOVE SONG』が流行っていたというのが、96年でございます。

外食を立地から解放した

我々は96年から20年間、飲食店検索サイトとして、ずっとインターネットでの飲食店検索サイトを引っ張ってきたのですが、どういった企業理念でぐるなびを運営してきたかということなんですが。

我々が開業当時からぜんぜんぶれていない企業理念です。「日本発、世界へ」ということで、食に繊細なこだわりをもつ国民性を活かし、日本ならではのオリジナリティー溢れるビジネスを展開します。こちらが我々の企業理念でございます。

今でこそ、2013年に和食がUNESCOの無形文化遺産に登録されたり、去年もミラノ博で日本館が非常に好評でしたし、今、訪日外国人が日本に沢山訪れて日本食文化というのをたくさん楽しんでいただいているという時代ではあるんですが。ぐるなびは、20年前から日本の食文化というのを世界に発信しようという1つの目的を持って、事業を進めてまいりました。

じゃあ、外食産業のマーケットにぐるなびはどういう影響を与えてきたかというところをご説明させていただきたいと思います。当時、20年前なんですが、外食は「未開のマーケット」というふうに言われておりました。

ただ、市場規模は非常に大きかった。約30兆円規模です。これは自動車市場をしのぐような産業規模でございました。一方で、販促の領域に関して言うと、当時まだインターネットが当然なかったですから、飲食店さんの販促の手法というのは、POPもしくは電話帳に載せる。もしくはグルメ雑誌に取材していただくというようなところが主な販促手段でございました。

96年から、ブロードバンド、WiFiとどんどん増えていって、PCから携帯、今はスマートフォンとなっていくなかで、我々はなにに貢献してきたかと言うと、ネットで飲食店を探して外食を楽しむというようなスタイルを定着させたと。手前でそういうふうな自負を持っています。

飲食店さんを選ぶ時というのは、ユーザーのみなさんも失敗したくないから、ふだん行ったことのある店にしか行けなかったと思うんですが、我々はもう1つ、飲食店さんの目線からの大きな変革をもたらしたという自負を持っております。それは、外食の立地からの解放でございます。

96年当時は、先ほど言ったように、飲食店を選ぶためには、なかなかそういう媒体もないし、インターネットも気軽に使えないという時代なので、1回も入ったことのないお店というのは、だいたい単価がいくらなんだろうか、どんなメニューを提供するんだろうか、ぜんぜんわからないから、やっぱり人の紹介とか1回入ったお店に行くというところで。

お客さんを迎え入れる側の飲食店様も基本的には立地がすべてだったんですね。駅前の良い場所であると。そういうところがすべてだったのが、今は当たり前ですが、インターネットでお店を検索するということで、駅から離れていてもおいしいお店だったら、みんな行くんですね。

そういうところで、我々は外食を立地から解放したということで。よく外食側は、F、L、Rコストなんていいますけど、Food、Labor、Rentですね。

我々はそういう意味で言うと、家賃を高く払っていた飲食店さんに家賃を気にせず、逆にですね、F、Lコストにどんどん力を入れることで、「食材にこだわってください」。あとは、「しっかり研鑽してください」「腕を磨いてください」というようなところで、食文化そのものの質を高めるということにぐるなびは貢献してこれたんじゃないかなというふうに自負しております。

外食産業は約25兆円の市場規模

続きまして、改めて外食産業の市場規模を見てみたいと思います。我々が開業したのが、96年なのですが、外食市場の一番のピークは97年と言われております。

この時点で、約29兆円です。それから、リーマンショックがあったり。2011年は東日本大震災があったところです。

今だいぶ回復基調にありますが、現状の市場規模というのは、外食は約25兆円の規模でございます。

約25兆円ということは、だいたい約5兆円くらい、外食は97年から減ってきているんですが。その間伸びてきたものというのが、こちらの折れ線グラフにあります。これは中食市場です。

つまり、コンビニエンスストア様がどんどん定着してきた、ということです。日本人の胃袋は、外食ではなく中食にシフトしてきているというところでございます。

そんななかで我々も外食を守り育てるという意味で、飲食店のサポーターとしては、中食さんはある意味競合となってきていますので、「外食ならではの楽しみってなんなんだろう?」と。

食材のこだわりだったり、その食材をレシピに変える、メニューに変えるシェフの腕という外食ならではの非日常というのが演出できるんじゃないかということで、飲食店様と日々、業務を行っていっております。

一方で、この約25兆円というのが、まだまだ実は大きい市場でございます。しかし、我々がチャレンジしているところと言いますと、もう1つあります。

外食の情報をすべて把握するというチャレンジ

実は、外食の情報をすべて把握することなんですね。これはけっこういろんな人から「不可能に近いことなんじゃないか」というふうに言われています。

今、外食市場というのは、だいたい50万店から60万店ぐらいあるというふうに言われていますが、まだまだPOSが入っていないお店さんもけっこう多くて、外食を定量的に使うというのが難しくなる要因かなというふうに考えております。

例えば、ある食品メーカーさんの方とお話をしているんですけど。彼らは外食市場を約54万店だと捉えていらっしゃいます。そんななかで、卸店と取引をしている飲食店がどのくらいあるか、彼らの推計で言うと、約8万店です。

約54万店の内、約8万店しか問屋さんと取引していないんです。つまり、与信が立たないんです。残りの約46万店というお店さんが、いわゆるザラ場の個店さんということで、現金取引をしています。

ということでいうと、なかなかそういう意味で言うと、食品メーカーさんも問屋さんも、外食そのものをデータを定量的に把握するというのが非常に難しい状態だと言われています。

そんな外食に我々はどうチャレンジしているかというところでございますが。ぐるなびは、1つITによるオンラインの力と、1,000人の営業マンの力を融合して、食材、メニュー、店舗情報、顧客、すべての情報を収集して、流通を含めた飲食業界すべてを変える。かつてないマーケティングサービスを実現したいということで、日々みなさまといろんなお話し合いをさせていただいております。

改めまして、ぐるなびのビジネスモデルを振り返らせていただきます。

現状ですね、おかげ様でぐるなびの売上なんですが、2016年の3月期で、約350億円の売上でございます。基本的には飲食店様からの加盟料ということで我々はお金を頂戴して、飲食店さんの情報を発信しています。

それを使うユーザー。この3点で、ぐるなびの検索サイトを実行しておりますが、私の仕事というのは、我々が持っている飲食店さんやシェフ、それとぐるなびを見ているユーザー。こういった方々の持っているネットワークで、生産者、自治体、メーカー、省庁のみなさまとプロモーションを展開しております。

我々はメーカー様からプロモーション料金をいただいて、価値を還元しているというビジネスモデルでございます。

ぐるなびのメディアパワー

続きまして、メディアパワー。改めてご紹介させていただきます。ぐるなびの総掲載店舗数というのは、約50万店。なので、先ほども申し上げたように、外食市場はだいたい網羅しております。

そうした約15万7,000店舗というのは、いわゆるこれがぐるなび加盟店だとご理解いただければよろしいかと思います。なんらかのかたちで我々は契約をいただいていて、こういったお店様との絆を強めていっております。

さらに、ぐるなびを使っている月間のユニークユーザーの数なんですが、約5,700万人ということでございまして。今の日本の人口からすると、推定では日本の人口2人に1人は月間なんらかのかたちで、ぐるなびのページを見ていただいているというようになっています。

さらにぐるなびは、ぐるなび会員という会員組織もありまして、今約1,420万人ネットワークさせていただいております。

じゃあ、どんな人がぐるなび見てるの? というところで、ユーザー特性です。ユーザー特性ですが、年代的に言うと、30代40代がボリュームゾーンでございます。20代はちょっとまだ少ないんですが、最近は50代が元気になってきているというデータもあります。

男女比に関してはほぼ半々ということで。だいたいグルメサイトとかグルメ系のものって女性のユーザーが多いんですけど、ぐるなびの場合は男女バランスがとれています。

あと、ぐるなびユーザーにいろいろ調査をした時に、特性としては、クーポンとか安いからという理由でお店を選ぶ人が少なくて。やはり外食を純粋に楽しみたい、おいしい物を食べたいという食好きユーザーが多いというアンケートデータがあります。

つまり、外食に使う金額も月間で言うと、ぐるなびの会員さん以外と比べると月間で約2~3,000円違うというデータもございます。

ちょっと前置きが長くなりましたが、これからぐるなびのビッグデータについてご説明をさせていただきたいと思います。

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