2024.12.24
ビジネスが急速に変化する現代は「OODAサイクル」と親和性が高い 流通卸売業界を取り巻く5つの課題と打開策
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今井武氏:次に3点目。大規模災害時の移動支援ということで説明をさせていただきます。
ご存知の方もたくさんいらっしゃると思いますけども、東日本大震災の翌朝10時半に情報を公開致しました。おかげさまでというか、この取り組みに対して2011年のグッドデザインの大賞をいただいたという内容でございます。この話をちょっとさせていただきます。
3.11の日にこういった形で震災があったわけですけども、僕らはお客さんへサービスをやっているもんですから、自分たちのサーバーがちゃんと生きているかというのを確認した上で、ライフライン上で極めて重要な情報である道路の情報、この情報を公開しようということで取り組んだ内容です。
72時間、これが非常に大事な時間ですので、できるだけ早くこういった情報を出す必要があるということで取り組んだ内容なんですけども、このときにものすごく良かったなと思っているのが、ここにありますように、KMZのフォーマットで公開をしたことであります。
僕と一緒にやっている中堅のエンジニアのノガワくんっているんですけど、彼が「今井さん、今回はあまりにもひどいから、KMZファイルでやらしてくれ」って僕に言って来たんですね。で、これがものすごくよかったんですが、僕30秒から1分くらいずっと悩んだんですけども。
それは何故かというと、KMZファイルで公開するということはどういうことかというと、個人情報がない形なんですが、会員が走行したデータそのものが世界中に公開されてしまうということであります。今までは会員だけで情報を共有していたわけですけども、「これをやってもいいのかな」と一瞬悩んだんですけども、やろうということで即断してやったものです。
作業に入って翌朝データができたもんですから、その情報を使ってくださいというかたちで経済産業省とか国交省とか、さまざまな研究機関の方ですね、それからお世話になっている大学の先生たちにも「このデータ使ってください」というかたちで、土曜日全部データを公開しました。自衛隊の方も使ってくれたりというかたちで、使われたものでございます。
その時の震災後のデータを可視化してありますので、ご覧ください。
<映像開始>
今井:(映像を見ながら)これはその道の先頭を走った車がハイライトされています。見ていただきますと分かりますように、沿岸部の道路は一切走った形跡はない。ただ、見ていただくと、北上川の橋が崩れてなかったんですね。
これを見て、自衛隊の人たちや被災地にすぐ行かないといけない人は、北上川の橋が壊れていないから、そこから陸前高田に入れるんだとか、そういったことが分かったというものでございます。
<映像終了>
今井:数日後なんですけども、経済産業省の一室に集まって、このデータをもっと大きくしようよということで、3月19日からはこの(ホンダ、パイオニア、トヨタ、日産の)4社のデータを合わせたかたちで公開しております。
それから4月6日からは「官」も。これ実は見ていただくと分かるんですが、左側の絵を見ていただくと、まったく青い線がないですけども、道路が崩れているのか、それとも本当にテレマティクスの車両が行ってないだけなのかというのが分からないですね。
道路管理者は現場に行くもんですから、その情報を上げてほしいという話を、実は前からしていたんですけども、国交省のある人がですね「これを上げなさい」ということで号令をかけていただいて、そして道路管理者のデータがこういったかたちで公開されました。これがまさに、今の官民のオープンデータの先駆けになった事例でございます。
今年(2014年)2月も豪雪がありました。このときも翌朝、月曜の朝ですね、皆に集まってもらって、この情報を公開しようというかたちで山梨豪雪道路通行実績情報を公開しております。
あれ(東日本大震災)から3年経ったもんですから、実は我々も進化しまして、自動的にこのデータをつくることができるようになっています。しかも、雪に閉じ込められている人もいますから、できるだけリアルタイムの情報をスマホで分かるようにしようということで、ツークリックでこの左のページにありますように、分かるようにしております。
Facebookさんの公式ページでもばーっと出してくれて、このようなコメントを頂いて、数日のうちに137万ページビューがあったものでございます。山梨県の人たちも「非常に助かります」「シェアさせていただきます」というコメントをいただきました。
今井:実はこれ、山梨豪雪のときに東名(高速)の状況がどうだったかっていうのを可視化しています。ぐるぐるぐるって回っているところが見えると思います。これは脱出を試みて、結局脱出できないという状況です。赤で止まっているところが東名です、まったく動かないという状況であったと。
こういうことにならないように、事前に情報をどう伝えていくかが大事だということで、今色々研究に入っているところでございます。「次に備える、救える命を救う取り組み」ということをひとつ話をさせていただきます。
石巻の松原地区、これは女川のほうから石巻に帰ってくる道路なんですけども、11kmもの渋滞があって、そこに津波が襲って200人もの人が亡くなっています。14万台もの車が流されましたし、2万人弱の人が行方不明、もしくはなくなっているわけですけども、そのうちの6%が車の中だったということで、これを何とかしないといけない。
落ち着いてから、私も当時の状況がどうであったか、これは石巻の状況なんですけども、それを再現をしてみました。石巻に行ったことある人もいらっしゃると思いますけども、日和山公園で地震にあった人が、(標高の低いほうへ)下りなければ良かったんですけども、やっぱり街の中心がこちら側(海側)にあるということで、下りてしまったんですね。
そこで数百メートル進むのに1時間近く、大渋滞でかかっていた。そこのあと、軌跡がくるくるくる、ぽっと飛んでいた。私どもはこのデータしか持っていないもんですから、このデータからどういう状況だったかっていうのがよく分からない。そこでデータホルダーが集まりました。
Googleさん、Twitter Japanさんの声掛けで始まったビッグデータワークショップ、当時のデータを持ち寄って、次につながることをやっていこうということで、オープンデータのワークショップを行っています。
ゼンリンの高野さんは携帯からのデータで、メディアの方々は放送で獲得したデジタルデータ、このデータを公開してワークショップをやりました。
一例として、首都大学東京の渡邊先生、要するにメディアだとか通行実績もなければですね、携帯の情報もない、人が住んでるにもかかわらず黒いところがありますけども、ここは情報のやりとりがまったくできなくてですね、支援をいち早く必要としているところなんじゃないかということが分かる、という内容でございます。
私共もですね、ご存知の方もいらっしゃると思いますけども、NHKの『震災ビッグデータ』、この取材に3篇ともずっと協力してまいりました。
このNHKスペシャルのディレクター、アベさんという非常に熱いディレクターがいらっしゃるんですけども、取材を進めていくうちに石巻のあの方がどういう状況だったか映像から探してみるということで、番組製作しているときに電話がかかってきたんですけども、秋なんですけども、11月に。「今井さん、あの人、生きてましたよ」って言ってくれたんですね。
要するに、津波が襲ってきたから、車を捨てて逃げたということだったんです。ものすごく嬉しかったですね。
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