2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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吉田浩一郎氏:皆さん、こんにちは! 午前中に孫さんの講演を見ておりまして、先ほどリハーサルで孫さんの話し方を意識して、少し間を置いてしゃべってみたら……「硬い」と(笑)。「吉田さん流でしゃべったほうがいい」と社員に言われまして、自分流に精一杯お話しさせていただこうと思うので、若干緊張しておりますが、ぜひ皆さんに応援をいただければと思います。
ということで、「クラウドソーシングでビジネスはこう変わる」をテーマに40分ほどお話しさせていただきます。午前中の孫さんの基調講演で「クラウドのデバイスによって、これからワークスタイルの革新を迎える」という話がございました。
そういった意味では、孫さん、あるいはソフトバンクはデバイス、情報機器のほうから確信を持ってワークスタイルを変えていこうと(されている)。我々は、「インターネット」と「人」の力でワークスタイルを変えよう、と。それによって、企業とその経営、そして個人の働き方に革新を迎えたい、という話をさせていただきます。
ひとつの整理、クラウドソーシングの大前提として20世紀と21世紀の産業構造の変化が挙げられます。20世紀はこういった形(ピラミッド構造)で、紙で情報管理をしていました。インターネットがない時代ですね。ですので、上に行くほど紙が集まり、情報が集まっていた。紙によって管理することができた。
例えば、営業マンは日報を出します。営業部長は皆さんの日報を持っています。営業部長だけが皆さんの日報を見ることができたということですね。あるいは私の地元でいくと、隣町のお祭りの情報のようなものでさえ、行政が情報を集めた回覧板や掲示板を見ないとわからなかった。
それが、インターネットによって今はどうなっているか。当然のようにクラウドに日報が上がって、瞬時に誰もが見えるようになっています。あるいは、そういった隣町の情報もホームページやツイッター、フェイスブックなどで簡単に見ることができます。
そういった意味では産業構造がインターネットによってフラットになってきていて、これからお話しするいくつかの事例の中でわかるのは、企業や国家よりもむしろ個人のほうが情報を集めることが速く、クイックに動いていく。相対的に見て個人の地位が上がってるんですね。
ですので、これからの企業経営においては、インターネットによって見える個人のリソースをいかに活用するかというところが、ひとつの大きな視点になっていくかと思います。
実際に、このようなチュニジアのジャスミン革命というものもありました。チュニジアはデモ禁止、外出禁止という形でやっていたのですが、ビジネスはありますからインターネットは残していました。そういう中で国民は、フェイスブックやウィキリークスを使って国家の現状(についての議論)であるとか、デモの待ち合わせをしたんですね。
ところが、インターネットがなかった時代に外出禁止になったらどうなるか。想像してみるとすぐわかりますよね。電話線くらいしかない。国内の電話線であれば国家が傍受できるかもしれない。傍受できなかったとしても、電話は1対1ですから、何万人がデモの待ち合わせをするためには膨大な時間がかかったわけです。
ですので、外出禁止はインターネットがなかった時代には意味があったんですが、現在は国家がそのような形で押さえつけようとも、結局インターネットによって個人と個人が繋がって、個人のパワーが国家を揺るがすということが起きています。
グーグルさんやアマゾンさんが出てくる事例では、まさに……これはアマゾンの事例で国会で問題になっていますが、宅急便(荷物)を日本の国土において届けているにもかかわらず、アメリカのほうに納税されているということが起きています。これも、20世紀ではなかったわけですね。
例えば、こういった「モノ」。これをアメリカに持っていこうとすると、港か空港を通るしかありませんでした。そうすると、港や空港は国が管理できますので、税関でちゃんと税金を管理することができる。
しかしながら、今インターネットでアメリカのサイトにアクセスしているといっても、インターネットではパスポートは要求されませんよね。実はこのような形で、企業が条件によって国を選ぶということが起きています。インターネットで本を買うとアメリカに納税されて、同じ場所のキヨスクで本を買うと、同じ場所なのに日本に納税される。ということで、企業が国家を選択するという事象が起きています。
さらに今出てきている事例が、この「Airbnb」と「Uber」という会社です。皆さんも聞いたことがあるかもしれません。これは、もはや国家や企業の力を使わなくても、個人と個人が情報をダイレクトにマッチさせればいいじゃないかというようなビジネスです。
Airbnbは、皆さんがお持ちのソファや部屋、家そのものを世界中の誰かに1泊単位で貸せるサービスです。今年間1000万泊を超えて、私の周りではほとんど海外出張はAirbnbでやってます。そうすると、もともと空いている自分の部屋を貸すわけですから、従来のホテルの金額の2分の1~3分の1で、(ランクが)2倍~3倍の部屋に泊まることができるわけですね。
Uberは日本にも上陸して、日本ではまだ限定的なのですが、アメリカではuberXというサービスがあります。これは、皆さんの個人の車がいつでもタクシーとして動くと。アメリカのほうでは個人の車をタクシー登録するのが比較的容易ですから、iPhoneアプリで「いまavailable(空いている)だ」というと、近くの乗りたい人とGPSでマッチングをして、「乗車」と押す。そしたら、iPhoneアプリにはGPSがありますからそのままタクシーメーターになり、「降車」とやると決済もついてくる。つまり、タクシーメーターが一切なくてもタクシーになってしまう。
ただ考えてみると、これも自分の身近ではよくやっていたことなんですね。例えば、大学時代に地元の友達が来たから「リビングに泊まっていきなよ」と。あるいは、私の地元で終電に乗って帰ったときに駅から帰る方法がない。で、友達が車で来るから「一緒に乗ってく?」と。そういったシェアする感覚というのは、友達同士ではできています。
なんでかっていうと、友達同士では「空いている」という情報をダイレクトにやり取りできるからですね。それがインターネットによって、友達じゃなくてもそういった空き枠をシェアすることができるようになっている。
これはアメリカのほうではシェアリング・エコノミーというふうに呼ばれていて、NHK『クローズアップ現代』でも取り上げられたひとつの大きな流れ、21世紀でもっとも期待されている大きな流れです。今、Airbnbは未上場にもかかわらず時価総額が1兆円。そしてUberは1兆8000億円という企業の価値になっています。大きな期待が寄せられています。
そういった意味では、Airbnbは「部屋の空き枠」、Uberは「車の空き枠」、そして我々クラウドワークスは「個人のスキルの空き枠」をシェアするサービスなんですね。今、受注者が19万人います。今日までに20万人に届けばよかったんですけど(笑)、ちょっと届いてなくて。このオンラインにブワーッといるいろんな人に対して、企業が自由にアクセスできる世の中が、実現しようとしています。
先ほど孫さんのお話にあったクラウド(Cloud)というのは、雲のほうですね。それに対して、クラウドソーシングのクラウド(Crowd)は、群衆という意味です。群衆に対してアウトソーシングできるという意味の造語で、例えば皆さんの身近なものですとウィキペディア。ああいったものが、ひとつのクラウドソーシングの典型だと言われています。
アベノミクスになぞらえまして、企業は人材調達の第三の矢を手に入れるというふうに、ここで宣言させていただきたいと思います。見たまんまなんですが、不動産はもともと購入をしていたと。しかしながら、購入してもその中のスペースを常に100%稼働させることはなかなか難しい。じゃあこの空き枠だけ1ヶ月単位で貸そうというのが、賃貸です。
そこに対して今「時間貸し」という概念が生まれて、例えば漫画喫茶、コワーキングスペース、あるいはカラオケ、貸し会議室なんてビジネスもあります。こういったものは不動産の従量課金、「使った分だけ払ってね」というものですね。さらにサーバーも、昔は1回1回ホームページを作るために買っていました。それがレンタルサーバーということで月貸しになり、今はクラウドで1分単位、1時間単位で使った分だけサーバーの値段を払うという形になってます。
そして、いよいよ人材・アイデア・技術の時代が来ました。正社員が(占めていたところに)、38年前に派遣という概念が生まれてきた。38年かけて、派遣市場は4兆円から6兆円というふうに成長しています。その派遣市場から、さらに今クラウドソーシングということで、分単位・時間単位で使った分だけ企業がお金を払うという時代が来ています。
派遣社員の時代も「それは正社員をなくすんじゃないか」とか、そのような議論がありましたが、今は皆さん、企業経営において正社員と派遣を使い分けています。それと同じように、ここから10年20年かけて、正社員と派遣社員とクラウドソーシングを使い分けるという企業経営の時代が始まると考えています。
実際にこのクラウドソーシングが企業経営にもたらすメリットは2つあります。ひとつは「圧倒的なコストダウン」、もうひとつが「オープンイノベーション」です。特に、圧倒的なコストダウンに関しては、人材のマッチングを最短15分でしているという実績がございます。
私自身ベンチャーのまっただ中で秘書がいないんですが、「明日までにちょっとやらなきゃいけない、でも社内のデザイナーに頼むほどじゃないな」というような画像加工とかそういった処理は、クラウドワークスに投げると本当に2~3時間くらい、2000~3000円で誰かが作業をやってくれるということがよくあります。
そもそも新卒採用になると、人材調達に1年半かかります。転職だと2ヶ月~3ヶ月、派遣でも短くて1ヶ月ですね。それが、最短15分で人材を手に入れることができる。これはもう、企業にとって革新だというふうに考えています。そして安いです。
企業ですとやはり、営業がいて制作者がいて管理がいてという組織がありますから、例えば「iPhoneアプリを10万円で作ってください」というものは、企業はなかなか受けてくれません。最低100万円はほしいというところだってあると思います。
ところがオンラインにいる個人だと、先ほどの部屋の空き枠と一緒で「そもそも来週は空いている、仕事がない」というエンジニアに力を借りることができるので、非常に格安でできるんですね。実際にiPhoneアプリでいうと、一番安いところで5万円とか10万円で発注、制作された実績がございます。
そして、最後に質が高いです。これはちょっと説明が必要です。確かにオンラインの個人というのはピンからキリまでウワーッといるような状況なのですが、ひとつ重要なのは、オンラインなので小さな単位で発注できるということですね。従来の外注は相見積もりをして稟議をして、1社に決めたらこの1社にずっと発注をするという形でした。
ここでよくあるのは、私ももう10年以上こういった受託の世界に関わっているのですが、「あれ? 発注してみたら以前言ってた人と違う人が出てきた」とか「思ってたものと違うな」みたいなことを思いながら、「発注しちゃったし最後までやんなきゃ」ということがあるのですが、オンラインは個人ですので、例えば「1日だけ働いてください」、あるいは「企画書だけ作ってください」「ガワのデザインだけ作ってください」といったものを5000円とか1万円、2万円の単位で複数の人に発注できるんですね。
よく使っている大企業さんは、例えばひとつの同じ仕事を5000円で10人に発注して、5万円かかりますけどもその中でいい人がいたら、その人に継続して追加の発注をする。そのように、期待値のコントロールを絶対に間違えない形で発注することができます。
そして、オープンイノベーションですね。これはあとで詳しく語りますが、アメリカのほうでは10年以上前からクラウドソーシングを使ってのオープンイノベーションが始まっています。そういう意味では、R&D(技術開発分野)で課題解決する。また、商品企画でどんな商品がいいか。あるいは、ユーザーの共感によるマーケティング。そういった流れがございます。
第一のコストダウンのほうなんですが、スライドを見てください。左と右を比べていただきたいんですが、今まで発注いただいたクライアントさん……経済産業省さん、ソニーさん、伊藤忠さん、富士フイルムさん、ヤマハさん、こういった企業が8万円・6万円・5万円ということでめちゃくちゃ安い、今までの外注では考えられない価格でいろんなものを気軽に外注してるんですね。
大企業の方はすぐピンと来ると思うんですが、この金額は課長や主任クラス個人の月の決済の中で、十分発注できる額なんです。こうなると何が起きるか。10万円という中で、どんどん新規事業や新しいサイトや新しいアプリ、新しいサービス、そういったものを作って試すことができる。ですので、クラウドソーシングは大企業の現場の機動力を持った経営に必ず貢献できるというふうに思っています。
実際に、経済産業省さんが個人の力を活用したということで、結局発注したのは神戸の在宅のデザイナーでした。納品まで、経済産業省さんは1回も顔を合わすことなく終えています。これは、オンラインの人材調達の革命だと思っています。
さらに、今年に入って外務省さん、国土交通省さん、そして先週は総務省さんにも発注していただいています。政府4省が、このような形で個人の力を使っているという。国内のクラウドソーシングでは、我々1社だけですね。そういった意味で、政府も個人の力を活用することで、積極的に経済を活性化させようと考えています。
あるいは、このような形で京都府、宮崎県、大阪市といったところがどんどんいろんな形で、数万円単位で気軽にものづくりをやっています。特に左上の京都府は、公式キャラクター「まゆまろ」のデザインパターンのバリエーションがほしいということで、デザインコンテストをやっています。こういった、バリエーションを作るだとかいろんなアイデアがほしい(という案件)。これは、クラウドソーシングに非常に向いています。
そして、ソニーさんの在宅ワーカーの活用事例も日経新聞に特集されたり、自動車メーカーの広告のクリエイティブ制作なんかも、こんな形で自由にアイデアをもらうことができています。
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