2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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吉田浩一郎氏:今までは企業経営のお話をさせていただいたんですが、一方でクラウドソーシングには個人の働き方を変えるという要素もあると思っています。
実際に、このような形で約8割が東京以外で受注しているんですね。私自身、神戸の生まれなんですが、神戸にいながら東京の仕事ができる。あるいは世界中の仕事ができる。そういうプラットフォームが始まっています。
そのプラットフォームを使って地域活性化ができるということで、ベンチャーとしては非常に異例なんですが、岐阜県と提携をしています。東京の仕事が岐阜にいるままでできるというプロジェクトを進めていたり、あるいは福島県南相馬市と提携をして、震災復興で、我々がワンストップで、教育プログラムから一定の要件を満たしたら仕事の発注をする、という流れまで進めています。
そして、今週発表したアンバサダー制度ですね。個人であっても、NPO団体などであっても我々が提携させていただいて、地域の活性化のエバンジェリスト(伝道者)、アンバサダーとして広めていただく。宮城県仙台市を皮切りにして今スタートしています。
そして日本だけではなく、このような形で……ちょっと驚きなんですけど、現状日本語のサイトなんです。英語はないんですけど、それでも会員登録が今108ヶ国に広がってまして、左上の米国・中国・ベトナムといった国々から、右下のブータン・ケニア・モルディブといったところまで、まさにリゾート地で時間と場所にとらわれず働くような人が生まれている。そういうことがここに出ています。
シニアにも大きな影響を及ぼしています。(ユーザーの)最高年齢が85歳。これは調べたときに非常に驚いて。我々はシニアに向けて明確なプロモーションをやってたわけじゃないんですけども、85歳の方がクラウドワークスに自分で登録してお仕事をしてるんですね。これは非常に驚きました。
そしてシニア層の3分の1、もちろん回答いただいた方なんで、少し意識の高い方であることは間違いないんですが、それでもその3分の1がクラウドワークスを利用して在宅で月々20万円以上稼いでいる、というふうにお答えいただいてます。年金+αで考えると、結構いい収入源になるんじゃないでしょうか。
クラウドワークスの2年目のアンケートで、赤いところですね、91%の方々がクラウドソーシングによって働く機会が広がったと答えていただいているんです。若者や女性、シニア、フリーランス、そういった方々に対して新しい機会を提供できればと思っています。
今お話しさせていただいたように、クラウドワークスは日本全国の300万社の企業に新しい人材調達のあり方を……「エンジニアがちょっといない」「ホームページを作れる人がいない」「デザインを起こせる人がいない」「年末の年賀状どうしよう」……そういったものをすべて、オンラインで簡単に1000円単位、1万円単位で調達できるという企業の革新をもたらします。そして、1億2000万人の国民に対して新しい働き方、新しい収入源を提供するという可能性を秘めてるわけですね。
そのときは20代で私も非常に若くて、正直なところ上場をひとつの目的、目標にして一生懸命頑張ってみたんですね。そうしたら、上場した後「この後、俺はどうしたらいいんだろう」と止まってしまって。そこから会社がどうなったかというと、実際出ている事実なのであれなんですが、赤字決算、下方修正、そしてリストラと。新卒内定取り消しまでやりました。
特に新卒内定取り消しは、私自身が内定を出した人に半年後取り消しをして……学生さんから電話がかかってきて、正直電話に出れませんでした。自分自身が一生懸命やってたものが、自分の考えが浅はかなばかりに人に迷惑をかけてしまった。今、本当に正社員を厳選しているのには、そのときの背景、経験があります。
実際にそのおかげで、創業から2年半経ってますが、社員の退社は子育てをきっかけに辞めた1人だけです。非常に雰囲気良く経営できています。本当に、そのときの学生さんには申し訳ないなと思います。
一方で、ドリコムで上場させていただいたので、社会的にも認知され信頼が付いて、その機会をいただいた内藤さんには大きな感謝を申し上げたいです。今、内藤さんはそこからサバイブしてどんどん会社を成長させています。すばらしい経営者だと思ってます。内藤さんにいただいた機会によって、私はIT業界にチャレンジする権利をもらったと考えて、2回目、自分が社長で起業しました。
例えばお恥ずかしい話なんですが、アパレル事業なんかに手を出したりして。私の経験では、半導体業界とインターネット業界なのでアパレルの経験はまったくなかったんですよ。そういったものに手を出したり、あるいは雑貨の輸入とかやってみたり、本当に紆余曲折がありました。ただ、もともと営業力はあったのでお金は多少儲かったんですが、まったく事業が作れない。
そういった中で3年間経って、いつしかアパレル事業に1億円くらいの赤字を突っ込んでたんですね。これは起業家によくありがちなサンクコスト(埋没費用)というやつなんですが、そこまで突っ込むと戻るに戻れないと。損切りするわけにもいかない。そういう形で3年経って、止まってしまっている中で、役員が取引先を持って出て行ったんですね。
これは本当につらくて、ドリコムのときの経験を活かして何とかやるぞと決めてたんですが、取引先を持って出て行ったと。しかも、信頼していた役員だったんですが、半年前から独立を準備していて、着々とクライアントと連絡を取り合って引き離しにかかっていた。その役員が抜けたことで、もう一人の役員も「私もちょっと疲れたので休んでいいですか」と。2010年の年末、明確に覚えてるんですが、私は36歳でひとりぼっちになりました。
それは、ある上場企業からのお歳暮でした。本当に孤独だったのでめちゃくちゃ嬉しくて、その企業が「あのときの取引ありがとう」ということで気持ちを届けてくれたんだと、私は受け止めたんですね。もの自体は数千円のクッキーとかそういうものなんですけど、本当に嬉しくて。
そのときに、自分の人生をいろいろ振り返って「何のために働いてるんだろう」と考えたときに、1回目は上場というもの、名誉を目指していたところがちょっとあったと思います。そして2回目のチャレンジは、お金の恐怖でいつしかお金お金になっていて、夢がなくなってしまってたんですね。で、お金を追ってみたと。結局、自分自身に残ったのは、お歳暮でいただいた人からの「ありがとう」。これが一番嬉しかった。
そう考えたときに、働くっていうのは名誉やお金というものの関係なしに、人のために役に立って、人からありがとうと言われる、そのことそのものが一番嬉しいんだなと感じて。
そこから、自分自身が役に立てる分野……私は法人の営業だったので、法人営業分野×インターネットで一番役に立てる大きな夢を描こうと、投資家さんをまわってクラウドソーシングというものを一緒に作って、車も売って、自分の貯金が2500万円あったのを全部出してクラウドワークスに突っ込んで。不退転の覚悟で、独り身になってもう一回やったんですね。
そうしたら、皆さんがどんどん手伝ってくれて、先ほどのように出資もいただいて、35,000社にご利用いただいている。
そのときの気持ちを忘れないように、私は働くことを通して人々の共感を主体とした経済を作っていきたいんですね。具体的にはお礼状やお歳暮の文化、あれは非常に嬉しかったので、お金だけがクラウドソーシングでやり取りされるんじゃなくて、人の気持ちが届くようなプラットフォームにしたいということで、「ありがとうボタン」を作っています。
このありがとうボタンは、まさに日本のお歳暮の文化の考え方ですね。思ったより早かったとか、良い提案くれたとか、良い提案くれたけど採用できなかったごめん、というときにボタンを押すと「○○さんからありがとうが届きました」と気持ちが届くんですね。これは年間80万回【スライドでは「現在80万回突破」という表記なので正しくは累計80万回? 00:39:52】押されています。そして何よりいいのは、ありがとうが825回言われたということで、貯まっていくんですね。
従来、なぜ個人が信用されなかったか。企業は登記簿があります。帝国データバンクのような与信の制度があります。上場企業もあります。そういった、企業の与信を担保する客観的な指標があったわけです。ところが、個人は今までなかった。それを今、我々は作ってます。個人の信頼を作るプラットフォームなんですね。
(受注実績)176件、5段階評価で評価4.9。この人には企業から毎日お仕事が殺到しています。企業は個人と対等になって、個人も仕事を選べる。そして価格も安定するという未来が待っています。こういった形でありがとうを825回も言われていたら、声をかける前に「この人は誠実な人なんだな」とわかる。個人の気持ち・態度・信頼、そういったものをインターネットで見えるようなプラットフォームにしていきたいと思っています。
これは、2周年記念でオンラインのユーザーさんにワーッと集まっていただいて……2周年ですから、ひとりぼっちのときから2年ですね。39歳の誕生日を越えたくらいです。このような形で集まっていただいて、この人たちから「新しいチャンスをくれてありがとう」「これで時間と場所にとらわれず働けるよ」とか、あるいは「退職して1人で地元の起業をまわっても全然仕事が取れなかったんだけど、クラウドソーシングであれば信頼が貯まっていくし、お仕事が取れました」というシニアの人まで、本当にありがとうと言っていただいたんですね。
私自身、あのときにすべてを捨ててチャレンジして本当によかったと思ってます。そして、これからも働くことを通して人々に笑顔をもたらしていきたいと思ってます。孫さんは孫さんのやり方で日本を元気にしていこうとおっしゃっていました。私はこのクラウドワークスを通して、日本を元気にしていきたいと思います。よろしくお願いします。
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