GSでは年100億稼げない

西山:すみません、井上さん。先ほど自己紹介のときもお話しいただいたと思うんですけれども、やっぱりゴールドマン・サックスを辞められて起業するというのがすごい、私らは全然想像できないので、その辺、もう少し深くお話し願いたいんですが。

井上:きれいごととかを抜くと、多分ゴールドマンに限らず、そういうインベストメントバンクとか、いわゆるファンドというところで、億は稼げると思うんですよ。ただ、100億稼げる世界じゃないですよ。端的にいうと、要は、そういうオーダーで稼ぎたいなと思っていた。

それは何でかというと、100億あって何かヨット買いたいとかそういう話じゃなくて。僕はもともと宇宙物理学をやっていたんですが、JAXA(ジャクサ)というのは、NASAより人も金も10分の1以下です。そういうところで金さえあれば、一気に世界を取れるというときに、「じゃ、この金でやれ」というような、そういうふうなことをやってみたいなというのがどこかにあるんですね。

宇宙だと恐らくオーダーがもう一個大きいので難しいんですけれども、そうでなくても、100とか200(億)とかあれば、結構なサイエンスの分野で一気にグローバルが取れるところというのが結構あると思うんですよ。

大学院のころ、カルテック(カリフォルニア工科大学)に行ったんです。やっぱりああいうところというのはインテルの社長とかがバカッと金を入れて、それでグローバルを取りにいくようなこと、また研究施設を寄附するとかそういうのがあるんですが、日本というのはそういうものはないですね。そういうことが出来るようなことをやってみたいな、というのが一番ですね。

西山:皆さんのお話を伺っていて、皆さんそれぞれやられているビジネスモデルは全然バラバラだと思うんですけれども、根本的に、リスクを取ってやられているところというのは、実現したい、世界観とか原体験に基づく社会課題を解決したいというような想い、そういうところが一番エネルギーになって、スタートしたきっかけになってるのかなという印象を受けました。

私も、日ごろからベンチャーさんとお話させていただく機会が多いんですけれども、やっぱり感じるのが、ビジョンがなく、ただ儲かりそうだからやっているという方よりも、しっかり明確なビジョンを持っている方のほうが、事業にコミットもされているように見えますし、かつ共感がすごい得やすい。なので、どんどん仲間が集まってくるという印象を持っています。

アクセラレータの選び方

西山:では、次の設問のところで、いろいろアクセラレータ・プログラムがある中で、なぜ、そこを選ばれたのかをご質問したいと思うんですけれども。ぶっちゃけ、KDDIさんもドコモさんも、MOVIDAさんもサムライさんも、色々その他もあると思います。

この4社で複数応募された方、壇上のなかにいらっしゃいますか? おっ、早いですね(笑)。ちょっと触れていいのかどうかわからないですけど、ぶっ込んでみたいと思います。じゃ、新條さん、アクセラレータの方もいらっしゃるので、言える範囲で結構です。Mですか? Dですか? Kですか?

新條:Mですね。

西山:Mさん。Mさんとサムライさんということで。サムライさんを選ばれたのは何か理由が。

新條:落ちましたね、Mさんは。通らなかったですね(笑)。

西山:なるほど。例えばですけれども、別に意地悪な質問じゃないんですが、じゃあ、MさんもKさんも全て受かったとした場合、どうされますか。今のところを含めて、どこに行きますか、ぶっちゃけ(笑)。

新條:じゃあ、本音から言うと、アクセラレータを入れるか入れないかの議論というのは絶対必要だなと思っていて、ただ僕の場合、本当にベンチャー2年目でそれこそ貯金もなくて、経営とかスタートアップという中での筋肉の使い方が全くわからないで、という意味だと、やっぱりサムライですよね。

西山:はい。皆さん、拍手をお願いします。これは、(サムライインキュベートの)玉木さんがいらっしゃるので、サムライさんからすると、ドットライフさんの企業価値が3倍ぐらい上がったんじゃないですかね。追加出資をぜひお願いしようと。なぜ、サムライさんを選ばれましたか。

新條:どこに基準を置くかとか、物差しを持つかというのがすごく大事だなと思っていて、よく、会社で「誰と働くかが大事だよ」とかと言うのと同じかなと思っています。

やっぱり榊原さん(サムライインキュベート代表)とかのように、世界を本当に何とかとか、実際に住んでしまうとか、その規模で物事を言っている人じゃないですか。それに対し、週次でメンタリングして、自分だけがもがいていることの小ささであったり、何を目指しているというところは、やっぱり何を物差しに持つかというのがすごく大事だなという意味で、サムライは描く世界の大きさを否定しないし、それに対してすごくピュアにやらせてくれるなというのは嬉しいなと思いますね。

投資家を探している時間がもったいなかった

西山:すばらしいですね。じゃ、逆に渡辺さんなんかは、ニュースアプリをつくられていて、どちらかというとCVC、KDDIさんとかドコモさんとかのほうが親和性があるんじゃないかなと個人的に思ったりする部分もあるんですが、そこではなくMOVIDAさんを選ばれている理由というのは何かあるんですか。

渡辺:我々がちょうど面接を受けに行ったときは、MOVIDAさんも成長中で、オフィスも新しくなって、スタッフもいて、何かすごくスタートアップという雰囲気の中で皆さんと一緒に議論をして、面談と言うよりは、こうしたらいいんじゃないか、ああしたらいいんじゃない、みたいな感じで、評価するというよりかは、もう……。

西山:一緒に切磋琢磨しながら。

渡辺:そうそう。そこですごくいい化学反応みたいなものが起きたというのがあったんですね。そのとき投げたネタというのは、今、生きているんですけれども、ちょっとピボットもしたりしたんですけれども、そういうのがあるというのが一つですね。

もう一つは、単純に時間の問題で、MOVIDAさんが一番最初の申し込みの締め切りで、一番最初に、しかも結構すぐにOKが出たので、我々としては、これを開発してやっていかないといけないのに、何箇所も回って評価受けてというところで何カ月も使うっていうのは嫌で、それで選んだというのはあります。

西山:かといって、別にドコモさんとか、KDDIさんは今回グノシーさんの件があったと思うので、ないと思いますけど、そういうほかとのいろいろコラボレーションも今後はあるんですよね。

渡辺:そうですね。最近はもうプレスにも出しましたけれども、グローバル・ブレインさんから出資を受けまして、その後はそれから先へ、次のシリーズAとかシリーズBとかやっていきますので、どうぞよろしくお願いします。

お金は要らなかったのでKDDIを選んだ

西山:ちょっと私、攻め過ぎですかね。この後、大丈夫かなとちょっと思っていますけれども、気にせずに進めさせていただきます。じゃ、中島さんは、なぜKDDIを選ばれたのか。

中島:それでいうと僕らは、採択=シード投資でないというところがおもしろいなというところで選びましたね。何か乱暴な言い方かもしれないですけれども、既に会社をやっていたこともあって、じゃ、数百万みたいなお金が生活費として必要か、というのは特になかったので、よくそのシェアがどうこうみたいな話とかもあるじゃないですか。

KDDIのプログラムって投資しないんだなというのが分かって、あと、ちょうどタイミングというか時期が合ったというのが大きいですかね。

西山:そうですか。わかりました。お金は必要なかったと。タイミングが合ったと。

中島:今はもう、今後もずっと必要なんですけれども、そのときは必要じゃなかったという。

「ドコモ」というビッグネームのバリュー

西山:わかりました。井上さんは、なぜドコモさんを選ばれたのか?

井上:正直そのタイミングというのはあるんですけれども、10年ぐらい大企業相手に合併とか買収をずっとやってきたんですけれども、やっぱり日本でBのビジネスをやる上で、何かよくわからないベンチャーが来て、一見難しいと思うんですよ、現実には。

西山:はい。

井上:やっぱり何やかんや言って、NTTドコモという名前がちょっとでも入っていると、今まさにいろいろな企業をやっていますけれども、一兆円を超えるような企業が相手でも、全然やっぱり対応が違うわけですよね。

西山:なるほど。

井上:そういったときに、その投資のある・なしという意味でも、結果的にはよかったのかなと思っていて、シェアにしたらエクイティで、ほんの少しなんですけど、それでさえもやっぱりお客さんにとってはすごい安心感が出てくるというところで。

だから別に必ずしもNTTドコモじゃないとだめかというと、そういうわけじゃなくて、やっぱりちゃんとした誰でも知っていてお客様が安心できるような名前のところがサポートしているいうのが、一番大事なのかなというふうに思ったんです。

西山:なるほど。すごいですね。これでも本当にアクセラレータの方が会場にいるから言っているんじゃなくて、多分本心として皆さん、自社が採択されたプログラムを愛されているというか。本当にニーズがマッチしているんでしょうね。すばらしいなと思います。