フォローメディアアプリ「kamerio」

西山直隆(以下、西山):それでは早速、自己紹介と、それぞれどんなビジネスをされているのかについて、3分程度で皆さんお一人ずつ、では、渡辺さんからお願いできますか。

渡辺賢智(以下、渡辺):皆さん、今晩は。白ヤギコーポレーションの渡辺と申します。我々白ヤギコーポレーションは、ニュース、情報キュレーションのアプリをつくっていまして、「Kamelio(カメリオ)」という名前のアプリです。今、iPhoneを持っている方は、ぜひ、いますぐダウンロードしていただきたいんですけれども(笑)。

こちらのアプリはどういうアプリかといいますと、検索とキュレーションを合体させたようなもので、我々はこれをフォローメディアと呼んでいるんですが、自分が気になる情報を最初にフォローとして登録しておくと、その情報に関する最新のものが来るといったようなアプリになっています。ちょっとご覧にいれたいと思います。

渡辺:開くとこんな感じのアプリになっていまして、我々はグノシー(Gunosy)がライバルだったりもするので、グノシーに関する情報だとかソニーとかそういったものを入れているんですけれども、こういうのを自分で登録すると、それに関する情報が集まってくるというふうになっています。

例えばSTAP細胞みたいな、すごい細かいコアなものもあったりするんですけれども、「就職活動」といったすごく曖昧なテーマに関してもフォローができて、それは別に本文に就職活動という内容がなくても、例えばそれが面接に関する話であったりだとか、そういったものを自動的にアルゴリズムで見分けて、これは就職活動に関係あるなというふうにして持ってきます。

ここで設定できるテーマは何と100万以上ありまして、その中から自分の好きなテーマを探して登録します。

それで今、創業者は二人おりまして、私、渡辺と、もう一人、ずっと物理をやってきた、マッドサイエンティストと言われているんですけれども、以前はずっと素粒子の研究をしていて、セルン(CERN)というスイスの研究所でヒッグス粒子を探していた、ヒッグスさん。この間、ノーベル賞を取りましたが、そこの下でものすごく大きなデータを解析していた、すごいやつと一緒にやっています。今日はすごく楽しみにしていました。また皆さんといろいろお話ができるかと思います。よろしくお願いします。

空いてる土地を駐輪場に変える「PEDALRest」

西山:じゃ、中島さん、お願いします。

中島大(以下、中島):今晩は。「自転車創業」の中島と申します。自転車"操業"をしています(笑)。「PEDALRest(ペダレスト)」という、遊休地を転用して駐輪場問題を解決するというサービスをやっています。簡単に自己紹介とサービスの紹介をさせていただきます。

中島:自己紹介なんですけれども、僕は大学を卒業した後に、数社ベンチャーで新規サービス企画みたいなことをやっていまして、実はこの会社の前に会社を一個設立していました。なお、これは今もやっています。

いろいろありまして、去年の9月に「∞Labo(無限ラボ)」から採択を受けて、このとき、もう既にこのアイデアはあったんですけれども、会社をつくって、この前の1月、ちょうどDemoDayのときに、本当に結構ぎりぎりに間に合って、ベータ版をリリースするみたいな感じです。

あとメンバーでは他に、システムのディベロップメントをやっている人間と、もとオプトでCFOをやっていた小林さんという、今は折り畳み自転車を開発している変わったおじさまが外部アドバイザーについています。

中島:ちょっとサービスの紹介をする前に、僕たち、いろいろな原体験がある中で、僕が1社目のスゴロクという会社を始めたときに一番感じたのはお金がないというところです。よくある話ですが、起業をするとお金と時間がないんです。それを解決するものが自転車だなと思いました。三軒茶屋から下北沢が実は近いみたいなところもそうですし。

中島:ただ、その中で僕らが目指しているところは、さっきお伝えしたとおりですけれども、「真っすぐと寄り道をインターネットでもっと楽しく」というのを掲げていて、自転車というのは、真っすぐと寄り道という、本来相反する2つが共存しているというのが、僕らにとっては魅力かなと思っていて、それをインターネットでもっと楽しくできるんじゃないかなというふうに考えています。

中島:ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、今は環境が変化していて、舛添さんが都知事になった最初の就任会見で、自転車専用道路をつくるぞみたいな宣言をされて結構追い風があったりするんですけれども。

中島:一方で、結局そういうふうになっている理由というのがいろいろな問題があるぞと。その中で僕たちとしては、真っすぐと寄り道に最も直結するものがフォーカスできるかなというふうに思っています。ここにいらっしゃる方もこういう経験というのがあるんじゃないかなというふうに思っています。

中島:実際データとしても、駐輪場を利用しない最も多い理由というのは、近くに駐輪場がないからというのがあると。

中島:結局、何でこれが起きているのかというと、既存の駐輪場というのは、実際にそういう会社にヒアリングしたところによると、100台ぐらいのスペースがないとビジネスが回らないんですよね。彼らの場合は、大きい精算機があって、ちゃんとした電磁ロックがあってみたいな形なので点在していると。

僕らはそういうのをもうちょっとライトに全部インターネット上に置くことで、こういうふうに網羅性を保って、課題解決をしていきたいなというふうに考えています。

中島:なので、ビジネスモデルとしては非常にシンプルで、Airbnbの駐輪場版というと非常にわかりやすいかなと思うんですけれども、オーナーさんから土地を提供いただいて、ユーザーさんに利用いただくと。僕ら自身は仲介と決済をやって、あと設備の提供をして対価をいただくというようなことです。

中島:利用は非常に簡単で、ウェブで申し込み、決済までやっちゃうので、あとは駐輪場にとめるだけ、という感じですね。

中島:今、開設の進捗としては、まだ数カ所ぐらいなんですけれども、今度、大規模案件とエリアフォーカス案件みたいな形で、まさにKDDIさんの恩恵を受けて、このビルでやらせてくださいみたいなお話をさせていただいたりとか。あとは、結構地べたをはいつくばって今、渋谷区で写真を撮ってみたいなこととかも結構やったりとかという感じですね。

中島:今だと、月極かつ東京ばかりなんですけれども、1年後ぐらいには時間貸しであったりとか、あとは、3~4年後ぐらいには全国主要都市に展開していきたいなというふうに考えています。一応ざっくりですけれども、こんな感じのサービスをやっています。

一般人版"情熱大陸"でもう一度夢を「another life」

新條隼人(以下、新條):初めまして。ドットライフの新條と申します。よろしくお願いします。

簡単に自己紹介とプロダクトの紹介だけさせていただくんですが、多分この中で一番起業して日が浅くて、前職「ネットプロテクションズ」という決済代行のベンチャーにいて、昨年の12月が最終出社日で、1月23日に登記して、2月の頭にベータ版をリリースして、今みたいな感じなので、本当に最近つくったばかりの会社です。

(スライドに「24歳」という文字)

すごい"年齢押し"みたいなスライドなんですが、ちょっとやっていることと絡めていまして。

西山:押していますね、やっぱり(笑)。

新條:(笑)。そうなんですよ。すごい意味があるなと思っていまして、これは何の年齢かというのをちょっと考えていただきたいなと思っていて。

実は、日本人が夢を諦める平均年齢が24歳といわれていまして、「のどごし生、あなたの夢、叶えますキャンペーン」というので、あれでキリンさんがとったアンケートで、夢を諦めるのが24歳というのが出ていて、ちょうど今、私も24歳なんですけれども、すごく実感値があるなと思っています。

最近すごく増えてきたのが、「月曜会社に行きたくない」とか、「早く結婚しちゃいたい」とか、「なんかいい仕事ない?」ということ。

何かゆとりとか無気力とか言われるんですけれども、昔からそうだったかというと、絶対に違うなと思っていて、バイトだったり部活だったり、何か打ち込めるものがあったときのパワーなり魅力を知っているからこそ、多分これから先のほうが長いのに、打ち込めるものがなくてすごくモヤモヤしている。そんな彼らと一緒にいて、すごいやりきれないなと感じたことがあって。

なので、取り組む課題として、本当に多くの人が抱えるであろうそのやりたいことが見つからないということに対して、少しでも価値を提供したいなというので始めました。

新條:プロダクトをものすごくざっくりお伝えすると、「一日だけ、他の誰かの人生を」というコンセプトで、「another life」というサービスをやっていまして、「会いに行ける、人生体験メディア」というふうにうたっているんですけど。

すごく簡易なイメージでいうと、一般人版の「情熱大陸」みたいな感じで、先ほどのそれこそ24歳以上の情熱を、いろいろなことに情熱を注いでいる方の人生のストーリーに触れることができますと。

インタビューの記事を読むことができて、気になった方について実際に会いに行って、その人の職場でかばん持ちだったり仕事の手伝いをすることができますというのが、サービスの大枠です。

それで、何と中島さんも、3月16日の33歳の誕生日に「another life」に出ていただいて、何でペダレストをやっているかとか、ずっとラッパーみたいなことをされていらしたらしいんですけど、その背景が読めるのは「another life」だけ。一般人の自伝というかエピソードとかって絶対わからないと思うんですけど、すごく関心があることなのかなと思っていて。

それをすることで、自分がやりたいことを掴むきっかけになるというところなんですけれども、大きく分けて3つかなと思っていまして。

そもそもほかの人の人生の話を見ると、否が応でも自分の人生のことを考えるよねというところと、あと、いろいろなサンプルが並んでいて、共感する人、しない人が絶対にいるなと思っていて、自分が何に共感するかということが整理できるよねというところと、あとは、その選択肢にリアリティを持って体験ができるというところが、すごくきっかけにつながるんじゃないかなと思っています。

逆に載せる側の方、受け入れる側の方のメリットのところでいうと、多分フェイスブックとかブログとかで自分語りをしてしまうと、自分がどう見られたいかというのが介在して、ニュートラルに読まれないのかなと思っていて、第三者が書く記事だからこそ、見た人が受けとめやすいですし、実際に体験に参加した人のうち、協業だったり採用につながっているのが6割以上というような感じで、すごいマッチングにつながっています。

最後に大きな話で、何のためにやるかというところ。多分キャリア選択というのは3つぐらいのプロセスに分かれるのかなと思っていて、卒業しかり何かポジティブでもネガティブでもきっかけがあって、何にしようという、自分のベクトルを持つところと、そのベクトルと選択先をマッチングさせるフェーズなのかなと思うんです。

ただ、多くの人が、悩んでいるけど解がないのが真ん中のところかなと思っていて、結果的にその会社に人が合わせに行くような構造になっているのかなと思うので。

イメージ、ここへの解決策を提示することで、潜在化している悩みというのが顕在化した大きな市場にできるんじゃないかなと思っていて、すごくバズメディア的に映るんですが、市場をつくりにいくビジネスとしてやっていきたいなというのが大枠のところです。

新條:なので、やりたいことをやる人生を当たり前にというミッションでやっていますという感じですね。以上です。

スマホの待ち受けを企業メディアに変える「coromo」

井上北斗(以下、井上):coromo(コロモ)の井上と申します。よろしくお願いします。簡単に自己紹介からいきますと、2004年に「ゴールドマン・サックス」という会社に入って10年近く、M&AとかあとITをやっていました。去年独立しまして、今のcoromoという会社をつくりました。

これは何かといいますと、簡単にいうと企業アプリをいま企業側がすごくたくさんつくってますが、誰も使わないという現実があります。ごく一部、マクドナルドとかTSUTAYAしか使われないと。もう数百万もアプリがある中でそういったものをつくり続けても、しようがない。

そういったところで、我々はそれを全部プラットフォーム化して、簡単にhtmlベースで企業メディア、オウンドメディアとして提供できるものをホームスクリーンという形で提供するということをやっています。

それで一発目をあの東京モーターショーでやらせていただいて、トヨタ始めレクサスとか、国内の12の自動車メーカー、それからドコモさんなど皆さんに提供して、会場で情報を流し続ける自分のメディアを持っていただいて、企業の情報配信のためのプラットフォームをやっています。

とにかくグローバルに出て行くようなことをやりたいというのがありまして、実際に東京モーターショーを初めての基点にしたので、海外の自動車メーカーであったりとか、とにかくグローバルを本当にちゃんとやれるという人たちでチームを組んで、別に日本語も英語も関係ないと。海外でやってきて、外人をぶったたけるというような人たちで組んで、今は10人ぐらいでやっています。以上です。

ボスコンを捨てて起業した理由

西山:今、自己紹介をしていただいたんですけれども、本当に皆さん、キャリアがピカピカでして、井上さんなんかは東大を出てゴールドマン・サックス、渡辺さんもMBAホルダーで、ボストンコンサルティングを出られている。すごいピカピカのキャリアだなあというふうに非常に思うんですね。

私ももし東大に行けて、ゴールドマン・サックスに入れたら、正直、リスクを取ってやる勇気はないんじゃないかなと思うんですよね。それでもリスクを取って、キャリアを捨ててやられた、そのきっかけみたいなところというのを、渡辺さんからお願いできますか。なぜ起業したのか。

渡辺:もともと起業したいというのが、すごくちっちゃいころからあって、全てはその過程だったというふうに今になったら思えるんですけれども、ただ、きっかけというのはやっぱりあって、それは大きく二つですね。一つは信頼できるパートナーがいた。いい出会いがあったということはありましたね。

もう一つは、ボスコンで働いているときに、ものすごく生活が忙しくなって、でも、いろいろなことに私は興味があって、それで情報を集めるんですけれども、いつも情報を集めて終わっちゃうというような問題があって。情報を収集することというのはそんなに大変なことだったっけ? という疑問が湧いてたんです。

それに対して、フォローメディアという形でこれは解決できるんじゃないか、これは絶対間違いないというような確信があったということですね。この二つがうまく重なって、それで最後に踏ん切りがついたというような形になると。

西山:もともと起業したいという思いはあって、社会人になられて、そういう2つのことがうまいことピースがはまったと。

渡辺:うん。やっぱり常に網を張っていたみたいなところがあって、ある意味ちょっと出だしが遅かった。私も去年の5月から起業なんですけれども、遅かったんですけれども、やっぱり常にそういう網を張っていたというのはありましたね。

自分の"不便な体験"から生まれたサービス

西山:なるほど、わかりました。じゃ、中島さん。中島さんは、もともと起業されていましたよね。このプログラムに参加される前から起業されていて、今回また違うサービスで応募されたということなんですが、そこのなぜ新しいサービスで始められたのかというところ、視点をちょっと話していただけますか。

中島:会社のときは、別に何か解決したい問題とか解決すべき問題というよりは、ちょうどソーシャルメディアみたいなものが、特にツイッターとかがトレンドになっていて、それでビジネスをするというのが一つ潮流としてあるんじゃないかなというので、単にそれに乗っかった感じでした。

それでやっていることは、いわゆるソーシャルメディアを活用したマーケティング支援みたいなもので、結局クライアントワークのような感じでしたね。それで、よくある話ですけれども、クライアント受託ビジネスをしつつ、また、自社サービスをやりたいみたいなのが。

というのがずっとありつつも、じゃ、一体何をすべきなのかなみたいな、儲かるベースで考えるべきなのかとか、できるベースで考えるべきなのかとかというのをいろいろ模索して、スタートアップウィークエンドとか出たりして、というのが2~3年ぐらい続いていたという形ですね。

その中で、もうちょっといろいろなものを取り払って考えたときに、自分にとって原体験としてあるような問題って何だろうというところを考えたりとか、あと、それが自分個人的なものじゃなくて、より何か社会的に問題になっていることって何だろうと考えたところが、さっき言った自転車というのがあるかなと。

実際、僕が起業したときにお金も時間もなくて、自転車で会社まで行って、アポも自転車で行って、そこいらにアポのときにとめておいて、さあ行こうとすると自転車がなくなっていて、それで取りに行って。撤去費用を払って、その場所もたまたま遠いときだと時間がかかって、全然意味ないなあみたいな(笑)。

これをいろいろな人に話したら、そうだよねみたいなのがあったので、これはやる価値があるなと。僕の原体験として話せるストーリーだったので、というところが大きいですかね。

自分の根源的な欲求からアイディアが生まれる

西山:新條さんのサービスというのは非常に視点がユニークだと思うんですね。違う方の人生を体験できる。そのサービスの視点を持たれたというのは、どういうきっかけなんですか。

新條:雑談でも大丈夫ですか。

西山:全然大丈夫です。

新條:中高とサッカー部だったんですよ。週6とかで練習をして、勉強とかもして、というときに、渋谷のプリクラのメッカってあるじゃないですか。あそこの前で座っている人とかがすごくうらやましかったんですよ。人生が2つあったらああいうふうにしてみたいなと思っていたんですよ。というのは、今自分がやっていることは、多分これから先にめちゃくちゃ意味があるだろうけど、こういうのもちょっといいなと思っていて。

それはすごくエンタメ的な話なんですけれども、「死ぬまでに多分やらないけれども関心があること」というのが絶対あるなと思っていて。主眼はどっちかというと、一歩を踏み出せない人が、転職前提じゃなくてもそれを体験できる、いうのがポイントだと思っていて。そういう、「関心はあるけれども制限されているせいで選べないもの」に対する自分の欲求みたいなものがありましたね。

西山:なるほど。ちなみにサービスを始められて、新條さんが一番体験したい職業というか仕事というのは何だったんですか。

新條:ちょっと宣伝みたいで嫌なんですけれども、今度イスラエルに行ってしまう(サムライインキュベートの)榊原さんはどうしているんだ、というのがすごい気になりますね。1日歩きながらパンとか食って、パン食ったままトイレとか入っちゃうんですよ。

西山:(笑)。

新條:そのレベルでタイトなので、やっぱりすごい見てみたいなと思いますね。