10年間ロボットの産業化に取り組んできた立場から語る

瀬川友史氏:みなさんこんばんは。トーマツベンチャーサポートの活動をしております瀬川と申します。当社は名前の通りベンチャー企業のご支援、それから大企業のイノベーションのご支援、それからロボットやドローンといった新産業の創出の支援、そういったことを活動しているメンバーが集まっている会社です。

実は私は今年転職したばかりなんですが、もともとはとあるシンクタンクにいまして、ちょっと下に堅い肩書きが書いてますけど、日本ロボット学会とか日本ロボット工業会で委員をやっていたり、ずっとロボットという話題にはなるけど、なかなか産業にはならないような難しいところを、しつこく10年ぐらい支援してきました。

今日は他の皆さんとちょっと角度を変えて、ロボットを10年間、かなり苦しみながら産業化に取り組んできた立場から、ドローンについてなんらかコメントできないかなと少しお話させていただきます。

「愛・地球博」から10年

簡単に私の経歴なんですけど、もう10年前になってしまうんですが「愛・地球博」で「プロトタイプロボット展」というのがありました。たぶん愛・地球博に行かれた方がいると思うんですが、ロボット展があったことを覚えている方は、ほとんどいないんじゃないかなと思います。実はその時初めて安全基準とかが日本で作られて、ロボットを実際に万博の会場で使ってみようということを試みられました。

それから10年経って、ドローンはこんなに急速に皆さんの関心を集めて、安全だの問題だの議論できるぐらい皆が関心を持っている。そして使いたくてたまらないから議論になるわけで。

それに比べて10年経って、ロボットってどうなのかな、というのでちょっと今日羨ましいなと思いながら聞いていました。その後社名書いちゃってますけど、シンクタンクにいまして、それで今ベンチャーサポートに入るというような経歴の人間です。

なんでここにいるかなんですけど、ドローンもロボットの一種というふうにロボット界では見ているというか、そういう理解です。左側の写真がロボット革命実現会議という去年、安倍首相が5月のゴールデンウィークに、ロボットで日本は産業創出していきますと発言をしたことがきっかけでてきた会議です。

その第1回、初回にドローンは首相官邸の中を飛びました。ご存知の方もいるかもしれませんけれど。それぐらい象徴といいますか、ロボットの中でも1つ大きな関心を集めていることが2つあって、非常にポテンシャルがあるよねと、期待されてるよねと、なんで日本はもっとここ頑張れないのかなという双方の論点があります。

ロボットを構成する3つの要素とは

なのでこれがロボットの一部ということを、右側に簡単にちょっと書かせていただいています。ロボットはasimoとか、AIBOというような、AIBOはもう昔の話になりましたけれど犬型とか、要するに実態を持った物という皆さんの印象が一番強いと思うんです。

実際にロボット界では、ロボテクやロボットテクノロジーというような言い方をさせていただくことがあります。ロボットを分解しますと、動く、感じる、考える、駆動とセンサーと知能、この3つの要素があればロボットと思うんじゃないかというものです。

実際にお掃除ロボットのルンバみたいなのがあれば、例えば洗濯機とか冷蔵庫がちょっと賢くなったって、それってロボットで研究されていたことが使われていたりするよねとか、自動運転も結構ロボットっぽいよねとか、そんな話もしています。

私がいた研究室も、部屋全体をロボットにしてやろうという、ロボティックルームというのをやってまして。まさにその実態は無いけど、ロボット的に賢く振る舞って、人間を助けていこうというコンセプトでやっていました。そういう観点だと、ドローンって非常にロボットと近いようなかたちになってます。

ロボットとドローンにはさまざまな共通点がある

ではそのロボットについてどんな議論がされているかというと、ロボット新戦略が2014年の1月に出されています。分野横断では司令塔を作りましょうとか、技術開発を続けましょうとかの他に、重要なこととして標準化とか、実証経路の整備をしようというようなことがあります。

ドローンでも筑波に飛行実験のところができましたが、ロボット全般でも同じで、どんどん試していく。新しい機械ですから利用方法を考えたり、問題点を洗い出したり、そういうことをするためにも、どんどん実証実験を行っていったり、標準化できるところはしてルールを整備したり、そのようなことが取り組まれています。

そして分野別のところを見ていただければ、ものづくりとか、サービス、バックヤードというようなコンビニの裏方の物を出し入れしたりとかそういうイメージ、介護とか医療とかインフラ・災害対応・建設、農林水産業・食品。

ここまで読み上げまして、最初、鈴木先生の産業のところを思い出していただきたいんですがかなり論点が被っています。

実際インフラ検査とかですと、例えばトンネルとか橋とかくっついて動き回って検査するんですけど、やっぱりドローンのようなものが飛んで行って検査するのが便利な場合って結構あって。結局ロボットの話をしているようでいて、ドローンはいろんなところで登場していきます。

ドローン産業の成長は期待が持てる

ロボットについては、ロボット系の方の中では有名な予測がこれです。2035年に9.7兆円という産業規模を達成しようと、経済産業省の方で打ち出したものです。しかしサービス分野というのが、5兆円ぐらいというピンクのどぎつい色のところですけど、それが2012年の実績だとたかだか600億円というのが現状です。

まだまだロボットは最初に申し上げた通り、非常に期待をされていますが、残念ながらまだまだ市場化していない。「じゃあこの中でドローンはどうなるの?」って気になった方がいるかもしれません。

この市場予測は2011年、2012年、2010年だったかな? 確かそれぐらいにされました。だからドローンの話というのは織り込まれてないです。ドローン抜きのロボット市場ということで、この予測です。

ドローンは前半の話でもあった通り、非常に産業機会が大きいので、ああいう物こそこういったところを上に押し上げていくようなカーブで産業創出していくんじゃないかと期待が持てるような気がします。

今回ロボット革命構想を、これはちょっと私見になるんですが、「愛知万博頃の再来」と辛口な意見を仰る会社があります。そういう気持ちはわかるんですけど時代は変わっていて、ドローンみたいなものが出てきたのは象徴なんですけど、モーターとか小型のバッテリーとか、技術がだいぶ揃ってきたことと、それからクラウドとかITとか当たり前の話になっている。

昔だとコミニケーションロボット1つ作ってもクラウドと繋がってなくて、自分のメモリーに載せられる程度の振る舞いしかできなかった。それだとすぐに限界がきて飽きてしまったり、効果が出なくなったりしますけど。そういう時代ではなくなってきているので、今回はロボットロボットいつも言ってるなぁとか、10年前も言ってたなぁ、ということでは無いというふうに信じています。