DeNAという会社の特徴

佐俣:お二人ともDeNAさんという会社ですけど、DeNAにいる人間と卒業された人間から見て、どんな会社ですか?

中俣・守屋:う~ん……。

佐俣:だんだん話の抽象度を上げていくんで(笑)。

中俣:なんですかね。卒業した身としては、どんな会社かっていう形を言葉にするのはすごく難しいんですけど、人の集合体なんで「どういう人が多いか」ってほうが良いと思うんですけど。ビジネスのプロフェッショナルの集団だな、と僕はシンプルに思いますね。

誰を捕まえてもだいたい大枠はわかっていて、課題をわかっていて、「今こうです」ってことをほぼ全員が説明可能なんですね。その辺に座ってる誰を捕まえても。

これってすごいなと、僕は外に出ててシンプルに思ってまして、いろんな会社さんとか自分の会社を含めて「ここはもうちょっと自分が入らなきゃいけないな」とか「ここはこうだよね」とマネージしなきゃいけなかったりするんですけど、DeNAはみんなセルフマネージメントしてるというか。自分で問題をキャッチアップするし。

エンジニアとかも普通は「どう教育するか」ですよね。SIerさんなんかはどう(社員を)教育していくかを考えますけど、基本的に最新の技術を勝手にキャッチアップして勝手に勉強してやってるんで、そういう意味ではすごい会社だなと。

佐俣:マネージメント側的にはたまらないですね、それは。ありがたい話ですね(笑)。

中俣:(DeNAを)出て、より一層すごい会社だなと。

佐俣:どうですか? そういう評価を受けて。

守屋:DeNAがどういう会社か……。極めてリーズナブルな会社だと思います。

佐俣:そこでいうリーズナブルって言葉はどういう意味でしょうか。

守屋:意思決定がリーズナブル。一緒に働いているメンバーが非常に魅力的で、客観的な判断で正しいことは正しいと素直に議論できる会社。そこが何よりも魅力かなと思いますね。

佐俣:なるほど。良い会社なんですね(笑)。いろんな方に聞いても……先ほども話題になったんですけど、僕が投資させてもらって応援しているperoliという会社の中川綾太郎さんが、今DeNAグループで一緒にやってて、「本当にすごい会社だ」と言っています。

全員が意思決定の判断がすごくシャープだと。全員優秀ですごい。本当に楽しいと言ってて、こんなに絶賛するんだなと思って(笑)。そうかそうか、みたいな。

中俣:採用を頑張ってますしね。南場さんをはじめ採用へのコミットメントがハンパないですし、人もお金も投資してエントリーマネージメントをしっかりして、変な人を入れない。それが今のDeNAの競争力の源泉な気がしますね。

佐俣:先ほどから本当に人にフォーカスするというか、極論メーカーさんってモノを作ることにフォーカスをして、事業、例えばオーディオに専念するとかってあるじゃないですか。DeNAだと人にフォーカスしていくんですかね。

守屋:私自身もキャリアを選ぶときにすごく重要にしている軸として、「何をやるか」というのも当然大事なんですけど、「誰とやるのか」というのをすごく重要視しているんですね。やっぱりすべての仕事が人と人との関わりあいの中から生まれてきますし、どうせやるんだったらとにかく優秀な人と一緒に世界を獲りたいし、そういう環境がDeNAの中では整ってるかなと思いますね。

仕事とどう接していく?

佐俣:なるほど。ここからはもう少しメタ的な話になっていきます。テーマ的に大きくは「人」とか「働く」とかでお話を伺ってるんですけど、お二人にとって「働く」ってどういうことですか? 一気にテーマがでかくなりました。

守屋:働くとはどういうことか……。ちょっと語弊があるかもしれないですけど、私の場合は「好きなことを通じて、一人でも多くの人をワクワクさせること」かなと思ってます。

佐俣:そういう意味では、今は好きなことをしてるっていう。

守屋:そうですね。

佐俣:中俣さんは。

中俣:うまく説明できないかもしれないですけど、僕はフェーズで変わってきてますね。20代の頃は本当に「力をつける」、仕事とは力をつける道具、ツールであるくらいに思ってたので、どっちかというとそういう哲学でしたね。今は成し遂げたいことがあるので、シンプルに「課題解決のツールである」というふうに変わってきて。

佐俣:課題解決をしたいから、そのために仕事があって、それが「働く」であると。

中俣:そんな感じがしますね。

佐俣:働くって本当に面白いと思ってて、僕も独立して3年弱くらいやってるんですけど、逆にどんどん働くって感覚がなくなってきてて。生活の一部になってるというか。僕はずっと、働くのが呼吸と同一になるまでが勝負だと思ってて、呼吸してれば働いてると思ってるようなのが、働くっていうことになるんじゃないかと。

守屋:働いてる時間が長い人って、みんな趣味の一部だって感じでやってると思うんですよね。

佐俣:僕はいろんな仕事をさせてもらってきて、一番生産性が悪かったときって、自分がやりたくない仕事をやってたときだったんですよ。僕は自分がやりたくないことをやると、現実逃避しちゃってトイレに閉じこもってずっと携帯触ってるので。今ではすごく楽しくて、僕は奥さんも起業家で友達も全員起業家っていう、奇跡のフォーメーションを組んでるので(笑)。

中俣:だらけられないってやつですね?

佐俣:逆にずっとだらけてるというか。お二人と話してるのも遊びに近いというか、とにかく楽しい。自分が好きな人に会い続けてるみたいな。僕の中でいま思うのは、「働く」の定義ってすごく難しくて、みんなどう捉えてるんだろうというのがトピックなんです。

「働く」の概念はどうあるべきか

守屋:仕事をやってて何よりも面白いのは、自分なりの考え・価値観から何か大きな物事を実現したときの快感というか。ソニーのときも、携帯電話向けのスピーカーを作ってそれがグローバルな販路に乗って、世界中の人から購買されて「音いいね」とか言われるっていうのは何よりも代えがたい快感だったし。

DeNAに入ってからもサムスンとの提携を実現したんですけど、それをモバゲーカンファレンスで発表して日本の数百社・数千社というデベロッパーさんたちが「これからは世界に対してゲームを出していける」という感覚を持ったときの躍動感というか。そこが仕事の醍醐味ですね。

やっぱりそういう仕事を任されて、苦労して何とか実現したときに、結果その人自身も成長するし、そこに対してアドバイスをくれた上司たちに対してもものすごくロイヤリティが上がるというか、「ここでいつかリターンとして大きなものをコミットして返していきたいな」っていう思いも生まれたり。すごく良い好循環なのかなと思いますね。

中俣:メタ的ってお話だと、最近思うんですけど、好きなことをやることがはたして「仕事」「働く」ってことなのかとよく考えます。

佐俣:それすごく面白いんですけど、どういうことですか。

中俣:例えばカレーが好きだからカレーライス屋さんをやるって、それはすごく楽しいだろうなと思ってて。これは果たして「働く」なのかと。僕は今、みんながなかなかやりづらい仕事かもしれないですけど、どちらかというとそういう社会の課題を解決する仕事をしてます。

僕はすごく「働いてる」って感覚があるんですね。心から「むっちゃ好きだ」ってわけでもないですし、どちらかというと「やらなきゃいけない」と思ってやってるので、それは働いてるって感覚にすごく近いんですよ。

もし好きなことをやるってなったら、それこそ自分の趣味とか、別の意味でモチベーションの源泉のところにコミットするんですけど、それって「働く」ではないかなと個人的には思ってて。

守屋:それってゼロをプラスにする仕事、例えばエンターテイメントみたいな「映画を見たらより楽しい」って仕事と、マイナス(をゼロに)って表現は正しくないかもしれないけど、何らかの障害を抱えてたりという方々のサポートをすることによって健常者と同様の生活を実現しよう、というような事業との間で、若干違うのかなと思います。

ひとりひとりの中での使命感というのは、どっちの仕事にもあるのかなと思いますけどね。

佐俣:僕、年々快楽主義になってるんですよ。働くのがどんどん楽しいものになっていかないと、自分が死ぬと思ってて。僕は一日中インターネットのこと考えてますし、だいたい夜中の2時くらいまで自分の奥さんと「インターネットとは何か」とか、最近は3時間くらい奥さんと「通貨とは何か」って話をずっとしてて。

我々が我々を為している通貨とは何か、それに紐付く財布、walletとは何かって定義をずっと話してるんですけど、どんどん快楽主義に振れてるんですよね。僕は快楽主義の先に課題解決を作っていくというか、「この先に人類があるべき進化を俺らが早めてやる」くらいの気持ちでやってるんですけど、中俣さんの話が自分にとって新機軸なんですよ。

中俣:なんかそう思いますね。「働く」って考えるべきことなのかって議論もありますけど。普通の営みの延長なんで。でも最近実感はしてますね。昔はそれこそ寝食忘れて「考えてないなんてプロじゃないでしょ、趣味の時間やってる人の意味がわかんない」みたいな。

休日もメールとか「気にならないの?」みたいな感じでしたけど、それにもいろんなステップとかフェーズがあるんだなっていうのが最近すごく感じますね。

守屋:人それぞれの価値観で、とにかく一生懸命やれることを見付けることが大事だと思っていて。

佐俣:僕がすごく面白いと思うのは、守屋さんと中俣さんのように同じ会社にいたりとか大活躍されてる方の中でも、「働く」の概念が違うなっていう。正しい正しくないじゃなくて、お互いにリスペクトを持ってる中で「こういう考えでお互いやります」っていうのが……しかも中俣さんの考えでは変化もしていくんだから、面白いと思います。

中俣:どっちでもいいですけどね。したいことにコミットするか、やるべきことにコミットするか。どっちか見付けられればいいですけど、両方見つからないと結構不幸になりますけど。

どんな人材と働きたいか

佐俣:時間が進んできたので、働くの延長線上で、この動画見てる方とかでこれをきっかけにお二人の会社に興味を持つ人もいると思うんですけど、「こういうやつと働きたい」「ウチに来てくれればこういう楽しさ、人生のやりがいを提供できる」というのを、熱烈にアピールしていただければと。

中俣:こういうやつと働きたい。よく出る質問ですね。僕は昔は割とスペック・能力を見てたんですけども……すごいとんがったところがあるとか、すごいことができるとか。今はどちらかというと、社会の課題を解決したいとか志がむっちゃ高いとか、そういう人にむしろ興味があるので、そういう人と働きたいですね。志が高ければ、スペックとか能力は後からついてくるので。そんな感じですね。

佐俣:そういう人に対して、LITALICOという会社はどういうものを提供できますか? 「ウチに来れば○○ができるぜ!」みたいなことあります?

中俣:ウチは「社会課題を解決しようぜ」っていう、すごくシンプルですね。どちらかというと「それっていくら儲かるの」とか「それってスケールするの」っていう議論は、基本的にはマネージメントとしては考えなきゃいけないですけど、それよりは「どんな社会の不合理を変革できるのか」というところにフォーカスして意思決定をしてるので。

ビジョンに沿って意思決定をしているので、そこに共感してもらえる人にとってはこの上ない会社だと思いますし、そういう意思決定を尊重したいなと思ってるので。

佐俣:ありがとうございます。守屋さんどうですか。

守屋:やっぱり一緒に働きたい人というのは、何かの物事にとにかくエッジが立っていて、好きで、徹底的にがむしゃらに働ける人。それが何であってもよくて、さっきも中俣さんが言ったんですけどDeNAは個の集合体なんですよね。

だからそれがEC事業であってもいいし、ゲーム事業であってもいいし、その他どんな事業でもよいので、とにかくこれを世の中で実現してみたいという強い思いを持ってる人と一緒に働きたいですね。

佐俣:そういう人に対して、ウチに来れば何が提供できるというか、何ができちゃうぜというのは。

守屋:まずは社員に優秀なメンバーがたくさんいますので、アイデアの種を一緒に醸成して、社会に出していけるようなしっかりしたビジネスモデルを一緒に考えていくということ。

あとは先ほども言いましたけれども、リーズナブルな意思決定ですね。年齢とかそういうことは一切関係なく、物事が面白ければ投資もするし、任せるし、グローバルの前提で一気に展開することも可能ですし。そういったフレキシビリティというのは提供できると思います。

佐俣:なるほど。つまり二人とも「ウチに来い」と(笑)。

中俣:DeNAはいいと思いますけどね。挫折を与えられますね。DeNAに来ると、挫折を。「こんなにすごい人いるんだ!」みたいな、井の中の蛙でしたみたいな感じ。

佐俣:むっちゃロジカルに「おりゃ!」って感じで就活して入ったわけじゃないですか。やっぱり挫折したんですか。

中俣:もうポキポキですよ(笑)。

佐俣:(笑)。

守屋:みんなオリャオリャ系が入ってくるんですよ。新卒とかは。

中俣:あんなにメーラーを立ち上げるのが怖い日はなかったくらい。でも、それがあっての今ですからね。

守屋:これ、カットじゃないですか?(笑)

中俣:(笑)。

佐俣:「ポキポキになった」のところに「ピー」って入るかもしれないですね(笑)。

中俣:でも、本当に挫折と抜擢を与えてくれる良い会社だと思います。

佐俣:さっきの話の中で、外から見ると異常な人事というかどんどんビュンビュン動かしていて、中から見ると納得感はあるんですか。

守屋:そんなに違和感はないですね。トップマネージメントから新卒で入ってくるスタッフレベルまで、とにかく人をよく見る会社なんですね。

その人の仕事上での成果だけじゃなくて、「この人はこういう性格だから、こういう仕事を与えてみたら新たな能力向上が見られるんじゃないか」とか、あるいは「今の仕事がいまいちアウトプット出ないんだけれども、いまここで異動させるのは彼の成長のためによくないから、もう1年こういう仕事を与えてみよう」とか、ものすごくバイネームでひとりひとりの成長をよく考える会社なので。

佐俣:なるほど。良い会社なんですね(笑)。

中俣:すごく良い会社だと思います。

佐俣:了解です。そろそろ時間なので、これで終わりにしようかと思います。今日はどうもありがとうございました。

中俣・守屋:ありがとうございました。