2024.12.24
ビジネスが急速に変化する現代は「OODAサイクル」と親和性が高い 流通卸売業界を取り巻く5つの課題と打開策
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夏野剛氏(以下、夏野):だけどね、僕は「失敗力カンファレンス」ですごく大事なことって、個人が失敗から何を学ぶかっていうのもすごく大事だと思うんですけど、組織がちゃんと失敗から学べるかっていうのが極めて大事だと思う。
やっぱり日本国というのがどうやって生き残るのか、楽天という会社が、ソニーっていう会社がどういうふうに生き残るか。この組織として失敗力をつけていくっていうのがないよね、日本は。
だって20年間失敗し続けているんでしょ? 失敗しているけど、民主党も、今回の選挙の野党の主張を見てても、全く失敗力ねえなって思うんだけど。同じことを言ってるだけじゃないですか。単に反対の。
だから、組織として失敗力をどうつけるかっていうのをやっぱり考えていかなきゃいけないんじゃないかなってすごく思うんですね。修正きかないんだもん。現行維持っていうのがすごく大事で。
米倉誠一郎氏(以下、米倉):仕組みとして「失敗を共有する」とか口で言うけれど、僕はアメリカの3Mという会社はいいなと思っていて、やっぱり「失敗してもいいけれど、失敗は必ず記述して残せ」と。そうすると組織の知識になるじゃないですか。「ああ、これで失敗したんだ」と。
僕は前すごくいい話を聞いたなと思ったんですけれども、本当かどうかよく知らないんですけれど、久夛良木さんが言ったようにS社は、キックオフ・ミーティングがすごく多いと。
「これやるぞ!」とか「ああするぞ!」と。だけど、クロージング・ミーティングは、ほとんどないと。逆に言うと、トヨタはキックオフ・ミーティングはあんまりないけど、プロジェクトのクロージング・ミーティングは必ずある。これは結構失敗力にとって重要かなと思うんですよね。
「はい、みんなやるぞ!」っていうけど「あれどうなった?」「あのプロジェクトどうなったっけ?」っていうのはやはり組織として知識になってなくて「あれ、こうやって締めたよね」「これが失敗だった」「これがここで損切りした」とか。
それをやっとくと組織に残るじゃないですか。そういう体質はどっちかっていうとフタを閉めて次に行こうっていう感覚が多いかな。組織としてどうやって失敗を蓄積していくか。これ大事ですよね。個人だけじゃなくて。
夏野:ただ、難しいのはね、やっぱり現状否定につながっちゃう可能性があるわけですよ。失敗を認めるっていうのは。それをラーニングにしようっていうと「失敗したやつがまだいるじゃねえか!」とそういう話になったりとか。
やっぱりある一定のタームで経営者がちゃんと変わんないとだめだと思うんですよね。ずっと同じ人がやっていると「自分の生き方は全部成功だ」って言いたがるから。
だから、そういうターム制みたいなものも含めて「構造的に失敗をちゃんと蓄積して失敗力にできる組織構造って一体何なんだ」っていう観点から経営のマネジメントの体制とかね、そういうのをちゃんと科学する学問があってもいんじゃないかなって思うんですよ。
米倉:「失敗した人間がいるじゃないか」となると、モチベーションですよね。「ああ、何だ。失敗してもいいんだ」と。だから、降格させて、もう1回チャレンジするっていうのは?
夏野:それとか、再チャレンジのチャンスを与えながらというのがあってもいいし、1番いけないのは失敗してないやつっていうのは何もしてないやつなんですよね。
で、今って大体一部上場会社の社長をやっているサラリーマン経営者ってそうやって失敗を回避してきた人がなっているわけじゃないですか。だから、その失敗は認めて再チャレンジを与える。で、再チャレンジのチャンスが会社の中で与えられないんだったら、その人が違う会社で成功するかもしれないっていうのがいいと思うんですよ。
米倉:そうするとモビリティをもう少し高めるほうがいいと。
夏野:うん。だからもう非正規社員とか正規社員とかあの区別とかやめて欲しいんですけど。僕なんかドコモ時代、11年ドコモにいましたけど8年間は非正規社員ですからね。
ずっと1年契約の契約社員だったんですよ、僕。あの、だってお金合わないから。だから、それはなんとなく失敗者っぽいじゃないですか。
まぁ、だけど別にそれでいいんですよ。だからモビリティを高めるっていうのがないと。だから今、安倍政権がやろうとしてる企業コーポレートガバナンスの改革とかも、そういう観点から見るとおもしろいんじゃないですかね。
これで失敗したやつをうまく活かせる組織になるのかなとか。社内役員を3分の1以上レコメンドするっていうのは、どういう影響を与えるのかなっていうのをちゃんと検証していかないと。
米倉:その辺どうですか?
三木谷浩史氏(以下、三木谷):やはりね、既存の企業っていうか産業界の力っていうのはすごくて、僕はその中で持ち株、持ち合いをね、これを禁止しようという話をしたんですけども、財務省さんを中心にですね、ほぼ全てが株式の持合っていうのが日本の伝統的な経営風土を守る上において重要である、というわけのわからないコンセンサスがあってですね。
いや、だから要するにプレッシャーをかけないということだと思うんですよね。だからなかなかね、この日本の大きな会社のガバナンスシステムっていうのは変わらないと思います。それは政府自体がそうだから。
米倉:でもそこにいっちゃうとこの話が残念だから、要するに変わらないよねっていう話はしょうがないんで。
三木谷:だから個から変えるってことですね。
米倉:なるほど。やっぱり1人1人が。
三木谷:やっぱり新しい産業を作る、新しい企業を作るっていうところでどんどんそういう人が出てきてチャレンジしていくことによって、変わっていく。
米倉:うん。確かに楽天は新しいところを使ったし、新経連っていう試みもおもしろいと思うんですよね。もう絶対あそことは違うんだっていうのは。それはいいんだけど、これによってその大企業が変わっていく、或いは人、経営者が変わっていくっていう兆しは感じてる?
三木谷:企業によってですよね。やっぱ産業にもよって変わってくるというふうに思いますし、その経営者次第っていうところもあると思うんですけど。
米倉:だからそれ、先程言えばメディアにあれだけチャレンジしたけど、日本のメディアってやっぱり変わってないかなっていう気がするんですよね。そんなことない? やっぱり。
三木谷:今のところはあんまり変わってないんでしょうね。これからだと。
米倉:だってニュース見ても横並びだし、独自の見解を言うとそれはありえないことだ、みたいになっている気がまだしますよね。
三木谷:そうですね。
久夛良木健氏(以下、久夛良木):今までの話を聞いてね、例えば私の元いたソニーもそうだし、楽天もそうかもしれないけど、例えばここにいるおじさんたちは古くてだめだとかね、っていうよりも自分達がチャレンジすることをだんだん忘れているんじゃないかなと思うのが、最近のちょっと気に入らないところね。
だってソニーで私がプレイステーションを始めたときに全員反対ですよ。で、後にCEOになった人は何とか隙を見つけてはつぶそうという感じだったので、大変だったんだよね。
だけど、そこを嘆いたところで始まらないので、だからこれはやるしかないよねっていうことで、ありとあらゆる規制を突破するっていうのがね、それが今度は喜びになってくるわけです。
で、その時は1人で戦うんじゃなくてやっぱりチームを作るっていうのがとっても大事で、1人だとやっぱり限界があるわけ、いろんな意味でね。気持ちも折れてしまうかもしれない。
やっぱり、それから自分の思い込みで走ってしまうかもしれない。よくいるじゃないですか、ずーっと1人で行ってしまうっていう。
チームが集まるとすごいことができるんだなっていうのがこのプレイステーションで、何もソニーグループでいいチームができたってだけじゃなくて、世界中のすごいクリエーターの方たちとかね、それから今までゲームとは全然関係ないドメインに居た人が、これは新しいエンターテイメントができるよねとか、これひょっとしてできちゃうわけと。
そして1番最初にやりたいっていうふうに思って色んなところからどんどん入ってきてくれたわけ。プロセスイノベーション的なものもあるけども、例えば販売チャネルを変えたいって。
でも普通の販売チャネル売ってくれないわけですよ。だから今日も他のゲーム会社と話をしてたんだけど、このスロットじゃないと扱ってくれないからこのスロットに向けて作るとかね。そういうの面倒くさいですね。
だからそれだったら違うチャンネルを作ってしまおうとか。本当にいろいろな人たちの知恵が詰まって、今までできないことができるっていう醍醐味を本当に味わうことができるのが楽しくて。
ところが、失敗するじゃないですか、すると失敗のリストがたくさんざーっとあってこれで全部行灯にかかってきて、これやっちゃいけないよね、あれやっちゃいけないよねっていうんで、みんなすくんじゃって動かないよね。
米倉:自己規制してるんですかね。
久夛良木:自己規制しちゃってるのかな、もう完全にすくんでしまう。これがやっぱりね、この得に日本のね、今の最大の問題かもしれない。
夏野:なんかその失敗の中にも種類があって、攻めにいって、でうまくいかなかったっていうTBSもそうだし、そういう攻めにいったときの失敗の話と、全然違う守りの失敗みたいなのがあるじゃないですか。
コンプライアンス上なんとかとか、顧客情報が漏れたりとか。で、この攻めの失敗じゃなくて守りの失敗のやつを結構詳細にケーススタディしてるのが多いじゃないですか。
で、ある会社なんかはあまりに個人情報が漏れたらやばいっていって、顧客情報を全部何ヶ月か経ったら捨てるっていう決断した会社があって、これビッグデータの次代に何捨ててるんだみたいな話があるんだけど、それくらいびびっちゃうみたいな話なんで、失敗力とか失敗学とかってあるけど、ちゃんと2つに分けて、やっぱアクティブの方から学べるけど、守りのほうはやっぱりシステムがそろってなかったってことなんで、学ぶっていうよりかは、何か。
米倉:システム整備の。それだけの話。
夏野:抜けてるだけの話をね、学ぶもんねぇだろみたいな。それはもう先に繋がらない失敗だと。
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