2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
リンクをコピー
記事をブックマーク
『片付けパパの最強メソッド』の著者・大村信夫氏が旬なトピックでゲストと対談するシリーズ。第9回目は『「数学的」話し方トレーニング』の著者で、ビジネス数学教育家の深沢真太郎氏が登壇。「『伝える』から『伝わる』コミュニケーション術」をテーマに、数学的な5つの動作や、物事を細かく分けることの重要性について語られました。
深沢真太郎氏(以下、深沢):「数学的思考」は、説明という行為ととても仲良しです。だから今日、私が「説明する」という文脈でお話しができるんです。じゃあ具体的なところにいきますね。説明がうまい人がやっている数学的な、さっき「動作」と言いましたよね。実はここに書かれている5つです。
大村信夫氏(以下、大村):へぇー……「定義」「分解」「比較」「構造化」「モデル化」。急に難しく感じてしまうんですけど。
(会場笑)
深沢:「出た、なんだか数学っぽいのがきたぞ」という感じですよね。
大村:共感でいいんですよね? 僕が「バカじゃない?」という話ではなくて。
深沢:今、会場のみなさんもこうやって「うんうん」と頷いているので。そうそう、「数学~」とか「ロジカル~」みたいな先生はこういう言葉を使うわけです。やな感じです。
大村:使いますよね、そうそう(笑)。
深沢:でもぜんぜんいやな感じではないですよ。
大村:ではないんですか?
深沢:ではないです。なぜこの5つが数学をする時にする行為かは、みなさまにも納得していただきたいので、少し説明に付き合っていただきたいと思います。本当に簡単な話です。
大村:1番目が「定義」でしたよね。
深沢:はい、「定義」。定義とは、「~とは~である」と言葉にすることです。例えば、何だろうな、「人生」を定義してください。
大村:それ、難しくないですか?
深沢:(笑)。
大村:いきなり超難題というか、解けない人のほうが多いんじゃないですか。
深沢:そうですか? じゃあ大村さん、「休日」を定義してください。
大村:休日?
深沢:大村さんにとっては、「休日とは~である」。
大村:みなさんもよかったら「休日とは」で、チャットに書いてください。
深沢:そうですね。そうか、そういうふうにチャットを使えばいいですね。「休日」の定義をお願いします。人によってぜんぜん違うよね。
大村:「仕事をしない日」って。
深沢:そうそう、そうですね。
大村:僕もこれを言おうかなと思っていました。
深沢:「休日とは仕事をしない日である」。
大村:「義務がない日」。
深沢:「義務がない日である」。
大村:でも「仕事をしない日」が多い。「意義がない日」とか、「安息日」「旅行する時」。なるほど。「自分のために時間を使える日」。こう見ると、ある程度類型化はできるものの、みなさん違いますよね。
深沢:はい。言葉は少し違ってきますよね、
大村:「旅行してもよい日」なんていう。
深沢:「休日とは、寝坊をしてもよい日である」。
大村:いいですね。
深沢:すばらしい定義じゃないですか。
大村:なるほど。
深沢:そこまではOKですよね。数学では、この行為を最初にするんですよ。例えば、書いてありますけども、「素数」というものがありましたね。
大村:素数ってあれでしょう?
深沢:あれですよ。
大村:1とその数でしか割れない数。自然数。
深沢:おお、すごいすごい。そう。1と自分自身以外では割り切ることができない。だから2とか3とか5とかは、「素数」なんて言いますね。それが「素数の定義」です。
大村:なるほどね。
深沢:ということは、「素数」について勉強したい、研究したい時は、まず最初に「素数とはこういう数である」と定義しないと始められないと思うんですよ。だから円の勉強をしたかったら、「円とはこういう図形である」と定義しないと始められないんですよね。
大村:なるほどね。
深沢:つまり何が言いたいかというと、数学という学問は、「定義をしないと始められない」という作法があるんです。
大村:なるほど。
深沢:ここまでどうですか。
大村:ちょっと、わかってきました。さっきの数学と思考とかが仲良しだから、説明の前にくる思考は、この「定義」という要素が重要ではないか、みたいな感じでしょう。
深沢:お、鋭い。その通りです。あとでちょっと出てきますけどね。
大村:なるほど。
深沢:そういうことです。オンラインでご参加のみなさんも、「定義をしないと始められない」という作法があることだけ、覚えておいてください。
深沢:2番目、「分解」。これは、優秀なみなさんはよくご存じですよね。「物事を分けましょう」なんてよく言いますよね。
大村:はいはい。
深沢:(ルネ・)デカルトさんという哲学者も、「難しい問題は小さく分けて考えるのがいいよ」と言いますね。その通りだなと思います。そして、なぜこれが数学と仲良しかというと、さっき大村さんが、「微分・積分」とおっしゃっていましたね。
大村:微分・積分。
深沢:「因数分解」なんて、言葉としてよく聞きます。
大村:でも僕ね、微分・積分って、高校で習ってから一度も使っていないですよ。
深沢:実は数学の考え方はいろんなところで使われているんですよ。ここで注目してほしいのは、「因数分解」にしろ「微分・積分」にしろ、使われている言葉があることです。
大村:「分ける」という漢字がありますね。今気づいた。
深沢:その通りですよ。「分ける」という言葉が使われている。つまり数学とは、物事を細かく小さく分けていくことで、「わからなかったものがわかるようになるよ」とか、「解けなかった問題が解けるんだよ」と教えてくれる学問だということです。
大村:なるほどね。
深沢:だから「分解」という動作は、とても数学的ということですね。
大村:「おお」と、チャットできているな。こういう反応はすごくいいですね。ナイスリアクションです。
深沢:ナイスリアクション。もっとちょうだい。
深沢:では3番目。「比較」。これはわかりやすいですよね。比較なくして数学は絶対にできないです。
大村:イコールって比較ですか?
深沢:そうですね。「こっちとこっちを比べて同じです」という意味なので、比較です。
大村:ああ、そうなんだ。
深沢:「こっちのほうが大きいですよ」。
大村:不等号とか。
深沢:そう、よくご存じで。だから数学とは、比較をすることで行う営みです。だから、比較も実は数学的な行為だということです。
4番目「構造化」。少しだけ抽象度が増すので、ここはちょっと丁寧にいきたいと思いますが、言葉が嫌ですね。
大村:そうですね。
深沢:(アンリ・)ポアンカレという数学者さんが、「数学とは異なるものを同じものとみなす道具です」という言葉を残しているんですね。
大村:僕だけじゃなくて、みんなポカーンです。
深沢:大丈夫。ここからわかるから。でも、意味がわからないでしょ?
大村:意味がわからないですね。
深沢:例えばスライドのこれは、ポアンカレの言葉で、下に2つ数式があるのが見えますか? ちょっと読んでみてください。
大村:「100X+100Y=100」。
深沢:はい。もう1個も読んでみてください。
大村:「X+Y=1」。
深沢:そうですね。この2つの数式って表面上は違う式ですよね。
大村:表面上はね。
深沢:違うものですよね。でも数学をちょっとお勉強したみなさんだったら、この2つが同じ式であるともわかるはずです。
大村:わかりますね。
深沢:そうですよね。だから、「この2つは表面上は違うけれども、構造上は同じものだよ」と言えないでしょうか。
大村:はい、言えます。
深沢:違うけれども同じ。「違うものを同じものとみなす道具なんだ」とはこういう意味です。
大村:なるほど。そういうことですか。
深沢:世の中的には「具体⇄抽象の思考法」なんて呼ばれるものですけど、数学にはこういう側面があるんですね。
大村:なるほど。抽象度を上げて物事を理解するみたいな話ですかね。
深沢:そうそう。だから、「構造化」みたいな頭の使い方が得意な方は、何か出来事があった時に、それを構造にして、「あ、このメカニズムの構造になっている別のものってこれがあるよね」と、別のものに置き換えることが上手です。
大村:なるほどね。
深沢:だから、例え話が上手かったり、他の業界の事例でものを説明できたり、別のものに置き換える人は(構造化が)上手な人。
大村:はいはい、「野球で例えると」とか、例えている人ってけっこう説明が上手な人が多いですよね。
深沢:その通りです。今大村さんは「説明上手」とおっしゃったじゃないですか。つまり今日の文脈でいうと、説明上手になるためには、「構造化」はとても大事な頭の使い方だということです。
大村:なるほど。
深沢:これが4番目。もうちょっとでおしまいですね。
大村:次が最後ですね。
深沢:はい、「モデル化」ですね。数学はモデルを作る学問です。
大村:三平方の定理。
深沢:はい。これはさっきおっしゃいましたよね。
大村:ラプラスの法則。
深沢:そうそう。数学って「ナントカの公式」がたくさんありますよね。
大村:等差数列、等比数列。
深沢:ありました。
大村:大嫌いです、僕。
深沢:嫌いなままでいいんです。大丈夫なので。
大村:大丈夫ですか。
深沢:大丈夫です。好きにならなくていいんです。ただ、こういう性質や特徴を「型」にして説明することが、数学の1つの特徴だということだけは、知っておいてもらえるとうれしいです。「ナントカの定理」「ナントカの公式」って、要はそのものの性質を説明しているんですよね。
大村:なるほど。
深沢:どうでしょう? あるものの性質を説明するって、数学の文脈を離れても、私たちの日常にたくさんあると思うんです。例えば「パレートの法則」なんて聞いてことがありますか?
大村:ああ、「2:8」でしたっけ。
深沢:はい。「ランチェスターの法則」とか。今日は会場にマーケティング関係の方もいますけど、ありますよね。要は、あれと同じことなんですよね。「こうなっていますよ」「こういう性質がありますよ」と説明しているものです。
大村:なるほど。
深沢:こういったものをうまく使うとコミュニケーションに大いに役立つというのが「モデル化」の話です。
大村:なるほど。
深沢:みなさま、よくがんばってついてきてくれました。数学って、この5つの動作でものを考える学問です。今日は「コミュニケーション」。「どう伝えるか」という話ですが、なんでこんなに時間を取って、考えるお話を2人でさせていただいたかというと、「思考が決まるから話し方も決まるのではないか」と思うからです。
大村:はい。考えてから話しますよね。
深沢:そうですね。考え方が決まるので、話す内容や言葉も決まるイメージです。
大村:なるほど。
深沢:例えば、すごく前向きに考える人、ポジティブな思考の人は、たぶん話し方もポジティブで、前向きな言葉がたくさん出てきますね。逆はたぶんネガティブな言葉がたくさん出てくる。それと同じで、ものを考える時の方法、考え方が決まるから、話し方も決まるのではないか。
ということは、さっきご案内した「数学的な思考」が身についていると、自動的に数学的な話し方になっているんですね。
大村:なるほど。
深沢:だからさっきの5つを身につけたほうが、みなさんにとって得なのです。
関連タグ:
「コミュニケーション上手」=「説明上手」とは限らない 説明のうまい人がやっている「数学的思考」とは?
ビジネスで「例え話」がうまくなるコミュニケーション術 別のものに置き換えたり、事例で説明できる人の特徴
説明上手な人が口にする、本題に入る前の一言 なぜ上手い人が話すと「聞きやすい」「わかりやすい」になるのか
説明で相手に「確かにそうかもね」と思わせる人の共通点 正解のないビジネスで必要な「正しそうに伝える」スキル
フワッと話す相手から正しく情報を引き出すテクニック 伝え下手な人との会話で使えるスマートな質問術
話の内容がクリアになる、「一言」「1行」「1分」の提案術 言いたいことが相手に届く、説明のコツ
2024.11.13
週3日働いて年収2,000万稼ぐ元印刷屋のおじさん 好きなことだけして楽に稼ぐ3つのパターン
2024.11.11
自分の「本質的な才能」が見つかる一番簡単な質問 他者から「すごい」と思われても意外と気づかないのが才能
2024.11.13
“退職者が出た時の会社の対応”を従業員は見ている 離職防止策の前に見つめ直したい、部下との向き合い方
2024.11.12
自分の人生にプラスに働く「イライラ」は才能 自分の強みや才能につながる“良いイライラ”を見分けるポイント
2023.03.21
民間宇宙開発で高まる「飛行機とロケットの衝突」の危機...どうやって回避する?
2024.11.11
気づいたら借金、倒産して身ぐるみを剥がされる経営者 起業に「立派な動機」を求められる恐ろしさ
2024.11.11
「退職代行」を使われた管理職の本音と葛藤 メディアで話題、利用者が右肩上がり…企業が置かれている現状とは
2024.11.18
20名の会社でGoogleの採用を真似するのはもったいない 人手不足の時代における「脱能力主義」のヒント
2024.11.12
先週まで元気だったのに、突然辞める「びっくり退職」 退職代行サービスの影響も?上司と部下の“すれ違い”が起きる原因
2024.11.14
よってたかってハイリスクのビジネスモデルに仕立て上げるステークホルダー 「社会的理由」が求められる時代の起業戦略