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片付けパパ対談 #09 実は説明上手な人がやっている「数学的な話し方」~ 「伝える」から「伝わる」コミュニケーション術 ~(全6記事)

「コミュニケーション上手」=「説明上手」とは限らない 説明のうまい人がやっている「数学的思考」とは?

『片付けパパの最強メソッド』の著者・大村信夫氏が旬なトピックでゲストと対談するシリーズ。第9回目は『「数学的」話し方トレーニング』の著者で、ビジネス数学教育家の深沢真太郎氏が登壇。「『伝える』から『伝わる』コミュニケーション術」をテーマに、ビジネスシーンにおける「説明」への関心の高まりや、数学をする時に行う「動作」について語られました。

『「数学的」話し方トレーニング』の著者・深沢真太郎氏が登壇

大村信夫氏(以下、大村):あらためて登壇者のご紹介をさせていただく前に、すいません、僕が「お前誰やねん」ですよね(笑)。

深沢真太郎氏(以下、深沢):そうですよ、お願いします。

大村:片付けパパの大村と申します。

(会場拍手)

家電メーカーのマーケティング部門におりまして、人材開発とかも携わらせていただいています。会社の仕事とは別に、整理収納アドバイザーという片付けのプロ資格を持っていて、「片付けパパ」としていろいろ活動しています。以下同文な感じなので、見ておいてください。で、今日は深沢真太郎さま。

(会場拍手)

「ふかざわ」じゃないですよ。「ふかさわ」ですからね、まさに「濁りがない」ですね。

深沢:そのとおり!

大村:深沢さんの紹介スライドに、赤字でハイライトさせていただきました。

まさにビジネス数学教育家として、ビジネス数学を普及させるべく活動されています。ということで深沢さんの講話、さっそく始めていきたいと思うんですけれども。なんかね、まだノってない。特にオンラインの方々が。

深沢:あ、そうですか?

大村:見えないけど。

深沢:いいですね、この決め付け(笑)。オンラインのみなさま、ノってないそうですよ。

大村:すいません(笑)。ノっていきましょう。みなさんにチャットで質問するので1、2、3の番号で答えていただきたいと思います。今日のテーマでもあるんですけれども、数学は、「1番:得意」「2番:普通」「3番:不得意」。オンラインの方、いかがでしょうか。どうぞ。

深沢:「オンラインの方いかがでしょうか」ということは、オンラインの方がチャットで投稿してくれるのかな?

大村:そうです、まさにここに……あ、正直、僕の中ではほとんど3かなと思ったんですよ。

深沢:「不得意」という答えですね。

大村:みんな不得意と答えるかなと思ったら、意外と1と2が多い。

深沢:そうですか。すごいじゃないですか。想定外だそうですよ。オンラインのみなさま、ありがとうございます。リアクションしてくれてうれしいです。本当に、1とか2が多いですね。

大村:1、2多いですね。これどうですか? 「888」というコメントもありますけど。

深沢:「888」は「パチパチパチ(拍手)」だと思いますよ。パチパチの方、ありがとうございます。

大村:ありがとうございます。

数学を「不得意」と答える人の多さ

大村:今日集まっていらっしゃる方の答えはこんな感じですが、世の中的にはどうですかね?

深沢:圧倒的に「不得意です」という方が多いです。

大村:世の中はそうですよね。うちの会社は、たぶん8割ぐらい理系の方々なので大丈夫です。でも世の中は8割が文系だと思っているので。

深沢:うーん、そうですね。

大村:じゃあ今日はこのレベル感でお話ししていきましょう。では、もう1問みなさんにご質問します。深沢さんは30冊ほど本を出されているそうですけど、「1番:読んだことがある」「2番:読んだことがない」。3番が重要ですね。「3番:今日の講演次第では読んでみようと思う」。

深沢:あぁ、なるほど。

大村:1番多いですね、1番多い……もう3ばっかりになりました。

深沢:3が多いですね。よっしゃ、がんばろう。

大村:2番がほとんどなくなって3になったということは、今日参加されている方は、相手の気持ちを慮るすばらしい方ばかりだなと思います(笑)。

深沢:なるほど(笑)。ありがとうございます、オンラインのみなさん。がんばります。

大村:という感じで、ごめんなさい、僕の前振りというか仕事はここで終わりです。

深沢:あ、そうですか?

大村:そうです。ちなみにみなさんに質問した、「この本を読んだことがあるか」。僕の答えを言ってしまいますね。2番です(笑)。

深沢:読んだことがない。

大村:読んだことがないです、すいません!

深沢:じゃあ今日をきっかけにして読んでいただきましょうね(笑)。

大村:これは言い訳ではないんですけど、読んでしまうとバイアスが入ってしまうんですよ。

深沢:そうです。

大村:そうすると、対談が予定調和な内容になってしまっておもしろくないんですよ。だからあえて読まなかったんです。

深沢:おっしゃるとおり。さすが! 大好き!

(会場笑)

大村:ありがとうございます(笑)。でもちゃんと3番になるはずなので。

イベント参加者の多さが示すこと

深沢:だから今日は、「そういう考え方があるのか」とビジネス数学を知っていただいて、興味があれば読んでみれば、という場ですよね。

大村:そうです。ちなみには私は、数学は不得意です。サイン・コサイン・タンジェント? 微分積分? もう理解ができないですね。

深沢:ぜんぜん大丈夫です。

大村:今日は、こんな僕でも理解できる内容ということです。

深沢:そんな感じで(笑)。

大村:そんな感じで(笑)。この「そんな感じで」という自体が、もう数学的じゃないですよね(笑)。ごめんなさい。

深沢:いやいや(笑)。大村さん、けっこう「そんな感じで」が多いですよね。私、ここまでで口癖をもう盗んでますけど、「そんな感じで」はすごく多かったです。

大村:なるほど。いや、ちゃんと言えないんですよ。

深沢:そんなことないですよ、口癖は誰でもありますから。

大村:じゃあそんな感じで。

深沢:そんな感じでいきましょう(笑)。

大村:あらためて深沢さん、よろしくお願いします。

深沢:よろしくお願いします。初めまして、ビジネス数学教育家の深沢真太郎です。今日はとてつもない人数が参加されていると……。

大村:1,314人、すごいですね。

深沢:ありがとうございます。主催側もびっくりされたということで、私もびっくりしました。もしかしたらそれだけ多くの方に必要な話、興味のある話なのかもしれないので。短い時間ですけれどもカジュアルに、楽しく案内をしていこうと思っています。

ただ私が一方的に話すとつまらないので、大村さんに合いの手を入れていただいて、一緒に話しながらで、よろしいですか?

大村:はい、ぜひ。僕が理解できれば会場・オンラインの方は理解できますので。よろしくお願いします。

深沢:オンラインでご参加のみなさん、チャットに質問とかを書き込むと、もしかしたら大村さんが拾ってくれるかもしれません。一緒に楽しいセミナーを作っていきましょう。よろしくお願いします。

今日みなさまと貴重なご縁をいただきますけれども、ニュースレターをやっていますので、もし今日お話を聞いてくださって、興味があれば登録していただけると嬉しいです。

ビジネスシーンにおける「説明」への関心の高まり

深沢:さあ、少しずつ本題に入っていきましょう。

大村:何ですか、これ。

深沢:なんか気持ち悪いですね。これは、今日ご参加のみなさまに、事前にコメントを出していただいたと聞いたんですよ。

大村:あっ、そうそう。400件ぐらいありました。

深沢:ものすごい数だったんですね。そういうデータをいただくと、私はやはり分析したくなるんですよね。簡単なテキストマイニングをして、単語レベルで今回参加しているみなさまの特性を表現したものがこれです。

大村:なるほど。

深沢:簡単に言うと大きい言葉が特徴的な言葉、たくさん使われている言葉ですね。右下に注目していただくと、「teams」とか「teamsmtg」と書いてあり、「プレゼンテーション」とか書いてありますよね。

このほかには「リモート」「リモートワーク」なんて言葉が真ん中にあったり。今日は「伝える、伝わる説明・話し方」みたいな文脈ですけども、小さい文字を追いかけていくと、こんな言葉が見つかってくるんですよね。

リモートワークになって、みんなコミュニケーションが必要だなと思い始めてるんですよね。空気を察したり、その場のノリで、とかになれないじゃないですか。

大村:そうですね。リモートや、オンラインだとなかなか難しいですよね。

深沢:「こうで、こうで、だからこうです」と言わないと、ビジネスがうまくいかない。はっきりバッと伝えないといけない。みなさんもたぶんそれを感じているんだと思うんですよね。なので今日これだけの方が集まったのかなと思います。

うまくやる人には必ず「理」がある

大村:僕、資料を見ていなくて。本当にぶっつけ本番ですいません。これは、「理(ことわり)」?

深沢:「理(り)」です。

大村:「理科」の理。

深沢:「理屈」の理、「理論」の理。頭に留めておいてください。今日は話し方がテーマですけど、スタンスとしては理論・理屈の立場で私は話すよ、ということですね。うまくやる人には、必ず理があると私は思っているんですよ。

大村:へぇー、うまくやる人。

深沢:例えば料理がうまい人は、必ず理があるんですよ。理論があるんです。

大村:なるほど。「料理」の理ではなくて。

深沢:「料理」の理ではなくて(笑)。ややこしい。

大村:今ややこしいなって思いながら聞いちゃいました(笑)。

深沢:あるいは、スポーツ。トップアスリートの練習にも必ず理があると思っています。理論がある、理屈があるんですよね。適当に「イェーイ!」とやっていないんですよ。

大村:原理原則、トヨタみたいな。

深沢:そうです。そういう補足をいただくとありがたいです。うまくやっている人は必ず理があるんですね。

今日は話し方の文脈なので、これをうまくやっている人にはどういう理があるのかを、私なりに案内してみようと思うんです。だからけっこう理屈っぽい話も多いかもしれないですけど、「そういう意味があるんだよ」と受け止めていただけるといいかなという感じですね。

じゃあどんどん進んでいきますよ。まずは今日ご一緒している深沢が「どんな人なの?」というところを、ごくごく簡単に説明します。自己紹介をするつもりはありません。どういう人なのか。私はこれまでの人生で、もちろん数学に時間を費やしてきました。

大村:数学ですね。

深沢:苦手でした?

大村:苦手でした。

深沢:数学ってどんなイメージですか? みなさん苦手、苦手とは言うんですけど、もう少し具体的にうかがっていいですか?

大村:楽しくないとかね(笑)。サイン・コサイン・タンジェントとか、計算問題。微分積分とか、わけがわかっていない。

深沢:難しい言葉も多いですしね。今日ご参加のみなさまは、もしかしたら得意な方が多いのかもしれないですけれども、私はその数学に時間を費やしてきました。

数学をする時に行う「動作」

深沢:もう1つ。私はこれまでの人生で、「いつ、どこで、何を褒められてきたか」。こういう問いを考えるんですね。ちなみに大村さんは今までの人生で、いつ、どこで、どんなことを褒められてきた人ですか?

大村:人に褒められてないんですよ。

深沢:そんなわけないじゃないですか。

大村:褒めてほしいんですよ、みなさん。

(会場拍手)

ありがとうございます。また盛大な拍手をいただいてしまって(笑)。

深沢:(笑)。拍手で逃げないでくださいよ。

大村:僕はすぐに他力でいきますから(笑)。

深沢:(笑)。いや、絶対に大村さんも褒められていることがあるんですよね。それが大村さんの素敵なところであり長所であり、人に貢献できるところだと思うんですよね。それと同じで私にもあるんです。

それが今(スライドに)書いてあるとおり「講義で説明する」「取材で話す」「書籍を書く」とか。

今こういうことをしている時に、「わかりやすいですね」とか「腑に落ちました」とか、すごく褒められるんです。

つまり私は、数学を勉強して、それを伝える行為に変換し、人々から評価されてきた人だという解釈になるんですね。数学の勉強を教えているというよりは、こういったことを教えてる。で、私はそれを「数学的に話す」という表現にしたんです。

大村:なるほど。

深沢:だから今日はこの「数学的に話す」とはどういうことかを、短い時間でみなさまに知ってもらおうということです。

たぶん会場のみなさまもオンラインでご参加のみなさまも、この言葉に何かちょっと引っかかりというか、「ん?」と思ったのではないでしょうか。

大村:そうですね。「数学的」の「的」って何だろうという方も、アンケートでも多かったんですよね。

深沢:そうです。大村さんとの事前の打ち合わせでも、その言葉が出てきましたよね。もちろん私はサイン・コサイン・タンジェントでしゃべりましょうと言っているわけではないんですよね。「数学的」とはどういうことかと言うと、「数学をする時に行う動作を使う」ことです。

大村:数学で行う動作って、ごめんなさい、まったくわからなくなってきた(笑)。

深沢:さぁ、難しくなってきた。みなさんは「計算」とかをすぐに思い浮かべるかもしれません。何か問題を解くみたいなイメージだと思うんですけど、実は違うんです。数学をする時って、いくつか動作があるんです。ビジネスパーソンが話す時にその動作を使ったら良いことがあるんじゃない、というのが今日の話です。

大村:へぇー、なるほど。

深沢:だからもちろん、今日は数学の勉強はしません。

大村:数学が苦手な人でも大丈夫ですか。

深沢:ぜんぜん大丈夫。

大村:ぜんぜん大丈夫。みなさん聞きました? 大丈夫ですって。

数学とは「考える」こと

深沢:じゃあその「数学的」。

大村:どういうことでしょう。

深沢:今日の内容は『「数学的」話し方トレーニング』という本の中で詳しくは述べられています。さっきのアンケートじゃないけど、興味があればぜひ読んでみて、と思います(笑)。

大村:3番(今日の講演次第では読んでみようと思う)の方が95パーセントぐらいいらっしゃいましたからね。

深沢:この内容は実は、いろいろな方にご評価をいただいています。例えば今画面に映っていますけど、土井英司さんってご存知ですか?

大村:たぶん知っている人は知っているけど……。

深沢:あ、(チャットに)「知っている」って。知っている人もいるんですね。日本で一番有名な書評家の方ですね。ビジネスブックマラソンというメールマガジンを配信している方で、この方にこのようにご評価をしていただいて、大変うれしかったんです。これはもうみなさん見ていただければと思います。

大村:「日本人の話すスキルを底上げする、画期的な一冊」。

深沢:ほんまかい。

大村:いやいや、ほんまでしょうね。

深沢:いったいどういうことでしょう。

大村:おっと。ちょっと難しくなってきたか?

深沢:さあ、いよいよくるぞ。

大村:ここからくるぞ(笑)。

深沢:がんばりましょう。楽しみましょう(笑)。数学は「考える」ことである、これはどうでしょう。

大村:え、計算じゃないんですか?

深沢:違うんですよ(笑)。極論、計算とかをしなくても数学はできる。数学って「思考」ですよね。思考、考えること。だって計算って電卓でできるじゃないですか。AIがやるじゃないですか。人間がやるにあたっては本質的には計算ではないんですね。

大村:証明問題とかはなんとなく……。

深沢:すごい、それ!

(会場拍手)

深沢:今チャットのほうにも、「『数学とは考えること』、哲学的やな」というコメントがあります。そうですね、数学とは考えることだとしましょう。

説明するとはどういうことか?

深沢:実は、この「数学とは考えること」は2つに分けることができるんです。「数学とは説明だよ」という考え方と、「説明とは考えることだよ」という2つに分解できるんですね。

大村:これ「A=B+C」みたいな?

深沢:そうそう、そういうイメージ。すごい、数学的ですよ。

大村:「数学的」、やったね(笑)。

深沢:なぜ説明かというと、さっき大村さんがおっしゃったとおりです。証明問題なんてあったじゃないですか。あれは要は「これが正しいこと、もっともらしいことを説明しなさいよ」という行為だよね。今、私は「説明する行為だよね」と言いましたね。

大村:なるほど。ああそうか、証明問題を解いていると説明しているんだ。

深沢:そうです。三角形のなんとかの定理とかあるじゃないですか。あれは「その三角形の性質はこうですよ」と説明していることなんですよ。

大村:へぇー。でもそれをあんまり証明しなかったような。ピタゴラスの定理とか。

深沢:よくご存知、そうそう。

大村:あれって使うことばかりやっていましたよね。

深沢:学校の授業ではね。だってテストをやらないといけないし、成績をつけないといけないし、それは仕方ないのかもしれないですね。でも数学の本質は、ピタゴラスの定理に当てはめて、ただ計算をして答えを出すことではなくて。ピタゴラスの定理はどういう理屈で、どういう順序で説明しているのかを勉強するのが、本当の数学の勉強。

大村:なるほど、そういうことですか。ちなみに僕、ピタゴラスの定理が何のことだったか、まったくわからないで今言っていますからね(笑)。

深沢:なんとなく言ってる(笑)。いや、いいですよ。だから、数学って実は説明ですという考え方。

大村:へぇー。

深沢:その「へぇー」がすごく大事です。

説明の上手な人がやっていること

深沢:もう1つ「説明とは考えることです」という考え方があるんです。説明と聞くとみなさん、どうしてもコミュニケーションの文脈をとらえるじゃないですか。口を使ってすること、声を発することみたいな。だけどたぶんみなさんもおわかりだと思いますけど、何も考えずに良い説明はできないわけですよ。

大村:そうですね、はい。

深沢:説明が上手な人ってたぶん、その説明を作る前に頭を使っているのではないかなと。

大村:だから僕、頭を使っていないってよく言われるんだ。まったく考えずに言ってしまっているんですよね(笑)。

深沢:そんなことない(笑)。今日みなさまが、たぶん一番ポイントにしたい「わかりやすく説明する」「うまく説明する」のは、ここの「口から発する」ことだと思うのかもしれないんですけど、そうではないんじゃないか。こっちの「頭を使う」話なのではないか、ということです。ここが説明の内容を決めている。

大村:うんうん、確かに。

深沢:ですよね。だから説明とは実は、頭を使ってする仕事・行為です。こういう考え方があるのかなと思うんです。今のこの一連の話でお伝えしたいのは、「数学的思考」と「説明」という概念は、極めて仲良しなんだよということです。いかがでしょう、オンラインのみなさん。伝わるかな。

大村:ここまでは理解できます。

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