「対話ごっこ」を脱し、チームで成果を上げる

小田木朝子氏(以下、小田木):みなさま、こんにちは。本日もご参加いただきまして、誠にありがとうございます。株式会社NOKIOOが主催する90分腹落ちセミナー、今回のテーマは「脱対話ごっこ、チームで成果をあげる対話デザインのヒント」です。

お馴染み、沢渡あまねさんと一緒にお届けしていきたいと思います。沢渡さん、今日もよろしくお願いいたします。

沢渡あまね(以下、沢渡):今日もよろしくお願いします。楽しみです。

小田木:では、私たちスピーカーの自己紹介も含めて、イベントの簡単なオリエンテーションを進行してまいります。

あらためまして、90分腹落ちオンラインセミナーにご参加いただきありがとうございます。このイベントは、毎月1回開催しております。私たち株式会社NOKIOOが主催し、人材育成や組織開発にかかわる方に、90分で役に立つ情報をお届けするというコンセプトで継続しています。

「参加して良かったな」と思っていただける時間、そしてこの時間そのものが楽しかったり、考えるきっかけになる場を作りたいと思いつつ進行していきますので、どうぞ最後まで楽しんでいってください。

そして今回のテーマは「脱対話ごっこ、チームで成果をあげる対話デザインのヒント」です。

「対話」というキーワードへのリアクションがいつにも増して多かったことから、関心を持たれる方がいる一方で、課題感を持っている方も多いと思います。今日は対話をキーワードに取り上げながら、全体の進行をいたします。

対話のヒントが詰まった書籍『話が進む仕切り方』

小田木:では、今日のイベントのスピーカーの自己紹介をいたします。それでは、沢渡さんからお願いします。

沢渡:小田木さん、ありがとうございます。みなさん、こんにちは。「沢が渡る」と書いて、沢渡あまねと申します。物書き、業務プロセス&オフィスコミュニケーション改善、組織開発の専門家をしています。

今日は小田木さんとご一緒していますが、NOKIOOの顧問、その他自社の取締役を含めて複数の顔を持ち、パラレルキャリアで活動しています。

そして、新刊の『話が進む仕切り方』。今日のテーマが対話ということで、組織内で対話を活性化させるためのヒントを90個盛り込んだ書籍を、2022年の年末ギリギリに駆け込みで出しました。

今日の話を聴いていただいたあと、ぜひこの書籍も手に取っていただきながら、良い対話の景色をみなさんと一緒に作っていけたらと思います。よろしくお願いします。

小田木:ありがとうございます。沢渡さん、私もさっそく書籍を買わせていただきました。中身の盛りだくさん具合が「おせち感」と表現したくなります(笑)。

沢渡:おせち料理。お正月だけに、うまいこと言いますね。

小田木:いろんなものが詰まっていて、惜しみないですね。良いコミュニケーションや、仕事を楽しくおもしろくしていく具体的な手段について、本当に「これでもか」というくらい詰め込まれていて、食べ応えがあります(笑)。

沢渡:ありがとうございます。おせち感、うれしいですね。ちなみに、好きな具材は栗きんとんでございます(笑)。

小田木:私は黒豆です(笑)。

「対話」のトレーニングは、理解できても実践は難しい

沢渡:小田木さんと私の対話だけではなく、みなさんとも対話したいので、ぜひチャットに書き込んでいただきながら、良い対話の景色を作っていけたらと思います。よろしくお願いします。

小田木:ありがとうございます。(視聴者コメントで)「好きなおせちの具材は餅」(笑)。

では、私も自己紹介をさせてください。株式会社NOKIOOという会社で役員をしております、小田木と申します。企業さまの外から人材育成や組織開発をお手伝いしております。

対話というテーマは、まさに対話のトレーニングプログラムを通じて、実際にプログラムに参加される方と試行錯誤しています。頭で理解することと、実際に実践することの難しさが大きく違うテーマもそうないと思います。

良い対話体験をチームの中に生み出していくことは、個人的にすごく重要だと思っていますので、今日は沢渡さんと一緒に、このテーマをおもしろく“料理”していきたいなと思います(笑)。

沢渡:小田木さんの書籍も気になりますね。栗きんとんが輝くような黄色の表紙の『仕事は自分ひとりでやらない』

小田木:そうなんですよ。気合・根性・長時間労働かつ、「自分で抱えてがんばる」というやり方の限界を私自身も痛切に実感したことから、その仕事のやり方を変えるためにどんな体系が言えるだろうか? ということを本にしました。

自分1人で仕事を抱え込まないために

小田木:仲間と連携して、1人であげる以上の成果を生み出すという観点においても、対話というカードが切れるかどうかは、やっぱり圧倒的な違いになると思います。

沢渡:そうですね。一方的なコミュニケーションって、自分ですべて解決させようとする所作ですから、結局自分1人で仕事を抱えることになってしまいますよね。

小田木:そうですね。もうひとつの側面として、今の仕事のいろんな問題・課題の中では、1人で気づけること・できること・発想できることって限界があるじゃないですか。

沢渡:おっしゃるとおりですね。

小田木:そうした状況下で、どうやってパフォーマンスをあげていくのかという観点でも、対話は欠かせない。「心理的安全性」や「エンゲージメント」という切り口もありますが、そもそも対話なくして成果は上げられない、と感じます。

沢渡:おっしゃるとおりだと思います。

小田木:沢渡さん、チャットに好きなおせちの具材をリアクションしてくださった方が2人いらっしゃいます(笑)。

沢渡:黒豆が人気ですね。(視聴者コメントで)「岐阜に転勤して、栗きんとんも大好きになりました」。私も栗きんとんは、お正月だけじゃなくて年がら年中食べたい物の1つです。

小田木:今日初めてこの場に来た方は「え、そんな雰囲気でいいの?」と思っているかもしれないんですが、いつもこういう雰囲気でございます。

沢渡:そうですね。みなさんと越境しながら、対話して楽しんでいきましょう。ありがとうございます。

3ステップで考える、対話デザインのヒント

小田木:今日のセミナー全体の進行についても、みなさんと共有しておきたいと思います。本日は「脱・対話ごっこ、チームで成果をあげる対話デザインのヒント」というテーマです。このテーマに対して、3ステップで進行していきたいと思います。

まず入口は「そもそも『対話』って何?」です。「え、そこから?」と思うかもしれないですが、一般名詞として浸透しすぎた「対話」ですが、どういうコミュニケーションが対話であるかについては、意外と一人ひとり解釈が違うんですよね。

沢渡:「対話」とは。

小田木:そうです。そもそも対話って何なのか、自分なりの定義や、全体としての景色合わせをしてみようというのが、今日の第1ステップです。

その上で第2ステップが、なぜ今「対話」なのか。言い換えると「『対話』って、おいしいの?」という話ですね。

必要性はわかるけれども、対話をすることで本当にチームがうまく前に進んでいくのか。もしくは、対話をしたほうがチームのパフォーマンスが上がって組織がいい感じになるのか。

その“おいしさ”について理解を深めるのが、なぜ今「対話」なのか。組織レベル、チームレベルで対話が着目される背景と、そこから得られるものをひもといていくのが第2ステップです。

沢渡:「対話? 何それ、おいしいの?」みたいなことですね。

小田木:そうです。そんな対話をどうやってチームや組織に仕掛けていくか、私たちはどんな始め方ができるのだろうか。これが、今日の第3ステップです。

「対話とは何か?」「対話って、おいしいの?」「どう対話していくの?」。今日は、こんな流れで全体を進行していこうと思います。

沢渡:ホップ・ステップ・ジャンプで、対話を理解するということですね。

小田木:そうですね。

今日の参加者は、どんな属性の人たち?

小田木:そしてこの90分腹落ちセミナーは、私たちが一方的にしゃべる場ではなく、できる限り参加してくださるみなさまの関心・課題感にお答えしながら、進行していきたいと思っております。

具体的な手段として、今日もチャットを活発に使っていきたいと思います。お馴染みになりますが、チャットを使ってのウォーミングアップをいたします。手が動かせる方はぜひご参加をお願いします。

まずは、今日はどんな立場の方が参加してくださっているのか。4つ選択肢を挙げましたので、一番近いお立場を選んで、数字でリアクションをいただけますでしょうか。

沢渡:コメントが早いですね。

小田木:今の時点で、103名がご参加くださっています。

沢渡:うれしいですね。まんべんなく番号がありますね。

小田木:そうですね。立場や役割を超えて、いろんな観点・関心を共有する場になりそうですね。

沢渡:はい。「部内に活かしたい」というコメントをしてくださっている方がいらっしゃいます。

小田木:いいですね。

沢渡:チームを明るくしたいという思いが伝わってきます。ありがとうございます。

ふだんの会議でも使える「チャットDEオリエンテーション」

小田木:ご自身の発信だけではなく、「同じテーマに関心があって、同じ場に参加する他の方はどんなことを考えているのかな?」「どんな方なのかな?」がチャットで見えると、楽しさもひとしおだと思いますので、引き続きチャットボックスはオープンでよろしくお願いします。

沢渡:そうですね。ちなみにこの「チャットDEオリエンテーション」自体、みなさんが部内や部門横断の会議を企画する時にやってみてもいいかもしれないですね。

お互いの関心がわかるだけでも、「今日はこういう人が来ているのか」「みんな、こういう関心を持って参加しているんだ」とか、顔がわかりますよね。

小田木:そうですね。チャットって、上座も下座もないじゃないですか。

沢渡:いいこと言う。「上座も下座もないチャット」。

小田木:いろんな方が同じ場で、同じようにコメントやリアクションができる。これは、オンラインでけっこう好きなところだったりするんですよね。

沢渡:そうですね。

小田木:ありがとうございます。もう1つだけ、今日のみなさんの関心や参加理由をお聴きかせください。

今日のセミナーにどうして参加しようと思いましたか? 参加しようと思った理由やきっかけ、もしくは「こんな関心で参加しましたよ」など、キーワードレベルでけっこうです。一言いただけると助かります。

沢渡:一行コメント、単語でもポエムでも、何でもかまいません(笑)。

小田木:ポエム(笑)。沢渡さん、ハードル高いです(笑)。

「対話」とセットで語られる、1on1の悩み

沢渡:みなさんコメントが早いなぁ。うれしい。(視聴者コメントで)「対話力をつけたい」、今日のテーマそのものですね。「組織で対話がうまく進まないので」、そうですね。組織の中のメンバー同士、または組織同士の対話、部門間やお取引先、お客さまと組織間の対話。こんなキーワードも見えてくるかもしれないですね。

「1on1が浸透しない……」。この「……」に切なさ、もどかしさを感じる。

小田木:「...…」に、いろんなものが含まれていそうですね。でも、対話というキーワードに必ずセットでついてくるのが1on1だったりしますよね。

沢渡:そうですね。手段と目的をうまく合致させられる、そんなプロデュースができていくといいですね。ありがとうございます。

小田木:「『対話っておいしいの?』を、説明できるようになりたい」(笑)。今日のテーマかもしれない。

沢渡:これ、すごくわかるな。

小田木:おいしいかどうかの議論よりも、「必要だからやらんといかん」という感じになっているケースも、けっこうたくさんあるかもしれないですよね。

おいしかったら積極的に食べますが、おいしいかどうかよくわからないとか、「やりましょう」と言いながらおいしさを語れない問題とか、そういう観点はすごくいいなと思いました。

沢渡:ありがとうございます。

「説教の場」になってしまいがちな1on1

沢渡:小田木さん、「『ごっこ』の煽り文句がすごかったので気になった」というコメントをいただきました(笑)。

小田木:そこを拾っていただいて、ありがとうございます。

沢渡:ありがとうございます。

小田木:「ごっこ」といえば沢渡さん、沢渡さんといえば「ごっこ」です。「仕事ごっこ」シリーズですね。

沢渡:『仕事ごっこ』という書籍を出してしまったのでね。

小田木:はい。著者の沢渡さんにOKをいただいて、今日は「対話ごっこ」というキーワードを使わせていただきました。

沢渡:すみません、僕のキャラクターでございます。

小田木:「1on1を有効な時間にしたい」。

沢渡:「1on1が、上司からの業務伝達、説教の場になってしまっている……」。これ、本当によく聴く話なんですよ。これにきちんと向き合って景色を変えていきたいなと思って、この場を企画しています。

小田木:「弊社の社長から推進をいただいた」というコメントがあります(笑)。どうもありがとうございます。

沢渡:ありがとうございます。社長によろしくお伝えください。

小田木:みなさん、コメントありがとうございます。チャットをパーッと目で追わせていただいて、いろんな関心やきっかけを持ってご参加いただいたんだなと拝見いたしました。

「対話」と「会話」の違いとは

小田木:この90分腹落ちセミナーは、最後にまとめて質問タイムを設けるのではなく、思ったことや考えたことは、友だちとのLINEグループくらいのハードルの低さでチャットを使っていく、というコンセプトで運営しております。

なので、「へー」「ほー」「ふーん」みたいなコメントも大歓迎です。よかったら、疑問に思ったことや「そこをもうちょっと聴きたい」ということを随時つぶやきながら、ご参加ください。

沢渡:ありがとうございます。

小田木:ではさっそく、今日の「脱対話ごっこ」というテーマの1つ目からまいりましょう。まず、「そもそも『対話』って、何?」というところからなんですが、実は今日の90分腹落ちセミナーの第1パートでは、少し新しい趣向を凝らしてみました。

私たちは今、いろいろな企業さまに対話トレーニングプログラムを展開しているのですが、そこで実際に使っている「対話を理解するパート」を、スライド数枚で一緒に体験してみたいと思っております。

体験型になっておりますので、ぜひみなさんも「おもしろい」と思いながら参加していただいてもよろしいでしょうか。

沢渡:はい。わくわく。

小田木:まずはこちらでございます。「『対話』と 『会話』の違いって何?」と聴かれたら、みなさんならどう答えますか?

正解・不正解はありませんので、「私的にはこう考えているよ」という定義を、よかったらチャットに書き込んでいただいてもいいでしょうか。「ウケ」や「すべり」を狙っていただいてもけっこうです。

一方的ではなく、思いを交換し合うのが「対話」

沢渡:みなさんコメントが早いなぁ。うれしいなぁ。「思いを交換し合う」。思いを交換し合うのが「対話」かな。

小田木:いいですねぇ。

沢渡:「『対話』はキャッチボール」。そのまま書籍のタイトルになりそうですね。

小田木:双方向性にフォーカスを置いて書き込んでくださっている方が、けっこう多いですね。

沢渡:「テーマがある・ない」。すごくいい着眼点です。

小田木:「価値観レベルまで話を深めているか」「天気の話は『会話』ですか?」。おもしろい(笑)。

沢渡:わかりやすいなぁ(笑)。イメージしやすい。こういうの、大好きです。

小田木:対話という漢字を分解して、「対(つい)の会話です」というコメントがきています。この表現、いいですね。

沢渡:そうですね。「目的が共有できている」「目的を持った会話が『対話』である」とか、「目的」というキーワードも目立ちますね。ふむふむ、ありがとうございます。

小田木:「思い」とか「価値観」というキーワードも、けっこう共通で書かれている気がしますね。

沢渡:「相互理解」「特に部下のことを掘り下げる」「相手目線」、そんなキーワードかな。「お互いの違いを認識する」というキーワード、いいですね。

ダイバーシティ&インクルージョンのある対話ってどういうことなんだろう? とか、そんなキーワードも見えてきそうです。

小田木:「お互いの氷山を意識する」。水面上に出ていない部分を伝え合う、という感じですかね。みなさんが持論を持っているのがめちゃくちゃいいですよね。

沢渡:そうですね。

小田木:「イーブン」というキーワードが出てきたりしています。

沢渡:この対話自体が、自分たちなりに「組織の課題感」に名前をつける行為ですから、すごく意義があるなと思って楽しんでいます。

小田木:ありがとうございます。