2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
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司会者:この採用力を鍛え、測定するのは「検定」なんですが、やはり気になってくるのは、具体的にどういったことが問われるのかということですよね。たぶん先ほど出てきた(「ナレッジ」「スキル」「マインド」「アクション」「パースペクティブ」の)5つの要素に関することだと思うんですけれども、伊達先生、そのあたりもう少し詳しく教えていただけないでしょうか。
伊達洋駆氏(以下、伊達):実際の検定試験では、先ほど挙げた5つの要素を幅広く問うわけではなく、特に「ナレッジ」の部分に焦点を当てています。
出題領域としては、採用実務に限らず、採用や人事に関わってくる、幅広いトピックを含めています。ここも採用力検定協会のメッセージの1つになっています。
目の前の採用実務も、大事だと思うんですね。その一方で、採用の設計など、上流を考えていく際には、例えば人材マネジメントに関する知識が必要になりますよね。あるいは、法的な知識も必要になってきます。
周辺領域の知識を持っていると、より良い採用の設計を行うことができます。このような思想のもと、さまざまな周辺領域も含めて出題されるのが、「採用力検定試験(基礎)」となっています。
伊達:他方で、「リクルーター・面接官向け検定試験」も行っています。こちらはどちらかというと、採用実務に近いところの知識を測定するものです。
曽和利光氏(以下、曽和):どちらかというと、「リクルーター・面接官向け検定試験」は、(狭義の採用力の中の)「戦闘」部分を抜き出した感じです。要はフルタイムで人事や採用に携わっている方は、戦略を立てたり、プロセスの設計したり、「戦略・戦術」部分を行わないといけないですよね。
例えばこのスライドの上のほうでいうと、1番、「人材マネジメント」とか、「戦略・計画」がまさにそうですね。「体制の整備」とか。
こうった知識は、知っていてもマイナスにはならないものの、知らないと面接ができないというものではありません。なので、こちら(リクルーター・面接官向け検定試験)はイチ面接官として駆り出された時に、本当に必要な「見極め」「動機付け」などに特化したものになっています。このように2つの試験があり、それぞれ特徴があります。
イメージとしては、「採用力検定試験」の中に「リクルーター・面接官向け検定試験」が包含されている感じです。特に新卒採用となると、現場の方のお力を借りて、大量に採用に関わる人を動員しますよね。
ある日系の大手メーカーでは、下手すると500人とか、僕の知っているところだと1,500人のリクルーターに広く協力を得ている企業もあります。そういう場合は、その1,500人の方に採用戦略まで立ててもらうわけではないので、必要なことだけを抜き出して、そこに特化してやっています。
司会者:ありがとうございます。ご自身の立場や目的に応じて、どちらの試験を受けるか、あるいは学習するか決めていくと良いですね。
採用力に関するお話しに加えて、検定についてのお話しもいただきましてありがとうございます。採用力検定で、気になる点のある方はコメントにてご質問等いただだければと思います。
司会者:ここからは、せっかく採用に関するお二人ですので、もう少し実務的なところ、あるいは採用活動自体に関するお話しをお聞きしたいと思います。こちらに関するご質問も、コメントで受け付けておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、今までの文脈では、採用活動について「戦闘力」の部分のお話もありましたが、採用の一番の目的は、当然組織の運営のため、あるいは新陳代謝であるとか、いわゆる組織を活性化させることが非常に重要な要素の1つだと思うんですけれども。
これについてはどのようにやっていくのが原則なんでしょうか?では、曽和先生からお願いします。
曽和:採用活動自体が、組織の活性化につながるのは、本当にこれはすごくあり得ることです。実際に実務をやっている方には、釈迦に説法かもしれませんが、採用をやると元気出てきますよね(笑)。そんなことないですかね。疲れますか?
疲れることもあると思うんですが、例えば、新卒の学生さんが将来や未来に希望を持って、「こんなことがやりたいんです!」「どんなところが楽しいですか?」と目をキラキラ輝かせて聞いてくると、楽しいですよね。「今、しんどいんだけど」と思いながらも、「いやぁ、こういうところがうちはやりがいがあってね」のように話したりしますよね。中途でもそうですが。
だから担当者だけじゃなくて、現場の方も含めて採用活動に携わることは、仕事に対するモチベーションが上がるし、会社に対するコミットメントや、事業の価値を再認識してそれをアップさせることにもつながると思うんですね。
「会社に元気がない時」「浸透していた理念が、制約条件や経済的な問題、コロナによる疲弊などで効力を失った時」「斜に構えた人が増えてきた時」などの時にこそ、採用にたくさんの方を巻き込んで、活性化することです。もちろん、マンパワーとして必要なこともあると思いますが。
むしろ、組織開発に重点を置いて採用を行っている会社もあるくらいなんです。このように採用活動に社員の方々を巻き込んでいくと、会社全体の活性化につながると思います。
曽和:(面接などで自社のことを)人に語るためには、会社のことをもう1回勉強し直さなきゃいけないし、また入社動機も忘れてしまっている人も多いと思うんです。でも候補者の方々は、みんな聞いてきますよね。「なんで曽和さんはここに入ったんですか?」と。ほんなら言わなきゃいけないわけじゃないですか。
そうすると、少し初心を思い出すこともできます。また、人間、おもしろいもので、「将来この会社はどうしていきたいんですか?」と聞かれて、それに対して自分が吐いた言葉には責任を感じるんですね。
「この会社はこういうふうにしようと思っているんだよ」と言ったとしたら、その理念に対するコミットメントが自然と高まりますよね。「言っちゃったから、俺、ちゃんとやらなきゃな」みたいに。そういう側面から、採用活動という行為自体が、組織開発につながったり、モチベーションを高めたりする効果があるというのがまず1つですね。
2つ目は何かというと、組織開発、組織活性化というのは、言い方を変えれば、「組織変革」だと思うんですよ。組織をある状態からある状態へ変えていくのですから。
「元気のない状態から元気のある状態」「今まで向いていた方向と違う方向に向いていこう」など、何らかの変化をともないます。だから、組織活性化≒組織変革ですし、組織変革の中に組織活性化があると考えられます。
その時に、やはりどんな人を採るのかということが大事です。無限にとまではいきませんが、質より量を重視してすごく多くの人を採っている会社が世の中にはいるわけですからね。組織の方向性に、ものすごくフィットする方を選んで入っていただくことです。これによって、組織変革を促進する側面があると思うんですよね。すごくシンプルですが、これが2つ目です。
曽和:ただ、すごく気をつけなければいけないことがあります。内部の変革をしないまま、組織変革の象徴になってくれるスーパーマンのような人を採用して、過大な期待感を持ってしまうことがあります。要は、いい人を採って「この人に全部変えてもらう」といったことに採用を使ってしまう。これは期待のかけすぎだと思われます。
だいたいそういう場合は、組織は恒常性というかホメオスタシスがあるので、新しく入ってきた人が内部の抵抗に遭って、結局はじき出されて終わりのようなことになりがちなので、順番としてはまず中を変えてからだと思うんですね。
まず会社内部を変えてから、それに拍車をかけるように、促進するように採用という方法を使って、理想にフィットする人の数を増やしていくことがすごく大事かなと思います。
入ってくる人は変えやすいんです。ターゲットを変えるだけで変わりますからね。そこに全部期待してしまうのは問題かなと思いますね。この2つが採用と組織活性の関係に関して、私の思うところです。
司会者:ありがとうございます。今の曽和先生のお話し、伊達先生はどうお考えですか?
伊達:曽和さんの2点目、私も本当に大事なことだなと思っていまして。新人に期待しすぎてしまう問題というのがあると思うんですよ。新しい風というか、「こういう人が入ってきてくれたら、我社も変わるのにな」みたいに過度に思ってしまう。
新人に期待し過ぎて、その新人がなかなか適応できないということが起こってしまう。そのようなケースってけっこう見聞きするんですよね。異質な人が自分たちの仲間に入ってくると、外にいる異質な人よりも一層排除しようとする傾向があるんですよね。
仲間内にちょっと変わった人がいると、その人は排除されてしまう。「黒い羊効果」と言います。白い羊の中に黒い羊がいると、その黒い羊が虐げられてしまうと。
それまでの社内にはない側面を持った、期待の新人ですが、虐げられてしまうとストレスがかかってミスが多くなってしまう。そうすると「やはりあの人できないんだ」という悪循環になって、結果的に非常に疲れながら会社を出て行ってしまうんですね。
それって個人にとっても、企業にとっても、非常にもったいないことだと思います。だから、まずは自分たちから変わっていくこと。これが鉄則ですね。
司会者:ありがとうございます。
伊達:ご質問もいただいてますかね。
司会者:そうですね。ではいったん止まりまして、ここでチャットでいただいた質問を読み上げたいと思います。
「採用活動の観点から、お二人が最近注目されている企業はありますでしょうか。あるいは、どういった視点からその企業を捉えているか、知りたく存じます」
ちょっと具体的な社名を挙げても良いものかというのは、あると思うんですけれども、先生方が気になっている企業さまの活動があれば、お教えいただけますでしょうか。
曽和:私からちょっとお話しすると、人事全般に言えることですが、どちらかというと面接ってこれまで勘と経験のようなものからやってきたところがあります。それが最近では、ピープルアナリティクスやHRテックなどを用いて、データを可視化してエビデンスベースで考えていこうとする動きがあります。
このように最先端でいろいろ行っている会社さんがあります。やはりセプテーニ・ホールディングスさんはすごいなと思うんですよね。
これはもう名前を挙げちゃって良いと思うんですが、セプテーニさん自身がどんどん発信されていますし、たぶんホームページでも研究成果が見られるようになっていると思います。閲覧するには事前に登録が必要かもしれないですけども、この取り組みはすごいなと思います。
セプテーニさんは、適性検査と自社で作った360度サーベイを用いて、退職予測の領域で、社内で半年後に退職しそうな人ベスト50、いやワースト50(笑)を出すんだそうです。もともとその精度がかなり高いという話で有名になったと思うんですね。今では採用や、その他のところにもそのシステムを用いているそうです。
この間セプテーニさんと一緒にイベントをやらせていただいた時にお話を聞いてきましたが、面接は、ご存じの方も多いように、人が人を見る難しさがあり、彼らもそう思っているそうです。
そこで面接は1回だけにすることにしたんだとか。その代わり、データ、適性検査などを用いて、1回の面接以外のところは全部データを使った採用活動にすることで、内定の辞退率を下げたり、その後の定着率を上げたりしているそうです。
たぶんホームページに載っていることなので、あまり事例をワーッとしゃべるのももったいないので、そこは調べていただければと思いますが、そういうデータを使って、科学化している点で、セプテーニさんはすごいですよね。
曽和:あと、もう1つの動きとしては、ジョブ型と言えるかはわからないんですが、これもあるイベントで、人事部長の方とご一緒させていただいた際にお聞きしたケースなんですけれども。
KDDIさんが特に新卒で「KDDI型ジョブ型採用」といった、13個の職種に分けて「配属確定の採用」ということを始めたんだそうです。これ、入り口だけと言えば入り口だけなんですけどね。
KDDIさんの採用のうち半分は総合職、ジェネラルで、これも残しているそうです。半分は13職種で。データサイエンティストやAIの研究家などを(採用したくても)KDDIであっても、GAFAとかに負けてしまっていたらしいんですよ。
ところが、ジョブ型採用にすることによって、キャリアコンシャスになり、特に若手からすると魅力的ですよね。最近の若手、学生さんなどは、配属ガチャと言うらしくて、すごいリスクがあると認識しているようで。そこのリスク低減させてあげることによって、実は採用力がガーンと上がるんだなと。
曽和:他にもう1社あげるとすると、私もお手伝いさせていただいている、知る人ぞ知るスーパーで、中部地方中心に展開されておられるバローさんもそうですよね。
バローさんも、もちろん総合職採用がメインではあるんですが、SCDP採用、セルフ・キャリア・デベロップメント・プログラムということをされています。その枠はちょっと難易度の高い、合格率の低い採用の仕方なんだそうです。
バローさん全体としては、数百人採る会社ですが、その枠は10人程度でだそうで、最初の半年は店舗(勤務)があるんですが、セルフ・キャリア・デベロップメント・プログラムなので、その後5年間は自分の希望するところに行けるということをしています。
流通業さんって、求人倍率が最高に高い業種で、採用に関してけっこうきついんですよね。なんですが、本当に旧帝大なども含めて、すごく良い方が集まってくると。つまり、すごくキャリアコンシャスな若手に対しての採用手法として、ある種仕組み勝ちだと思うんです。仕組みでうまく優秀な方を採ることができている例ですね。
KDDIさんやバローさんは、もう1つの手法として、新しい動きなので注目していました。なんなら今、パッと思い浮かんだのがそこなんですけれども。
司会者:ありがとうございます。3社さまですね。セプテーニさま、KDDIさま、バローさま。公式ホームページを貼らせていただきました。関心のある方はご覧ください。
ちなみに、バローさんって、アルバイト・パート採用などもオウンドメディアがすごいんですよね。ちょっと今日のテーマじゃないかもしれませんけど。アルバイト・パート採用のページを見ていただくと、1,300案件くらい出しているんです。それも、時間帯ごとに全部記事を出していたり、ものすごい情報量があって。
これオープンにイベントでやっていたことなので、言っちゃっても大丈夫だとは思いますが。というかホームページ見ればわかることなんですけど。
アルバイト・パートを何千人と採用している会社なんですよね。ちょっと正確な数字は忘れてしまったんですけど、半分以上はそこから(オウンドメディアから)入っているということでした。オウンドメディアリクルーティングと言ったりします。そういう面でもかなり先進的にいろんな工夫をされている会社だと思います。
司会者:ありがとうございます。伊達先生はいかがでしょうか?
伊達:私がパッと思い浮かんだのはサイボウズさんですね。イベントで一緒に登壇してレポートに残っているので、(ここでお話しても)大丈夫だと思います。
サイボウズの働き方って有名じゃないですか。先進的な働き方を推進されていますよね。そういう働き方の価値観と、採用の価値観が一致しているところが素晴らしいなと思いました。
例えば、サイボウズさんでは「公明正大」ということを重んじているんですよね。「うちはきちんとオープンにする会社です」って言う会社があるじゃないですか。言うだけだったら簡単なんですけど、サイボウズさんはそれを反映した採用のイベントを行っているんですね。
例えば、「転職の口コミとかに書かれていることって、実際どうなの?」ということを社員が答えるというイベントです。
これって一見特殊なことをやっているように見えて、実はそんなことはなくて、自分たちの働く上での価値観を、採用の価値観と合わせているんですね。そのような採用ができると力強いなと感じたところです。
もう1社は、最近イベントでお話しさせていただいた出前館さん。アプリを使っておられる方もたくさんあるんじゃないですかね。
とにかく一貫されていて素晴らしいなと思ったのが、(求職者に対して)調査をしているんですよね。継続的に調査を行っていて、求職者のニーズがなんなのかをきめ細やかに収集しています。そのニーズに合った情報を出していくことを、とにかく愚直に行っている。これ、やれそうでやれないんですよね。
司会者:どうもありがとうございます。ご紹介いただいた2社もURLを共有いたしました。いろいろお答えいただき、ありがとうございました。
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