三井不動産・元リクルートの新規事業経験者が登壇

司会者:ここからは、お二人とも大企業×スタートアップのオープンイノベーションに携わっていらっしゃるので、「大企業×スタートアップ連携で求められる人材と組織とは」というテーマでお話をしていただきます。では、それぞれ自己紹介をお願いできますでしょうか。まず光村さんからお願いいたします。

光村圭一郎氏(以下、光村):みなさん、こんばんは。三井不動産の光村と申します。私は三井不動産で新規事業担当として働いています。新規事業担当になってからは、だいたいもう6年ぐらい経つんですね。

今日、みなさんにお越しいただいているこの「BASE Q」という場所も、私が事業責任者として新しく作りました。三井不動産以外の大手企業の新規事業をサポートするためのプログラムを提供しています。

ちょっと入れ子構造のようでわかりにくいんですが、BASE Q自体が、場に付加価値をつけてマネタイズを図る三井不動産にとっての新規事業という位置付けでもあります。では、よろしくお願いします。

(会場拍手)

麻生要一氏(以下、麻生):麻生要一と申します。よろしくお願いします。リクルートに12年勤め、自分で新規事業を立ち上げて子会社の社長をやったのち、リクルートを辞める最後の3年間は、上場後最初の新規事業開発室長として、リクルートホールディングスの新規事業を統括する仕事を3年間務めました。

辞める前の3年間で、300社のスタートアップを輩出する場所の所長を務めつつ、リクルートの社内で1,500件の新規事業をやったので、だいたい2,000件ぐらいの”0→1”を経験しました。

IoTから地方創生まで、ありとあらゆるビジネスモデルにチャレンジしたという経験を経て、それだけ企業内新規事業に多く関わると、さすがに自分でやりたくなってしまい、去年リクルートを辞めて起業家になりました。

やりたいことが1個に絞れないという病気にかかり、現在、会社を2つ立ち上げ、ニューズピックスという会社に雇われながら、企業内新規事業担当者もやり、そしてVCもやっています。「起業家」と「投資家」と「雇われ経営者」を同時にやっているんですが、たぶんこんな働き方をしているのは、日本に僕しかいないかもしれません。よろしくお願いします。

光村:よろしくお願いします。

(会場拍手)

新規事業開発とオープンイノベーションへの取り組みの状況

司会者:はい、ではお二人にマイクをお渡しします。よろしくお願いします。

光村:はい、よろしくお願いします。どうしましょうね。今日は、ぜんぜん打ち合わせをしないでここに臨んでましてですね。「セッション感を大事に」というエクスキューズだけでやっている感じなんですけども。一応、今日のお題は「オープンイノベーション」なんですよ。

麻生:はい。

光村:他の登壇者の方は、起業とか社内新規事業と銘打たれていますけど、一応僕らのタイトルは「オープンイノベーションを大手企業内でどうするのか」ということになっていて。オープンイノベーションということを、ある種前提としながら話をしようと。

麻生:会場のみなさんに聞いてみます?

光村:そうですね。

麻生:オープンイノベーションを自分の会社でやってるよ、という人?

(会場挙手)

麻生:あっ、そんなに多くないんですね。

光村:近年、大手企業によるオープンイノベーションブームとかバブルとか言われているわりに。

麻生:さっき、事業開発担当者が多かったですよね。

光村:じゃあ他の方々はみなさん、自前で事業を作りますという感覚でやっているんですかね?

麻生:オープンイノベーションって、新規事業開発にとってけっこう意味がありそうだなぁと思っている人?

(会場挙手)

光村:けっこういますね。オープンイノベーションの意義は認めつつ、会社ではまだ取り組めていなかったり、制度化されていなかったり、という問題意識があるのかもしれないですね。

オープンイノベーションプロジェクトを始める方法

麻生:じゃあ、どうやってオープンイノベーションプロジェクトを始めていくか、というのがいいですかね?

光村:そうですね。麻生さんはリクルートの新規事業をずっと統括されていたじゃないですか。リクルートの制度には、オープンイノベーション的な要素はあるんですか?

麻生:僕がやっていた3年間でいちばん大きく変えたのが、オープンイノベーションというか、リクルートの外の人たちと一緒に新規事業を作る要素を入れたことです。これがけっこう大きくて。

光村:要は提案する時に、社外のメンバーをチーム内に入れちゃって提案していいよ、ということですか。

麻生:そうです。もともとリクルートの新規事業開発制度では、社外の人もコンテストに参加できたんです。でも、「参加できるよ」って言うだけだと、社外の人はあまり参加しないんですよね。

光村:あ〜、そういうことね。

麻生:日本の企業のサラリーマンの方って、わりと社内で閉じこもって仕事している人が多いので、外に友達がいなかったりとか、巻き込みづらかったりとかするじゃないですか。

光村:そうですね。

麻生:あと僕がやったのは、最初から外と一緒に組んで考えざるを得ないプログラムの立ち上げです。

光村:なるほど。今日ここに参加しているのって、いわゆる日本の伝統的な大企業の方が多い印象なんですけども、そういう会社から見るとリクルートって、大企業ではあるんだけどちょっと毛色が違う会社であると見られてると思うんですよ。

でも、たとえリクルートであっても、タコツボ化というか、他の会社の人となかなかつながらない、というのが1つの病としてあったんですか?

麻生:そうですね。さすがに昨今のリクルートは従業員が4万5,000人の一部上場企業なので、全員が全員起業家人材というわけではないですよね。

光村:そういう中で、麻生さんの時にオープンイノベーション的な仕組みを盛り込んだわけですよね? 

麻生:そうですね。

社内だけで新規事業を考えると似通ったアイデアばかりになっていく

光村:それは具体的にどういうものなんですか? 何を外に求めにいかなきゃいけないという話になったんですか?

麻生:例えば、光村さんと一緒に、三井不動産さんともプログラムをやったりしましたよね?

光村:やりましたね。

麻生:外の会社の人と、混成チームを社員で組みました。例えば「リクルート2、外部の会社2」といった混成チームで新規事業を考えよう、というプログラムもやりました。

また、自治体と連携協定を結んで、その自治体のところに足繁く通えるようなプログラムも行ったことがあります。地域課題を解決するところから、市民の方と協働して事業を作るようなことですね。そういう、外のいろんな人と組んで事業を作らなきゃいけないという場をいっぱい作ったんです。

仕組み化してしまった背景には、僕が新規事業開発室長の時に考えていた課題のうちの一つに、社内で新規事業を考える際、出てくるアイデアが似たようになりがちなことについてどうするかという点がありました。

光村:うんうん。

麻生:当時のリクルート社でいうと、やっぱりメディア事業のビジネスモデルが提案に多かったんですよ。

光村:しかも、年を追うごとに似通ったアイデアが増えてきますよね。

麻生:そうなんです。それで、「そろそろ違うやつをやんなきゃいけないな」とか、「上場もして桁の違う新規事業をやっていかなきゃいけない」という時期に、今までのメディアの焼き直しみたいなものをいくら積み重ねていても、画期的なイノベーションは生まれないなと。

そこで、「どうやったら、この人たちに考えたこともないようなことを考えさせられるだろうか」と思った時に、自社の社員だけで会議しても、メディアビジネス以外は出てこないので、強制的に不動産の会社や、メーカーと一緒にやってみたら、なにか生まれるんじゃないかと考えました。

自分の会社が必要としながら持っていないものを、社外に取りに行く

光村:なんかさっきの「付き合う人を変えましょうよ」っていう話とリンクしていて。

麻生:そうですね。

光村:やっぱり、アイディアを考えるときには情報のインプットというのが大事で。新たな情報に触れずに、斬新なアイデアを考えることにはどうしても限界がある。プアな情報のインプットに基づいて必死に考えても、そこで生み出されたアイデアはありきたりなものになっている、ということは起こりますよね。

情報をどんどん新陳代謝して、外に求めていくことは必要ですよね。情報の入り口って、ほとんど人だったりするから。

麻生:そうですね。

光村:そうすると付き合う人を変えていくっていうのは大事で。

麻生:そうですね。「オープンイノベーション」というと、昨今、スタートアップ企業と大企業がなにかをやることだということになっているじゃないですか。

それはそれでいいんですけど、僕の感覚からすると、「スタートアップと大企業がなにかする」ということがオープンイノベーションなんじゃない。いま話したように、自社の社員だけで考えていたら考えつかない、実現できないものを、どうやって着想を得たり、考えられる場作りをするかがオープンイノベーションだと思うんですね。

光村:オープンイノベーションが何かということは、いろんな定義があります。今日の議論ではものすごく単純化して「自分の会社が必要としながら、いま持っていないものを、社外に取りに行く活動」と定義していいかと思います。

何を求めに行くかというのは、技術もあれば、アイデアもあれば、顧客基盤もあれば、ビジネスモデルもあれば、いろんなことがありえるわけです。その時の対象は、僕は必ずしもスタートアップだけではないと思っています。