家入一真氏「新しい金融包摂モデルを日本の地方で作る」
6名の起業家がIVSで語った、会社の展望とその先にあるもの

The Next Big Thing: Perspectives from Japan's Top Entrepreneurs #1/3

IVS 2018 2018 Spring Taipei
に開催

2018年6月6~8日にかけて行われた「IVS 2018 Spring Taipei」。セッション「The Next Big Thing: Perspectives from Japan's Top Entrepreneurs」には、CAMPFIRE 家入一真氏、クラウドワークス 吉田浩一郎氏、ソラコム 玉川憲氏、フリークアウト・ホールディングス 本田謙氏、スマートニュース 鈴木健氏、ユーグレナ 出雲充氏という、企業のトップが集結。“perspective”をテーマに「どういった展望を持ち、その地平線の先になにを見つけようとしているのか」を語り合いました。本記事では、冒頭の自己紹介パートを中心にお送りします。

IoT向けプラットフォーム販売をグローバルに展開

出雲充氏(以下、出雲):みなさま、8番目の今回唯一の日本語セッションということで、モデレーターをさせていただきます、出雲です。よろしくお願いします。

(会場拍手)

出雲:今日は5名のすばらしいスピーカーを日本からお招きしております。台湾の方にもたくさん会場にお越しいただいていますね。みなさまより、それぞれ1分ぐらいずつで簡単にイントロダクションから始めていければと思っております。ではさっそく玉川さんからお願いします。

玉川憲氏(以下、玉川):みなさんこんにちは。ソラコムの玉川です。1分ほど簡単に紹介させていただきます。ソラコムは2015年に創業して、シリーズAで資金調達をして、IoT向けのプラットフォームを提供しています。

SORACOMのSIMをセンサーやゲートウェイなどのIoTデバイスに入れていただくとセルラー通信でAWSやGoogleやAzureなどのクラウド、もしくは自社のデータセンターやサーバーにデータ送信できます。こういう誰もが簡単にIoTシステムを作るためのプラットフォームを提供しています。

それから、グローバル展開をしよう、ということでシリーズBで資金調達をしました。実は台湾でも中国でも香港でもSORACOMが使えるようになっています。そして低消費電力のLoRaやSIGFOXという無線にも対応しました。

昨年KDDIに買収されましたが、今も独立して経営をやっております。今はお客様がグローバルで1万ユーザーを超えました。アメリカ、ヨーロッパ、シンガポールにオフィスを置いています。

ファンドプログラム「SORACOM IoT Fund Program」というのがあって、KDDIの200億円の投資のうち、50億円をIoT向けにというところで、我々が担当しております。興味があったらぜひお声がけください。ありがとうございます。

(会場拍手)

世界中の良質な情報を必要な人に届ける

出雲:ありがとうございます。では、続けて鈴木さんお願いします。

鈴木健氏:スマートニュースの鈴木と申します。「SmartNews」はスマートフォン向けのニュースアプリです。ちょうど昨今3,000万ダウンロードを日米を中心に達成したところです。

機械学習の力を使ってたくさんの記事の中から本当に必要な記事だけ選ぶ、ということをやっています。アメリカにも展開していて、300社以上の良質なパブリッシャーと提携してパートナーシップを組んでいます。

我々のミッションは「世界中の良質な情報を必要な人に届ける」ということで、その大事にしている「良質さ」を世界中の人たちに届けるために、世界展開を目指しています。アメリカにもニューヨークとサンフランシスコにオフィスがあって、スタッフは20名ぐらいです。

近年アメリカでは、FacebookやTwitterなどソーシャルメディアでニュースを見ると、フィルターバブルといって「どんどん視野が狭くなってしまうんじゃないか?」という批判が起きています。Pew Research Centerというアメリカの研究機関の調査でも、実際に1994年から20年間かけて、リベラルな人とコンサバティブな人たちの政治的な意見がどんどん離れていっている、という見解が出されているわけです。

こういった背景がアメリカの民主主義に分断をもたらしていて、我々はこれに対しアルゴリズムを通して貢献したい、という挑戦をしています。以上です。

(会場拍手)

群衆の知恵をジョブマッチングの世界で活かす

出雲:ありがとうございます。そのミッションを「日本とアメリカでどのようなかたちでビジネス展開しているのか?」という話も、このあとおうかがいできればと思います。では、吉田さんお願いします。

吉田浩一郎氏:どうもこんにちは。クラウドワークスの吉田と申します。「働き方革命」というビジョンを掲げ、2011年にクラウドワークスという会社を創業して、2014年にマザーズに上場しました。

クラウドソーシングはご存知の方も多いと思います。広義にはWikipediaみたいなもので「群衆の知恵」というところですが、我々はそれをジョブマッチングの世界で活かして、世の中でIndependent Contractorとかフリーランスとかクラウドワーカーと呼ばれる人たちを束ねています。

日本では「正社員か?正社員じゃないか?」という二元論で物事が言われるんですけど、欧米の成熟市場ではもっと多様な働き方になっていて、そういう意味で「二元論ではない間の働き方をデザインする」ということを日本でやっています。

日本では従来より「大企業の正社員」という働き方がすべてだった。それが20世紀だったんですけど「あらゆる働き方を生んでいこう」というところをやっていて、日本の大企業が正社員じゃない個人に対して発注する、というプラットフォームをやっています。

今は日本を中心に26万社クライアントがいて、トヨタ、日産、ソニー、パナソニック、そういった日本の大企業が、日本全国の200万人という個人に仕事を発注している、というサイトです。もちろんプログラミング、デザイン、翻訳、記事を書く、写真を撮る、というような仕事があり、現在では200種類もの仕事があります。

20世紀最大の雇用を生んだ日本の企業というのは、トヨタなんですね。大企業で従業員を37万人雇っています。我々のビジョンは、この大企業をインターネットに置き換え、従業員を日本中、世界中のあらゆる個人に置き換える。

「インターネットによって報酬を届ける」という市場において、まずは日本一、そして世界一を目指そうということで、ざっくりいうと1.7兆円ぐらいの報酬をインターネットを通して届けること。これをやれば日本一になれると考えています。

トヨタ自動車の創業者は豊田さんですけど、私は吉田と申しまして、一文字しか変わらないなと。ということで、20世紀はトヨタですけど、21世紀はヨシダ(吉田)だ、という思いでがんばっています。よろしくお願いします。

(会場拍手)

新しい金融包摂モデルを日本の地方で作る

出雲:ありがとうございます。クラウドワークスの吉田さんからご説明いただきました。では、日本のクラウドファンディングの雄である家入さんは、今回台北は初めてということでしたので、非常にコンパクトで申し訳ないんですけれども、1分でぜひ家入さん個人、そして会社のこと、一番大事なところを、今日お越しいただいている台湾のみなさんにアピールしていただけますでしょうか?

家入一真氏:はい。CAMPFIREという会社をやっております、家入と申します。よろしくお願いします。今は台湾にもいくつかプラットフォームがありますが、購入型のクラウドファンディングとしては、日本で初期の頃からやっているんじゃないかなと思います。

きっかけは2011年の震災ですね。震災の直後にクラウドファンディング「CAMPFIRE」をオープンして、そこから今は8年目に入りました。

もともとは震災支援や社会貢献性の高いイメージがすごく強かったので、今でもNPOやソーシャルセクターの支援が多いんですけれども、それ以外にも、映画の資金集めや出版プロジェクト、あとは古民家を例えばゲストハウスに改装するとか、本当に日本のさまざまな地方で使っていただけるようになってきたのかなと思っています。

僕自身、海外戦略というのは正直あまり見えてはいないんですけれども、よく「課題先進国」と呼ばれる日本の、とくに地方のこれからどんどん若い人が減らざるを得ない地域の中でどういうモデルを作っていくか?

金融包摂(Financial Inclusion)とか言ったりしますけど「そういう新しい金融包摂モデルを作っていくことが、ひいてはやがてほかの国にも訪れるであろう未来に対し、1つのモデルになるんじゃないかな」と信じて、とくに日本の地方を重点的にがんばってやっているという感じです。よろしくお願いします。

(会場拍手)

日本企業が進出しない国への挑戦

出雲:ありがとうございます。家入さんは日本の地方のとくに若い世代の人たちに、新しい金融包摂の機会を提供する、ということをされています。一方で最後にご紹介をお願いする本田さんは、かなりグローバルに展開されています。海外ではもう20〜30拠点ぐらい展開されているんですか? 

本田謙氏(以下、本田):13〜14ヶ国。

出雲:13〜14ヶ国ですでに展開をされているデジタルアドバタイジングで、日本最大の非常に画期的なサービスをやっていらっしゃる本田さんに、今回どういう意図で台北に来たのか、などありましたら、ぜひ教えていただければと思います。台北のみなさんにご自身のビジネスをまずはガツンとアピールをお願いできますでしょうか。

本田:フリークアウトの本田です。フリークアウトは、2010年に創業して、2014年に東証マザーズに上場、今は8年目というところです。先ほど審査員をやってる時に簡単に会社の話をしたんですけど、台湾では2年ほどビジネスをやっております。去年、台湾の大きな広告事業社を買収したこともあって、フリークアウトとしては注力国の一つです。

台湾の方へ紹介するのに一番わかりやすいのが、メッセンジャーアプリのLINEさんの広告システムの裏側を作ったのがフリークアウトです。フリークアウトのテクノロジーをベースにしています。LINEはとくに台湾では使われているので、それでそのような紹介をさせてもらっているんですけど、そんな広告の裏側の仕組みを作る仕事をやっている会社です。

今は台湾はもちろん、それ以外に主にアジアを中心に展開しています。約13ヶ国ほど進出をしておりまして、そうなってくるとメジャーなよく聞く名前のアジアの国はだいぶ押さえられてきたかな、という状態で、例えば、アメリカで自社の話をしても「アジアを一緒にやるんだったらフリークアウトがいいよね」と言って頂けるようになってきました。

(会場拍手)

出雲:ありがとうございます。本田さんのところは海外の売上比率も非常に高くなっているんですよね。30パーセントを超えるぐらいですか?

本田:そうですね。少なくともそのへんを見込んでがんばっております。

出雲:日本、海外、イランも成長して、海外展開の比率は日本の新興企業の中でも非常に高い部類に入っていると思います。

このように、三者三様に海外展開の度合いやステージ、あとは興味の分野もビジネスのドメインももちろん違いますが、違うといっても「もしかしたら、同じところを見て海外にこうやってトップが来ているかもしれない」という仮説が私の中にあります。

IoTテクノロジーの民主化を目指す

出雲:これで簡単にご紹介をしていただきましたから、もう1周したいと思いますが、このセッションのテーマは「perspective」です。日本の企業のトップが「どういう展望で、その地平線の先になにを見つけようとしているのか?」「なにを探しているのか?」ということをぜひ5人からお聞きしたいと思います。

まず玉川さんから、いま一番敏感に反応する話題やテーマとその展望、あとは地域の展望ですね。ロケーションとして、日本でもかまいませんし、海外では、例えば「ヨーロッパにとくに注目している」「うちは、自分はアメリカだ」「いや、ASEANだ」などいろいろあると思いますけれども、技術的な展望と地域と、それぞれ注目しているエリアを教えていただけますか?

玉川:技術とエリアということで、まず技術のほうからいきますと、我々ソラコムは「IoTと通信」というキーワードでやっていますが、IoTってまだまだ難しいんですね。デバイス、セキュリティ、通信、クラウド、アプリケーション様々な専門分野の集合体です。なので「活用のハードルをできるだけ下げよう」というのが我々が直近で取り組んでいるところです。「The Democratized IoT」という言い方をしているんですけど、「IoTテクノロジーを民主化しよう」というのが今の状態です。

ちょっと先という意味だと、通信が今後4Gから5Gになって100倍速くなるんですね。最大10Gになる。そうなったときに、いろんなものが生まれます。VR、スマホ、IoTのデバイスが変わっていくので、それを見据えています。実際、アメリカと中国は今年か来年、日本はオリンピックイヤーのちょっとあとぐらいから5Gが導入されるので、どうなっていくんだろうと楽しみです。そこに絡めて、IoT×AIやIoT×ブロックチェーンというところが非常に興味のあるレイヤーですね。

中期から長期で言ったときには2つあります。やっぱり宇宙です。ソラコムのソラって宇宙の「宙」、コムはコミュニケーション、つまり宇宙コミュニケーションからきているので「宇宙をやらなきゃいけないだろう」と思っています。あと関心がある分野としては量子コンピューターですね。

エリアでいうと、我々はIoTシステムを作りたいデベロッパーや会社向けのサービスなので、デベロッパーマーケットで一番大きいのは、アメリカなんですね。もともと私はAWSにいましたけど、今でもAWSの数兆円の売上のうちの6割以上はアメリカなので、やっぱりアメリカはやらざるをえない、ということでアメリカに一番力を入れつつ、並行してヨーロッパやアジアに取りかかっている、という状況です。

グローバルプラットフォームの最大市場はアメリカ

出雲:「アメリカが重要だ」ということは、もちろんみんな同じことを思っていると思うんですけれども、その分、非常に競争が激しく世界で一番厳しいところじゃないですか?

これは、ほかの「アメリカに注目にしている」という人にも同じことをお聞きしたいんですけど「競争が激しいにもかかわらず、それでもやっぱりアメリカに行かなきゃいけないのか?」それは「ソラコムがどうしてもアメリカからは逃げられないのか?」もしくは「アメリカで勝てる、というなにか目途が立っているからなのか?」なぜそんなにしてもアメリカなんですか?

玉川:そうですね。もともと私はAWSの日本の立ち上げをやっていたので「グローバルなプラットフォームビジネスってすごくいいな」という思いがありました。それでソラコムを立ち上げたのもあって、まずビジョンとして「グローバルプラットフォームを作りたい」と。そのために「アメリカは最大の市場なのでやりたい」というのがあります。

もう1つは、長期的に見たときに、もしグローバルが取れなかったとしたら、プラットフォームビジネスってジリ貧になっていくんですね。グローバル市場は大きいがために、そこを取った会社のパワーがどんどん強くなる傾向にあるので、長期的にはやらざるをえないというのがあります。

出雲:なるほど。ジリ貧になるから後回しにできないし、逃げられないってことなんですね。

あとは技術のテーマで、5GやIoT×AI、IoT×ブロックチェーン、そういったところに注目しているとおっしゃられたんですけれども、今日は午前中にLaunchPadをご覧になられて、率直にいかがでした?

玉川:台湾のスタートアップの人はテクノロジーがすごく強くて非常に感銘を受けましたし、日本のスタートアップは、みなさんコメントされていたんですけれども、すごく芸術的というか、そういう意味で非常に感銘を受けました。

出雲:投資枠が50億円ありますよね。台湾に向ける予定はないんですか?

玉川:興味のある会社があったので、直接名刺を交換しました。なので、ちょっとそこと話をつけて、僕はもう帰ります。

出雲:えっ? いやいや。量子コンピュータと宇宙通信に興味があって、そういったベンチャーにこれから投資しにいくんですか?

玉川:しようと思うので、今から行ってきます。このまま帰るとすごく悪い子みたいになっちゃうので、すいません。私は15時15分に出て16時の飛行機に乗らなきゃいけないんですけど、セッションの開始が45分遅れたので、もう出なきゃいけないということで、申し訳ございません。先に帰らせていただきます。

(会場拍手)

玉川:我愛你、台湾! 台湾、大好きです。また来ます。再見!

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