クラウドサインが提供するソリューションの価値

高橋歩氏(以下、高橋歩):というわけで、少し売上の話も出てきたところで、ここからはミッションの話に移っていきたいかなと思います。

この中で、「いま一番もっとも追っているKPIがリテンションレートだったりとか契約継続率だ」って方、どのくらいいらっしゃいますか?

(会場挙手)

高橋歩:すごい多いですね、そうですよね。我々HiCustomerで調査した時にも、75パーセントぐらいのカスタマーサクセスマネージャーが「これらの指標を一番に追いかけてる」っていう話をしていました。

一方で、だんだんとお客さまの数が増えてくると、新規で入ってくるお客さまよりも既存の売上のほうが大きくなってきたりとか、既存のお客さんをどういうふうにサポートしたりとか、いかに価値を上げていくことによって売上を出していけるか、ってことが大事になってきますと。

そこで今回は、売上とか収益の観点でもお話ができればなと思ってるんですけれども。岩熊さん、御社のソリューションはどういうかたちで、よりお客さまに価値を提供していくんですか?

岩熊勇斗氏(以下、岩熊):価値を提供していく……それはいまお話いただいた収益的な面ですか?

高橋歩:そうです、そうです。

岩熊:まずクラウドサインの料金体系のところだけ簡単に触れさせていただくと、固定費用としての1万円。これは契約の単位…チームっていう単位なんですけれども、それに対しての1万円と、契約書の送信件数に対しての従量費用っていうところで1通100円いただいてます。安いんですよ。

高橋歩:安いですね。

岩熊:100円。あまりこれ超えてしまうとですね、「郵送するより高くなってしまうとどうなの?」みたいなところもあって、できるだけ低価格で、ほぼほぼ電子署名の原価みたいなのでやってます。

高橋歩:そうですよね。

導入の段階でエグゼクティブと握っておくこと

岩熊:はい。なので、(収益は)2軸あります。まず僕らが収益に貢献する点として「従量費用」の部分です。活用してもらえば活用してもらうほどここがどんどん伸びていくので、いわゆるエキスパンションの領域として、かなりここの割合が大きくなっていきます。

もちろんオンボーディングのプロセスを設計するのもそうなんですけれども、その後のタッチポイントにおけるコミュニケーションにおいても、お客様が必要としてるものに基づいて、それこそプロダクトの改善と両輪で、活用の度合いを伸ばしていくっていうのはやっています。

営業の受注段階で、ある一定以上の規模の会社は、当初ROIが合わなくてもわりとハイタッチでしっかり入り込んで、オンボーディングさせます。先ほどの収益軸の観点でいう2つ目で、複数部署の導入で固定費用部分のエキスパンションを狙っています。

そのために、一番最初の導入部署でクラウドサインを入れますよっていう一大プロジェクトとして動かすようなイメージです。おそらくサービス特性ではあるんですけれども、「どこどこの会社の営業の部署の申込書の開始を紙じゃなくて電子化したい。だからクラウドサインを入れましょう」ってなった時に、やっぱりその部署のトップの人っていうのは、クラウドサインを入れて効率化するインセンティブがものすごくあるんです。

でも、例えば書面をつくる法務の方であったりとか、売上計上の処理をする経理の方であったりとか、そのサポートをする事務の方であったりとかはみんな業務プロセスが変わってしまうので、とくに何のメリットもないですよ。

だから導入の頭の段階でエグゼクティブと握って、「将来的に全社で使うんだけども、ここでまず結果出しましょうね」っていうところからしっかりハイタッチで入り込んで、1つのプロジェクトを完遂して成功させる。それから「これぐらい良かったら、じゃあ、次ここやりましょう」っていうストーリーを一緒に描いていく。

そうすると複数チームの契約になって、固定費用の部分が、1万円がそのうち10万円、20万円になり…っていう。そこでのエキスパンションっていうのも生まれる、その両輪ですね。

高橋歩:将来的なLTVを見込んでお客さまをサポートする、っていうところもあると思うんですけど、この前、お話を聞いてておもしろいなと思ったのは、ネットワーク効果も考えてらっしゃる。

岩熊:そうですね。これはクラウドサインの市場選択の幸運みたいなところではあるんですけど、大きい会社がクラウドサインを送ってもらって、たくさん送れば送るほど、受信した人は「何だこれ?」ってなって、「クラウドサイン良いな」ってなって、リード化して、受注につながって、一定の割合で顧客に転換してくれるんですね。

なので、そこのコンバージョンレートが高いのって、やっぱり大企業で、かつ、受け取った側の方も使うようなところであったりするので、そういうところはもちろん手厚く、ちょっと将来的なところも見込んでのコミュニケーションっていうのは取るようにしています。

オンボーディングは「アハ体験」を生むこと

高橋歩:ありがとうございます。今回、「オンボーディングでどういうことをしていくのか?」っていう観点でお話していきたいと思いますけれども、もう1つ、佐々木さんのところも、オンボードの時にやった作戦があるっていう。

佐々木翼氏(以下、佐々木):ありました、ありました。先ほどのお話のなかで、「大きなチャーンがあったからCSをつくった」って言ったんですけど、最初オンボーディングをやろうって決めて、オンボーディングにほとんどのリソースを注力して最適化していったんです。

弊社の課金体系は1年契約で、リニューアルのタイミングでアップセルもしますし、もちろん途中でクロスセルもするんですけれども、アップセル・クロスセルできるとか、リニューアルする人の傾向っていうのは、だいたいプロダクトの活用とか、プロダクトの活用用途、何に使ってるかによって決まってきます。

オンボーディングの段階で、どういう機能を使っているかっていうのを明確にして、それを実装してもらうとか、使ってもらうっていうことを意識してます。

そうしたら「結局、使えなくて解約するのってこういうパターンだよね」っていうのが見えてくるので、それさえなければ結局チャーンはしないっていうのが見えてくるので、オンボーディングのなかで何をやるかっていうのが自ずと見えてくると、っていうようなことを意識してやってます。

高橋歩:価値を感じてもらいやすい機能があって、その機能を早くから使ってもらうことで。

佐々木:そうですね、2つありまして。価値を感じてもらうっていうところでいくと、我々がグロースハックツールなので、アハ体験をどう生むかっていうのを、お客さまに対してなんですけど。

高橋歩:なるほど、なるほど。

佐々木:オンボーディングって結局アハ体験を生むことだな、っていうのが1つあるので、どうやってアハ体験を感じてもらうかっていうのをお客さまとやってます。

もう1つが、業務フローにどれだけ入り込めるか、っていうことを意識してます。データ連携とか、API連携とか、そのあたりですね。

高橋歩:しっかり入り込んでしまえば。

佐々木:そういうことです。スイッチングコストを上げる、っていう。

高橋歩:結果的に、連携すればお客さまも簡単に使えるようになるし。

佐々木:そうですね。

高橋歩:なるほど、なるほど。そういったところで、オンボーディングプロセスを改善していくことによって、結果的にそれがお客さまの価値にもつながるし、それがリテンションレートの向上だったりとかアクティブにつながっていくと。

佐々木:そうです。

高橋歩:従量課金なんでしたっけ?

佐々木:従量課金ですね。なので、自ずと上がっていきます。

高橋歩:そうすると、そこでも成果が上がっていくと。

佐々木:そうです。

カスタマーサクセスもプロダクトづくりで活躍できる

高橋歩:ありがとうございます。昌臣さんのところは、「アップセルの商材がないっていうところから、CSが大活躍をされた」ってうかがいましたが。

高橋昌臣氏(以下、高橋昌):はい(笑)。「CSが」っていうのは、「CSと営業ががんばって」っていう話なんですけども。

高橋歩:あ、そうか。そうですね。はい。

高橋昌:「アップセル商品やりたいよね」と SmartHR として考えていた、っていう前段なんですけども、営業とCSでよく同行に行ったりするので、そこでお客さんの課題をヒアリングをしていました。

それで1個あったのが、雇用契約書の回収や配布がとても面倒くさいというのがわかりまして。うちは、Qiita:Teamっていうものを使って社内共有してるんですけど、そこにですね、ちょっと……。

高橋歩:社内向け掲示板ツールですね。

高橋昌:そうですね。ちょっとポエムっぽいというか……(笑)、「1,000人以上の会社がほしそうな機能はこれだ!」みたいなかたちで、まとめたやつをバンと上げたんですね。そこから「この機能をつくろう」ってなりまして、やっと今年の夏ですね、リリースさせてもらったってかたちになります。

1個きっかけとしては、やっぱカスタマーサクセスがお客さんの課題を現場で知って、それを会社にうまく共有できたのが、1個成功体験かなと思っています。営業もいろいろユーザーの課題っていうのをどんどん拾ってくれるんですよね。そこで「こういう課題ってありそうだけど、どう思う?」っていうのを、営業からもがんばってもらいました。お客さんがほしいものをちゃんとつくったっていう事ができたと思います。

そういった経緯で、プロダクトをつくることに関しても、カスタマーサクセスってすごく活躍できるんだよとか、次のキャリアにもたぶんつながるんじゃないかなと思っているっていうのが、示せて良かったなと思ってますね。

オープンコミュニケーションで意識を変える

高橋歩:けっこうそれまでも、そういったいろんな方々、お客さまと接して、それをQiita:Teamにまとめていく文化みたいなのはあったんですか?

高橋昌:そうですね。もともと営業の商談議事録を、Qiita:Teamに投稿している文化がありました。

高橋歩:じゃあ、誰でも見れるようになってるんですね。

高橋昌:そうですね。全員が見れるので、お客さまの温度感とかがすごくわかるんです。今は商談数が多くなりすぎて記事が埋もれてしまうので、SalesforceとSlackを連携して、議事録をSlackに投げるっていうことはしているので、同じような文化はあるんですけれども。

高橋歩:なるほど、なるほど。そうか、全部公開する文化ですね。

高橋昌:そうですね。オープンコミュニケーションですね。

高橋歩:このイベントスペースもオープンですもんね(笑)。

高橋昌:はい(笑)。

高橋歩:なるほど、なるほど。そういったところから実際につくってきて、営業ないしはCSの方々の意識って変わってきてますか?

高橋昌:そうですね。私はもともと制作系のディレクターもやってたっていうところもあるので、プロジェクトのディレクションみたいなこともやって、リリースまでこぎつけたっていうこともあるので、ちょっとそこらへんはまだわからないですけども(笑)。

まあ、CSのキャリアとしての一歩もそうですし、CSが製品をつくる、考えるっていう、「こんなこともカスタマーサクセスでできるんだ」っていうのは、うまく伝わったんじゃないかなと思ってるし、思いたいですね。

高橋歩:思ってもらってるといいですね(笑)。

高橋昌:(笑)。

コミュニティに関する2つの仕掛け

高橋歩:ありがとうございます。小川さん、先ほどコミュニティのお話してらっしゃいましたけど、コミュニティでもこの収益の観点って、けっこう大きな影響あるんじゃないですか?

小川泰正氏(小川氏):そうですね。まさにそこに寄与できるように、いまちょうどつくってる最中なんですけど。

まず第1弾は、やっぱりカスタマーサクセスおよびサポート部が、お客さまに対してある程度利用促進をしていったりだとか、機能に対する問い合わせ対応をしてるってことに対する工数を削減したい、っていう期待ありまして。それをわかりやすく言うと、たぶんお客さま同士で会話をしていただくことだと思います。

で、そこの仕掛けをどうつくるかっていうのは、まさにユーザーのファイリングから、オフラインコミュニティがあってオンラインコミュニティにどうつなげていくか、っていうこの動線があります。そこがしっかりできると、おそらく当社における工数はだいぶ減らせられるかなと思いますね。

コミュニティを通してファンが増えていくと、勝手に他の部門の人たちにも「使おうよ」って言ってくれたりしてくれる気がしてます。

当社でいうと、いまエンタープライズのお客さまがかなり増えてきているので、エンタープライズのなかでいうと、グループ会社に「使えませんか?」っていうことも言ってくれたりだとか。そういったネットワーキングがかなり広がるかなというふうに思っていて。

広告を使わずリード獲得を増やすには?

小川:もう一つ期待してるのは僕がマーケを兼務することにもなったので、マーケのファネルまでどう展開するかがやっぱりテーマかなと思ってます。

例えばですけど、「Sansan」というワーディングで話すのではなくて、例えば「働き方改革」っていうテーマだとか、「デジタルトランスフォーメーション」だとか、そういうテーマのなかで、「実は当社はSansanというサービスを使ってますよ」っていう話を勝手にしてくれるユーザがでてくることです。

これができたら、当社が広告を使ってリード獲得をしなくても、勝手にその人たちが、「あ、Sansan使ってるんだ」ってなってくれるわけじゃないですか。その状態までどう持っていけるかっていうのを、いま一番テーマとしては大きく持ってます。

高橋歩:そのお客さんのなかから、どう育てていくっていうか、見つけていくとお考えなんですか?

小川:カスタマーサクセスはけっこう個別にハイタッチでやってきたんですね。それは継続してやらなきゃいけないかなと思ってます。

一方で、お客さまのなかの課題って、結局そのプロダクトとかサービスって、所詮は全体像のなかの1つに過ぎないと思うんですよね。なので、もうちょっと上位の概念で、いかにお客さまが課題に考えてることをきちんとキャッチアップし、そのテーマにそった価値を提供するかっていうことが、大事だと思っています。

根底にあるのは、売上ではなくお客さまの価値

小川:そのためには、サービス連携とかもそうだし、さっきお話したような働き方改革などのテーマ感みたいなところが大きいなと思っていて。そういった領域のなかで、どう我々がカバーリングできるか。そうなるとカスタマーサクセスだけでは完結しないんですよね。そこにはプロダクト、マーケティング、セールスとも協力する必要があります。

それはカスタマーサクセスのミッションというより、もう1個上にある会社のミッションみたいなところから、どうやって7人8脚のなかでファネルの最大化をしていくか、みたいなところの展開に持っていけるかですよね。

そういったところにいま一番注力してます。なので、コミュニティっていうところは「まず30人のユーザーファイリングをつくろう」っていうところからスタートしてます。そのユーザが全面協力いただけたら現在の2倍以上の成果をあげられるんじゃないかと。

高橋歩:なるほど。じゃあ、(会場には)候補者がいるんじゃないですか?

小川:もしかしたらそうですね。あの、Sansan使っている方がいらっしゃれば、ぜひ。

(会場笑)

高橋歩:リクルーティングしていただいて(笑)。

小川:はい(笑)。

高橋歩:ありがとうございます。こういったかたちで、リテンションレートとかチャーンレートっていうところだけではなくて、より既存のお客さまのフォーカスをしていくことによって、より価値を上げていく。

1つはこういったいろんな仕掛けをつくっていくことだったりとか、もしかするとその手前にあるメニューそのものをつくっていくことになるかもしれないです。でも根底にあるのは、売上を追いかけるではなくて、あくまでお客さまの価値だったりとか、お客さまのサクセスなんだってところが軸にあるのかな、っていうところを今回お話してて思いました。

カスタマーサクセスのキャリア

高橋歩:というわけで、最後のお話に進んでいこうと思います。「キャリア」ということで、ここまでカスタマーサクセスだけではなく、ビジネス全体を引っ張っていく役割としてのカスタマーサクセスっていうお話をしてきたわけですけど、まあいろんなことが求められています。

なので、これまでのサポート的要素だけではなくて、コンサルみたいな話、営業的な話、いろんなプロダクト的な話、そういったところを担っていくなかで、どういう人がカスタマーサクセスにとって活躍できるかみたいな話を、岩熊さん、前Twitterに投稿してましたよね?

岩熊:(笑)。はい、Twitterに投稿したんですよ。すごくありがたいことに、ここ1年ぐらいはカスタマーサクセスを一生懸命やられている方々との横のつながりというのも、いま取り組んでる人がすごく増えたので、できるようになってきて。お食事をご一緒するような……いや、よく飲みに行くようになって(笑)。

(会場笑)

岩熊:前にこの(登壇者の)5人で飲んだときに感じたんですが、共通するなって思ったのが4つあって。それをツイートしたら思いのほかバズっちゃったってことがありました。

4つ挙げたんですが、1つは「頭の回転が速い」。もう1つが「学びに対して貪欲」。もう1つ……何だったっけ、ちょっと待ってくださいね。

高橋歩:読みましょうか?(笑)。

岩熊:いや、大丈夫ですよ(笑)。

佐々木:さっきメモしてましたよね。

岩熊:聞かれるんじゃないかなって思ってメモしたんですけど……。あ、そうだ。「傾聴力がものすごい」っていうところと、あとは「負けず嫌い」。この4つですね。

傾聴力の高さと、負けん気の強さ

岩熊:意外なことに共通してるんですよ、みなさん。これは個人の感想なんですけれども、「負けず嫌いな人たちって、営業だろ」って思ってたんですけれども、(登壇者たちを指して)まあ、この人たち、みんな負けず嫌いなんですよ。

負けず嫌いなので、なんとかしていい仕事をしようとするところがあるんだな、っていうのはすごく感じていまして。別にセールスっていう職種がどうとかっていう話ではぜんぜんなくて、そことは違ってお客さんにベクトルが向いていて、いい仕事をしようとするっていうところにつながっていて。そういう人がカスタマーサクセスでは活躍するんだなっていうのは、これは確信を持って言えることだなって思いますね。

あとは傾聴力。ものすごく自分でなんとか旗を立てたいって思ってる方は多いんですけれども、一方でものすごく人の話を聞くとか聞き出すみたいなところが、ものすごくうまいなって思います。高橋さんのいまのファシリテート見てて本当にすごいと思うんですけれども。本当にそういう人は、ぜひぜひカスタマーサクセスで活躍してほしいなって思いますし、活躍できるなって思いますね。そういう意図でのツイートでした。

高橋歩:佐々木さん、どうぞ。

佐々木:まあ、酔っ払ってただけかなと。

(会場笑)

岩熊:って思うじゃないですか。あれはシラフですよ(笑)。

佐々木:(笑)。

高橋歩:シラフだったんですね(笑)。とはいえ、この4つをそろえてる人って、まあ、僕らも含めて、もしかしたらなかなかいないかもしれない。

岩熊:そうですね。

セールスからCSへのピボットキャリア

高橋歩:そういったなかで、佐々木さん、採用の話をしているなかで、すごい良いキーワードをこの前おっしゃってたと思うんですけど。

佐々木:あ、そうですね。最近採用をがんばってまして、面談とかをするようになったんですけど、採用を勉強しなきゃっていうところで人事のコミュニティに最近入りまして、勉強してるんです。

そのなかでおもしろいなっていうテーマがあって、「営業のネクストキャリア」っていうのでめちゃくちゃ盛り上がってたんですよ。「営業の次のキャリアは何だ?」っていうので、けっこう難しいらしいんですね。セールスからの次のピボットキャリア、みたいな。まあ、今ちょっと言っちゃったんですけど(笑)。

高橋歩:言っちゃいましたね(笑)

(会場笑)

佐々木:「ピボットキャリア」っていうワードが出てて。とくに「セールスからのピボットキャリアでCSっていうのはめちゃくちゃ良いね」っという会話になり。まだまだ転職市場でCS職は少ないんですけど、徐々に営業からのCS職へのピボットが出てくるんだろうなとは思ってまして。

傾聴力みたいな話ありましたけど、セールスの方はおそらくすごく傾聴力があるし、お客さまが好きだったり、人と話すのが好きだったりっていうのは間違いないので、CSにめちゃくちゃ向いてる。なので、セールスのピボットキャリア先No.1はCSかな、って最近思ってます。

高橋歩:なるほど。ありがとうございます。昌臣さんのところでは、先ほどお話ありました……あれ?ちょっと眠いですか?

高橋昌:……いやいやいや、ぜんぜん。

(会場笑)

高橋歩:(お酒の)3本目いきますか?(笑)。

高橋昌:いや、まだ大丈夫です(笑)。

(会場笑)

小川:いつもどおりですか?(笑)。

高橋昌:いつもどおりです(笑)。

スペシャリスト的な人ならCSでも活躍できる

高橋歩:だんだんと役割分担を細分化していくなかで、やっぱり専門家を採用されるんですか?

高橋昌:いまはそこまで専門家ではないです。

高橋歩:なかなかいらっしゃらないですよね。

高橋昌:はい、いないです。なので、「適性がありそうだな」とか、「過去やっていたことの延長線上でできるんじゃないかな」っていう人を採用できてるのかなといまは思っております。

最近、オンボーディングスペシャリストとして1人採用して、働いてもらってるんですけども、その人に関しては前職でもオンボーディングをひたすらやってた、という人なんですね。その人自身もですね、オンボーディングに対して課題を感じていたっていうところがあって、今我々が抱えている課題をを改善できる人を採用できたと思っています。

それ以外のメンバーも、「元コンサルしていました」とか、「導入支援でがんばってました」といった人たちなので、もともとスペシャリスト的にやってた人たちっていうのは、カスタマーサクセスでもよりスペシャリストになれるんじゃないかな、というのは思いますね。

高橋歩:企業のフェーズにもよるんでしょうけれども、細分化してくるとどうしても専門家を探してくるようになる。一方で初期の頃のケースでは、どちらかというとそういう専門性よりも、先ほど岩熊さんがお話されてたように、基礎的なところとかをより見ていくとさらにいいのかな、っていうところがあったりするんですかね。

高橋昌:そうですね。

注目されるチーフカスタマーオフィサーという役割

高橋歩:あとは小川さん、さっき「働き方改革」っていうキーワードが出てましたけど、SaaSのカスタマーサクセスこそ働き方改革になるって話、いただきましたよね。

小川:そうですね。働き方改革を語るうえで仕事内容は非常に重要だと思ってます。カスタマーサクセスの仕事って働き方改革につながる新たな職種になると思っていて。LinkedInのデータによると、トップ3に入る、いわゆる需要がある職種のなかにカスタマーサクセスマネージャーっていうのが入ってるんですね。

それはIoTが進化したりとかして、結局いろんなものがクラウド化していくなかでいうと、今までコンサルやっていたりだとか、オンプレミスの受託の仕事をしていたりだとかっていう、いわゆる労働時間の長い人たちがもっと効率的に成果をだせる働き方を探すタイミングにきてるかと。良いプロダクトをもった事業会社で裏側のデータを活かしながらカスタマーサクセスする仕事に職種転換するという事例がグローバルではおきてます。

そういう意味でいうと、さっき「セールスからのピボット」っていう話もありましたけど、おそらくカスタマーサクセスマネージャーという立ち位置で、データも分析できるし、ハイタッチのコミュニケーションもできるし、みたいなことが求められてるかな、とは思います。

で、そういう意味でいうと、カスタマーセントリックが、けっこう大きくなるかなと思っていて。職種としていま注目されているのはチーフカスタマーオフィサーという仕事だと思います。いわゆる責任を持って全顧客を見ていく、そこから新規プロダクトを生み出していったりだとか、ネットリテンションのところの責任を持っていくとかみたいなキャリアがあるかなと。

これからはストック型ビジネスの時代に

小川:さっきの働き方改革って何なのか。冒頭の話に戻るんですけど、僕はフロー型のビジネスっていうのは、これから終焉を迎えると思ってるんですね。全部ストック型のビジネスになっていくと思っていて。フロー型のビジネスは、生き残りますが、昭和のごとくがむしゃらに働くしかないかと。基本的にストック型にはやっぱり勝てないなと思ってます。

ストック型は資産としてサービスが残るわけじゃないですか。日銭を稼ぐようなビジネスモデルじゃないっていうことだと思うんですね。それは、1年契約っていう契約のなかで価値をちゃんと提供できればいいので、「今日という価値よりも、LTVを考えたうえでの価値だ」と変わってくると思うんですね。

それって結果的に何に跳ね返ってくるかっていうと、仕事の仕方に跳ね返ってくると思っていて。毎日あくせく仕事をするっていう仕事じゃなくて、リモートでのサポートによる価値提供、データ分析に基づく次のソリューションを提供するという頭を使った支援になると思います。そうなってくると時間や物理的な制約に関係ない働き方に変わってくると思うんですね。

最も活躍できるのは「主婦層」

小川:そうなってくると、活躍の幅が主婦層に広がると思ってます。女性の優秀な人たちが、時間、物理的な制約に関係なく子育てをしながらでも、マネジメントや顧客支援をできるんです。

時間、物理的な制約に関係ない働き方がカスタマーサクセスだとできるという点で、さっきのセールスからのピボットがあり得るのかなあと。そういう意味では、女性の働き方は大きく変わる気がしてます。

まさに、アメリカでやったカスタマーサクセスのイベントに僕らが行った時に、そこに5,000人ぐらいの方がいらっしゃったんですけど、約半数が女性だったんですよね。

それは大きな価値観変換につながりました。日本でも「働き方改革だ」とか「女性の活躍だ」とかって言ってるけど、実現できるかどうかは、これからのストック型ビジネスの浸透度合いなんじゃないかと。

高橋歩:ここにいる、いま30人とちょっとのメンバーが、例えばその働き方をどういうふうにしていくかとかでも、日本のカスタマーサクセスが変わるかもしれないじゃないですか。

小川:はい。

高橋歩:その観点でいうと、僕らががんばって変えなきゃいけないし、僕らがつくっていくことによって、自分たちが満たすべき方向性みたいなものを決めていけると。

小川:そうですね。

高橋歩:という感じでキャリアについてのディスカッションを締めたいなと思います。

小川:(笑)。

カスタマーサクセスを数字が追えるチームに

高橋歩:というわけで、ここまでですね、「組織」「ミッション」「キャリア」ということでお話をしてきましたが、最後に一言ずつですね、今年、「2018年、私のコミットはこれ!」っていう話を、じゃあ、昌臣さんから順番にお願いします。

高橋昌:私はこの7月からの半年間に関しては、カスタマーサクセスチームを数字を追える組織にしていきたいなと思っています。それがコミットの1つです。

あともう1つは、セルフサーブをできるような体制を整えたいなと思っています。

小川:冒頭ちょっとお話した話とかぶるんですけど、日本におけるカスタマーサクセス元年だと思っていて。たぶん長いビジネス人生のなかで、新たな市場をつくれるっていう瞬間って、僕はなかなかないと思っていて。

それはもしかしたらITというものが2000年代にグッと広がった時に、IT系の職種とかが増えたりとか、社内における情報システムみたいな職種が一気に増えただとか、新たな職種が生まれる瞬間に関わるってなかなかできないと思ってるんですね。

そういう意味でいうと、カスタマーサクセスというものが良いタイミングで、市場感がホットになってきてると思います。そのなかで自分たちができることを最大限やっていくしかないですよね。

カスタマーサクセスにおいて情報のオープン化が大事だと思ってます。それぞれがクローズになにかしても仕方がないなと思っていて。やってることをオープン化させて、そういったなかでカスタマーサクセスに関わってる人たちが成功体験をどんどんどんどん広めていくことによって、興味をもつ人たちが増えますよね。

自社というよりは日本という国のなかで、カスタマーサクセスが広がっていくことに一役担いたいなって思います。今カスタマーサクセスに関わっている人同士で手と手を取り合って新たな市場をつくりたいなって心から思います。

パートナーサクセスとセルフラーニング

高橋歩:ありがとうございます。岩熊さん。

岩熊:そうですね。クラウドサインでは、カスタマーサクセス以外のチームもすごくがんばってかなり早い段階で立ち上げて、セールスパートナーであったりとか、SIパートナー、コンサルティングパートナーとかっていうところを立ち上げて、うまく回してくれているので、クラウドサインの商流としては、直販以外のパートナーからの受注といったところも、すごく増えています。

そういった中で、もともと日本で、いわゆる代理店ビジネスみたいなことをされていた方のなかに、カスタマーサクセスみたいな、そもそもSaaSを取り扱ったことがない方であったりとか、そういう仕組みを持っていない方々がクラウドサインにすごくコミットをしてくださっているので。

せっかく彼らがそういう組織というかチームも立ち上げてやってくれているので、そこでうまく「クラウドサインを使いたいです」っていう間口を広げてくださった方が、きちっとクラウドサインを使ってサクセスにつながっていく。

もちろんプロダクトもそうですけれども、彼らの組織のなかにクラウドサインのカスタマーサクセスチームの「コピー」と言ってはなんですけども、そういう活用をしてもらうことで、パートナーのレベニューにもしっかり貢献をしていけるようになると思います。

「パートナーサクセス」って言ってしまうとセールス的な側面とかも持ってしまうので、ちょっと認識ズレてしまうかなって思う部分ももちろんあるんですけれども、レベニューの部分でしっかりと貢献していけるっていうところは、立ち上げきりたいなと思っています。

高橋歩:ありがとうございます。佐々木さん、いかがですか?

佐々木:はい。だいたい出てきたなかにあるんですけど2つありまして、パートナーサクセスとセルフラーニングにしようかなと思ってます。

文脈としては、グローバルに市場を広げたり、Reproが年1回ビジネス領域を広げるという特色があるので、やっぱりテックタッチやロータッチの領域を、広げていかないといけない。そのなかでセルフラーニングの仕組みと、あとはパートナーとのエコシステムを、つくっていく必要があるなと考えてます。

自社のためではなく、カスタマーのために

高橋歩:ありがとうございます。ちょっと僕の話してもいいですか?

佐々木:もちろんです。

高橋歩:HiCustomerっていう会社に入ったのは、みなさんのようなカスタマーサクセスマネージャーの方々と一緒にカスタマーサクセスの市場をつくっていきたいから、みなさんと一緒に仕事したいからなんですね。なので、私の目標は、まずは2018年中にHiCustomerをしっかりみなさんにお届けできる状態にすること。そして、HiCustomerの提供を通じてみなさんのカスタマーサクセスをサクセスさせるお手伝いをしていきたいなと思っています。

最後にですね、今日いろいろなお話があったと思うんですけれども、自社の観点じゃなくて、やっぱり一貫してお客さんの観点でずっとお話が進んできたと思うんですよね。なので、自社の都合のためではなくて、「カスタマーのハッピーのためのカスタマーサクセスを目指していこう」みたいなところをキーワードにして、本日は締めさせていただきます。ありがとうございました。

(会場拍手)