日本でKickstarterを使うときの壁

西脇資哲氏(以下、西脇):こっち(スライドの下)の商品(Qoobo)はクラウドファンディングのKickstarterですね。

青木俊介氏(以下、青木):はい。

西脇:Kickstarterを実際にやられて(資金を)集めて成功されたんですけど、ちょっとどんな経緯でどんなご苦労があったか、そのあたりを教えてください。

青木:そうですね。僕たちがKickstarterをやるのは2回目だったんですけれども、やっぱり日本人がやってるプロジェクトはなかなか話題になりづらいというのがすごく……。なかなか大きい金額になりづらいということがあります。

西脇:牧田さんが笑ってますけど。大きい金額になったじゃねえかみたいな。

牧田:いや違うんです。私が(Qooboを)いじってるのを(青木さんが)心配そうに見てるから。

(会場笑)

西脇:壊れないように(笑)。

牧田恵里氏(以下、牧田):(続きを)しゃべってもいいですよ(笑)。

青木:はい(笑)。Kickstarterさんは、ちょうど昨年9月に日本オフィスを出して、日本のプロジェクトも支援する体制をちょっとずつ増やしていたんです。

西脇:日本だとどうですか。Kickstarterさんのほかに、クラウドファンディングで有名なところが2社ぐらいありますけども。

青木:正直、やっぱりまだまだ国内勢の(クラウドファンディングの)ほうが国内では目立つというか。国内のクラウドファンディングのほうが、支援者や大きい金額を集めることができると思うんです。

西脇:Kickstarterを選んだ理由は、当時有名なのがそれしかなかったからですかね。

青木:いえ、これは昨年10月にやっています。

西脇:ああ、これは新しいですか。

青木:はい。私は以前に1回Kickstarterでやったことがあって、その本部の方ともつながりがあったので、もう1回、日本初で海外に行くというのは、たぶん今日のテーマとも重なると思うんです。

牧田:「グローバルに行け」ということですね。

西脇:それだったら、Kickstarterで続けてやったほうがいい。

青木:はい。

西脇:Kickstarterはどうですか。

牧田:昔はあれでしたよね、amazonでしたっけ。米国法人がないと出せないとか、そんなことを言ってましたね。

西脇:昔はそういうのありました? 

青木:はい、ありました。

西脇:今は世界中誰でも出せるように。

青木:いえ、やっぱりオフィスがあるところだけですね。

coolとかわいい、アメリカと日本の反応の違いは?

西脇:CES(Consumer Electronics Show)が一つのきっかけだったと思いますけれども、この商品(Qoobo)を逆に世界に売り込もうと思ったとき、どういうことをされましたか。

青木:そうですね。やっぱり動画にはかなり力を入れて、なるべくきれいなものをつくりました。本当に広めるのは動画じゃないと難しいと思うんです。最初に発表したYouTubeのビデオを、ものすごいバイラルメディアで世界中のメディアで紹介していただいて、そこから海外のメディアからもたくさん問い合わせが来て、実際にアメリカのテレビ番組で紹介していただきました。

西脇:ご自身が。

青木:私も何回か出ました。

西脇:本当ですか。こうやって(Qooboを撫でて)かわいがってかわいがって。

青木:そうですね。一緒にアメリカのおばあちゃんに会いに行こうみたいな企画で、老人ホームを訪問しておばあちゃんに触っていただいたりとか。

西脇:アメリカの老人ホームはかなりしっかりしたのがありますからね。

青木:でも、やっぱりペットは飼えないみたいで、おばあちゃんたちが「This is cool!」みたいな感じですごいノリノリでした。

西脇:そのへんは日本と違います? 日本のおばあちゃんがなでなでして「クール!」とかは。

青木:「クール!」とまでは言わないですけど、日本でもけっこう喜んでもらえましたね。やっぱり受け止める反応は日本人とアメリカ人で違っていて、日本だとほとんどの人が「かわいいね」と言うんですけど、アメリカだと4分の1くらいの人が「顔がないと嫌だ」と言う人がいますね。

西脇:そう聞きました。顔とか口は言いますよね。

青木:そうなんですね。

西脇:だからキティを向こうに持っていったときに、サンリオさんがすごく苦労なさったのも口ですよね。差別的になるから。それはすごく言われます。

海外展開のヒントは現地で得る

西脇:牧田さんはロックの仕組みを海外に持っていこうと思ったとき、どういう戦略にしようというお考えはございますか。

牧田:今ちょっと試していますが、CESはもう4年連続参加してます。今のtsumugは創業3年目になるので、tsumugの始まる前からCESに行って、みなさんがこんなふうにやってるのかとか、こんなやりかたがあるのかと見ていました。

西脇:やっぱりCESは勉強になりますよね。

牧田:そうですね。今年はSands Expoですごく大きなブースを持たせていただきました。メルチャリを持っていったんですけど、入国審査のときに「こっちで買ったほうが安いぜ」と審査官に言われて、そんなのわかっているんだけど、この(メルチャリの)ロゴが入ってるのが大切なんだよと(笑)。

西脇:そうですよね。海外の方の反応はどうですか?

牧田:すごく良かったです。今年はけっこう日本のメディアさんも海外のCESに注目していただいて、NHKワールドさんとかも来てくださって。NHKワールドで(取り上げられたおかげで)当時は海外の方からの問い合わせが増えましたね。「なんで増えたんだろう」と思ったら、「あ、そうだNHKワールドだ」と。

西脇:聞いた話ですと、CESに今年も何人か社員の方も(行かれたとか)。

牧田:そうですね、インターンも含めてですけど15人ぐらい。

西脇:インターンの方も会社がお金を出して。

牧田:そうですね。アメリカにいるメンバーもいたので、アメリカはもうそのまま国内線で来てもらって、とか。

西脇:やっぱりCESは勉強にもなりますし、継続的に出してることって意味があるんですね。

牧田:CESはやっぱり継続して出していくのが一番おもしろいと思います。定点観測もできるし、やっぱり今はハードウェアだけじゃなくてサービスと一緒に提供される方も増えてきているので、ハードの単体売りというよりは、いろいろサービスをつけて(提供しています)。

CESから見える日本と世界の相違点

牧田:去年(のCES)は、Alexa祭りですよね。

西脇:Alexaだらけですよ。

水野雄介氏(以下、水野):ニュースで、トヨタとSwitch Labの任天堂はよく見ましたけど。

西脇:去年は車だったんですよ。

牧田:私、4年前も思ったんですけど、日本にいると、ラスベガスの家電フェアのニュースには、モーターショーばりに車しか映ってないんですよ。

西脇:そうなんですよね。本当に車しか映らないですよね。

牧田:でも、車の会場は全体の4分の1もないので、もうちょっといろんなものを映してほしいですよね。

西脇:「現地に行け」という話ですよね。本当はCESは、コンシューマー・エレクトロニクス・ショーなんですけど、今おっしゃったように、車のブースがすごくメディアでも見えるんですよね。モーターがあるからなんですかね。

青木:やっぱり、日本企業が一番力を入れてるところは車メーカーが多かったのかなとは思いますね。それで、日本のメディアだと車がすごく目立つ、ということはあると思います。

牧田:今年はけっこうsleep techとか、baby techとか、healthcare tech以外のいろんなカテゴリーが増えてますね。

青木:そうですね。リストバンドで運動量が測れるというようなものはだいぶ淘汰されてきて、その代わりにベッドにセンサーが入ってるとか、よりよい睡眠ができる抱きまくらとか、そういうのがいくつもありますよね。

牧田:VRをやってるのかなと思ったら、睡眠に良い脳波をコントロールするためのデバイスとか。

青木:それこそ、教育用のプログラミングが学べるロボットみたいなものとか。

西脇:ライフイズテックさんもあってもよさそうですね。

水野:はい。今年はちょっと(CESに)出たいなと思っています。

ビジネスで世界に進出するためには何が必要か

西脇:さて、お三方におうかがいしたい。世界に進出するためには、会社をつくって、大きくして、世界を見据えるビジネスをやらなきゃいけないんですけど、やっぱり重要なことがいくつかあると思うんです。

例えば英語なのか、あるいはマインドなのか、それか知り合いの人脈か、海外進出まで見据えた会社をつくって、それを実現させるためには何が重要なのかというキーワードをちょっといただきたいと思います。一つないしは二つで考えてください。

つまり、今日いらっしゃっている方に、「これは大事にしておけ、これは学んでおけ、これは今やっておけ」ということを書いていただきたいと思っています。じゃあ、お願いします。その(書いていただいている)間、私がちょっとしゃべってます。

ちなみに私はよく、スタートアップの方の資金の話とか、「マイクロソフトで取り扱ってよ!」みたいな話があって、売り込みもけっこうあるんですけど、一貫して申し上げていることの一つは英語なんですね。

外資系にいると、それをすごく感じるんですよ。「外資系だから英語しゃべれるだろ、西脇さん」じゃなくて。私はそんなにしゃべれないんですけど、度胸なんです。

海外の方は、(相手が)たじろいでる瞬間に「ああ、もうこいつ駄目だ」と思っちゃう。英語が上手いか下手かじゃないんですよ。単語が素晴らしいか素晴らしくないかじゃないんです。そんなこと言ったら、イギリス人の英語ってすごくきれいですからね。「うわあ、いい英語しゃべるなあ」と思いますから。

ただ、やっぱり(相手の)度胸とか、落ち着きですごく見計らうんですよね。そこでたじろいでしまうと「まあこいつ、俺の話なんて聞かねえよ」という。けっこう最初のインプレッションが大事なんですね。

それが一つかなと思います。その次に技術力や人脈ですね。マイクロソフトにいるとやっぱりそういうことを感じます。さて、三名の方におうかがいしたいと思います。