2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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廣田憲幸氏(以下、廣田):それでは、先ほど私のほうで収益化の視点というところでお話しさせていただきましたが、実際のところどうなのかというところをいろいろ掘り下げてお聞きしたいなと思っています。よろしくお願いいたします。
まず、プロダクションI.Gの郡司さん、よろしくお願いいたします。
郡司幹雄氏(以下、郡司):よろしくお願いいたします。
廣田:プロダクションI.Gは『攻殻機動隊』を作ってたりするところですね。シーエスレポーターズGugenka事業部(以下、Gugenka)の三上さん、よろしくお願いします。
三上昌史氏(以下、三上):よろしくお願いします。
廣田:Gugenkaは、先ほどもご紹介ありましたが、『キンプリ』だったり、『Re:ゼロ』などのVRコンテンツを作っていらっしゃいます。
スクウェア・エニックスの坂本さんはここからの登壇になりますので、簡単に自己紹介と担当したコンテンツの紹介をしていただけますか?
坂本師哉氏(以下、坂本):はじめまして。スクウェア・エニックスでプロデューサーをやっている、坂本と申します。私はずっとスクウェア・エニックスにいたわけではなくて、開発会社のほうにおりまして、外回りの営業からディレクター、プランナー的なところまでやっていたような経緯になります。
今いる会社の仕事をいくつも受けている間に、スマートフォン向けの人間として「入社せい」という感じで、今の会社に移っております。スクウェア・エニックスでは、弊社ではほとんどない、女性向けのコンテンツを作っているような感じになります。よろしくお願いします。
廣田:作られている『君と霧のラビリンス』についても、少し説明していただいてもよろしいですか?
坂本:まだリリースはしていないので、ちょっと事前のものになるんですけど、こちらPVになります。
弊社の月刊誌『Gファンタジー』で漫画を書いているNAOE先生という漫画家さんにキャラクターデザインをしていただいていまして。閉鎖された学園島にフォッグという敵が現れるんですが、フォッグと戦うために学園の生徒たちと一緒にがんばっていくようなお話になっています。
廣田:ありがとうございます。それでは、メガハウスの滝野さんもここからの登壇になりますので、簡単に自己紹介お願いします。
滝野耕平氏(以下、滝野):ただいまご紹介いただきました、メガハウスの滝野と申します。
簡単に弊社の紹介からいきますと、バンダイナムコグループのおもちゃメーカーとして、オセロ、ルービックキューブのような玩具、他にはハイターゲット向けのフィギュアなどを販売してる会社になります。
そのなかで、私は玩具やキャラクター商品の商品企画を担当していたのですが、昨年よりVR関連の開発を手がける部署に異動しまして。ドラゴンボールのVRの前弾である「BotsNew VR」という商品や、今回の「BotsNew Characters VR DRAGONBALL Z」のアプリや、商品デザイン全体のディレクションを務めさせていただいております。
こちらはいわゆるスマホをセットして体験していただくタイプのVRで、スマホをセットすると自分がドラゴンボールZの世界に入ったかのような体験ができます。
これはあとでもう一度説明させていただきますが、「『かめはめ波を撃ちたい人』と『孫悟空になりたい人』は違うんじゃないか?」というところで、今回はかめはめ波を撃ちたい人、ドラゴンボールならではの「あれやってみたい、これやってみたい」を叶える商品として開発させていただきました。
廣田:ありがとうございます。それでは最初の質問です。1つ目の質問は「“VRならではの体験”としてこだわったポイントはなんですか?」という質問です。
「制作・演出の観点から」と書いているんですが、やはりなんでもVRにすればいいというものでもないと思っていて。そのときに、VRならではの体験としてこだわっていたポイントってどこだったのか、おうかがいできればなと思っています。それでは、郡司さんからお願いします。
郡司:攻殻機動隊のVRは、東(弘明)さんという方が監督やられていまして、その方が演出をされています。
いわゆるアニメーションというのは、(セルゲイ・)エイゼンシュタインが作ったモンタージュ手法という演出を組み合わせて作っています。例えば、仮面ライダーが飛ぶときは、「とうっ!」って言ってジャンプするカットと次に、バーンと着地するカットをつなげると、飛んでいるように見えるという演出手法です。
ですがVRで360度の映像にするとそういう演出手法は使えないので、主観と客観が前後に入り乱れるというかたちの演出手法を東さんはとられています。
自分の主観だと思って画面を見てると、カメラがずーっと引いていって客観に入っていく、という演出がうまく使われていて。そういうところにこだわられて作っている感じはします。
廣田:例えば動画のVRの場合、ユーザーさんの視点がずっとそこに留まってしまうようなこともあったりするかと思うんですが、その点はどういった工夫がされているのでしょうか?
郡司:先ほど申し上げたように360度映像があるので、その部分で、主観だと思ったら客観になっているとか、キャラクターの声が後ろから聞こえると、後ろにキャラクターがいるとか、そういった工夫がされていますね。
廣田:ありがとうございます。
廣田:ではGugenkaの三上さん、よろしくお願いします。
三上:先ほどお話しした、「いつプレイしていただくのか」というところで、もう1つこだわってるところがありまして、想像力でカバーしてもらう、妄想力でカバーしてもらう余地を残す、というところをけっこう大事にしました。
具体的には、普通のゲームだと村人が同じことを2回3回繰り返し話してもあまり気にならないんですが、VRでキャラクターが同じこと繰り返すと一気に現実に引き戻されてしまいます。
たぶん人との会話の中でもお互いになにもしゃべらない無言のシーンってけっこう多いと思うんですね。これが突然何度も同じことをオウム返しに言ってしまうと、不自然だと思います。
なので『Re:ゼロ』のVRに関しては、膝枕で最後「おやすみ」と言ったあとは、キャラクターは二度としゃべらない。なぜかというと、もう「おやすみ」と。「もうそのまま目瞑って」というような感じで、そこから先はユーザーさんの妄想の世界でカバーしてもらうというわけです。
本当は人工知能やたくさんのボイスであらゆるものに対応できるのが理想なんですけれども、現状でそれはなかなか難しいと思うので、ユーザーさんに想像力でカバーしてもらう。小説のような、少し余韻を残すような演出はありかなと思っています。
廣田:なるほど。ありがとうございます。先ほど「シチュエーションを区切ってしまう」というお話があったんですが、その話を聞いておもしろいなと思ったのがタイトルですね。
ゲームのタイトルとかも「お昼寝VR」とか「膝枕」とか、タイトルですでにそれを言っているので、タイトルでシチューションを区切りにいっているとか、そういった考えもあってああいったタイトル(注:タイトルに「膝枕、添寝編」とついている)をつけられているんですか?
三上:それはこれからもっと特化してやっていきたいと思ってるんですが、タイトルからして、ユーザーさんに「これはゲームだ」と思われてしまうと、ゲームとしてのおもしろさはゼロなので「これゲームじゃないですよ」と。
Gugenkaの公式のサイトを見ていただくとわかるんですが、「デジタルグッズ」って書いてあるんですね。「これはグッズなのでゲーム性を求めないで」と。「体験コンテンツなんです」ってところを主張するためにも、あえてタイトルはこだわっていって、「おやすみ」と、「お昼寝」にしています。
廣田:ありがとうございます。それではスクエニの坂本さん、お願いします。
坂本:『キミキリ』というタイトルでは、VRの体験を2つの軸で考えています。1つは三上のさんのおっしゃっているように、限定された空間の中で、添い寝だったり膝枕をするというものという考え方。
もう1つは、少し広い空間の中で、キャラクターたちが歩いてたりしゃべったり、日常の会話をしているというパターンの2軸で考えております。
後者に関しては、同じことを繰り返しパターンをずっと見続けるのはすごくストレスが溜まるのと、本当にそこにキャラクターはいるんだけれど「なんか違うよね」という違和感を感じるという問題が、開発の中でもありました。そこは物量でカバーする感じで対応しています。
なので、例えばなでなでしてもらえるというシーンでは、自分自身が体験するものと、端から人をずっと見て眺めているような2つの軸で考えています。
廣田:ありがとうございます。では最後にメガハウスの滝野さん、よろしくお願いいたします。
滝野:今回、ドラゴンボールのVRということなんですが、ドラゴンボールは本当に幅広い世代の方に浸透してるコンテンツで、「自分にとってのドラゴンボールとは?」みたいなイメージにかなりさまざまなバリエーションがあるんですね。
そうしたさまざまなファンの方の意見を頂戴するなかで、例えば「子どもの頃、手と手の間に力を込めればかめはめ波撃てると思ってた」みたいな人はすごい多くて。逆に、悟空になりたい人とかピッコロになりたかった人って実はそんなにいなかったんです。
今回は、ドラゴンボールの「あれやりたい。これやりたい」を叶えるということが、みんなVRのドラゴンボールでやりたかったことなんじゃないのか、ということで、そこに的に絞りました。
結果として、「かめはめ波が撃てますよ」「舞空術で空を飛べますよ」とか、あとは「スカウターで戦闘力を測れますよ」というのを、様々なコンテンツとして今回ご用意させていただきました。
廣田:ありがとうございます。小学校の時に、「自分、かめはめ波撃てるんじゃないか?」って思い込んでいたのをちょっと思い出しました(笑)。
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