病院に夢や魔法を届ける「Digital Hospital Art」

吉岡純希氏:よろしくお願いします。「Digital Hospital Art」というプロジェクトで登録させていただいておりました、吉岡と申します。よろしくお願いします。まず、本題に入る前に、簡単に自己紹介させていただきます。普段、僕は看護師をやっていて、訪問看護といって患者さんのお宅に伺って看護をしております。

そして、「vvvv」というメディアアートのプログラミング言語があるんですけれども、日本のコミュニティの運営をしており、その普及の活動をしています。明日も実はここでプロジェクションマッピングの初心者用のワークショップをやろうかなと思ってますので、よかったらお越しください。よろしくお願いします。

本題に入ります。Digital Hospital Artというプロジェクトを進めております。「病院に夢や魔法を届けたい」「身体可動制限があっても自由に表現できる世界をつくりたい」「医療現場に当たり前にアートが溢れるようになってほしい」ということを、3つの目標にしています。

小児の子どもとかで、病院に入院していて、退院してもディズニーランドに人混みだったら行けないとか、そういった子たちに魔法を届けたり。筋力がどんどん衰えていくことがわかっていて絵が好きな人なら、筋力が衰えても絵がかけるようにテクノロジーでサポートしたり。

医療現場では、ちょっとしたテクノロジーの力で、夢を与えたり、生活を豊かにしたり、改善していけることはいっぱいあるので、そういう考え方を広く知ってもらえて、きっかけになればいいかと思っています。

そして、医療の現場でもアートが解決策の1つとして考えられるような文化が形成されるといいなと思っています。

PAAKに入るまでは、介護施設や国立の病院でボランティアでプロジェクションマッピングをしたり、病室をまわって、季節を届けられるような、インタラクティブなアート作品をプロジェクターを使って届けていました。

あとは、身体可動制限に合わせたプロジェクトも行っています。身体可動性に合わせた作品の具体例ですが、Leap Motion(手の動きを認識する)とか、アイトラッカー(目線を解析する)などのセンサーを使っています。ある程度、制限されてる手の動きだったりとか、目線の動きで何か外部に変化を与えることができるという体験ができるようプログラムを制作し、実際の医療現場で使用させていただきました。

また、ダンスが好きな車椅子生活の中学生のためのプログラムを書いて、一緒にダンスバトルをする作品の制作もしました。普段使っているなじみ深いであろうWiiコントローラーを使って操作できるようにしました。

遠隔でのプログラミング教育や研究活動をスタート

今期の成果発表ということで、ここ半年間で目指してきたことについて発表させてもらいます。いままでのこのプロジェクトについて、広く知っていただく機会がなかなかなかったので、どうやって広く知ってもらうかを考えて、半年間過ごしてきました。

メディアへの露出、医療機関での常設の展示、遠隔でのプログラミング教育、研究のスタートが大きなトピックです。

まずやってきたことは、メディアへの露出です。美術手帖さんのウェブメディアの「bitecho」に取り上げていただいたり、日経メディカルさんにも取り上げていただくことができました。

また、いままでクリニックでプロジェクションの常設を見かけたことがなかったので、NPOアーツプロジェクトというホスピタルアートの団体の制作に関わらせていただき、その一部ですが、プロジェクションとインタラクションで常設のプログラムの制作をしました。

さらに、遠隔でのプログラミング教育も行いました。以前、プロジェクションをさせていただいた病院の療育指導部という子どもの教育をしている部署の方からの申し出があり、2ヶ月ほどかけて、一緒にvvvvを勉強し、、病院に遊べるプラネタリウムを届けました。

プログラマが不在でも広く実施できるためのプログラミング教育と、他者に運用してもらうための伝えるべき情報を整理し伝えられるよう準備しています。

このプログラムに関しては、アドベントカレンダーのvvvvのところに上げ、オープンソースとして使えるようにしています。

また、研究のスタートも、医療においてはとても重要なので進めはじめております。デジタルアートだけではなく、デジタルファブリケーションと看護というところで研究をスタートしています。

実際、脊損の方で、手が何か字を書こうとしたときに、ぐっと力を入れると、ぱっと、なんて言うんだろう、手がこう逃げてしまう。なので、力をかけて字を書けない人のための自助具を作ったりとか。その人の身体的な状態、個別性に合わせたものを作っています。

他には看護技術の教育のためのモデルを作っています。実はこれ顔のモデルなんですが、鼻から喉の奥のほうまで入っていくようになっていて、看護師が行う吸引の手技、吸引って痰を吸う手技の教育のためのものです。

これは看護師への技術教育にもなるんですけども、在宅を意識したときに、家族がやらなきゃならないときが発生するかもしれない手技ではあります。自分のお父さんとかを、おじいちゃんを想像したら、吸引をするのはすごく怖いと思います。そういう人たちのために、練習できるツールを考えてみました。

筋電義手の子供のための楽しめるツールについても取り組み始めております。筋電義手は、大人の人が付けてるのは見るんですけども、上肢欠損の子どもは重たくて邪魔だと思ってしまったり、必要性が理解できないということがあるようです。

筋電のデータを取ってきてそれをリアルタイムにビジュアライズすることを、まずスタートとし、子供が純粋に楽しめるものを作りたいと思っています。子供に楽しんでもらえるテクノロジーについて考えております。

医療現場にテクノロジーとアートを

今後の展開なんですけども、このプロジェクト自体がほぼ1人で動かしてきて、プロジェクトごとに組織や友人を巻き込むという体制でした。そのため、今後は組織化し、アーティストやテクノロジーの専門家たちともっと一緒にやっていって、よりクオリティの高いものを作っていきたいと思います。

そして、もっと多くの人が病院でのデジタルアートのプロジェクトを動かせるような仕組みを作りたい。また、先ほど紹介した研究的アプローチを継続しつつ、テクノロジーとアートを医療現場と身近にしていって、根拠をもって、実際医療現場で実用可能なものをどんどん作っていけたらと思っています。

半年間PAAKを使わせていただいてありがとうございました。今回3Dプリンターとかプロトタイピングだったりとか、プログラミングをやっていく上ですごい良い環境だったのでとても感謝しております。本当にありがとうございました。

強い組織を作るための社内情報と実績共有ツール

井原正博氏:よろしくお願いします。井原と申します。私は社内情報と実績共有ツールを開発しております。こういうサービスをやろうとしているんですが、まだ世の中に出せていなくて、見せられるものがないのですが。

半年前にここで話をさせていただいた時は、社内の情報共有ツールみたいなものをなんとなく考えていたんですけれど、もうちょっと考えて情報共有するにあたって、そのツールを使うと強い組織が作れるツールというものを目指しています。

強い組織の作り方というのは、例えば37Signalsの話であったり、Team Geekであったり、もちろんいろいろな考え方があるとは思うのですが、ある程度フレームワーク化されてるものだと思っています。他の何社かで組織をつくっていく仕事もやらせていただいてるんですけれども、どこでも言ってることは全然変わらなくて、考えてみるとどの会社に行っても同じことを言っています。もちろんそのやり方が必ず正しいわけでもないし、やり方がそれしかないわけでもないですが、僕は成功する確率が高いと思っているものがあります。

個人の責任範囲を明確にしましょうだったり、高い目標設定、例えば「月を目指さないとロケットを作ろうとは思わないよね」という話であったり、情報をオープンにしましょう、隠していてもしょうがないし、個人の頭の中にあっても何にも活用されません、だったり。細かい違いは各社あれど、まずやるべきことはだいたい同じじゃないかと。

大事な知見が社内には残っていない

そんな中で、例えば、「あの人って何が得意なんだ」「この分野に強い人探したい」「あのプロジェクトに誰が参加してたんだっけ」って、何も残っていないことが多いなと。それを実現しているのは、例えばLinkedInだったりすると思うのですが、それは社外の話で、社内の中になるとどうなんだろうと。

「あの人、何がすごかったんだっけ?」って全然わからなくなってしまって、「これで良かったんだっけ」という課題感があります。社内のブログやWikiでで情報発信していきましょうってのはあると思うんですけど、それはあくまで書いた人やプロジェクトの実績の一部でしかないと思うんです。

例えば、デザイナーの方が作って没になったアイデアだったり、誰かがトライして失敗した経験だったり、知見だったりっていうのは、すべて大事なものであるはずなのに、失われちゃっているというのが、すごくもったいない状態だなと思っています。

組織にはエンジニアだけがいるわけではなくて、エンジニアは放っておいても良いかなと思っています。彼らは何でもできるんです、放っておいても。ただそうじゃなくて、エンジニアじゃない人と、エンジニアがちゃんと情報共有できていることがすごく大事。

というわけで、リリースするときは画面も全然変わっちゃうと思うんですが、こういう感じのものを作ろうとしています。まだまだ開発中で、アルファ版を数社に展開してます。使ってもらっている数社は、ちょっと落ちていたりバグがあっても、「ごめんね」って言って許してもらえる人たちがやっているところです。サポート用のSlackをつくってそこのチャンネルにも入ってもらってバグだったり要望だったりを教えてもらったりしながら。