2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
ネオキャリアjinjerCSインタビュー(全1記事)
提供:株式会社ネオキャリア
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――ネオキャリアに新卒で入社されたとのことですが、現在までの経歴を簡単に教えてください。
北野隆大氏(以下、北野):私は2016年に新卒でネオキャリアに入社しました。最終面接の担当で、新規事業領域を管掌している専務の加藤の魅力に惹かれて入社、そのまま新規事業領域に配属いただいたかたちです。
現在のjinjer事業部に配属されて、約1年半くらい営業職を経験しました。最初は新規開拓のため、自分からお客様へテレアポをし、訪問商談をし、その後ご契約をいただくような、いわゆるオーソドックスな営業手法を取っていました。
その後、サービスの知名度も上がってきてインバウンド(お問い合わせ)が増えてきたので、完全内勤、反響営業のインバウンドセールスチームを立ち上げて、組織をゼロから作っていきました。約1年後、現在のカスタマーサクセスに異動し、組織の立ち上げをしてきました。
営業だけでなく、数値管理、契約管理、予算管理といった企画のようなこともやりながら組織を立ち上げて、今はカスタマーサクセスの責任者ポジションに就かせていただいています。
自身の経歴と事業部の組織遷移が似ていて。最初の2年半、3年くらいはご契約いただいたあとのお客様のフォローも営業職がやっていました。
(jinjerは)ストック型のビジネスモデルのため、ユーザー数が積み重なっていき、営業担当がフォローしながら新規開拓も行う状態でした。
サブスクリプションモデルである以上「お客様を大事にする組織(でありたい)、やっぱり長く、多く活用してもらえるサービスであることが重要だよね」という思いから、カスタマーサクセスが立ち上がりました。
――現在の業務内容について教えていただけますか?
北野:日本にSaaSやサブスクリプションという単語が普及し始めてから、すこし後追いで、カスタマーサクセスの概念が広まってきました。発祥は、世界最大級のSaaS企業であるセールスフォースさんのようです。
サブスクリプションモデルは、継続的にご利用いただかないと損益分岐上黒字にならないビジネスモデルなので、いかに長くお客様に使ってもらえるか、いかに多くのサービスを使ってもらえるかが、鍵になります。
継続的にご利用いただくためにはいろいろな要素があります。活用できる状態にする、新しいプロダクトに興味を持ってもらう、ブランド自体のファンになってもらうなど。
それらを一手に、さまざまなチームとコミュニケーションを取りながらサービス全体を良くすることが、カスタマーサクセスと言われる職種のミッションです。
ファーストステップとして、eラーニングのようなコンテンツを用意して、お客様自身で(jinjerを)使える状態にしたり、対面、遠隔で「オンボーディング」と言われるキックオフをして、サポートします。
次のステップとして、jinjerを使っていく中で変更したいものが出てきて、お客様側のルールに合わせて運用方法を変更することがあります。そのような時に「できる」「できない」の切り分けや、「もっとこうしたほうがいいんじゃないですか」というご提案をします。
もっと言うと、お客様が実現したいイメージに合わせてルール自体をチューニングするなど、コンサルティング寄りなコミュニケーションを取るような場合もあります。
北野:カスタマーサクセス職の傍ら、プロダクトの商品企画も行っており、「こういう機能を付けたい」とか、「こういうふうに改善したほうがいい」といった要望を、開発現場とコミュニケーションを取りながらスケジューリングして、お客様からいただいた要望をプロダクトに反映させる橋渡し役もやっています。
ユーザーの声をキャッチアップしてプロダクトに反映させるのはカスタマーサクセスの重要な業務の1つだと思います。
また最近は、カスタマーサクセスチーム主導で、ご利用いただいているお客様を招いてユーザー会を開催しました。純粋にjinjerのサービスをもっと知ってもらい、jinjerを好きになってもらうことを目的に開きました。
――今まで、実際にお客様の声を企画開発に反映させた実績はありますか。
北野:jinjerは人事データベースなので、当然ですが社員の生年月日を登録できるんです。入社当初から「誕生日に打刻したら『おめでとうメッセージ』が出たらとても素敵なプロダクトだな」考えていまして……(笑)。
つい半年前くらいに、初めて商品企画に携わった機能がそれだったんです。というか、自分で「実装させてください」とお願いして取り組んだ機能ですね(笑)。「好きなようにやってみて」と言われたので、自分で「デザインはこうしたい」「こういうときにこういうロジックで出してください」「文字色はもちろん“jinjerイエロー”でお願いします」というようにどんどん進めていきました。
ユーザー会でお客様に「jinjerには誕生日打刻機能があります。僕が企画しました。一番好きな機能です」と言ったとき、「その発想はすごくいいよね」とか「みんなも喜ぶと思うので使います」という声をもらえたのはとてもうれしかったですね。
――北野様が、営業職からカスタマーサクセスへと職種異動されたのはなぜですか。
北野:もともと営業職時代から、「導入支援をやりたい」と役員の本田にずっと提案していました。なので、辞令の出る1週間前くらいに突然、「異動してほしい」と言われたんですけど、抵抗もなく「わかりました」と快諾しました。
「営業だから」とか「カスタマーサクセスだから」といった肩書きは正直どちらでもいいかなと思っています。というのも、新卒で営業職だった時代から、「どのくらい長期に渡って利用いただけるか」を非常に意識していました。安直に値引きをしても、営業としての価値はないですし。
提供できる最大限の価値を正しい形でお客様に届けたい。サービスで補えない部分がもしあれば、人でカバーするのが僕のポリシーです。職種や異動にも抵抗はなかったですし、今もその気持ちは変わっていません。
――カスタマーサクセスを立ち上げる時、どのようなことが大変でしたか。
北野:大変だったことかぁ。最初は正直、「何をしたらいいんだろう」というのが一番でした。
2018年の2月くらいから組織を立ち上げたんですけど。最初は仕組みがそんなに強力じゃなかったので、システムに乗せたり、整備をするのに時間がかかっていました。そんな中で新卒が7人くらい来て、1対7の関係になったので、自分のことを考える時間がないような時期は大変でした。
今考えると、新卒たちにカスタマーサクセスとしての役割をインプットするのも、一苦労だったなと……。そもそも「サブスクリプション?」「カスタマーサクセス?」といったところからのスタートでしたが、今となっては非常に優秀なメンバーに育ってくれていると思っています。
インプットも大事ですが、まずは一旦やってみて、やりっぱなしにしないでちゃんと定期的にメンテナンスをしてあげることが大事だなと思ってます。
システムもそうだと思うのですが、打った施策も効果検証やメンテナンスがされないと、「なんでこれやってるの?」と思われるようなルールになっちゃうので。ちょっと月並みですけど、毎日改善し続けることが重要だと思います。
――なにもわからないところを、手探りでPDCAを回していく。
北野:そうですね。とりあえずやってみる。なにが正解かわからないので、「とりあえずやってみていいよ」と言って、やって、直して。やらなくていいものはやらない。
大変な時期を乗り越えられたのは、jinjerに携わる人がみんな、サービスに対する愛情がとても強いからだと思います。お客様のためになにかをしようとか、サービスをどうやって良くしたらいいのかを自分で考えようとする気持ちが、とても強かったですね。だから、諦めたいとか挫折しそうという気持ちにはならなかったんです。
僕はけっこうトラブルの対応をするのが好きだったんですね(笑)。今まで実践経験のないシーンに直面した時に、それを解決しなきゃいけないといった危機感を楽しむタイプなので。チャレンジング精神があってよかったなと思います。
――カスタマーサクセスという職種に向いている人の特徴はありますか。
北野:まず前提として、サービスへの愛情があるところが必要だと思います。サービスを良くするために何をするかに、正解はないはずです。なので、僕は多様性を受け入れられるように組織を運営していきたいなと思っています。目指すところが一致していれば組織としてはブレないはずなので。
あとは、課題解決が好きな人はものすごく合っていると思いますね。課題を発見するアンテナの感度が良いとか、クリティカルな打ち手を打てるのは非常に強いと思います。
――実際、カスタマーサクセスチームにはどんな人が多いですか。
北野:この表現が正しいのかどうかわかりませんけど、オタク気質で、なにか1つに夢中になったらずっとのめり込めちゃう人が多いと思います。
チームは僕や入社1、2年目のメンバーが中心なんですけど、自分よりパワフルな子が出てきたり、自分よりスキルを持っている人が出てきたりしてくるので。自分1人で牽引していかなきゃいけないときもあると思うんですけど、幅が広がっているなという雰囲気は最近感じています。
活躍している人間で言うと、自分でボールを持って人を巻き込める人です。指示された内容をやるだけでは、たぶんお客さんにもファンになってもらえないと思うんですよね。新規で企画を立案して、かつ周りを巻き込める人は、非常に活躍してます。
あとはやっぱりサービスが好きで、それを人に伝えたいという情熱がある人。
根本的なところに問いを持とうとする人も多いと思っています。「なんでやらなきゃいけないんだっけ?」「そもそもそれって、なんでそういうルールになってるんだっけ?」といったところに疑問を持てること。「なんでこのルールが走ってるの?」みたいなルールが、たまにあるじゃないですか。誰も答えられないものなら、「じゃあそれやめちゃおうよ」と決断したり。けっこう深いレベルで考えている人は多いと思います。
――今までにそういった提案をされて実行したものは、具体的に何かありますか。
北野:さっきのユーザー会です。今までやりたいなとは思っていたのですが、「なんでやらないんですか?」というメンバーが出てきて。「あ、じゃあやりましょうか」と(笑)。
ちょうどサービスができあがってから4周年のタイミングというのもあって、「じゃあそれに合わせてやっちゃいましょうよ」と。(提案してくれたメンバーに)運営とか企画とか諸々中心になってやってもらいました。
ユーザー会の実施は初めてでしたが、やって本当によかったなと思いました。どうなるかすごく不安だったんですけど、想像していた以上にたくさんのお客様にお越しいただいて。当日は席を増やさないといけないぐらいの状態でした。
懇親会でも、お客さん同士で会話をされている場面が見られました。今までjinjerとお客様といった1対1の関係だったところから、お客様同士のコミュニケーションが取れたので。それはすごくやってよかったなと思いますし、次回以降もやりたいなと思っています。
――jinjerのカスタマーサクセスチームの良さはどんなところだと思いますか。
北野:業務経営システムで「自社内にカスタマーサクセスがちゃんといる」というのが、サービスとしては優位性があります。いわゆる単体プレーヤー、勤怠だけとか人事だけという部分的なサービスを提供している企業様はいらっしゃるんですけど、あんまりゴリゴリアプローチをするCSはいないと思っています(笑)。
サポートセンターにバンっと丸投げするみたいな。なので、僕らCSから「こうやって使ってほしいです」とか、「こういうアップデートがありました」というところをアプローチできることが、まずjinjerとしては優位性なんじゃないかなと。
あとはやっぱりプロダクトで言うと、僕も4年目なんですけれども、もともと構想していたプラットフォーム統合が完成している状態なので。「人事・勤怠・給与管理」が揃うクラウドのサービスという点で、非常に優位性は高いかなと思います。
あとはやっぱり「“HR Tech”という領域や『jinjer』という“統合プラットフォーム”、かつカスタマーサクセス」という人は国内ではかなり限られているので。これから希少性の高い人材になっていくんじゃないかと考えています。
企業の根幹になるオペレーションに僕らがどんどん介入していくので、キャリアを考える上でも、同年代以上の経験は積めますし。
CSの業務は幅が広いと思うので、オペレーションを効率化したり、リピート率を上げたり、サービスを追加で利用してもらうといったさまざまな手法がある中で、「どうやったらお客様をちゃんと成功に導けるか」を考える機会はたくさんあります。
逆に、そういうことを考えられないと「何してるの?」となってしまうので。「自分がこういう企画をやってました」といった……役員の本田の言葉を借りると、“一生モノの肩書き”を作れるいい職種だなと僕は思っています。
――前回のインタビューで「アクションプラットフォーム」という単語が出てきました。HR Tech業界のサービスとしてそこを目指すにあたって、カスタマーサクセスとしてできることはなんでしょうか。
北野:カスタマーサクセスは、コミュニケーションを円滑に回す真ん中にいなければいけない職種です。ちゃんと要望を聞いてちゃんとプロダクトに反映させて、プロダクトに反映された内容をお客さんに伝えるというハブだと思います。それでプロダクトがどんどんレベルアップしていったら、その価値を80パーセントとか70パーセントに落とさないように、お客様にちゃんと120パーセントで提供し続けることが重要ですね。
野望というか、素っ頓狂なことを言うかもしれないですけど。営業職とかマーケティングとか、いろんな職種があると思うんですけど、あれってぜんぶ一括りにカスタマーサクセスというジャンルだと思っていて。
最近は、カスタマーサクセス部の中に営業とマーケティングとCSがいるような会社もあるらしいんですよ。なので、領域とか職種といったところではなく、そもそもの考え方として、社会にちゃんと(カスタマーサクセスが)普及する状態になっていくんじゃないかなぁと。いつかわからないですけど。
――今後個人的に進めていきたいものはありますか?
北野:社内的と社外的で言うと、やっぱり社内的にはカスタマーサクセスの考え方は、まだまだ全領域や全社には伝わっていないと思うので、これからは相談される側にも、自分から発信していく側にもなっていきたいです。
対外的にも似たような感じなんですけれども、「jinjer」の「CSの人」のように、2軸で覚えていただきたいなと思っています。やっぱりアウトプットも必要だと思いますし、「HR Techといったらあの人だよね」という第一人者になりたい気持ちは非常に強いです。
SNSとか露出がすごく苦手なんですけど、がんばります(笑)。
――今後、チームとして具体的に取り組んでみたいことはありますか。
北野:やっぱりサービスの真の評価指標「これを活用したら○○が何パーセント改善します」とか、「未来に使える時間が●●時間増えます」とか、ちゃんと定量で明示できるのが一番いい状態ですよね。
「このシステムを入れたら、面倒な業務が80パーセント減りました」みたいな広告があるじゃないですか。やっぱりあれが全てのお客様に実現されるべきだし、jinjerの中でも指標化していきたいです。
そういう「誰が使ってもこれくらいまでは効果ありますよ」というモデルケースは、ちゃんとアウトプットできるように整備していきます。
あと、外部の人と会ってみたいですね。社会的に拡大していく職種ですが、まだまだ事例が少ないと思っているので。自分でCSの他社の人とコミュニティを作ったり、僕もそういうところに参加していきたいです。
—―お話ありがとうございました。
北野:ありがとうございました。
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