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株式会社一休エンジニアインタビュー(全1記事)

2020.01.24

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「技術しかやりたくない人」は向いていない––現場の技術者たちが語る、一休の開発組織のリアル

提供:株式会社一休

高級ホテル・高級旅館専門予約サイト「一休.com」をはじめ、高級レストラン予約サイト「一休.comレストラン」など、様々なサービスを運営する、株式会社一休。一休のサービス開発を支えるエンジニア組織はどのような文化なのか? 宿泊・レストランのそれぞれの事業部で活躍する現場のエンジニア・ディレクターが、実際の働き方や開発文化を包み隠さず語りました。

一休のエンジニア・ディレクターたちが語るリアルな働き方

――では、簡単に自己紹介をお願いします。

丹野明士氏(以下、丹野):レストラン事業部でプロダクト開発部でエンジニアをやっている丹野といいます。

今のポジションは土田と同じく在庫データの改善プロジェクトに入っており、今はどちらかというとフロントエンド中心に触っていますが、一応どちらも触っていくポジションにいます。今年の3月に入社したので、10ヶ月くらいですね。

土田はるか氏(以下、土田):丹野と同じく、私もレストラン事業部のプロダクト開発部で、開発ディレクターをやっています。

今は在庫システム刷新プロジェクトの開発ディレクションをやっております。私は今日のメンバーの中では長くて、2015年の秋に入社し、丸4年在籍しています。

吉永茉奈氏(以下、吉永):宿泊事業本部のプロダクト開発部でエンジニアをしております吉永と申します。

現在は宿泊事業本部の中のパートナーチームというチームでエンドユーザー向けのインセンティブ施策の開発をしています。入社時期は、去年の1月なので入社して1年くらいですね。

山口将希氏(以下、山口):同じく宿泊事業本部のプロダクト開発部の山口です。UIチームとパートナーチームのうち、私はUIチームでUI/UX改善をメインにやっています。

例えばお客さんの予約する画面をより良くして予約してもらうとか、そういうことの開発をしています。エンジニアとしてはフロントも触るしサーバも触るということをしております。入社は去年の3月なので1年半を過ぎたところです。

――会社全体としては、どのくらいの社歴の方が多いのでしょうか?

土田:レストラン事業部のエンジニアとしては、私より長い人が数名いて、そのほかは2年未満の人も多いです。

山口:中間があんまりいない感じですね。2〜3年目の社員が多くて、そこから一気に空いて10年ほど在籍している人が多いですね。なので、4〜5年は珍しいかもしれません。

一休に入社した経緯

――みなさんの入社までの経緯を教えて下さい。

土田:私は前職は新卒で入社した会社で、社員数60〜70名ぐらいのSIerでした。一応エンジニアとして入ったのですが、SIerなのでテスターなどもやりつつ最終的にAndroidのアプリ開発エンジニアをやっていました。一休にも、アプリ開発のエンジニアとして入社しました。

一休に入社した理由は、もともと事業会社に入りたいという気持ちがありました。SIerだと請負の側面が強いので、もっとサービス開発に近いところで自分でも意思決定をしながら開発したいという思いがありました。

一休には一緒に働きたいと思う人がいて、自分で意思決定してやっていけるという魅力があったので、最終的に一休を選びました。

山口:僕は前職でWebサイトの受託開発みたいな会社にいて、人数は30人いないぐらいの小さな会社でした。やっていたことは、大手から小さい会社まで幅広く受託を受けて、公式サイトをシステム的なところも含めて開発していました。

基本は受託なので土田と同じように、自社開発みたいなことをやりたいという思いが漠然とありました。受託って、クライアントが満足するものを1回作ってしまえば終わりで、継続的な改善については考えないことが多く、いろいろと歯がゆい部分もあったので事業会社がいいなと思っていました。

あとはもともと旅行が好きだったこともあり、そういう意味でも事業的に興味があり、おもしろそうだと思って入社しました。

開発したら終わりではなく、改善のことを考えたかった

吉永:私は一休が3社目なのですが、新卒で入った会社は100人規模の会社で、パッケージソフトウェアを開発している会社に4年間いました。どんなものを作っていたかというと、主に大企業向けの内部監査に使う内部統制用のパッケージソフトウェアを作っていて、そのエンジニアとプロジェクトリーダーをやっていました。

そこから転職しようと思ったきっかけは、当時作っていたのは画面のないアプリケーションだったので、お客様にどうやって使われているのか、本当に満足していただけているのかが見えにくい環境でした。開発自体はすごく楽しかったのですが、「自己満になってないかな?」という部分で疑問に思ったのと、扱っている技術領域が狭かったので、知識の幅を広げたいという思いがあって、転職活動をして2社目にに入りました。

2社目もエンジニアとして内定をいただいたんですが、入社する直前に開発エンジニアではなくプロダクトオーナーやスクラムマスターとしてチームに入ってほしいと言われてしまって、そのまま入社したというかたちですね。

ゆくゆくはプロダクトオーナーやスクラムマスターなど、マネジメントのほうに回っていくのもいいかなと思ったのですが、20代のうちに知識を身につけて、そういったポジションになった時に、エンジニアの方としっかりと会話ができるようになりたいという思いがあったので、1年弱で転職して一休に入社しました。

一休に入社した理由は2つあります。1つはビジネスモデルがいいなと思いました。もともと1社目から転職しようと思ったとき、本当に使いたいとユーザーの方に思っていただけるようなものが作れるようになりたいと思っていました。一休のビジネスモデルは、ユーザーの方に使っていただければ使っていただくほど会社として利益を生み出せるビジネスモデルになっていたので、ユーザーの方に求めていただけるものを作ることによって利益があがるビジネスモデルがいいなと思ったのが1つ目です。

2つ目は、2社目で開発ができなかったので、自分で手を動かして開発したいなと思っていました。面接していただいたマネージャーの方も、マネージャーの業務をやりつつも手を動かしてバリバリ開発していると聞いたので、魅力を感じました。

あとは、裁量権が大きくて、自分で考えながら広い範囲を網羅して仕事できるところが、業務の幅や知識の幅を広げるのにいいなと思って入社しました。

丹野:新卒で500人ぐらいいるSIerに入社しました。大学時代はコンピュータサイエンスとは関係ない学部を出たので、ほとんど未経験の状態で入社しまして、最初はそれこそ土田のようにテスターからはじめました。

数年経つうちに、チームのリーダーとしてお客さんと直接折衝したり、スケジュールを管理したり、マネージャー的なポジションをやるようになりました。それから7年ぐらい過ぎたあたりで転職しようかなと思い、一休に入りました。

転職しようと思ったきっかけは、いろいろな技術系の情報を得ていくなかで、そのときの会社はすごくレガシーで効率悪いなと思っていたことが大きかったです。自分自身良い開発をやっていきたいし、やれるようになりたいという思いが強く、転職活動を始めました。

みなさんも話されていましたが、受託開発で開発したら終わり、そのあとどう使われるかはまったくわからないというやり方をしていたので、どう使われていくのかをちゃんと見て、フィードバックを受けてどんどんサービスを良くしていくという経験がしたいと思い、転職するに至りました。

一休を選んだのは、技術力が高いと感じたこともそうですし、モダンな開発というか、良い開発ができるのではないかと思ったことが大きいです。

あとは、エンジニアとビジネスのバランスが良いなと感じていて、エンジニアが強すぎるわけではなく、逆にビジネス側が強すぎるわけでもなくて、バランスを持ってビジネスとして最適なプロダクトを作っていけるのではないかと感じたのが大きいですね。

入社前と、入社してからのギャップ

――入社する前と入社したあとでイメージとの違いやギャップはありましたか?

山口:僕はイメージのままでしたね。僕は入社前に、面接ではなく面談というかたちで2回話を聞きにきていました。1人はレストランの開発のエンジニアで、2回目はマネージャーさんに話を聞きました。そのおかげでサービスの考え方や開発の仕方は、事前に聞いていたとおりだったので、とくにギャップはありませんでした。

吉永:私もギャップはぜんぜんなかったですね。前職では朝に経営理念を声に出して読んだりしていたのですが「これ、本当にみんな意識しながら仕事してるのかな?」って疑問を抱いていました。

一休では、入社する前から「ユーザーファーストを心懸けてプロダクト開発しています」という話を聞いていたのですが、実際入ってみて、仕様をどうするか話しているときも、「これはユーザーにとって何がうれしいのか?」という視点は必ず出てくるので、話に聞いたことが実際にやられていると感じました。

山口:それこそ、面接で悪いことは事前に聞かされたりしますね。僕は何回も「レガシーだけど」みたいに言われましたし、逆に面接する立場としても、包み隠さず伝えています。

土田:泥臭いところありますよね(笑)。

山口:そうですね。でも、その部分も話さないと入ったときに嫌になってしまう可能性もあるので、みんな選考段階でちゃんと話していることが多いですね。なので、入社前と入社後で大きく期待値ズレはないのかなとは思ってます。

エンジニア・ディレクターの働き方

――では、みなさんは普段どのように働いていらっしゃるのか、1日のタイムスケジュールや関わるメンバーについて教えて下さい。

山口:最近は、チームに1人教えているメンバーがいるので、その方を見ながら仕事をしています。

タイムスケジュールというと、出社したらチームの朝会をして、そこから自分の作業をしつつ、メンバーが困っていることについてアドバイスやレクチャーをしています。そういったかたちで午前中を過ごしたら、午後からはずっと実装という感じですね。

他には、UIのリニューアルの仕様をマーケターさん、デザイナーさんと話して決めたりしているのですが、それは随時って感じですね。近い距離にデスクがあるので、ミーティングというかたちではなくて立ち話で決めてしまったりします。1日、そのサイクルがずっと回ってるって感じですね。

ミーティングは隔週で1回、チームの朝会とは別にあるので、それ以外僕はスケジュールスカスカです。だから、ディレクターの土田とは真逆だと思います。

土田:そうですね。エンジニアは集中して作業をしないと効率悪いところもあるので、あまりミーティングを入れないような工夫をしていますね。

私が今やってるプロジェクトはサービスの根幹になる部分の、リニューアルと言ってもいいぐらい大きい改修なのですが、その仕様・要件を定義する段階ではかなり時間がかかっていましたね。

レストランさんがどんな商品を売るのか、どうやって在庫を出すかなどを管理する画面を改修する案件だったので、契約していただいているレストランさんに訪問・ヒアリングをして、持って帰ってきては議論するということをひたすらやっていた時期もありました。

ある程度作るものの大枠が決まってからは、開発のディレクションをやったり、そのなかでまた課題が出てきたら、それに対する課題整理とディスカッションをして仕様を決めてということを繰り返し、また必要になったらお店さんに聞きに行くということを繰り返していましたね。

今はいったんリリースを終えてレストランさんに順次使ってもらっている段階なので、現在は導入してもらうためにヒアリングを行ったり、社内の営業アシスタントや運用業務を行っているメンバーと摺り合わせをして、機能開発に落とし込んでいくということをやっています。

機能開発に落とし込むときにはエンジニアと直接やり取りをするので、関わっているメンバーは財経や人事総務以外はだいたい全部という感じですね。

吉永:私はパートナーチームの仕事をしているので、UIチームと進め方が違うところがあります。UIチームでは、マーケターさんやUIデザイナーの方と随時相談しながら進めていますが、パートナーチームの仕事は、ヤフーグループや営業企画と仕様を決めていくことが多いので、ある機能を作るという事になったら、最初に仕様決めを全部やってしまう感じですね。

なので、最初に仕様に関する資料を作って、作り終わったらヤフーに行って仕様を決めたり、営業企画の方に聞いて仕様を詰めたりする作業が続きます。仕様が決め終わったらそのあとはミーティングはないので、実装作業を続ける感じですね。

丹野:私も基本的に山口と同じで、毎日プロジェクトの朝会をやって「今はこんな感じで着手中です」とか「これからこれをやる予定です」という擦り合わせして、スケジュールを変えなければいけない部分があれば相談したりしています。それ以外の時間はずっと実装している感じですね。

あとは、障害報告というか、「うまくいかないんですけど」みたいなことがあれば差し込みで急いで対応するみたいなことをやっています。

他には、隣に浅野さんが座っているので、UIを実装したら「こんな感じで作ってみたんですけど、どう思いますか?」と聞いて、「ここは違うと思う」みたいなことを言われたりしています。

(一同笑)

一休の朝会文化

――朝会はどのように行われているのでしょうか?

土田:チームごとにやりやすいスタイルでやっていますね。朝出社してすぐに10〜15分ぐらい、状況確認や全体に関わる大きなアップデートがあればそれを共有したりしています。

朝会は会社でやることが強制されているわけではなくて、チームの裁量でやったりやらなかっりですね。共有事項がなければ、1分もかからずに「それじゃあ、よろしくお願いします!」で終わるときもあります。健康チェックではないですが、ディレクターとしては「なんかやばそうだな」とか、そういったことを確認したりしていますね。

体調だけでなく、プロジェクトが遅れ気味で「フォローを入れたほうがいいんじゃないか?」という場合はカジュアルにその場で相談したり、「ここは良くないんじゃないか?」みたいなことは言い合ったりしています。

吉永:UIチームの場合は毎日リリースがあってどんどん変わっていくので、リリース報告も比較的多くあるのですが、パートナーチームはプロジェクトが半年・1年単位ものもあって毎日状況が変わるわけでもないので、1週間に1回のミーティングで共有するかたちですね。

山口:出社時間は、時差勤務制度というものがありまして、8〜10時の間であれば出社時間を選べるので、最も遅い10時に合わせて朝会をやっているところが多いですね。

オンボーディングとメンター制度

――オンボーディングについておうかがいします。入社初日から実際にプロジェクトに入って働き始めるの流れを教えて下さい。

丹野:入社に際しての事務手続きが終わったら、「急ぎではないけど、直したいね」みたいな、落ち穂拾い的なタスクでユーザーが触る画面をちょっと直したり、小さいタスクを何個かやらせてもらいました。レビューしてもらって問題なければリリースするということを繰り返して、開発のスタイルを教えてもらいました。2週間ぐらいそんなことをやった後、本格的にプロジェクトに入りました。

オンボーディング的な話で言うと、新しいアーキテクチャの新しいシステムに関する社内のドキュメントが充実していて、「こういう思想で、こういうアーキテクチャを採用して、こうやって作っています」ということが残されているので、それを読めたので入りやすかったですね。

他には、営業チームからなにか困ったことがあったら問い合わせが来るのですが、その問い合わせ当番をチームのエンジニアが毎日持ち回りで担当しています。それをやると、自分が触っていない部分の業務知識も必然的に身につくので、そんな仕組みもオンボーディングとしては効果的でしたね。

土田:落ち穂拾いに関しては、私はタスクをアサインする側なので、新しい人にはできるだけ「一休でこういうことやりました」と言えるくらい、ある程度大きいタスクを任せることを意識しています。

実績として自信に繋がりますし、調整ごとをきっかけに周りと関わっていくことで、自分のポジションを確立できることもありますので、最初は開発スタイルを覚えてもらうために小さめのタスクをやってもらって、そのあと大きいプロジェクトに入ってもらうことを意識しています。

吉永:オンボーディングとしては、メンター制度があります。入社して1年以内でかつ30歳以下の人は他の部門の人にメンターを頼める制度で、これを活用すると1ヶ月に1万円支給されて、2人でご飯を食べに行けるという制度ですね。別の部署の方なので、ふだんの業務で困っていることを聞くというよりも、メンタル的なサポートをする制度ですね。

私がメンターをお願いしたのは、レストラン事業部のエンジニアの女性の方でした。エンジニアの女子だけでごはんを食べに行ったりということもたまにあるので、そこでお話ししていたこともあり頼みやすかったですね。

部活動で他の部署との交流

吉永:他には部活制度がありまして、そこでほかの部署の方と関わる機会がありますね。

山口:フットサルやバスケなどの運動系以外にも、ボードゲーム、釣りとか、映画なんかもありますね。部費として活動ごとに1人3,000円くらい支援されて、食費はなしなんですけど、そのお金をジム代に使ったりして活動しています。

土田:一応交流目的なので、3部署5人以上みたいな細かいルールはあったりします。今は営業の支社ができたりしていて、都内でも銀座や渋谷などに散らばっているので、そういう人たちとはチャットツールぐらいでしか交流がなくて。なので、部活で外で集まる機会があるのはけっこう有効に働いていますね。

エンジニアは基本的に社内にいるので、支社の事情とか「こういう働き方してるんだ」みたいな、それがどう仕事に活きるかはわかりませんが、いろいろ気苦労もわかるというか(笑)。

山口:それこそ、お問い合わせ当番とかってチャットのやりとりが多いんですね。だからあったことがない人はアイコンで覚えているのですが、部活とかで「あっ、〇〇さんってあなただったんですね!」みたいなことがけっこうあって。

(一同笑)

土田:ありますね(笑)。

山口:そういう壁がなくなるのはすごくいいなと思っています。

素早い意思決定を支える文化

山口:他には、制度ではありませんが、ちょっとした打合せはミーティングの時間を取るのではなく、その場で話して決めてしまうことが多いですね。

土田:それほどクローズにする必要もないので、オープンなところでその場でホワイトボードに書いて、そのまま書き残したままにしていることも多いですね。それで、翌日またその話をするときに延長線でスタートできたりします。

私がやっていたプロダクトはかなり大きなリニューアルだったので、ホワイトボードを5枚ぐらい自席の周りに並べて議論していたりしますね。

丹野:普通にエンジニアが実装してる隣で、5人ぐらいで議論していたりします。

山口:席も固定されているわけではないので、移動したかったら勝手に席替えすることもあります。

土田:他には、部署異動やチーム替えも比較的カジュアルにやっている気がしていて、私の場合は4年いるので、最初はアプリのエンジニアをやってたのですがその後はディレクターをやったり、1年に4回席替えしたり、2〜3回部署異動をしたこともありましたね。

本当に意思決定が速いんですよ。「これが今の課題だ」と役員や事業部長がジャッジしたら、そのために必要な人をどう配置するのがいいのを考えて、「こう配置したほうがよさそうだね。来週からよろしく」みたいな感じですぐに人事令が出たりします。これをやると決めたら、最適なチーム配置をすぐに適用する。そんなスピード感がありますね。

一休に入って鍛えられたスキル

――一休に入ってこんなスキルが身についた、鍛えられたと思うことはありますか?

山口:前職では新卒でSIerに2年半勤めてたのですが、そのときはシステムの設計にすごくこだわっていたんです。僕はバックエンドをメインにやっていたので、障害にすごく敏感でした。なので、入社してからも頭でっかちでシステムをかっちり作ることを目指していました。

僕が入ったUIチームは、かっちりしたシステムというよりは、カジュアルに作って改善を重ねていくことが多かったのですが、最初は前職の影響でかっちり作りすぎてしまって、「いいものはできたけれどすごく遅かった」という感じでした。

結局、かっちり作ったとしてもUI改善でUIを変えることになったら全部捨てることになります。「こんなにかっちり作ったけれど意味がなかった」ということも起こってしまうので、どれだけ労力を無駄にせずに速く出せるかが身につきましたね。

一休はUIを変えるスピードがけっこう速くて、一部の機能をリニューアルしたとしても、1週間経って「これはちょっと微妙かもね」となったら捨てることも全然あります。

そうなると、かっちり作ることよりも気軽に変更できることのほうがメリットが大きいので、堅牢なものを作るよりも、手軽に早く変更できること。自分たちに求められている要件に合わせて開発ができるようになりました。

土田:入社した理由のところでも話しましたが、事業会社に入ってビジネスやサービス開発に関わっていきたいという部分で良かったのは、受託だと「こういうことをやりたい」というものがすでにあってそれを実現するところまでしかできませんでしたが、今の仕事だと「こういうことをやりたい」という根本の部分や、「どんな事情から課題として上がってきたのか?」という課題の真相を理解した上でシステムの仕様を決めることができます。

それこそ「お客さんはどんな気持ちでサイトに入ってきて、こんな流れで予約をするからこの部分を改善しなきゃいけない」といった根っこの部分を理解した上で、プロダクト開発に落とし込んでそれを開発できることですね。

それは入社前の自分には絶対できなかったし、それを繰り返しやったことでユーザーファーストの精神が身について、成長できたなと思っています。

山口:僕もそれはありますね。僕はUIチームにいるので、今までは「このフォント汚いですよ」とか「使いづらいよね」とか、「画像が粗いよね」という理由でUIを変えようとしていましたが、「ユーザーはそこを変更したことで予約したくなるか?」とか「それを改善することで、他社のプロダクトと見比べたときにうちのサービスを選んでくれる理由になるのか?」ということを考えるようになりました。大切なのは、使い勝手を良くしたり料金の見せ方を良くしたり、はたまたクーポンを配るとか、もっとやるべきことがあるのではないかということを本質的に考えられるようになった気がします。

解決すべき課題にフォーカスできるようになった

吉永:私の場合は、技術的な面でお話しすると、画面のあるアプリケーションを実務で作ったことがなかったので、その部分の知識は格段に付きました。

あとは、お二人がおっしゃっていたこととも共通していますが、意識が変わってきたなと思います。前職では売上が何億円とか何兆円と言われても、自分のやったことがどこに反映されてこの数字になっているのかぜんぜんブレイクダウンできてなくて、自分がどこに貢献してるのかすがごくわかりづらかったんですね。

ですが今はチームにちゃんとKPIで数字があったりして、うまく結果が出せないこともありますが、自分が何を目標にしてやっているのかわかりやすくなって、数字を気にするようになりました。

また、1週間に1回社長が自分で分析用のデータベースからデータを引っ張ってきてレポートを作っています。そこの数字が変わっていると「あれ、なんでここが変わってるんだろうな」といった意識がもてるようになったりしているので、自分の中で意識が変わったのかなと思います。

なので、今まではほかのサービスを触っていてもいち利用者として見ている感じでしたが、「ここのUIいいな」とか「これを目的にしてこのUIにしてるんだろうな」ということを考えられるようになりましたね。

土田:榊社長本人が「ここがおかしいな」とか「ここが弱ってきてるからなにかあったのかも」といったことに気づいていて、社員の誰よりも一番敏感にそういうところを見ています。なので、レポートを見ることで自分が関わっていない部署の状況もわかって、「ここが今上がってるんだ」とか「ここが落ちてるのはGoogle検索のせいかな」とか、いろいろ見ていたりします。

数字に関しては社長のレポートもありますし、みんなの数字に関する温度感や興味とかも以前と変わった気がします。

丹野:みなさんおっしゃっていましたが、今我々が解決しなければいけない課題は何なのかをちゃんと考えられるようになったことですね。前職では70点ぐらいの答えを出していましたが、今はいろんな人と話し合う中でもっと高みを目指して追求していけるような、そういう気持ちで働けています。まだまだいろいろなフィードバックを受けているので、もっと磨いていかなければいけないなとは思っていますが、そんな成長ができている気がします。

技術的なところでは、「チームで開発するモダンな開発ってこういうことなんだ」とか、いい設計、いいコードというのは何なのか、なくわかっていたことが自分の中でどんどん具体的になってきている気がします。

一休に向いている人、向いていない人

――では、一休はどんなスキルが活きる会社だと思いますか?

吉永:私が思うのは、強みを持っていることだと思いますね。マネジメントだったりディレクションだったり、ある技術に関してものすごく詳しいとか。チームとして働く上で、特定の領域に特化して専門性のある方だと、活躍しやすいと思います。

私も入社直後に入ったチームで「この人はここがすごいんだ」という強みがよく見えてびっくりしたことがあったので、自分もなにか得意な領域を作りたいなと思いながら仕事をしています。

土田:私はどちらかというと技術やスキルよりもマインドになってしまいますが、サービスのことを考えて、技術とビジネスのバランスを取って物事を決めていける人は活躍できると思います。やはりサービスあっての技術なので、サービスという部分もちゃんと大事にできる人、そういう意識がある人のほうが活躍できると思いますね。

――逆に、一休に向いていないのはどんな人ですか?

山口:技術しかやりたくない人ですね。

土田:そうですね。

丹野:うん、それは厳しい。

山口:それが強みになる人もいますが、めちゃくちゃ特化していなければなかなか難しいですよね。いわゆる「サービス? いやいや、俺はインフラしかやらん」みたいな人だと厳しいです。

もちろん一休にはサービスに触らない部署もあるのですが、とはいえ宿泊事業はどんなものか理解しているべきだと思いますし、今その部署に所属している方もそれは理解しているので、開発だけ、営業だけでサービスのことは知りませんという人は受け入れがたいですね。

丹野:他には、主体性がないとけっこうきつい気がします。

土田:チームでやってるとはいえ、1人が1つの案件として大きめのものを任されて「調整ごとも含めてよろしく」という感じなので、自分で主体的に考えて動いて調整できることは前提としてあります。

吉永:確かに。ポンと渡されて「いいようにやってね」ということが多いので、自分で考えながらいろいろな人とコミュニケーションを取りながらやっていける人が望ましいですね。

土田:指示を待っているような人だと、つらいどころか仕事がなくなっちゃうかも(笑)。

一緒に働きたいのはこんな人

――同僚として入ってくるなら、どんな人と一緒に働きたいですか?

土田:私は、開発ディレクターをやっているのですが、ディレクターという肩書でやっているのは私くらいで、エンジニアのマネージャーをやりながらディレクションをしたり、マーケの人がディレクションを含めてやってくれている状態です。自分とまったく同じ人はいないので、ライバルが欲しいという意味で、切磋琢磨できる人がいると楽しそうだなと思っています。

吉永:先ほどお話ししたことと重なる部分もありますが、サービス愛があって強みがある人がいいですね。サービス愛があればどんな強みであってもプロダクトを良くしていけるとおもうので、そんな人に来てほしいですね。

山口:僕は、ほかのサービスにすごく詳しい人に来て欲しいですね。僕は宿泊事業部のUIチームで働いているので、競合の宿泊サービスはよく見ているのですが、例えば「予約ボタンとか購入ボタンってどういうのがいいんだっけ?」みたいに迷ったときに、「あのサイトのこの部分は参考になりますよ」みたいなことがパッと出てくるような人がいるとすごく助かりますね。

――面接をされることもあるかと思いますが、面接をしていて「いいな」と思うのはどんな人ですか?

山口:先ほどの話とかぶりますが、主体性を持ってやってくれそうな人ですね。あとは、自分がやってきたことに対してちゃんと深みがある人です。取り組んだタスクに対してどんな背景があって、こういう理由でこの手段を取った。この場合の手段は技術的でもビジネス的でもなんでもいいのですが、ちゃんと論理的に理由付けがされていて、それが適した選択肢であると説明ができる人だと「この人、いいぞ」って思います。

土田:私は開発ディレクターの面接に入っているので、「この人がこのチームに入ったらどうスケールするか?」みたいな視点で見ていますね。でも、結局は主体性があって、責任を持って自分に投げられたボールを消化していけそうかどうかを見ています。

面接の中では「事業部は今こんな課題を持っていて」という話もするんです。そこで「じゃあこういうことですか?」と質問が返ってきたり、興味を持って食いついてきてくれると「いいかも」と思いますね。

でも、そこで「へえ」とか他人事みたいな感じで聞かれると、「入ってもダメだな」と感じてしまいます。入社しないかもしれないし、ぜんぜん関係ないかもしれなくとも、話していることにどれだけ興味を持って考えを伝えてくれたりディスカッションできたりすると、それは仕事にも同じような反応が出てくると思うので、そういうところは面接で見ています。

丹野:けっこう「自分自身が成長したいです」っておっしゃる方もいらっしゃるのですが、そういう人よりは「この会社に入ったら私はこういうふうに貢献できます」という話し方をしてくれる人のほうが、向いていると思います。

自分がどうなりたいかではなく、会社のサービスをどうしていきたいか。そんなマインドをちゃんと持っている人と一緒に働きたいですね。

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