2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
提供:サイボウズ株式会社
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竹内義晴氏(以下、竹内):それ(2ヶ月の間、東京に週2回出勤して)から働き出すわけですけれども、いざ働いてみると、やっぱりまだ頭の中と実際ではちょっと違っていました。実際にやってみると、それでも難しさを感じました。まずは、情報はオンライン上にあるとはいえ、それ(自分がほしい情報)がどこにあるかわからないとか。
社員がたくさんいますので、誰かが担当しているんでしょうが、そもそも入ったばかりで、部内だけはなんとなくわかるけども、細かな担当などもわからない。あとは、1人で仕事をしているのは意外と孤独なんです。みなさまの中でも在宅勤務されたことがある(方がいらっしゃる)かもわかりませんが、けっこう孤独です。
あと、テレビ会議も隣の人と話すのと違って、けっこう難しい。例えば、東京のオフィスでは4~5人で会話をしている時に、こちらからなにか言いたいことがあっても、そのタイミングを計るのってなかなか難しくて。
まるで縄跳び(の縄)をぐるぐる回されている中に、「いつ入ろう、いつ入ろう」という感じで、結局(言いたかったことを)呑み込んじゃう、という。そんなストレスや不安を感じながら働いている時がありました。
なので、これをサイボウズ式の編集部として、どうにかしてくださいよ、というか、どうにかしていきましょうよ、というようなことを話しながらやっていったんですよね、藤村さん。
藤村能光氏(以下、藤村):はい。そういった竹内が感じた課題をチームで克服して、チームで成果を出していくためにはどうすればいいのか。そう考えて、これをkintoneというツールを使うことで克服していくというのが、これからの話になります。
ここでkintone(のご紹介)です。サイボウズ式編集部では、弊社のkintoneというサービスを使って、チーム内でのコミュニケーションをどんどん進めていくようにしています。kintoneは、クラウド型のデータベースを作れるグループです。
情報をデータベースのようにストックしていって、誰が何をやっているか、というプロセスをしっかり管理しながら、チームでコミュニケーションをするようなサービスになっております。
kintoneを使うとWeb上に(スライドを指して)こういったスペースを立ち上げることができまして。例えば掲示板を使って、この中でいろいろなやり取りをしてみたり。
自分たちの業務に即したアプリケーションを、ドラッグ&ドロップで作って使ったり。あとは参加しているメンバーが見えるようになっていたりして、チームで情報を共有しながら成果を出していく時に、ものすごく使いやすいものになっております。
藤村:kintoneは、オンラインでコミュニケーションをするんですけれども、その履歴はすべてkintone上に蓄積されていきます。こういったログ自体がチームの価値になっていくと感じています。サイボウズ式編集部ではツールを使って、自由なチームだからこそ生まれる課題を解決していこうと思いました。
いまの竹内の時間と場所に囚われない働き方も、もしかしたら特殊に見えるかもしれません。ですが近い将来、みなさまのチームにも、こういったいろいろな働き方をする人が普通に入ってくるようになると思うんです。むしろ、9時から17時で週5日働くのではなく、いろいろな働き方をすることを前提にした上で、チームを作っていくことが必要なんじゃないかなと思っています。
その中で、竹内から出てきた「情報がどこにあるのかわからない」「誰に聞けばいいのか」「離れた場所にいるから仕事をする時に孤独感がある」「テレビ会議で会話に入る難しさ」といった課題。この辺りをkintoneやITツールでどういうふうに解決しているかを、まず紹介します。
(スライドを指して)これが、サイボウズ式のkintoneのスペース上にあるポータルサイトのトップです。サイボウズ式編集部に入っている人は、みんなこの画面を見ながらチームでのコミュニケーションを始めていきます。
例えばスペースの一番上には「おしらせ」が出ていたり、メンバーがどんなことをやっているかという情報を僕がまとめて、トップに載せています。こちらの右側にはスレッドがついておりまして、いろいろなプロジェクトやコミュニケーションの掲示板になっています。
いまやっている仕事ごとに、スレッドが立ち上がっている状態です。ここに「メンバー」とありまして、実はkintoneのスペースは、サイボウズ式編集部以外にも、社員の方が参加してくれているんです。
僕たち編集部の取り組みが、社員の方にも伝わるような仕組みになっております。例えばメールですと、どうしても1対1とか1対Nのやり取りになってしまいますが、そこをチームで情報共有する仕組みを作り、チーム以外の人も見られる状態にすることが、新しいアイデアや価値を生み出していくんじゃないかと思っています。
藤村:こんな感じで、ここに業務アプリなども入れておくことで、新しく入ってきた人が「どこに情報があるかわからない」というのではなく、「ここに行けば必ず情報がある」という状態にすることを意識してやっております。
例えば中途で入ってきたメンバーの中で、メールだけだと情報が散らばっていて、このプロジェクトがどうなっているのかわからない。そういうことをなくすために、すべての情報を集約しています。これがkintoneのストックコミュニケーションの大きなポイントになっております。
kintoneは、自分たちでアプリケーションを作れるとお伝えしました。これも実はkintoneで、すべての編集部の情報、いわゆるマニュアルみたいなものをアプリ化して、Webブラウザやスマートフォンで、編集部の画面を見られるようにしているんです。
(スライドを指して)これが実際のアプリの画面です。左側のカテゴリを見ると、「サイボウズ式とは?」「企画とは?」「企画実現までにすべきこと」というふうに、仕事としてすべき工程を全部カテゴリにわけて、それに対してこういうチェックポイントがありますよ、というところを示すアプリケーションがあります。これを「Shikipedia」と呼んでいます。
この「Shikipedia」で、レコードを1つクリックすると、(スライドを指して)こんな画面になっていまして、左側にはそのマニュアルの内容が書いてあります。kintoneのアプリケーションのいいところは、ストックした左側の情報の右側に、コミュニケーション機能がついていることなんです。
左側のストックの中身に対して、メンバーがどんどんコミュニケーションできる。そういった機能になっております。
藤村:例えば新しく編集部にきたメンバーが、このマニュアルを見ながら、「ここがわからないです」「ここはこう思うんです」というコミュニケーションを、ぜんぶこのマニュアル上でやってしまえるわけです。あとは、「新しい情報を追記しました」といったことも、どんどん試していけるようになっております。
「情報がどこにあるのかわからない」といった時に、みなさまもマニュアルなどを作ると思います。でも、けっこうマニュアルって「作ってしまって終わり」「作ったのに使われずに形骸化していく」ということがありがちなんです。これもアプリケーションにしておいて、コメント機能(を使って)、チームでコミュニケーションしながら、仕事内容をどんどんアップデートしていく。
そういうことができると、情報が腐らずに、どんどん進化していく。そういったことができるんじゃないかなと思っています。こういうかたちで、どこに情報があるのかわからない問題をkintoneで取り組んでみました。竹内さん、実際に感想としてはどうでしょうか?
竹内:まず、なにがどこにあるのかわからない問題は、「とりあえずこれを見ればいい」のように、業務の入口がはっきりしていることで、心理的な不安感はだいぶなくなりました。「ここに行きさえすればなんとかなる」という。そういったかたちでまとまっていましたので、まず仕事をする上でとても安心できたかなと。
基本的なマニュアルも、先ほどの「Shikipedia」で1ヶ所にまとまっています。わからないことがある時は、とりあえずここに行けばなんとかなったので、遠隔にいても仕事をスムーズに進めることができました。
もしこれが、ファイルサーバーみたいなものの中にファイルがいっぱいあって……というものだったら、いまですら「探し出せるかな?」という感じがします。だから、東京に来ても新潟にいてもこの仕組み(Shikipedia)は、毎日使っています。
藤村:では次です。チームに新しく入って業務がわからず、誰になにを聞けばいいのかわからない問題です。ここは、入ってきたメンバーの人が思ったことや感じたことを、どんどん発信しやすくする。
先ほどの心理的安全性を担保した状態で自分の思っていることを、チームにどんどん伝えていく。そういうことを意識して、kintoneを使うようにしています。こちらは、kintoneのスペースの右上にあったスレッドをポチッと押すと、このスレッドに紐づいたコミュニケーションの場ができるという感じなんです。
例えば、「企画のアイデア・ブレスト」というスレッドを作っておいて、ここに思ったことをどんどん発信していくようにしています。僕も、「このメッセージは要チェックや」とか、本当に思ったことをそのままこのチームの場所に投稿するんです。軽く思ったことをそのままチームに伝える、といった働きかけをしました。
それでも「企画やアイデアが思い浮かばないよ」と感じる人も多いと思うんですけれども、いいんです。企画やアイデアがなくていい。自分の思ったこと、感じたこと、考えたことを、どんどんつぶやいていくといいじゃないですか、と思いました。
ですので、このkintoneのサイボウズ式のスペースには、個人のつぶやきの掲示板を一緒に作っているんです。例えば、竹内のつぶやきをクリックすると……これはあれですか? 竹内さんが孫正義さんとホリエモンさんにフォローされたという状況でしたっけ。
竹内:Twitterでフォローしてくれたある方のフォロワーを見たら3人で、なぜか孫さんと堀江さんと私だったんです。
藤村:なんですか、これは。すごいですね。そういうつぶやきなんですけれども、普通業務からすると、別につぶやいたりコミュニケーションしなくてもいい状況だと思うんですよね。
それでも自分の思ったことや感じたことをしっかり出せるようにしておくと、いろいろな人が反応してくれて、「竹内さんってこういう人なんだ」「竹内さんが考えていることってこんな感じなんだ」ということが、チームにどんどん伝わっていく。
そういうふうになるなあ、と思いました。なので、迷う前に自分の考えをできるだけ軽く簡単に載せるようにする。こういった取り組みも進めています。
藤村:スレッド内のやり取りに戻るんですけれども、僕が「このメッセージは要チェックや」とつぶやいたんですが、ほかの人が「いま、別の仕事でこのテーマの原稿を書いていたので、この本を買いました」とつぶやいてくれるわけです。
僕は「この本はなんかいいな」と思ってつぶやいただけです。それがほかのメンバーからすると、仕事を進めるドライバになっている。こういうことが、kintoneやチームで心理的安全性を担保した状態でコミュニケーションをすると、けっこう気づきになります。
あとは、「いいね!」もつけられるようになっていて、投稿に対して誰かがつけてくれた「いいね!」を自分のもとに届くように放ってあげるんです。もしコメントがなくても「いいね!」をしてくれるメンバーがいるだけで「このアイデアを出してもよかったんだ」と思えることがあるわけです。
とかく仕事や業務になると、完成した資料や企画を作って、上司に提出して、ジャッジしてもらって、というように心理的に重たい工程が続くんです。そうではなく、自分の中で思ったことを発信しながら、どんどんチームでコミュニケーションをしていくことによって、いつの間にか仕事が進む。kintoneを使うと、そういったこともできると思っています。
あとは、「1人で仕事」の孤独感は、ITだけではちょっと難しいなとは思いますので、週に1度、1on1ミーティングというかたちで、雑談の機会を持っています。マネージャーとメンバーが30分一緒に話をするのですが、本当に雑談です。雑談でなにをやり取りしているかと言うと、自分の感情です。
どうしても仕事の1on1になると、進捗確認や、「あの仕事はどうだ?」という話になりがちですけれども、心理的な安全性を確保するためには、お互いがどういうことを考えているのか、いま自分はどんな気持ちなのかというところを、しっかり交換し合わないといけないんです。
共感力や理解が深まることで、結果的にチームの生産性も上がると思っていて、実はそういった雑談を取り入れながらやっております。ITとして、テレビ会議を使ってです。そうすると、この課題は竹内さんにとってどういうふうに解消されたのかを聞いてみます。
竹内:はい。もしこういったことをメールでやり取りしていたら、たぶんこの不安感は拭えなかったんじゃないかと思うんです。なぜなら、メールってタイトルをつけて、「何とか部長」とか「お疲れさまです」というように最初のほうだけでかなりかしこまったり、最後は「よろしくお願いいたします」で締める感じです。
けれども、kintone上でやり取りされている会話は、本当に隣の人たちと話しているような感じで、「ありがとうございます」というよりも「あざっす」ですし。
例えば「(Cybozu)Daysで大阪に出張」。普段、社外に出張することがないので、出張申請ってどうやるのかがわからなかったんです。そこで、「出張申請するんだよね」と軽い感じでkintoneに書き込みました。とくに誰に言っているわけではないけど、それに気づいた藤村が拾ってくれて、「こうするといいよ」と。このように、やり取りがゆるい感じで行われていたので、コミュニケーションに対する不安感はずいぶん減りました。
あとは、「いいね!」を押されるだけで、なんとなく受け入れられている感じがします。それでもだめな時は、先ほど雑談という話がありましたけれども、人には聞かれたくないことはテレビ会議で話したり。
そういうことをしていくと、業務上の不安はほぼなくすことができて、「自分も楽しく書いちゃおう」という感じで、みんなとやりあうことができるようになりました。
藤村:そして、新潟からテレビ会議で編集会議に参加する時のディスカッションに参加する難しさについては、実は編集会議中に、同時にチャットを立ち上げて、(会議中に)一緒に書き込めるようにしています。
会議になると、その場にいる人たちが、対面で目と目を合わせながら、誰かが発言をしている間、誰かが聞く。そして、発言をしている間、別の人が発言できない。こういうことが起こりがちなんですよね。でも、それだと会議中に思ったことをなかなか発することができません。新潟などの離れた場所から参加している場合だとなおさらです。
そういう時に、これはkintoneの機能ではありませんが、別のチャットツールを使って、編集部全体がここのチャットで自由にコミュニケーションができるように、会議と同時にチャットツールを立ち上げているんです。
なので、思ったことや考えたことを、テレビ会議でそのまま話しかけたり、チャットで伝えたりできるようにしております。では、このテレビ会議の難しさ問題はどうなりましたか?
竹内:はい。先ほどテレビ会議の問題で、縄跳びに入るようだと言ったとおり、タイミングを計るのがすごく難しかったんですけど、会話が行われている裏で、チャットでチャカチャカ自分の考えを書いていくことによって、まず言えないストレスがなくなりました。
みなさまの会社の中でも、日常の会議の時でも「言いたいけど言えない」ということってよくあると思うんです。そういった時に、みんなが同じ場でチャットをつないでやり取りすると、コミュニケーションが取りやすくなるんじゃないかなと思っています。
いま編集部の会議では、リアルタイムで会っていてもチャットを使って会議をするという使い方をしています。
すごく不安な気持ちで始まった複業生活ですけれども、最終的に、遠く離れていたからこそ、いろいろな気づきがありました。まず(1つ目に)大切だと思ったことは、どこにいても情報のある場所や使い方がすぐにわかること。
そして、(2つ目が)誰にでも気軽に聞ける風土やツールがあること。3つ目は心理的な安全性があって、どこでも情報が共有ができること。
最後(4つ目)に、孤独を抱え込まず、チームみんなで仕事をすること。これは、おそらくみなさまの職場にも共通する考え方なんじゃないかなと思います。
その結果、私自身、楽しく毎日働くことができましたし、その中から意外なヒットも生まれています。例えば、「『時間外』に『好きなこと』で複業。これって、何か問題あるかなぁ?」 というのは、「いいね!」が1,300くらいついているとか。これもリモートで作った記事です。
ほかにも複業ならではの記事を書いています。人事や制度をどうやって作ればいいの? ということを人事に聞いて作った記事ですけれども、「いままでなかなかなかった記事です」という評価もいただけるようになっています。
藤村:こういったかたちで、多様で自立した個人が集まり、チームで自由に楽しく仕事をすると。これを風土とツールの観点から突きつめた結果、成果も出ちゃったというのが正直なところなんです。
なので、狙ってこの成果を取りに行ったわけではなく、まずは自分たちが仕事を楽しむ。それによって楽しく成果が出るようになっていった、と改めて思うわけです。
これがけっこうおもしろいなと思うところで、「コレクティブ・ジーニアス」という考え方があります。集合知は1人の天才に勝る、という考え方です。イノベーションも(そう)ですが、1人の天才のひらめきから生まれるものではなくて、多様な専門性や考え方を持つ、いろいろな人がコラボレーションする(ことで生まれます)。
それによって、チームの価値が生み出せる。そういうことを実証している部分があるんです。いろいろなチームメンバーの多数のアイデアを組み合わせていった結果、イノベーションって実現するんだよ、ということを説いています。
これって、楽しく自由に自立して働くことが成果を生み出す、ということを、端的に言っているものだと思ったんです。
ですので、自由で、楽しく働いていくこと。まとめになりますけれども、改めて。風土を作るだけだと醸成はされません。ですので、ツールを使って、その風土をしっかりと作り上げていく。ここが重要なんじゃないかなと思います。
そして、チームメンバーはみんな多様です。みんな違います。それがいいんです。それでいて、チームとして組んだ時に、いままでに自分たち個人が思ってもみなかった成果が生まれる。こう思っています。チームで成果を出すところを、ぜひ考えてみるといいんじゃないかなと思います。
藤村:これは、「メディアの編集部だからでしょ」と言われるんですけれども、みなさまのチームや組織の中でも、きっと楽しく働くことはできるんじゃないかなと思っています。僕たちは本当に「楽しさというのは正義だ」と思っていますし、それが「チームによって達成できるんじゃないかな」とも考えています。
それでは、これでプレゼンは終了になります。みなさま、ご清聴どうもありがとうございました。
竹内:ありがとうございました。
(会場拍手)
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