2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
導入事例 -株式会社 ゆめみ(全1記事)
提供:SLACK JAPAN 株式会社
リンクをコピー
記事をブックマーク
片岡俊行氏(以下、片岡):こんにちは。株式会社ゆめみの片岡と申します。弊社はIT系の会社で、比較的Slackを使っています。今日は、Slackの便利なところなどを、導入の経緯も含めてお話しさせていただければと思います。
こんなかたちで(講演を)ぐるぐる回していきます。展開よく、テンポよく進めていければと思いますので、よろしくお願いします。最初に自己紹介をして、それから会社の簡単な説明をします。その後「before Slack」「after Slack」というかたちで、Slackを導入した前と後での違いと、Tips、実際にSlackをどのように使っているかというケーススタディをお話しできればと思います。
まず、私は2000年に株式会社ゆめみという会社を創業しまして、現在も代表を務めています。200名弱ぐらいの会社で、エンジニアとクリエイターが多いです。企業のインターネットサービスとして、例えばアプリなどを作っています。代表的なお客さまでは、マクドナルドさまなど、大手企業でみなさんが使うアプリやWebサイトを作っています。
会社自体はそうした事業を行っているんですが、ビジョンとしては、1億人の人が毎月使い続けるサービスを企業と一緒になって作っていくために……今はまだ4,000万人に至っていないぐらいですが、遠くない将来、1億人が毎月使うようなサービスを手掛けていきたいと思っています。
会社組織としては、上司がいないことや、給与は自己申告、無制限有給休暇などの特徴があります。海外のNetflixさんやEvernoteさんが実施していたり、日本でもIndeedさんが行っている、特徴的な社内向け制度です。会社としてはアジャイル組織で、会社の組織のアジリティ(を大事にしていて)、変化に柔軟で、かつ機敏な組織を目指すために、こういった特徴的な組織・制度を作っています。
そうした文脈の中で使っていくため、わりと自然なかたちでSlackを導入しました。導入前は、いろいろなコミュニケーションツールを使っていました。やはり最初はメーリングリストですね。グループでのやり取りは、メーリングリストでのメールでした。実際に、お客さんとのやり取りもメーリングリストですね。
また、ナレッジなどを社内で共有するのに「Yammer」を使っていました。あと、Facebookグループでは社内のカジュアルなコミュニケーション、雑談なども含めて共有していました。
片岡:ここには、いくつかの問題点がありました。例えば、メーリングリストでのやり取りでは、自分宛てのメールを探すのがなかなか不便なので、そこに時間を使います。
メールでは、名前や挨拶も(文面に)書いて、毎回、それを引用しながらになりますので、情報量が多くなってしまいます。みなさんもご経験があると思うんですけれど、メールを一度送ってしまうと元に戻せないですよね。編集することもできないので、誤ったメールを送ってしまって、ドキドキした経験があるかと思います。
そういった問題が前提としてあるので、慎重にメールを送って、注意深くメールを見ることに追われる日々もありました。
我々は、2015年にエンジニアがSlackを導入したことをきっかけに、実際にSlackを使い始めました。その効果の1つ目は「Right Person」です。メンションを使って、自分宛て・他人宛てなどを指定して、グループの中でもやり取りができます。
必要最小限の情報をやり取りすればよく、宛先や差出人、挨拶などの文言は不要になります。非常に情報がシンプルですね。また、送った後で編集ができますので、やり取りに関しても間違えてもよく、気軽に送ることができます。
みなさんがお使いのLINEであれば、一部では送信取り消しはできますが、送った内容に関して、文字を書き換えたり、編集などはできないと思います。しかし、Slackならそういったことができます。
片岡:とはいえ、メールからSlackのチャットコミュニケーションに移る時には、コミュニケーションの文脈が大きく変わってきます。そこで我々は、実際に導入するにあたってルールをいくつか定め、そのコミュニケーションの前提となる指針を決めています。導入の際には、そうした指針を作るとよいと思います。
例えば我々の場合は、「挨拶がなくても失礼ではない」ということを定めています。もちろん「ありがとうございます」「よろしくお願いします」「お疲れさまです」などの挨拶をすることはありますし、それを禁止しているわけではありません。ただ、それはなくてもよいのです。
淡々とやり取りをしても、それが決して失礼には当たらない。あえてルールを作ることで、非常に気軽なコミュニケーションができています。
あとは、時間帯を問わず相手にメッセージを送れます。Slackのおやすみモードという機能を使えば、夜10時から朝8時までの間は通知がこないように設定できます。送る側としては、相手の状態にかかわらず、メンションで相手を指定して、相手に(都合の良い時間に)通知がいくかたちでメッセージを送れますので、自分のタイミングに合わせて仕事ができます。
今までですと、メールがきた瞬間に、メールに既読を付けて、自分宛てのメールがないかを見てすぐに返信をするということで、どうしても相手の時間や相手のタイミングに合わせるんですが、それを自分のタイミングで行うことができるのです。いわゆる、非同期コミュニケーションで、自分の時間に合わせることができるので、みんなが楽になります。
最後にリマインドです。我々特有のルールなんですが、Slackを本格的に使うことになると、1日100~200件ものやり取りが発生して、いろいろな依頼が何百もきます。その時に、返信し忘れたり、対応し忘れたりということもあります。
弊社の特徴的なものなんですが、24時間以内に返信がなければ、その人は気付いていないという前提で、もう1度リマインドすると決めました。「何で返信しないんだ!」といったように、送る側がイライラしないかたちで、特殊なルールを定めています。
重要なのは、今までのコミュニケーション文化と違う、オープンですごくカジュアルで迅速な、アジリティのあるコミュニケーションですので、その文化的な摩擦が起こらないようなルールをあえて設定するということです。
片岡:セキュリティのTipsです。あえて掲げたんですが、パブリックチャンネルがあります。これは、誰でもオープンに見ることができるグループです。当初は、企業とのやり取りの制約もいろいろあって、プライベートチャンネルと呼ばれる、一部の人しか見られないようなチャンネルでやり取りすることが多かったです。
今は公開していて、なるべく最初からパブリックチャンネルを作っています。その方が、いろいろな意味でオープンな文化も広がっていきますし、効率的なコミュニケーションになりますので、パブリックチャンネルを推奨しています。
(スライドを指して)クラウドストレージについてです。Slackでは、文字でやり取りをするんですが、そのSlackのグループの中でも、いろいろと機密情報などをやり取りする場合もあります。その時、我々はクラウドに機密情報をアップロードしておいて、クラウドにあるファイルのURLをSlackの中で伝えています。クラウド上では、いろいろなセキュリティの権限管理をしています。
パブリックチャンネルで、誰かがそのファイルを見ようとしても、実際のファイルはクラウドにあり、権限がある人でないと見られないかたちです。パブリックなグループでやり取りをしていながらも、機密情報は権限管理されていますので、そうした(クラウドを併用する)運用をするといいと思っています。
また、Slackには3種類の有料の製品プランがあります。プライベートチャンネルや個人間のDMは、管理者であっても、普段は見ることができないんですね。逆に言うと、個人で使う方に関してはデータの機密性が担保されています。
しかし、何かあった時のセキュリティの管理のために、オプショナルでログをエクスポートできるプランもありますので、管理者の方はセキュリティの観点でも安心してお使いいただけるかなと思っています。
片岡:実際に、我々がどのようにSlackを使っているかを紹介します。1つはロボットですね。Slack上で、対話型のロボットがいろいろな作業を自動的に知らせてくれる機能です。例えばFAQのやり取りや、今から会議が始まることを知らせるアナウンスなどの機能ですね。
我々がよく使うのが、会議前にSlack上で情報共有をしておくと、実際の当日の会議の場では情報共有などをすることもなく、議論や対面で話すべき内容に集中できます。そういった事前の情報共有を、Slackで行っています。
あとは、マネージャーがいろいろな人に定期的に質問する内容を、botでロボット化しました。決まった時間に決まった人へ、自動的かつ定期的に質問することを通じて、マネージメントの自動化も便利になります。
(スライドを指して)これは自分宛てのメッセージなんですが、FAQの(追加や削除の)承認権限のようなものは、誰がどのような権限を持っているかをbotに聞くと、誰に権限があるかを答えてくれます。
また、あるキーワードに対応するキーワードとURLが設定できて、botが質問に答えてくれるので、いろいろな質問をあらかじめ登録しておけば、会社の中でよくある質問などにも答えてくれます。
さらに、先ほどお話ししたように「何時から会議が始まります」ということを定期的にアナウンスしたりできます。弊社では、朝会が始まる前の毎朝10~11時に、ロボットがチームに話す内容を聞いて、チームの人間がそれに答えると、チームのメンバーが参加しているグループに通知がいきます。実際に、朝会は問題点に関しての議論のみに集中できます。
弊社では、メンバーへのフィードバックをSlackで行っています。1on1の面談をやられている会社もあると思うんですが、1週間に1回など、botが定期的にそれぞれのメンターに質問して、本人へのフィードバックを一人ひとりのSlackグループに通知します。
本人は、毎週の振り返りを自分で行い、ロボットに答えると自分のチャンネルに共有されて、その内容を見てメンターがフィードバックします。定期的にロボットが質問してくれて、答えた内容を関係者に通知するといったフィードバック面談のミニ版を細かい頻度で実施しています。botなどを自社で作ることもできますので、いろいろな業務の効率化が進みます。
片岡:さまざまなサービスと連携する、インテグレーションできるのがSlackのよいところだと思っています。我々の場合は、「RECEPTIONIST」というサービスを使っています。iPadの無人受付で、受付に行ったときに、担当者の名前を入力すると、Slackで「○○さんがきました」みたいなかたちで、受付管理用のSlackに通知がきます。そこでOKのボタンを押すと、iPad側で「お迎えに行きます」となります。
OKを押さないとリマインドが届き、それでも対応しなければ、総務の人が「○○さん、お客さんがきましたよ」とご案内をします。このように、業者さんやお客さまが来た時に、受付管理用のSlackのチャンネルに通知がきて、訪問先の人にも通知が届くんです。
いろいろな製品がSlack対応というかたちで連携可能になっているので、そういうものを選ばれても良いと思います。Slack連携に対応していないSaaSなどのサービスでも、それらと連携させるサービスが別にあります。
インテグレーションできるサービスはいろいろあるんですけれども、弊社では「integromat」や「IFTTT」と連携させています。「IFTTT」は、GmailやOutlookにメールがきたら、Slackのチャンネルにメッセージを送ることができるサービスです。これは「if~」といったように条件を指定して、Slackと連携させることができます。
例えば私が「integromat」で設定しているのは、Dropboxの特定のフォルダにファイルを置くと、スライド右上のように、さらに条件分岐しながら、複数の細かい処理を走らせるといったことです。本当にシステマティックな連携ができるんですけれども、Slack連携していないサービスと連携させるときも、このようにSlackと連携させることができるサービスがあるので、いろいろな処理が柔軟にできます。
片岡:最後に今後の課題です。弊社の課題でもあるのですが、Chatを通じてオペレーションを自動化する「ChatOps」という考え方があるのですが、まだまだ弊社でもそれができていません。この部分の自動化を進めていきたいです。
もう1つ、弊社も通常のプランを使っているんですが、来月以降は「Enterprise Grid」と呼ばれる、エンタープライズプランに入れ替えていきます。
我々は他の企業さんとよくお仕事をしています。情報システムに関する制限がある中で、企業さんがSlackを使いたいと希望する場合もあります。そこで我々は、エンタープライズプランという枠組みの中で、ワークプレイスと呼ばれる企業専用のワークスペースを用意します。
企業さんの管理者の方にも一部の管理権限をお渡しして、何かあった時にログのエクスポートを可能にして、一度Slackをお使いいただきます。そうすると、我々も企業の方も、お互いにSlackを通じてコミュニケーションできるので、やり取りがすごく速くなります。
お互いの仕事を効率よく進めていく上で、ぜひ我々が使っているSlackのコミュニケーションの文脈の中で、一緒にお仕事をしていただきたいということでそういったことにも取り組んでいます。
他社の製品を使われている企業さんもいるんですが、それはそれで、我々が合わせて、他社のチャットスペースに入ってやり取りをするんですが、何かと時間がかかります。
また、Slackをお使いいただいた企業さんは、ほとんどがSlackにシフトしています。Slackに変更することはあっても、Slackから元のチャットサービスに戻ることはありません。
それはやはり、Slackがエコシステムとして優れていたり、いろいろなサービスと連携していたりと、可能性があるサービスだからだと思います。そういった意味でも、我々はSlackを他の企業の方にもおすすめしています。
より敷居を低くしていけるように、来月から「Enterprise Grid」にする予定です。そうしたSlackの拡張性の高さを活かすことが、今後の課題となっています。
Slackのよさは、アプリとのインテグレーション、外部サービスとの連携による業務効率化だと思っています。拡張性が高いところもSlackの特徴ではあるのですが、それぞれ企業の状況もあると思いますので、小さなステップからでも始めていただければと思います。チーム単位といったところからスタートできるので、ぜひ一度ご利用いただればと思います。以上が、私からの内容になります。
(会場拍手)
越野昌平氏:片岡様、ありがとうございました。
あらためまして、Slackとは、一体どんなサービスなんでしょうか? チャットツールと呼ばれることも多いですが、それはSlackの1つの側面でしかありません。これはSlackのサービスのイメージですが、Slackの機能は大きく2つあります。非常にシンプルです。
1つはコミュニケーションの機能ですね。(スライドを指して)みなさんから見てスクリーンの左側が、チャンネルと呼ばれる単位でコミュニケーションをしていただくスペース。もしくは電話をする必要があれば、直接音声で電話をしていただくこともできます。
投稿されたものはすべてインデックス化されますので、検索項目を入れるとそのものが引っかかってきます。例えば「トラブル」と検索いただきますと、過去にトラブルにどう対応したかという履歴が追えるサービスになっています。
もう1つの機能が、先ほどの片岡様のお話にもございましたが、インテグレーションによるアプリケーション連携の機能です。2つの機能をどうデザインするかによって、Slackのサービスがチャットツールになってしまうのか、ビジネスコラボレーションハブとして機能するのかという別れ道になってまいります。
Slack上でのコミュニケーションですが、大きく分けて3種類あります。パブリックチャンネル、プライベートチャンネル、ダイレクトメッセージ。この3つです。
パブリックチャンネルは、Slackの中に入っているユーザー同士が閲覧できますし、自分が希望すれば参加できるチャンネルです。例えば、プロジェクトやグループなどで入っていただくことができます。
逆にプライベートチャンネルは招待制で、そのグループに所属していないと入ることができず、入っていない方はメッセージを見ることができないというチャンネルになります。
ダイレクトメッセージに関しましては、1対1や、1対複数、3~4人といったかたちでコミュニケーションをするかたちになります。
なお、アプリケーションによるインテグレーション連携について、SlackではすべてのAPIを公開しており、現在は1,500を超える連携アプリケーションがあります。
今(スクリーンで)ロゴが掲載されているソフトウェア、SaaS系サービスでは、すでにSlackのプリインストールモデルとして、連携が可能になっているサービス群です。
Slackでは、業務に関わるすべてをSlackで提供しようとは考えていません。現在お使いいただいているアプリケーションや、新しいアプリケーションをどんどんSlackに取り込んでいくことによって、Slackさえ開いていればすべての仕事が完結する世界を目指しています。これがSlackの考え方です。
SLACK JAPAN 株式会社
関連タグ:
2024.10.29
5〜10万円の低単価案件の受注をやめたら労働生産性が劇的に向上 相見積もり案件には提案書を出さないことで見えた“意外な効果”
2024.10.24
パワポ資料の「手戻り」が多すぎる問題の解消法 資料作成のプロが語る、修正の無限ループから抜け出す4つのコツ
2024.10.28
スキル重視の採用を続けた結果、早期離職が増え社員が1人に… 下半期の退職者ゼロを達成した「関係の質」向上の取り組み
2024.10.22
気づかぬうちに評価を下げる「ダメな口癖」3選 デキる人はやっている、上司の指摘に対する上手な返し方
2024.10.24
リスクを取らない人が多い日本は、むしろ稼ぐチャンス? 日本のGDP4位転落の今、個人に必要なマインドとは
2024.10.23
「初任給40万円時代」が、比較的早いうちにやってくる? これから淘汰される会社・生き残る会社の分かれ目
2024.10.23
「どうしてもあなたから買いたい」と言われる営業になるには 『無敗営業』著者が教える、納得感を高める商談の進め方
2024.10.28
“力を抜くこと”がリーダーにとって重要な理由 「人間の達人」タモリさんから学んだ自然体の大切さ
2024.10.29
「テスラの何がすごいのか」がわからない学生たち 起業率2年連続日本一の大学で「Appleのフレームワーク」を教えるわけ
2024.10.30
職場にいる「困った部下」への対処法 上司・部下間で生まれる“常識のズレ”を解消するには