2024.12.24
「経営陣が見たい数字」が見えない状況からの脱却法 経営課題を解決に導く、オファリングサービスの特長
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記者10:朝日新聞です。先ほど、シナジーは直接的にはあまりこう、わかりにくいということだったんですけれども。
ソフトバンク、Sprint、アリババ、ヤフー、いろいろ事業体を持ってますけれども、直接的には、じゃあ今はARM社の買収は、具体的なシナジーは、孫さんは念頭に入れてるものはないんでしょうか?
孫:わかりにくいと言いましたけれども、でも、実は全部に関わってると思います。具体的に言いますと、今日も朝、先ほどアリババのジャック・マー、彼自身から直接僕に電話がかかってきまして。「ぜひ中国においてはアリババがARMのパートナーになりたい」「ぜひARMパートナーとして中国では検討したいんだ」というような熱心な問いかけがありました。
つまり、ARMはアリババにとってもみても、アリババはすでに中国のなかでスマートコンピューター、スマホ向けのOSとして、アリババは最近急激に提供し始めておりますし、AliCloudを持ってます。Alipayを持ってます。
つまり、AlipayだとかAliCloud、あるいはスマートフォン、これらはすべて、ありとあらゆるものにインターネットが入っていくと。Internet of Thingsということで入っていく。これらがペイメントでもクラウドでも全部関わってくると。
IoTからやってくるビッグデータは、中国ではAliCloudにそのデータが集積させていくということがやってくるかもしれません。これはまだこれからの話し合いということになりますけれども。
同じように、日本でもアメリカでも、ソフトバンクグループはさまざまなクラウドサービス、あるいはインターネットのネットワークサービスを提供してるわけです。ですから、直接的にさまざまなシナジーが我々のグループカンパニーにたくさんあると。
ただ、それを金額で今すぐ、今年すぐ、来年すぐ、金額でどのくらいかと言われると、金額で今すぐ大きな額は示せないけれども。
3年、5年、10年、時が経つにつれて、我々のグループがありとあらゆるかたちでARMをグループにもってたということで、これが我々のグループの中核のなかの中核になっていくことが非常に考えられるということを私は思ってます。
記者10:でも、孫さん、ARM社はソフトバンクに比べていろんなお客さんがいらっしゃるわけですよね。そこはさっきは中立的だと先ほどおっしゃいましたけれども。そうすると、ソフトバンクグループだけに優先的になにか出すということじゃないんじゃないですか?
孫:ソフトバンクだけに優先的になにかを出すということではないんですけれども。
例えば、ヤフージャパンがありますね。ソフトバンクだけにヤフージャパンのサービスを提供してるわけではないけれども、さまざまなシナジーを共同でお客さんを開拓しにいったり、新しいビジネスモデルを作ったり、さまざまなやっぱりシナジーがありますし。
それぞれ個別の事業体としてのオペレーションはするわけですけれども。シナジーは直接あるいは間接的にたくさんあると。
これらが「点と点が線になって、線と線が面になる」ということが、これから10年、20年、どんどん深まっていくと思うんですね。
みなさん、例えば囲碁というゲームがありますけれども。囲碁のゲームで、囲碁で勝つ人というのは、碁の石をすぐ隣にばっかり打つ人じゃないんですね。すぐ目の前の隣に碁石を打っていくのは素人がやるやり方で。
遠く離れたところにポーンと石を打って。でも、それが50手目100手目となるときに、非常に大きな力を発揮するというところに、「あのときにあそこに置いてなきゃいけなかった」ということが、後で振り返ってみたらわかるんですね。5年、10年経ってみたら、「あのとき、あそこで打たなきゃいけなかった」と。我々ソフトバンクが、なぜブロードバンドをあのときやらなきゃいけなかったか。それは、あとでモバイルインターネットがくるということを想定してたからなんですね。
突然やってきたんではなくて、私は常に7手先まで読みながら石を打っていくということを心がけているつもりなんですけど、まあわかる人にはわかるし、わからない人にはわからないというもんだと思います。
記者10:孫さんは前から「ソフトバンク2.0」ということを言っていて、ニケシュ・アローラも採ってきたと思うんですが、「ソフトバンク2.0」と今回の件はどういうふうに絡んでくるんですか?
孫:ソフトバンクが日本を中心として事業を行っている会社、これがいくつか海外に投資しているという状況だったのが、「ソフトバンク2.0」というのは、日本を中心としてということではなくて、世界を中心として、世界で行っていると。そういう会社になるというのが「ソフトバンク2.0」であると思っています。
記者10:アローラさんはいろいろ疑惑混じりで退任していったという印象が強いんですけど。どう思いますか?
孫:ニケシュは私とビジョンについて非常に多くのことを共有してましたし、ニケシュがいなくなって寂しい思いがますます強くなってきてはいるんですけど。
ただ私は、今回のARMの件を見てもわかると思うんですけど、まだソフトバンクグループの社長として、少なくとも5年、おそらく10年くらいはまだまだ熱心に会社を経営していきたいという思いが非常に強くあって、最近ますます思いが強くなってきていると。
そういう状況のなかで、ニケシュがすぐにソフトバンクグループの社長として、そのポジションを私が譲るということにならないという、私の事業家としての勝手な欲が出てきたということで、それほど長く、今から5年も10年も彼を待たせるわけにはいかないということで、彼としても自分の人生を自ら歩んでいきたいということだったので、今回そういうことになったということです。
ただ、ビジョンについては、彼も非常に共有してましたし、もし彼が今ここに残っていても、ARMの意思決定については賛同してもらえたと思います。次の方、どうぞ。
記者11:1点うかがいたいんですけど、ARM社のマネジメントはどうされるおつもりでしょうか。おそらくソフトバンクはこれまで製造業への見識はあまりないと思っているんですけど、どのようにマネジメントするのか教えてください。そして、孫社長は会長とかなんらかのポジションに就かれるんでしょうか。
孫:ARMの経営陣は非常に有能で、私は非常に高く評価しています。ですからARMの経営陣を変える必要はないと考えております。ぜひ、ARMの今の経営陣を中心に、そのまま経営を継続してもらいたいと考えています。
私自身は、この最終的なディールが終わった後に、会長になるのか、あるいはどういうかたちになるのか、まだ決めておりませんけれども、少なくともARMの中期的あるいは長期的な戦略に私は非常に強く関わっていきたい、サポートしていきたいと思っています。
記者12:フリーランスのイシノと申します。1点おうかがいしたいんですけども、ARMがソフトバンクのこれから主要事業というかたちになっていくのかということをおうかがいできればと思います。
そうなったときに、ARMのチップのライセンスの卸先に、Appleとかサムスンのようないわゆるチップメーカーであり端末メーカーでありというところがありますけれども、そことソフトバンクのモバイル事業の関係がなにか変わってくることがあれば教えてください。
孫:ARMは、ソフトバンクのグループのなかの中核的事業になると、そういうふうに位置付けていきたいと思っております。
これは今言いましたように、直接的なシナジー、間接的なシナジーがさまざまにあると思っておりますけれども、ARMのお客さんに対しては中立性を保っていきたいと考えています。
ソフトバンクは先ほど言いましたように一切のチップを作っていないし買ってもいない。そのチップメーカーに対し、中立的な立場をこれからも保っていきたいと。
ソフトバンクは、そのチップを使った端末としてスマートフォンを作っている会社が世界中にたくさんありますけれども、AppleもサムスンもHuaweiもHDCも、あるいはシャープもソニーさんもですね。
あらゆるスマートフォンのメーカーはARMを現在使っておりますけども、我々はそれらの製品、さまざまなスマートフォンを最終製品として買ってますが、その最終製品は我々が競合している会社もみんな買ってます。
ですから、その最終製品のところについて、我々ソフトバンクのグループになったからといってですね、なにかそこに差別化が生まれるわけではない。
ARMから見ても、そこは中立な立場で、さまざまなチップメーカーに提供して、チップメーカーは、最終製品としてのスマートフォン、あるいはノートPC、あるいは自動車、家電、あらゆるところに中立的に提供していく。こういうふうになると思います。
司会者:では次の質問で最後にさせていただきたいと思います。
記者12:すみません、JPモルガンです。1つだけなんですけれども、ソフトバンクがARMを買収したことによって、既存のARMと契約するクライアントが、ソフトバンクが買ったことによって、やっぱりARMは使いたくないとなるという可能性に対してはどうお考えですか。
これは確認の意味なんですけども、今までニュートラルだったからこそ使っていたけれども、ソフトバンクの傘下に入ったARMは使いたくないとなった場合のリスクをどういうふうにお考えですか。
孫:それはほとんどないと思うんですね。というのは、ソフトバンクは、ARMの直接的なお客さんとはなんら競合するビジネスをしていないということですね。
ソフトバンクはARMのお客さんであるAppleだとかサムスンだとかクアルコムだとかMediatekだとかNVIDIAだとかルネサスだとかFreescaleだとかマイクロチップだとか、そういうところとなんら競合する事業を行っていない。
競合する事業を行っていないのに、ソフトバンクのグループに入ったから急に嫌になるということはないと思いますね。
また、ソフトバンクはARMのビジネスモデルを急に変えるとかそういう方針もまったく持っていませんし、ですから、ソフトバンクのグループになったからARMのお客さんが急に世の中が暗くなるとか嫌になるとかARMを嫌いになるとかいうことはまったく考えられない。こういうふうに思います。
記者12:それはキャリアの色が今までついていなかった。で、今孫さんがおっしゃられたようなそれぞれの会社というのは、どこかのキャリアの傘下に入っていたり、キャリアの色がついていたりすることがないところなので。
例えばそのキャリアの色がついてることによってなにかディスアドバンテージを被る可能性があるとARMのクライアントが考える確率はないと考えてよろしいですか?
孫:そうです。キャリアのスマートフォンのメーカーは一切キャリアではないと。それからチップメーカーも一切キャリアのグループに入っていないと。キャリアは一切チップメーカー、あるいはスマホメーカー、あるいは自動車メーカーではないと。家電メーカーでもない。
ですから、我々となんら競合するところにないと。そういうことだと思います。
記者12:それはだから世界的なキャリアから見た場合に、ソフトバンクの傘下であるARMのチップを扱い続けたとしても、なにかしらディスアドバンテージ受けることがないという理解でよろしいでしょうか。
孫:そうですね。キャリアがソフトバンクグループのARMのチップの入っているスマホを買いたくないとなるとすれば、そのキャリアはiPhoneも扱えなくなるし、サムスンも使えなくなるし、HuaweiもHTCも扱えなくなると。
世界中のスマホはみんなARMを使っているわけですから、急にキャリアがそれらを敬遠するというわけではないし、我々もARMが使われているスマホをほかのキャリアに売ってほしくないとか、扱ってほしくないとか、提供すべきではないとか、そういうことを考えてはいないということです。
記者12:わかりました。ありがとうございます。
司会者:では時間になりましたので、これにて電話会議を終了させていただきます。このたびはお忙しい中ご参加いただきまして誠にありがとうございました。
孫:ありがとうございました。
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