福島県の子供たちの小児甲状腺がんの調査
山本太郎氏(以下、山本):はい、ありがとうございます。生活の党と山本太郎と仲間たち共同代表の山本太郎です。10分しかございません。ぜひ端的にお答えいただけると助かります。
11月30日に開催されました、福島県県民健康調査の第21回検討委員会で公表された資料によりますと、当時18歳以下だった子供を対象に行っている甲状腺検査の結果、2011年から今年(2015年)9月30日までの間に153人の子供が、「甲状腺がんの悪性または悪性疑い」と診断されました。
これって、多いんですかね? 少ないんですかね? 皆さんはどう思われますか。
現在も官邸に対する助言を行う原子力災害専門化グループの一員であり、県民健康調査検討委員会の初代座長でもあったミスター100ミリシーベルト、山下俊一さん。
2009年日本臨床内科医会医師で、「日本では、思春期を超えた子供の甲状腺がんをまれに見るくらいです。その頻度は、年間100万人に1人と言われています。これは、欧米、日本ほぼ変わりありません」とおっしゃっておりました。
東電原発事故後の2011年10月、日本原子力学会誌においても「100万人に1人という稀な小児甲状腺がん」とおっしゃっているわけですね。
山下俊一さんでさえ、そうおっしゃるくらいに超レアケースだった小児甲状腺がん、今回、福島県県民健康調査では、38万人中153人に甲状腺がん、または疑いとのこと。38万人のうち153人。
現在、福島の県民健康調査でわかった甲状腺がんまたは疑いとされた子供の数、これ明らかに多発ですよね?
今年の7月6日、行政監視委員会で小児甲状腺がんの私の問いに対しまして、環境省環境保健部長の北島さんは、「多発とは言えない」という趣旨のお答えをされました。現在の状況も、先日の答弁のとおり多発とは言えないんでしょうか。
改めて北島さんにお聞きしたいんですよ。多発である・多発でない、二択でお答えください。
委員長:北島部長。
福島県の小児甲状腺がんを多発と認めない2つの理由
北島智子氏(以下、北島):えー、二択でお答えするのは大変難しい問題でございます。
福島県の県民健康調査検討委員会甲状腺検査評価部会の中間取りまとめにおきましては、甲状腺検査の結果、甲状腺がんの悪性ないし悪性疑いと評価されたものが、議員ご指摘のとおり、通常の有病率に比べて数十倍のオーダーで多いことは指摘されております。
ただこの評価につきましては、「被爆による過剰発生か過剰診断のいずれかが考えられるとしたうえで、過剰発生を完全に否定するものではないが、過剰診断の可能性が高い」との意見があった旨が記載されているところでございます。
委員長:山本君。
山本:ごめんなさい。えーとですね、これは多発であるか多発でないかを答えにくいという話ではないんですよ。多発であるということはもう認められてるんですよ。
11月30日福島県の県民健康調査検討委員会の後に行われた記者会見におきまして、日本甲状腺外科学会前理事長であり県民健康調査の甲状腺検査評価部会、部会長清水一雄先生も、「いずれにせよ、予想を超えるような多発が起こっていることは事実」とおっしゃっています。
同日の記者会見では、県民健康調査の星北斗座長も、「清水先生との意見に齟齬はない」と認め、県民健康調査検討委員会の座長も、甲状腺検査評価部会の部会長も、多発を認めています。認めにくいとかの話じゃないんですよ。
最前線の人たちが多発だってことを実際にもう記者会見で言ってしまってるんですから。 毎回この集まりがあるときに福島行かれてるんですよね? 北島さん。
福島の小児甲状腺がんは多発です。しかし、多発と認めない方々も存在している。その中の主な理由は2つとされる。
まずスクリーニング効果。数年後に臨床症状をもたらすがんを前倒しで見つけてるんだから多発に見えるんだよという論調。これフリップお願いしていいですか。スクリーニングのほうです。
しかしですね。甲状腺検査評価部会に属し、国立がん研究センターがん予防検診研究センター長の津金昌一郎さんは、「多発との関係をスクリーニング効果だけで解釈することは困難である」とおっしゃっている。
つまり「確かにスクリーニング効果で大規模な検査をしたから、以前よりたくさん見つかるけれども、それだけでは説明がつかない」っておっしゃってるってことですよね。
そして多発を認めないと言われるもう1つの理由は、過剰診断。将来的に症状が現れたり、命をおびやかしたりすることのないがんをわざわざ見つけたんだから、多発になったんじゃないの、このような論調。
しかしこれ、現場の医師に対して大変失礼な発言なんですよね。多発の原因が過剰診断だって言うんだったら、じゃあ今まで100人以上行われた手術というのは何なんだよと。不適切だったのかと。
福島医科大学主任教授で、前県民健康管理センター、甲状腺検査部門部門長、つまり福島県の小児甲状腺検査のトップである鈴木真一さん、過剰診断ではないという現場の事実、これ甲状腺検査評価部会の第3回・第4回で説明しておられる。
そのときに使われた資料がございます。これは日本内分泌外科学会、日本甲状腺外科学会編集の、甲状腺腫瘍診療ガイドラインの一部なんですけれども、現場の医師の判断はこれに沿ったもんだったと、基本に忠実なものだったということが示されてると思うんですね。
腫瘍の大きさやリンパ節転移などからハイリスク群に当てはまっている。つまり、危険性が高いという診断で通常の診療でも治療を勧める範囲、決して過剰にならないと説明をされています。
福島県の小児甲状腺がんの多発、これを今でも否定しようとする人々は2つの理由を主にあげる。スクリーニング効果と過剰診断。これらはそれぞれ検討委員会や甲状腺検査評価部会に参加する最前線の専門家からも否定されている。
多発の原因が何かはわからない。でも、多発であることは間違いない。100万人に1人と言われていたものが、38万人中153人にも増えてきている。明らかに多発であり異常事態じゃないですか。
このまま根拠のない「大丈夫だ」とか、「様子見る」とか放置していいわけじゃないですよね。現在福島県で多発している小児甲状腺がんが、元々潜在的に、我が国の子供たちが持っているものだったとするならば。
これ全国の子供たちに、福島県の子供たちと同様の検査・調査必要じゃないですか? 健康調査必要だと思いますよ。言うまでもないですよね。決してこれ福島県内だけで終わっていい話じゃないんです。
これ多発であるっていう専門家たちの最新の知見をもって、福島県以外の地域にも子供たちの健康調査を広げる、フォローアップする必要性を考えなきゃいけないと思うんですけども、井上副大臣はいかがお考えですか。
委員長:北島部長。
山本:おかしいでしょう、(北島部長には)聞いてないですよ、呼んでないです。副大臣としての見解を聞きたい。
委員長:井上副大臣。
逃げないでいただきたい、環境省
井上信治氏(以下、井上):福島県外で甲状腺検査を行う事について、官公省の見解ということでありますが、東京電力福島第1原子力発電所の事故による放射線にかかる住民の健康管理については、医学等の専門家の御意見を十分に尊重した上で、
コンセンサスが得られた科学的知見に基づいて進める事が、何よりも重要であると認識をしております。詳細については事務方のほうから答弁をさせます。
山本:委員長。
委員長:山本君。
山本:えー、事務方からの答弁はけっこうです。要はですね、環境省は見解として、2014年12月のあり方会議(CRCと臨床試験のあり方を考える会議)、ここから内容引いてきてるんですよ。でもそれ古いんですよもう。見直してくださいよ、最新の結果を反映させてください。
このあり方会議に参加されてきた方々の見解が変わってきてるんですよ。「これは多発だな」って。「原因が何かははっきりしないけれども、多発であることは間違いがない」というような見解になってきている。
だとするならば、最新の知見を持って、検討会であったりとか、そしてこれからフォローアップどう広げていくかってことをつなげていかなきゃいけないと思うんです。
もう一度、井上副大臣にお聞きしたいんです。この2014年12月の考え方から引いてくるんじゃなくて、最新の知見を持ってこのフォローアップにしろ、検討会の話の内容っていうのを考えていかなきゃいけないと思うんですけども、いかがお考えでしょうか。
委員長:井上副大臣。
井上:先ほど申し上げた通り、この問題につきましては、やはり科学的知見ということが非常に重要だと思っておりますので、引き続きそれに基づいた対応をしていきたいと思っております。
山本:委員長。
委員長:山本君。
山本:科学的知見を用いると言うならば、最新の内容、そして最前線の医師たちの考えていること、知見というものを考えなきゃいけない。
逃げないでいただきたい、環境省。去年の12月の考え方を引きずらないでいただきたい。現場の最新の知見を利用して、これに対処しないと大変なことになります。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。