2024.12.24
ビジネスが急速に変化する現代は「OODAサイクル」と親和性が高い 流通卸売業界を取り巻く5つの課題と打開策
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山田裕一朗氏(以下、山田):まず、藤吾郎さんから自己紹介を始めていただいてもよろしいでしょうか?
藤吾郎氏(以下、藤):藤吾郎といいます。ハンドルネーム「gfx」で、インターネット上では活動していて、今は「Fastly」でリモート勤務しています。勤務地は東京で、USの本社に対してリモート勤務をしている感じです。
インターネットとプログラミングが好きなプログラマーです。役職を持たない人をIndividual Contributorというのですが、Individual Contributorであることに最近アイデンティティを見出しつつあります。よろしくお願いします。
山田:今日はそのあたりを深堀りしていきたいなと思っていて、いろいろとお話できるのを楽しみにしています。では、鈴木さんお願いします。
鈴木健太氏(以下、鈴木):よろしくお願いします。私は、大手SIerに新卒で入社したあとに、Web系のスタートアップ、Web系の企業で働いて、フリーランスをやったあと、2021年1月に「Shopify」にデベロッパーとして入社して、今はフルリモートで勤務しています。
ちょっと緊張していますが、よろしくお願いします。
山田:よろしくお願いします。私はファインディ株式会社の代表の山田と申します。よろしくお願いします。
私は、もともと三菱重工で、どちらかというと工場の生産企画みたいなところにいました。そのあとコンサルティングの会社を経て、ベンチャーで経営をやって、ファインディを創業しています。
パネルディスカッションに入っていきたいなと思うのですが、「こんな話がおもしろいんじゃないか」と4つぐらいの質問に分けておうかがいしていきたいと思います。
1つ目は、転職のきっかけについてですね。どのような感じで海外発の企業で働くチャンスを得ていったのか、ぜひおうかがいしたいなと思っています。では藤さんから、お願いしてもよろしいでしょうか?
藤:僕はもともと、わりとリファラルで転職することが多くてWeb企業を転々としていました。
Fastlyも、以前働いていたDeNA(株式会社ディー・エヌ・エー)の元同僚とか、クックパッド(クックパッド株式会社)の元同僚とか。DeNAの元同僚はけっこういっぱいいて、クックパッドから行った人は、僕を含めて3人ぐらいいます。
というわけで、もともと比較的知り合いはたくさんいるので、今回もその1人のツテをつたってという感じです。ほかにも転職活動はしていたのですが、だいたいリファラルが多いですね。今回の転職活動も、リファラルで紹介してもらったのが多いです。
山田:最終的にFastlyにした決め手はなにかあるんですか?
藤:いい質問ですね。もともと僕は技術が好きで、コーディングもプログラミングも設計も好きなので、技術中心の会社がいいなあと思っていました。
今回の転職活動は、海外に拠点があったり、そもそも外資系だったりというところを中心に探したのですが、いくつか内定を得た結果、Fastly。なぜかと言われると難しいですね。
直感で決めたところもけっこう大きいですが、今後伸びそうだし、技術的にもおもしろそうだし、あとやったことがなかったから、どういう仕事か想像がつかないなというところがありました。
それ(Fastly)以外のところだと、普通にWebサービスをやっているので、概ね想像がつくのですが、想像がつかないほうがおもしろそうだろうというのはありました。
山田:それまではどちらかというと、日系の会社かなと思うのですが、今回あえて海外や外資をターゲットにしたのは、ステージ的にも考えるところがあったからでしょうか?
藤:そうですね、海外で何年か生活してみたいなというのがありました。いろいろとアプローチはあると思うのですが、とりあえずその会社がサポート、ないし、ある程度援助してくれる感じだといいなと思っていました。
海外で生活を始めるために、なるべく英語を使う機会を増やしたかったのもありますね。
海外で生活を始める人はだいたい、「とりあえず生活を始めるのが先だ」みたいなことを言いがちだと思うのですが、僕はちょっと日和って、しゃべる機会を増やすのを先にしたという感じです。
山田:ありがとうございます。では続いて、鈴木さんにShopifyに転職したきっかけをおうかがいできればと思います。
鈴木:私は特にツテもなかったのですが、ShopifyのCEOが、「これからはリモート体制になって、世界のいろいろなところから採用するぞ」みたいことを言っていたのを、確かニュースかなにかで見て、もしかしたら日本でも募集しているのかなと思って、日本のキャリアサイトで、ロケーションを日本に絞って見てみたら、ちょうどリモートのデベロッパーのポジションがオープンしていたんです。
1ヶ月ぐらい応募するかどうか迷ったのですが、幸い1ヶ月間そのポジションが空いていたので、そこに応募して、ラッキーなことにオファーをもらえたという感じです。
山田:1ヶ月迷ったのは、挑戦してみようかどうかというところに迷いがあったのでしょうか?
鈴木:そうですね。僕自身、英語でムチャクチャ仕事したことがあるわけではなくて、その当時いた会社で多少英語を使っていたぐらいだったので、自分の英語力でやっていけるのかみたいなところもけっこう迷ったポイントです。
その前にも英語の面接を受けたことがあったのですが、面接でメタメタにやられたことがあって、若干それがトラウマで、1ヶ月ぐらい悩んでいましたね。
山田:鈴木さんは日本の会社がメインで働いてこられた感じですよね。
鈴木:そうですね、私も漠然と、もっと英語を使う機会を仕事で増やしたいなという気持ちはあったのですが、それまで外資系まで目がいかなくて。日本の会社で、ちょっと英語を使う機会ありそうだなというところを、いくつかある軸の中で消極的に選んでいたのですが、今回は思い切って挑戦してみようかなと応募をしました。
山田:ありがとうございます。海外に住むことや、外国の企業で働くことに関心をお持ちだったという点が共通点かなと思うのですが、思いながらも実行に移せる人はなかなか少ないですし、2人とも留学経験があるわけではないですし、帰国子女でもないという点でいうと、非常にチャレンジングな世界だったと思います。どういう悩みがあって、どう乗り越えようとしているのかをおうかがいしたいと思います。
藤:いやもう、苦労は計り知れないですよね。いまだに苦労してますが、やはり下手に話して通じないとヘコむし。
それこそ社会人になる前ぐらいから、「GitHub」のOSSとかでIssueとかプルリクエストとかをやり取りするのは何年もやっていたので、読み書きはある程度はできたのですが、今使っている「Slack」はコンテキストがないとけっこうわかりにくかったりするので、ババババッと話されるとなんのことかわからなかったりします。
僕はリスニングが圧倒的に下手で、最初の頃はもう、なにを言われてもよくわからないから、「Zoom」で話しているけど、ひたすらチャット欄にタイプしてもらう感じで乗り切っていました。
山田:それは、同僚の外国の方にずっとタイプしてもらうということですか。
藤:そうそう、1対1だとそれができますよね。でも複数のミーティングだとそれもできないから、理解度は3割ぐらいかなという感じで半ば諦めていました。あとは、最後の「Google Docs」にまとめる議事録を読んでがんばるみたいな感じでした。
山田:それぐらいの理解でもなんとかキャッチアップできるものなのでしょうか? けっこう大変そうだなと感じました。
藤:大変だと思いますよ。だから最初の1年は、こんなので給料もらってすみませんみたいな感じでした。
山田:やはり仕事に入る前の理解が大変みたいな感じでしょうか。
藤:そうですね、うん。
山田:例えば最初の1年で、ここがすごい難しかったとか、「Slack」のコンテキストのどういうところがぜんぜんわかんないとか、具体例はあるのでしょうか?
藤:ちょっとしたことがやはりわからないですね。ちょっとしたことがポジティブな意味なのか、ネガティブな意味なのか。「ゴー」なのか「キャンセル」なのか、そのプラスマイナスでさえわからないんですよ。
鈴木:ムッチャわかりますね、それは。
藤:どう考えても辞書に載っている基本的な単語を使っているのに、プラスなのかマイナスなのかがわからないんですよ。これはもう衝撃ですよね。
そういうのをmachine translationに入れてもわからないんですよ。プラスなのかマイナスなのか。
山田:ニュアンス。副詞とかニュアンスがつかみきれない感じなんですね。
藤:そうですね。
鈴木:くだけた言い方とかだと特に。けっこうグローバルにいろいろな人がいるので、各地域の英語の癖があって、そういう人と話す時は、みんなある程度わかりやすい英語をしゃべるように心掛けている気はします。ただ、Shopifyのヘッドクォーターがカナダで、カナダの人たちでワーっとやっている時は、けっこうくだけた表現が出てきて、マジで何言ってるかわかんねぇなみたいなのはあります。
藤:今ちょうど、チャットに「『speech to text』があれば役に立つか」という質問があったのですが、チャットでさえこの調子なので、単語1つの微妙なニュアンスでプラスかマイナスかわからない状況だと、テキストにしてもあまり意味がないですね。
プラスなのかマイナスなのかは、聞き直すしかありません。今は、わからないところがあったら秒で聞き直すので、逆に、わからないことはあるものの、仕事に支障が出ることはなくなりました。でもやはり、わからないことはありますよ。
山田:1対1よりは、対複数人とか複数人対複数人がやはり大変なのでしょうか?
藤:社内のテックイベントでライトニングトークした時に大変だったという話を、この場の前にちょっと雑談でしたのですが、それが大変なのは、単にフィードバックがなさ過ぎるからです。こっちは下手くそな英語だから、わからないことがたくさんあるんでしょうけど、社内イベントのテックトークで話すと、ゼロフィードバックなので。
運がいいと、チャットで「今のがよくわからなかった」と言ってもらえますが、録画だったりすることも多いので……1対1だと、お互いにフィードバックしながら話すので、まだマシなんですが、テックトークをしていると、基本的にフィードバックがないので、心が折れそうになりますね。
山田:心折れるトークのところをちょっと深掘りしたいと思いますが、鈴木さんはどんな心の折れ方を(笑)。
鈴木:私は入ってすぐに、けっこうフワッとしたプロダクトのデザインスプリントにいきなり放り込まれたことがありました。
デザイナーやエンジニアが7、8人ぐらい集まって、「Miro」みたいなホワイトボードアプリを使って議論したのですが、いきなり放り込まれてコンテキストもわからないし、英語もそこまで慣れているわけではありませんでした。
僕はリスニングはわりとなんとかなっていたのですが、意見をなにか言おうと思った時に、「ああ、これでいいんだっけ」と、ちょっと迷っている間に、トピックが移り変わるとか、同じことをほかの人が言って、「ああ、もうなにも言えねぇ」みたいになったことはけっこう多くあります。それはすごくつらかったですね(笑)。
山田:海外の企業だと、なにも言えないと価値が出ていないと言われると聞きますが……。
鈴木:そういうプレッシャーもあって、かなりつらかったのですが、その話を正直にリードにしたら、「そういうことはまだ全然気にしなくていい」と言われたんです。
西洋的な文化がどうという話ではなくて、「終わってからいろいろフィードバックする人もいるし、君がやりやすい仕事のかたちで活躍することが一番だから、そんなことは気にしなくていいよ」と言ってくれて、メチャクチャ感動しました。
山田:なるほど。ちなみに、リスニングはもともとある程度できたから、そんなに苦労はしていないですか?
鈴木:英会話教室でも聞くのはできているねと言われていたので、聞くのはわりと得意だったのかなと思うのですが、しゃべるとなると、正しく自分の言いたいことをパッと伝えるのが、なかなか難しいこともあります。
山田:藤さんからは、プラスかマイナスかのニュアンスを感じ取るのが難しかったとあったのですが、具体的な会話のシチュエーションで、こういうのをうまく伝えられないとかはあるのでしょうか?
鈴木:ある特殊な環境で起こるバグがあって、関係するAPIなり要素が多い中で、きちんと正しく英語で伝えるのは、やはりムチャクチャ大変です。
そういうものを説明する時は、先にプルリクエストとかで全部バッと書いておくか、図を用意して対策しているのですが、ミーティングで、ふっと振られた時は、アワアワとなることが何回かありました(笑)
山田:英語習得の話に移りたいと思います。先ほど英会話という話があったのですが、鈴木さんはベーシックに英会話通っていたのでしょうか?
鈴木:そうですね。私は外資系の企業への転職を考えていたタイミングで、フリーランスで時間もあったので、英会話教室に通っていました。
山田:ほかにも、今やられていることはありますか?
鈴木:今も継続して、英会話を週1か週2以上で30分ぐらい受けるようにしています。あとは単語帳アプリを使って、自分の知らない単語があったらどんどん放り込んでいます。
ほかには、毎日はできていないのですが、そのアプリから推薦される単語を覚えるのを、平日の2、3日ぐらいはやるようにしています。
山田:ありがとうございます。藤さんはどんな英語勉強法や、習得をやっていますか?
藤:英会話教室に行ったほうがいいなと思いつつ、ちょっと時間がなくてできてはいません。転職した時が子どもが2歳になる直前で、子育てを1日5時間もすると、余暇を使ってなにかをする気にはとてもなれないという感じだったのですが、アプリで学習はしています。時々、タイムラインで話題になる「ELSA Speak」とか、「WordUp」とか。「mikan」も有名かな。
ELSA Speakは、発音の矯正を徹底的にやってくれるもので、比較的継続できているかなという気はします。その甲斐あってか、入社してもうちょっとで2年ですが、だいぶ聞き取れるようにはなったと思います。
山田:前に、出張に行った時にけっこう大変だったというお話がありましたね。
藤:そうですね。入社直後に出張に行ったのですが、わからなすぎて無でしたね。
山田:2年経って、今はだいぶ会話もいける感じでしょうか。
藤:仕事についてはそうですね。ただ出張に行くと、雑談もしなければいけなくて、雑談は仕事とはぜんぜん別の難しさがあります。雑談はよくわからないですね。今でもけっこう難しいんじゃないですかね。
鈴木:雑談のほうが、知らない単語や知らない表現を使わなきゃいけないタイミングが多いですよね。大人数で集まったミーティング前のアイスブレイクで、みんな雑談するのですが、僕は基本的になにかを振られないとなかなか話せないです。
山田:外国人がいる雑談にガンガン入っていくのが得意な日本人がそもそも多くない気もします。
藤:そんな気もしますね。まあそれをいうと、日本語で話している中にグイグイ入っていけるエンジニアも比較的少ないのではないかという気がします。
藤:英語習得や、英語周りの苦労で、心が折れる話ばかりしたのですが、上長や同僚は基本的にすごくよくしてくれています。入社当初の上長はフランス人だったのですが、英語が第1言語ではない人と話すのにかなり慣れていて、「ソーリー」と言うと、ゆっくり別の言い回しで言い直してくれたので、そこはすごく助かりました。
同僚と話していて「ちょっとタイプしてくれ」とお願いしても、別に嫌な顔をするでもなくきちんとタイプしてくれます。冷たく扱われてつらかったことは、ほとんどないですね。
鈴木:私もそうです。自分がしゃべれなくてヘコむことはありますが、相手からしゃべれないことで冷たくされる経験は今のところなくて、その点はすごく恵まれているなと思います。
藤:シリコンバレーの会社は、英語が第1言語ではない人もたくさんいるから、みなさん慣れているのかなという感じがします。そこはきちんと言っておきたいと思います。
山田:ある程度勉強したら思い切って挑戦してみてもいい世界なのですね。
藤:そうですね。
(次回へつづく)
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