TikTokのフォロワーが140万人を突破
三木:よく聞かれる質問は「海藻はアメリカで売れますか?」と。はい。実は今、非常に大きなトレンドになっています。

ホールフーズが毎年出しているトップ10キーワードに、2023年と2025年の2年も「海藻」が選ばれています。実際、ふりかけだけで年間22パーセントも市場が伸びています。普通の海藻のふりかけが伸びています。
ただ、こんなにマーケットがあるのに、実はアメリカでは海洋植物関連企業ってすごく少ないんです。それはいろんなハードルがあるからです。
例えばクオリティ。海藻って収穫したその日の温度によって性質がぜんぜん変わってしまいます。量産にぜんぜん向いていない素材もあったりします。さまざまなハードルがある影響で、なかなかアメリカでは出そろっていません。
そんな中、実は日本は海藻テック先進国です。さすがに400年以上前から海藻を食べているだけあって、よくわからないおもしろ~い技術があるんですね。
そこで私たちは、例えば「かんてんぱぱ」で有名な伊那食品工業さんのパートナー企業として、彼らがお持ちのディープ技術をお預かりし、そこから製品化、または量産技術、その上で物を作ることで幅広い商品展開をできるようにしております。

この技術で生まれたのが「Misaky Tokyo」という和菓子ブランドです。1粒9ドル、バラ売りはしておりませんでして、平均単価は50ドル。
このビーガン・グルテンフリーで完全無着色無添加の和菓子ブランドを6年前に立ち上げました。現在、TikTokのフォロワーが140万人で累計動画再生回数も15億回。ちなみに、一時期はコカ・コーラ社よりもすごいことになっていたと。
全米で700店舗に商品を出荷
有馬:(笑)。大丈夫ですか。コカ・コーラの関係者の人が負けられないなって(笑)。
三木:ちょっとお手柔らかに(笑)。また、キム・カーダシアンなどの世界的セレブリティからご愛顧いただいています。そして次なる挑戦として今、力を入れているのがこの「OoMee」。アメリカで初めて寒天をベースにしたジュースでございます。

こちらは飲めばお腹いっぱいになる満足感もあります。昔、寒天ダイエットって流行っていましたよね。Seabiotics(という、海洋由来の栄養豊富なビタミンとミネラルが配合されたAqua Theon社独自のブレンドを用いた)まったく新しいこの寒天のジュースを世界にコミュニケーションしております。
3週間前に公式ローンチいたしまして、なんと全米ですでに700店舗に商品がキャリーオン(取り扱い)されている状態でございます。がんばったら2025年に1,000店舗までいくかな? がんばります!
有馬:すごいですね。これはカラフル。すばらしい。
三木:そしてもう1つ、我々が次なる未来として挑戦をしているのが、この医療およびプラスチックの代わりの特許事業でございます。
我々は「テキーラボール」と呼んでおりますが、こちらは高アルコール度数で低pHなので、オレンジジュースやレモンジュースを、ハートや星型などさまざまな形に作ることができます。
この基礎技術をもって医療用カプセルをどんどん作っていきたいなと、そんなかたちでやっております。どうぞよろしくお願いいたします。
(会場拍手)
アメリカ市場に挑戦する理由
有馬:ありがとうございます。2人ともやはり話がうまいですね。すごく引き込まれちゃう。
古賀:僕は、もうちょっとちゃんと会社の説明をすればよかったなと思っています。
三木:いや、だって、古賀さんがすごすぎるから、私もちゃんとやんなきゃと思ったんですよ(笑)。
有馬:ちょっと古賀さんはもっとしゃべったり宣伝をしたそうだな思ったのでいっぱいお聞きします。大丈夫です。
三木:(笑)。
古賀:お願いします。
有馬:僕は古賀さんとはもう6~7年ぐらい前からお会いしていますけど、お二人ともに共通しているのが、ずっと自信満々なんですよ。
三木:(笑)。
有馬:やはり「この人についていけば絶対に成功する」と思わせるパッションというか、すごい自信があります。「その自信は何すか?」みたいな。
だって、植物工場って、昔も競合がたくさんいました。今はあれですけど、ユニコーンもめちゃくちゃいました。その中で日本人が日本の技術でアメリカで挑戦して起業して世界に挑んでいる。なんでそんなに自信があったのかをちょっとお聞きしたいです。
グローバルなトレンドの変化に着目
古賀:いや、根拠はほぼないんですよね。最初に始めた時も、僕は連続起業家でもないですし、会社員としてコンサルを5年やっていただけなんです。うまくいくかどうかは自分でもわからなかったです。
ただ、僕は小っちゃい頃から海外に住んでいて、日本のいいものがすごくヒットしているのを見ていました。
だけど日本に戻ってくると、日本は「失われた20年」とか「このままではもうダメだ」みたいな、悶々とした中を生きてきているじゃないですか。

社会人になって、たまたま植物工場の案件を日本でけっこう見るようになりました。それで、日本ではもう15年ぐらい前から流行っていたんですけど、なかなかうまくいかなくて、ほとんどの会社が潰れちゃったのを見ていました。
それで2015年にアメリカに留学に行ったタイミングで、たまたまサステナビリティという流れが世界的に起き始めて、「農業がこのままだとやばいぞ」と。植物工場はより少ないリソースでできるので、「自動車がガソリンから電気になったみたいに、植物工場に変わっていくんじゃないか?」みたいな流れがたまたま起き始めたんですよね。
実は、日本にはアメリカよりもいい、世界トップの施設園芸の技術があって、しかも自分は日本語も英語もできます。だけど、グローバルな流れという意味では、アメリカには日本よりもグローバルな植物工場のマーケットがあり、急速に立ち上がってきている。その時に、たまたま自分はシリコンバレーにいる。
漠然と、人生で日本人としてこのマーケットを世界に広げてみたいと思っていたことが、全部その瞬間に凝縮されて。自分が世界のど真ん中にいるような感覚を初めて感じました。それで「もうやるしかないな」と思って。
だから、できるかどうかはわからないけど、もう、とりあえずやる。ちょっと投資家さんもいるのであれですけど、だから「絶対できます」と思っていたというよりは、最初は「ダメでもいいから」と、それぐらいの気持ちで始めました。
日本から部品を輸入し、自ら機材を開発
有馬:だって、僕が昔古賀さんの講演を聴いた時に、古賀さんのスライドで一番感動したのは、起業の歴史の、最初の写真です。もうおもちゃを作っている感じでしたもんね(笑)。
古賀:そうですね。ちょっと今日もスライドがいくつかありますけども、これですね。創業時の写真です。
三木:えっ、すごい!
古賀:これはUCバークレーのMBAを卒業した、もう本当に数週間後です。私とCo-Founder(共同創業者)のブレンダン(・サマービル氏)と、私のクラスメイトの3人です。これは未だに覚えていますけど、ボコボコになった中古のコンテナを港から8,000ドルで拾ってきたんですね。
有馬:8,000ドルは自腹ですよね。古賀さんも若いな!
古賀:もうこの時にはシードの投資家がちょっといました。だから自分で日本から輸入したLEDとかを、電圧とかが違うので1個1個全部の配線を開いたりしました。みんなで共同生活をしながら夜な夜な組み立てていました。最初は「自分たちで栽培もして営業もする」みたいなことをやっていましたね。
有馬:それが今や『TED』にも出て数百億円も調達し、植物工場ナンバーワンのユニコーン企業に。すごいですね!
古賀:でもたぶん、自分たちで最初にやったからというのはけっこう大きいと思いますね。やはり、他の会社はエグゼクティブが自分たちで耕したり作ったりしないで、全部を外注しちゃうんですよね。そうすると、なんだかよくわからなくなって、お金だけがどんどんかかって、結局は倒産しちゃったというケースがありました。