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英語ネイティブは「would」をどう使っているか? 「Do you like〜」と「Would you like〜」の違い [1/2]

【3行要約】
・日本人は自分のことを話さない傾向がありますが、英語コミュニケーションでは自己開示が重要な要素となっています。
・言語コンサルタントのオールライト千栄美氏によると、英語と日本語では会話の基本パターンが異なります。
・英語は「勉強」ではなく「体験」するものと捉え、自分のことを積極的に話す習慣をつけることで、より効果的な英語コミュニケーションが可能になります。

前回の記事はこちら

自分のことを話さない日本人

オールライト千栄美氏(以下、オールライト):この形容詞がもっと活きてくる場所があるんですね。それは自分のことを言う時です。たぶんピンと来ないと思うんですけど、私たち(日本人)は自分のことを言う機会が本当に少ない。でも英語はまず自分のことを言ってから、相手に尋ねる。これが英語のコミュニケーションのパターンです。

日本語では、まず相手のことを聞いて、自分のことは言わないパターンが美徳という感じですよね。だけど英語は違います。自分のことを言うのがすごく大事です。そして、なぜ相手の話を聞いているのかというと、次に自分のことを言いたいから、自分の出番を待っているからなんです。

これ(スライド)は実際にインタビューから取った日本語と英語です。「あなたは、どのタイプ?」という就職の面接のようですけど。

「これを英訳しなさい」という問題を出されたら、「どうすればいいの?」と、すごく迷いません? 「私はタイプです」から抜き出すのか。「自分の考えを持っていて」だから「I have ideas」と言っちゃいそうですよね。

それが英語ではこうなります。英語はこれだけ。こういう形容詞があるんですよ。圧縮をしている・凝縮しているというのは、こういうことです。

もう1個、優柔不断という日本語はすごく圧縮しています。だけど、ふだんの会話で四字熟語はあまり使わないですよね。漢字から遠のいているのもありますけど、5歳の子どもが「優柔不断」なんて言わないですもんね。

日本語は年齢差によって変わる。子ども言葉、年寄り言葉、女性言葉や男性言葉など役割語があります。臨機応変という言葉も、すごく抽象化した、いろいろな意味の具体像を込めている単語です。でも、ふだんの会話ではなかなか使わない。

この「思う」というところ(スライド)にアンダーラインを引いているんですけど、英語だと、どんな単語が浮かびますか?

参加者7:flexible?

オールライト:んー! flexible、いいですね。indecisive(優柔不断)、こんな感じでしょうか。「I would say」のwouldは「思う」と訳されることがすごく多いです。これは後ほどお話しします。flexible、openも形容詞になっています。

会場:へぇー。

「would」の意味

オールライト:対応できるという動詞を訳そうと思ったとたん、英語を日本語の枠に入れちゃうんですね。でも「今は言われたらわかるけど、じゃあどうすればいいの?」と思いますよね。まずは「こういうものなんだ」と知るということです。

知って、型を作る。型を作って初めて、必要なパーツが入ってくる。単語は単語帳でも目にしていると思います。ただ日本語訳で言ったことがなかったり使ったことがなかったり、あまりない日本語訳に結びつけただけだと、形容詞は、私たちの頭の中では活きてこないんですね。

では、ここからwouldの話をちょっとします。だいたい私はしゃべり過ぎて、後ろが詰まるんですが、(今のところ)いい感じです(笑)。

「wouldとは、どういう意味?」と聞かれたら、一応ちゃんとした単語です。意味を持っているでしょうか? wouldは高校で習うのかな? 先生、高校何年生で出てくるんでしょうか?

参加者8:中学で出てきます。

オールライト:あ、そうだ、そうだ。もう中学で出てくるんだよね。どうやって教えるんだろう?

参加者8:中学校だと、仮定法みたいな公式でしか教えない。「willの過去形だよ」と。

オールライト:確かにwillの過去形ね。wouldは難しいわけじゃないんだけれど、言葉にはいろいろな意図や目的を含むので、語り始めたら3日ぐらいかかる。特に助動詞は「こうだよ!」というのが難しいんですね。

「Do you like〜」と「Would you like〜」の違いは?

オールライト:ここでみなさんに、また考えていただきたいんですが……。この2文「Do you like coffee?」と「Would you like coffee?」、これは1語しか違わないんですが、「Do you like coffee?」はどういう意味でしょう? 

そうそう、コーヒーが好きかどうか。今、飲みたいかじゃなくて、好きかどうかを聞いています。

小学校の英語の教科書にも「What do you want for your birthday?」はあるんじゃないかな。「来月は誕生日だから(プレゼントを)あげるね」と言っているわけじゃない設定だから、まぁ、例文としてもちょっと不自然なんですけど。だって「くれないんだったら、聞くな」という……。

(会場笑)

こういうふうに現在形と習うとあまり良くないです。私たちは過去、未来、現在の中の現在だと思っちゃう。みんな「今のことだ」と思っちゃうんですね。でも現在という日本語は「現に在る」と書く。現にあるということは、今という意味じゃなくて、ファクトなんです。

私は事実断定系と呼んでいます。「あなたは、コーヒーがとにかく好きな人なの? 昨日も好きだったし、今もだし、明日もだし。いつか変わるかわからないけど、今のファクトとしてどうなの?」と聞いているわけですね。

じゃあ、2文目はどうでしょう。wouldになると、どうなるんでしょう?

参加者9:今の気分として。

オールライト:うん。じゃあ、なんでwouldがそうしてくれるんでしょう?

参加者9:……。わからない(笑)。

オールライト:(笑)。これは「もしここにコーヒーがあったら、あなたは好きか」なんですね。もしあったら……というのは、「勝手に想像してみて」というのではないんです。

語用論という分野には「もし……と言っただけで、なぜくれるとわかるのか?」という、ややこしいことを研究している分野があります。

もしあったら好き? もしかしたら日本語とちょっと似ているかもしれないです。「コーヒーは、いかがですか?」の「いかが?」は、「想像してごらん」という。考え方がちょっと似ていますよね(笑)。目の前にはないんだけれども「あったらそれをいかがに思う?」ということかもしれない。

つまり「もし、あなたがlikeだったら、私がそれを叶えてあげましょう」ということです。例えば先ほどの誕生日プレゼントの話も、「What would you like for your birthday?」と言ったら、基本的に受け取り方としては「(プレゼントを)くれるんだ」なんですよ。

「would」は相手に期待をさせる

オールライト:だから間違えちゃいけないのが、あげる気もないのに「あ、wouldは丁寧という意味で習ったから、丁寧に聞くべきだ」と思って「What would you like for your birthday?」と言ったら、(相手に)期待させてしまうんですね。

wouldは、一歩引いている感じで丁寧だとよく言われますよね……。英会話で大西(泰斗)先生が一昨日言ってたな(笑)。ただし学校ではどうしても「そう覚えておいて。そういう範囲でしかテストに出ないから」というのがあります。それ自体はぜんぜん悪いことではない。

「学校でこんなに英語をやっているのに、なんでしゃべれないんだ」というのは、「みんな体育の授業をやっているのに、なんで同じように速く走れないんだ」と一緒です。まぁ、授業でやったからしゃべれるようになるとは、学校の先生も言ってないわけです(笑)。

wouldは、if(もしそうだったら)という次元だということ。元のかたちはwillなので、もしの中でwillという意思を聞いている。こう考えてみてください。

英語は「事実かどうか」にすごくこだわる

オールライト:では先ほどの文「I can be indecisive.」に戻りますね。このcanは、Iが出てamとは言っていないので、断定していない。助動詞は主観を言うためのものです。「動詞を助ける」と書きますね。動詞をどう助けたいかというと、「主観だよ」「ファクトじゃないよ」と。

英語はファクトなのか、そうじゃないのかに、すごくこだわるんです。だからcanを入れることで「そういう可能性もあるよ」と言っているわけです。「そうだ」と断定はしない。文章の前に来ることで、キチッと主張をしているんですね。

「I would say I'm flexible.」をただ日本語にしたら「思う」となりすよね。今、選挙をやっていますけど、あれを英語にして聞いちゃうと、「この人たちは大丈夫かな?」となる。「私たちは、国民のためにこうしたいと思います」。

「したいと思います」とは、英語で「I think I want to」です。日本語にすると「こうしたいと思う」と抵抗はないけど……。「I want to」は存在しても「I think I want to」となると、自分で思っていることがわからない人になっちゃうんですね(笑)。

「I think」と言いたくなったら「I would say」で代用

オールライト:日本語では「思う」をよく使います。会話もそうだし、日本人が作文を書くと、「I think」が多くなっちゃう。でも「I think」と言いたくなったら、1回引っ込めちゃって大丈夫です。多くの場合「I would say」で代用できます。

ちょっと比較してみると、もし「I would say」のwouldを取っちゃうと、「I say I'm flexible.」になる。これだとおかしなことになります。「私はこういうことをいつも言う人です」と意味が通じなくなっちゃうんですね。「I like cats.」と一緒で「いつもcatが好きです」という。

「私はいつもこう言っているんです」だと意味として成り立たない。「I would say I'm flexible.」だと、いつも言っていないけど「あえて言うとしたら……」ということが入るんですね。

どこでも、誰にでも「I'm flexible」と言っているんじゃなくて、もし言うとしたら……という。距離が離れるとか、丁寧というのも、そこから来ているんですね。けっして敬語や自分がへり下るという意味ではありません。

もう1個大事な要素があります。先ほどの猫ちゃんクッキングの絵の話ですが、英語は主語と動詞がくっついているのでワンセットです。ワンセットなので、絵に描きやすいとお話ししました。当たり前ですが、主語と動詞はすごく密接。

あとはその言い方です。「I would say」のIに重きを置くと、「もし私に言わせるなら……」、つまり「他の人はわかりませんよ」という意味にもなるんです。だからwouldを一言で説明することはできないんですよ。

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