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日本のディープテックデカコーン戦略~グローバル市場で輝く日本の強みとは?~(全4記事)

1台の中古コンテナからアメリカ市場に挑戦 日本発"食×テック"で成功を掴んだ起業家たち [1/2]

SusHi Tech Tokyo 2025は、東京で開催されるアジア最大級のスタートアップイベントです。本セッションでは、日本が強みを持つ「食」を軸にした技術革新に焦点をあて、米国拠点でグローバルに活躍しているスタートアップ2社が登壇。イチゴの植物工場を運営するOishii Farmの古賀大貴氏と、海藻テックを駆使し話題の商品を手がけるAqua Theonの三木アリッサ氏が、日本の強みを活かしたグローバル戦略を探ります。

世界を舞台に活躍する起業家が登壇

有馬暁澄氏(以下、有馬):みなさん、お昼時にありがとうございます。お腹が空いていそうなので、いろいろ食べながらでもお聞きいただければなと思っています。

今日はなんとビッグゲストのお二人、ニューヨークから古賀さんが、そしてロサンゼルスからアリッサさんがはるばる日本へ来ていただいております。2人から今日だけしか話せない内容をたくさん話してくれると思いますので、ご期待ください。

さっそくですけど、Oishii Farmの古賀さんからぜひ会社のご紹介をいただければと思います。よろしくお願いします。

古賀大貴氏(以下、古賀):よろしくお願いします。我々はアメリカでイチゴの植物工場を運営するスタートアップになります。

もともと日本で生まれ育ってから、2015年にアメリカの大学院へ留学に行きました。そのまま在学中に起業して、ニューヨークでイチゴの植物工場をやっています。

そもそもどんなものなのか。これが実際の映像で、ニューヨークから1時間ぐらいのところにある我々の農場です。まずソーラー発電で電気を作り、それを使って、この奥に出てくる植物工場の室内でイチゴを育てております。

これはかなり大きくて、東京ドームよりちょっと小さいぐらいの大きさなんですが、日本の都道府県1県分ぐらいに匹敵する収穫量のイチゴを通年で作ることができます。

ロボットやAIを駆使するディープテック企業

有馬:使用する水も、(画面を示して)ここのスライドにあるように、こういう施設を使って全部リサイクルできます。掛け流しではなくて、効率良く自然負荷が少ないかたちでできていると。

農場の中は、実際にはこんな感じになっております。太陽光の代わりにLEDを使って、イチゴが床から天井まで、手前から奥までもうガーッと埋まっている感じですね。

ちょっと最後に出てきますが、これは通路もないので、必要なタイミングで農場自体が動いて、人やロボットのところに苗が来て、ロボットが自動で収穫するところまで技術が進んでいます。これもAIで全部判断して自動で収穫するという、こんな感じですね。

「イチゴを売っている会社」というイメージだと思うんですが、全部自社で内製化してやっているので、実態としてはかなりディープテックそのものですね。

日々、ありとあらゆる科学技術を駆使して、研究開発にとてつもない金額を投資しながら量産化してどんどん安くしています。今、もうすでにアメリカのホールフーズ・マーケットやいろんなスーパーで、数百店舗で販売をしています。

こだわりぬいた紹介ビデオ

有馬:ありがとうございます。あの太陽光パネルはすごいですね。

古賀:ありがとうございます。実は自分たちで建てたわけではなくて、ゴールドマン・サックスさんが持っている太陽光(電池)と、その横にすごく大きいプラスチック工場があったんですけど、それぞれ両方に同時並行で交渉しに行ったんです。

ゴールドマンから電気を全量買い上げて、それを直接、隣のプラスチック工場に突っ込むということですね。どっちかの交渉が落ちたら成立しなかったんですけども、そこを死ぬ気で交渉して、なんとか成立させました。

有馬:結果的にエネルギーも含めて超サステナブルな農業になっていますよね。

古賀:そうですね。あと、あのビデオをワンショットで撮りたかったんです。本当は、隣に太陽光発電所がある必要はまったくないんです。けれども、これは1発目で世の中に対してインパクトを出さなきゃいけないと考えた時に、ああいうわかりやすいビデオにしたほうがいいかなと考えたということですね。

有馬:ずるいですね。ビデオが良すぎます(笑)。

古賀:ありがとうございます。

「日本の文化を世界に」の志で起業

有馬:さすがです。続いて、ぜひアリッサさんも会社の紹介をお願いします。

三木アリッサ氏(以下、三木):みなさま、あらためまして、Aqua Theon代表の三木アリッサと申します。どうぞよろしくお願いいたします。まったく拍手がなくて心が折れそうなんですけれども、どうしましょう?

(会場拍手)

三木:ありがとうございます。

有馬:我々はすごくラフにトークするメンバーで、たぶん通訳の方も困ると思うんですけど、みなさんに笑顔で笑っていただければと思います。

三木:ちなみに今の拍手で足りました? 

有馬:足りていないですね。

三木:足りていないですよね。みなさま、よろしくお願いいたします!

(会場拍手)

三木:(笑)。さすが、日本人はやはり空気が読める。ありがとうございます。

あらためまして三木と申します。私がずっとやりたかったことは、「日本の文化を世界に」、こんな思いを10代の時から持っており、ずっといろんなビジネスを経てやってまいりました。その中でも現在、Aqua Theonは海藻テックのイノベーションカンパニーになろうと目指しております。

「海藻」が持つ様々な強み

三木:なぜ海藻かというと、実は日本ってご存じのとおり島国じゃないですか。島国ですと海藻が地方中で採れる。「この注目されずに眠っている、いろんなおもしろい海藻を世界に持っていって、地方創生のお役立てができないかな?」、そんな思いでこの海藻を選んでいます。

ただ地方創生×グローバルの中でもなぜ海藻かというと、私は海藻こそ未来があると思っているからです。なぜなら、実は海藻って1日に30センチも伸びます。他の食材と比べて圧倒的に環境負荷が低く、また、ご存じのとおりすごく体にいいです。

最近ではアルツハイマーや関節にも効果があるというアーリーステージのエビデンスがそろいつつあります。また、海藻はさまざまなものに展開ができますよね。もちろんお菓子やドリンク、サプリメント、ヘアケア、スキンケア、最近ですと海藻から服ができたり、壁やガラスまで作れてしまうと。さまざまな分野に使えます。

その中でも弊社がやっているのはゼラチンマーケットです。特に医療用の現場では、ソフトジェルカプセルの80パーセントがゼラチンで作られています。ここを全部海藻で市場を取ってやろうと。

もちろん、健康食品業界でも施策を打っていきたいよねということで、定義としては、「海藻で体の中に入るものの全部を、何か作れないかな?」という思いでやっております。

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