2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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高木新平氏(以下、高木):それはめっちゃそうやと思っています。最近仕事で、僕の出身地の富山県のブランディングをする中で、東岩瀬という海外からめっちゃ富裕層が来る場所があるんです。「満寿泉(ますいずみ)」という日本酒を出している桝田さんという人が、酒蔵の目の前の300メートルぐらいの通りに、一流の作家を住まわせたり、料亭を引っ張ってきたりしているんです。
1軒1軒買い取って、めっちゃ古い街並みに戻している。その300メートルぐらいの中にミシュランがいくつもあるみたいな。一流の作家、歌の作家とか、そういう人たちがいる場所を、作り上げている人がいます。
そこを目的地として、世界中からセレブ、フーディー(食通)たちが来ていて、バンバンお金を使っているんですね。日本酒の中でも高いものを売れるし、「HENRI GIRAUD(アンリ・ジロー)」とか、「Chivas Regal(シーバスリーガル)」とかともコラボレーションしています。最近は、ドンペリの責任者と「IWA 5」という高級な日本酒を作ったりもしています。
でも、地方だとすごく浮くんですよ。「なんなの、あの人」みたいな。枡田さんは地元の名士だからまだましだけど、それでもけっこう浮いてる感じはあります。特に地方だと、みんなそういう経験をしていないから理解されない。下手をしたら「すごく高いお金を使わせる、そういうの(観光スポット)をやっている」みたいに言われたり。
僕は枡田さんをめちゃくちゃリスペクトしていて、「この人がやっていることが、富山の観光の未来だな」と思ったから、今一緒にいろいろやらせてもらっているんですけど。
村上隆さんではないけど、業界全体が、そういう人たちをもっとフィーチャーして、「これが次のスターだ」と。次のスタンダードのように押し上げていく必要があると、富山県の仕事をやっていてもすごく思いますね。
白石実果氏(以下、白石):さっきオープニングのところで新平くんが、日本酒はなかなか値段を上げられないと言っていましたね。SAKE HUNDREDは東京だから値段を上げられたと。富山県でプレミアラインを作れたのは、通りの空気感や、ミシュランのお店があって、そこで提供されるお酒という流れを作ったからこそ、実現し得たことかなと思います。
高木:そうですね。その通りだけでたぶん数十万円とかを使えるぐらいの場所になっています。それを1人で作っているのが、まずすごいんですけど。
白石:いやー、すごい。
箕輪厚介氏(以下、箕輪):本当にシンプルだけど、価値を考える時、アートで考えるとわかりやすいなと思います。アートって価値の上塗りじゃないですか。ハッタリも含めて、流行っていることに対するカウンターだとか、新しい発見に価値があるじゃないですか。そこの新しい発見に対してはいくらでも払うよ、という考え方があって。
僕、講演会で、地方都市に死ぬほど行くんです。毎回、青年会議所とかの講演会で、「この街の印象はどうですか?」と聞かれても、駅に着いてすぐ講演をしているから、駅しか見てねえよみたいな。で、やっぱり日本って、駅はぜんぶ似ているから、「来たことがあったような気もするし、ないような気もします」ぐらいしか言えなくて。
要は、「同じようなものを作ってもしょうがないよ」という、もうとんでもないぶっ飛んだものをやったほうがいい、ということだと思うんですよね。
たぶん行政とか法律とかも絡んでくるんですけど。それこそキャンプ場とかも、法律の範囲内でおもしろいことをやろうとするとぶっ飛べないんですよ。でも、はっきり言って、自己責任で死んでしまうかもしれないけど、とんでもないヤバい山のガチのサバイバルみたいなのは、たぶん「価値」です。
それが好きな人・嫌いな人はいるかもしれないけど、「ここでしか体験できない」を作ってかないといけない、ということだと思うんですよね。
高木:本当そうだと思う。そういうものが、意外と認識できていないんです。例えば、富山県だと、海越しに3,000メートルの立山連峰が見えるんです。でも、海越しに3,000メートル級の山が見られるのは、世界でイタリアとチリと富山だけらしいんですよ。だから僕は、船の上で釣れた魚を、山を見ながらその場で食べれるレストランを作りたいなと思っています。
箕輪:まさに。
高木:そういう、「ここにしかぜったいないやん」というものを、なぜか意外と大事にしない。もっと付加できるポイントは、たぶんいろいろあるんだけど。
箕輪:ある。
高木:それをやろうとしても、「いや、船の上は危険だから」とか、「今までそういうのやってないから」とか(笑)。いろいろ言い訳があって、なかなか実現しない。
箕輪:そう。まさに白石さんのいらっしゃる飛騨も、この前ホリエモンと行ったんです。加茂川みたいなところの一軒家ホテルに泊まって、「めっちゃいいね」と言っていたんですけど。あんなに良いロケーションだったら、もっとぶっ飛んだらもっと金出すよと。普通に良かったんですけど、「もっと狂っちゃっても良いんじゃない?」と思うんですよね。
高木:うんうん、そう思う。
箕輪:価値とは、そういうことな気がしますね。
白石:確かに。自分が想像できる正解をいかに超えていくか、という部分かなと思います。
箕輪:ブランドってそういうものですからね。だいたい、その時は「はっ?」と言われるようなものが価値だから。そういうのを作って、でもそこはお金じゃないものだから、値段は青天井だよね、みたいなことで。
原価に対していくらとか、為替がどうとかいうのは、もうなるようになるだけなものな気がします。日本人は平均的なことを考えるのが得意だから、本当の価値創造は、今まで意外とできていないのかもしれない。
白石:アフラさんはさっき、隈先生と一緒に行く旅行とか、そういう差別化と言っていたんですけど。他に何か差別化はありますか? ぶっ飛んだものでも、それ以外でも(笑)。
アフラ・ラフマン氏(以下、アフラ):先ほど新平さんが言った、桝田さんの工場の酒作りを私も体験させていただいて。そういうコンテンツでしたらけっこう高く売れるかなと思っています。外国人の料金設定は高くしてもいいんですけど、例えば、県民割とか、現地に住んでいる人限定で安くしてもらえるんだったら、一番良いのかなと思っていて。
バリ島はインドネシアですごく有名な島です。でも私がバリ島で一番嫌いなのは、インドネシア人の料金が一番安く、真ん中に白人料金があって。白人に聞かれたらこの金額を提示します。で、一番上が日本人料金です。「日本人は交渉できない」とみんなに認識されているので。
白石:胸が痛い……(笑)。
アフラ:それはさすがにひどすぎるなと思います。もともと一般の料金は一番高めにしていて、バリ島、島割とかにしたほうがいいのかなと思っています。海外の観光地って、そういうのがけっこうあるんですよね。東南アジアでは、日本人だったら「いくらでも払ってくれる」という理由もあるんですけど。
箕輪:へえー!
アフラ:(桝田さんの観光スポットは)もちろんコースによってですけれども、料理も確か5万円以上。
高木:ああ、そうですね。
アフラ:ぜんぜん、それぐらい価値はあると思います。2回食べさせていただいたんですけど、非常においしかったし。
高木:たぶん、桝田さんがあれをできるのは、桝田さんがもう世界中のセレブの経験するような経験をたくさんしてきているから。
箕輪:まさに。
アフラ:ああ。
高木:たぶんそれが思い浮かばないから、多くの人は富裕層の感覚での価格設定が、想像ができないんですよね。
箕輪:まったくそう。たぶん、ぜんぶつながっていて。日本においては格差もないじゃないですか。格差を認めないし、忌み嫌うから、ぶっ飛べないんすよね。今後「インバウンドでどうするんだ?」という戦略において、やっぱりそこがネックになる。
安くて、「こんなに食ってこんなに安いの!? ぜんぶ良いじゃん!」というエキゾチックさは受けるとは思うけど、一方で、本当に振り切っているものもあってもいいよねと思う。
でも、ニセコとかはけっこう勝手に振り切ってしまっていて。ニセコのコンビニとかヤバくないですか? ドンペリとかめっちゃ売ってる(笑)。
アフラ:神戸牛も売ってます。
箕輪:ですよね。まあほぼ外国ですけど。
高木:ニセコはすごいよね。でも、ニセコを作れたのは結局、オーストラリア人と中国人で。
箕輪:そういうことでしょ? 同調圧力がなかったしね。
高木:うん。だからそういうある種、格差じゃないけれども、富裕層やエグゼクティブな層の人たちが自由にプレイできる場所を、作っていかないといけない。
でも、少しずつ生まれているとは思うんですけどね。瀬戸内だったり、いろんなところとかで。そういうのをもっと起こさないと、よくわからない平均的な価格帯の中途半端なものに、よくわからないままなんとなく合わせてしまう。
箕輪:わかる。
アフラ:ニセコのコンビニの例をおっしゃっていたと思うんですけども、その例はすごく良いと思いました。なぜかというと、水とか他のコンビニで売っているものは、あんまり料金を変えずに同じ金額で出しているんです。
でも、それ以上のものが欲しい方に対しては、別のものも出す。デマンド(需要)があれば、これをニセコ以外の各地でやってもいいかなと思っています。
箕輪:いや、わかる。まさに本当そうです。最近、僕カフェ難民なんです。幻冬舎でちょっと嫌われすぎて、あんまり会社に行っていなくて、カフェを回ってるんですけど、マジで混んでて。しかも、女の人がいっぱいいるところで、ガーシーの話とかできないんですよ。
そうなった時に、今行ってるのは六本木の「文喫」。1,600円の入場料を払うだけで、マジで人いないんですよ。あと、穴場で大崎のTSUTAYA。実は1階は、有料ですけど、1,000円払うと誰も人がいないんですよ。
でも、そんなの望んでる人いくらでもいるじゃないですか。1,000円くらいなら払うけど、もうそれでそんなに環境の差があるのは、当たり前なのに誰もやっていない。
高木:うーん、おもしろい。
箕輪:ファストパスみたいなのはぜんぜんあってもいいのにね。それで誰もが幸せになると思うんですよ。感情的なことを抜きにして、そこで払われる金でコーヒーを安くできたりするじゃないですか。ファーストクラス戦略みたいなの、ありますよね。
高木:この前の格闘技(「Yogibo presents THE MATCH 2022」)とかも、1列目300万円、2列目200万円とか。
箕輪:うん。俺、会ったこともない、やばいかもしれない方に、仮想通貨の200万円の席もらったもん(笑)。でも、そういうもので、その人が20席とか押さえてるのよ。だから、それ以外の人が7,000円で見られる。
白石:実際に高いSS席を買う人がいるから、安い席がある。
箕輪:まさに、まさに。
白石:一方で、日本で高い席を作ると炎上したりするのは、もしかしたら、値上げとか高くすることに対する日本の同調圧力だったりするのかなとは感じています。
高木:まあ安い席もあればいいと思うんですよね。
アフラ:そうですね、はい。
箕輪:まったくそうすね。
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