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月曜カフェスタ2016年2月1日(全2記事)

外交問題で世界と張り合えるのは誰? 国益がぶつかり合うCOP会議

2016年8月にケニアで第5回アフリカ開発会議(TICAD)が開催されます。月曜カフェスタトーク・シーズン9にゲストとして招かれた外務副大臣・木原誠二氏は、2015年11月30日〜12月13日にかけて行われた、国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)での決定事項について説明。これまで環境省の主導で行ってきた議論を外務省主導で行っていくことの重要性を語りました。

一般人が抱く政治家のイメージ

平政明氏(以下、平):ということで大澤さんどうですか? こんな感じで出てみたものの。こんな感じなんですよ、政治家って。イメージとどうですか?

木原誠二氏(以下、木原):どうですか?

:(コメントで)TOKIOの山口くんに似ているとか(笑)。どうですか?

(会場笑)

:似てませんね(笑)。

大澤咲希氏(以下、大澤):似てますね(笑)。

:似てますか(笑)。亀有派出所の両津勘吉にも似ているって言われます。

木原:少しもみあげを短くしたから、そうでもない。

:そうでもないですか(笑)。

大澤:でも思っていたイメージとは違いました。

:違いましたか?

大澤:政治家さんって、遠い雲の上の存在っていうイメージだったんですけど。今後若者が投票することになっていくわけですから、私も10代ですけど、こういう近しい関係でと言いますか…。

:みんなこんな感じですよ。

大澤:本当ですか(笑)。

:僕が自民党に入った時、悪代官みたいな顔した人がいたんですけど(笑)。それでこういう悪い顔をした奴は、絶対に悪いことをしているに違いないと信じていたけど、意外と話してみるとぜんぜん違って優しかったり、うまく言えませんけどイメージが変わりますよ。政治家と付き合うとね。

マスコミを通じて言うとなかなかね、伝わりにくいと思いますけど。別に木原さんと僕らが特別なわけじゃなくて。火曜日に丹羽(秀樹)というのがいるんですよ。これなんか見たら、私たち若い世代が頑張んなきゃって思いますよ。

(会場笑)

:こんな人に政治家をやらせといていいのかと思いますからね(笑)。ぜひ丹羽君の回も見ていただければと思います。

京都議定書に欠けていたもの

もう1つ木原さんに聞きたいのは、この間COPがあってフランスに8日間ぐらい行ってましたよね。

木原:行ってました。

:僕らの時代で言うと、共同会議は川口順子さんが日本主導でまとめて、非常に高く評価されたものの、アメリカが途中でいなくなっちゃうという悲しい結末を迎え、結局京都会議から今度のCOPが新しい枠組みができたという報道があるんですが、今回の年末のCOPは京都会議の反省を踏まえて何が決まったんですか?

何か丸川(珠代)さんが手をつないでうれしそうに歩いてたり(笑)、何か良かったんだろうなとは思うんだけど、何が良かったんですか?

木原:平さんがおっしゃったように、京都議定書は非常に画期的な枠組みでしたと。それは地球温暖化が進む中で、主要国がみんなで排出目標を決めて実行していきましょうという目標を決めたということで画期的だったと。

ただし、欠けていたものがいくつかあって、一番大きなのは中国とか、インドとか、途上国が一切入っていなかった。それがまず1つ。もう1つは先進国の側でも、アメリカがまさに離脱をしたということが2つ。

従って今回は、先進国も途上国もみんなが参加する枠組みを作りましょうと。参加をする枠組みを作ろうとすると、あまり義務が厳しすぎるとみんなやっていけないので。

今回は中身を見てもらえればすぐわかるんですけど、名称が京都の時は議定書、今回のパリはパリ合意ということになってまして、法的な拘束性がやや弱くなっている。

その代わり、世界中190ヵ国近くのみんなが参加する枠組みを作ったというのが一番のポイントだと思います。

2つ目は、これからどれぐらい温暖化を抑えていくかという共通の目標を作った。産業革命の時点から比べて、温度上昇を2度ぐらいまでの中に収めましょうという世界共通の目標を作りました。今までそういう目標がなかったので、これは2つ目の大きな効果だと思います。

それから最後は、これをやっていくためには特に途上国にはお金が必要です。例えば太陽光発電をするとか、熱効率の良いシステムにしていくとか、その援助を先進国がいくらやりますかということを、きちっと金額を定めた。大きな枠組みは3つですね。

:前進だったと思います。やっぱりすべての国が参加したというのは大きな意味がありますし、またそういう中で自分たちの目標を定めるというやり方が良かったと思うんですが。

一方で、ミクロで各国が自分たちのルールを、自分たちの目標を定めた時に、それがマクロとして、全体として目標を達成できるのかといったこの辺の整合性ってどうなんですか?

木原:これは平さんらしい鋭い指摘で、今までの京都議定書はPDCAサイクルが一切決まってません。

だけど今度のパリ合意の中には、各国ごとにそれぞれPDCAを回すという1つのサイクルと、全体として2度目標に向かってのPDCAを回すという2つのサイクルが盛り込まれています。

従って、これからCOPは毎年やるわけですけど、3年ないしは5年ごとにそれぞれの進捗状況を、PDCAを回してチェックをして、それぞれの国の目標をより革新的に、ブレークダウンをした上でまた足りなくなれば引き上げていくという努力の道筋が入っています。

しかもそれが先進国途上国両方にかかっているということなので、そこも1つの大きな前進だと思います。

:前回のCOPの会議においては、英語が喋れる議員はいっぱいいますけど、英語で交渉できる議員というのはあまりなくて、木原さんが大変活躍したというのを、木原さんご本人から聞きました。 他からは聞いてないんですけどね(笑)。

木原:聞いてるでしょうー(笑)。

:他からは聞いてないんですけど、ご本人から聞いています(笑)。

木原:ダメじゃん(笑)。

:でも本当に苦労してまとめられたということで。それで丸川さんと手をつないで、楽しそうにしておられた、あれは何だったんですか?

木原:あれはみんなで、がんばりましょうということです。

:そういうことですか。綺麗な話ですね(笑)。わかりました。

木原:ただ、COPのことでもう1つ言うと、COPって京都議定書の時は外務省主導じゃなかったんですよね。だけど地球温暖化対策というのは、純粋に経済問題だし、外交問題になっていて、そろそろ外務省の枠組みの中に入れて、真剣な外交交渉としてやらないと、これから先はなかなか厳しいなと気がするので。そんなことを実感した。

:確かに各国の参加者を見ると、いわゆる外務大臣のエースが出てきているわけで。別に丸川さんがエースじゃないとは言いませんが、もっと国の強力な力のあるところ同士の戦いに現実はなっているということですね。

木原:そうです。例えばフランスの今回の議長は、ファビウスという次の総理を目指してもおかしくないような人が議長で取りまとめて。アメリカはケリー国務長官が交渉の最終場に乗り込んできて、夜中の4時ぐらいまで議論するんですよ。

一番驚いたのは、最終日から2日前ぐらいかな? 夜中の3時ぐらいで、俺なんか眠くて死にそうだなと思ってたら、突然SPが5、6人入ってきて、何が起こるのかなと思ったらケリーがいきなり乗り込んできて、ワーッてやりはじめて。だから国益がぶつかる外交交渉の場がCOPだということを、今回は実感しました。

:じゃあ、麻生さんクラスが行かないとダメですね(笑)。

木原:ノーコメントです!(笑)

ヨーロッパの難民問題

:最後にヨーロッパのことを聞きたいと思いますが。ヨーロッパも経済を引っ張っていたドイツがフォルクスワーゲンの問題があり、さらに難民問題があって、ギリシャの問題もいったん片付けたものの、よく言われるのか学級崩壊だと。

ギリシャも大問題児だったのに、結局反省したふりをしてるけど、実行はしないと。それで議長のオランダも、議長は毎年変わるから、リーダーシップが発揮できない。フランスは自分のところのテロがあったりで、いっぱいいっぱいだと。

ドイツは原理原則で押すんだけど、誰も付いて来ないと。イギリスはがんばって欲しいんだけど、イギリスはこのクラスから出ていこうかなと思っているということで。

そういった中で、例えば難民を、ちょっと私は詳しくないんだけどヨーロッパは、EUということは、要は通貨とか、人の流れとか、物の流れを自由化しましょうということですよね。

その中でドイツが難民を人道的立場から、どうぞって言った時に、ドイツだけで留まりませんよね。そうするとEUの中にいろいろ行くから、各国が国境の管理を強めることになりますよね。

そうすると逆にEUの崩壊というか、逆戻りするのではないかと。その難民問題を契機に、そういうような懸念があるんじゃないかなと思うんですが、これヨーロッパなんかはどうですか? イギリスに大蔵省が出向して、大変なものなんですよこの人は。

大澤:すごい(笑)。

木原:ありがとうございます。去年フランスでテロがあって、その時に有名な言葉になったのが、シェンゲン条約といって、つまり区域内は全部移動が自由だということになっているのがEUの基本中の基本で。

あのテロの時も、テロの首謀者たちはブリュッセルから、ベルギーから入ってフランスに来たんじゃないかと。それは問題だという話だったんだけど。それを強化すると今度はEUそのものの存在価値が無くなっちゃうので。この問題は非常に難しいと思いますね。

日本と各国との外交関係

:そういった意味では、中国もマクロ崩壊のような感じがあり、今日はちょっと中東まで話いきませんでしたけれど、中東もイランとサウジアラビアから、僕らから見るといろいろあるんだろうけど。

いきなり国交断絶と聞いちゃうとしびれるものがあるなと思うし、ヨーロッパもいろんな不安を抱えている中で……。国際環境はここ数ヵ月、北朝鮮の核実験もあり。緊迫の度を増しているなと思いますけど。

外務省で英語で交渉ができるのは木原先生ぐらいしかいないんじゃないかと。木原さんに頑張ってもらわないといけないなと思いますけど。岸田大臣とは仲がいいんですよね。

木原:仲いいですよ。

:一応確認でした。

木原:ちなみに、岸田大臣はこれで1100日。もうあと3ヵ月もやると、今の安倍総理のお父様、安倍晋太郎先生を抜いて歴代3位の、吉田茂、大平正芳、そして岸田文雄と。最長記録になります。

長くやってるというのは非常に意味があって、やっぱり岸田さんのことをみんな知ってるんですよね。

僕がこの間、AUの総会に行ったら隣がイタリアの外務大臣だったんですけど、いきなり「文雄はいないのか?」と。最初は誰のことを言っているんだろうなと思ったけど、岸田さんかと思って(笑)。「文雄はいないのか。残念だな」とか言って。

これはやっぱり日本にとっては非常に良いことで。ケリーとも電話でパッと話ができる仲ですから。そういう外交の継続性というのも重要かなと思います。

:これは長期政権というか、政権が続く時に如実に現れるのが外交ですからね。

木原:外交ですよ。

:安倍総理の地球儀を俯瞰する外交で、あちこち行って日本にいないじゃないかって、たまに野党から批判されるけど。やっぱり顔を合わせていて、それが複数回になると、ISの邦人の人質の時でも、言えない話が多いようですが、かなり首脳同士のネットワークが機能したし。

最初の問題に戻ると、国連の常任理事国入り、これは我が国の悲願ですよね。その時にいわゆる多数に支持をしてもらう時にも、やっぱり総理や外務大臣が実際に数回会って人間関係を作っているというのは、本当にこれは大きいことだなと思います。

木原:今年はサミットもありますから、サミットに向けてはそういう個人的な人間関係も必ず役に立つと思います。

:そうですね。ということでどんな感じでしたか? 出てみて。怖くないでしょ。

大澤:はい。

:怖くないよね。木原さんの説明を聞いて、それは違うだろうとか、何かありましたか?

大澤:いやー、それは無いですけど。机の上で勉強してきたことが、生々しい政治の話とか聞けると、大学生としてはすごくおもしろかったというか、勉強になりました。

:わからないことがあったら、いつでも木原さんに聞いたら優しく教えてくれますから。

木原:はい。

:はい(笑)。ということで来週はマルタ島から生田さんが戻ってきますので。

木原:俺の役割はおしまいだ!

:大澤さんが登校拒否をしなければ、また会えるということで。木原さんはまた生田さんが忙しい時に、来ていただいて中東の話などを聞きたいと思います。今日は木原副大臣、公務御多忙の中、ご出演いただきましてありがとうございました。

木原:ありがとうございました。

:これをもちましてカフェスタトークを終わらせていただきます。ありがとうございました。

(会場拍手)

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