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第2回山田太郎のメディアフォーラム=コミケ・ビックサイト近くのホテルから生中継(全4記事)

春画の週刊誌掲載がなぜダメなのか? 2015年の表現規制を振り返る

2015年12月31日にコミックマーケット(コミケ)会場である東京ビックサイト近辺で行われた、参議院議員・山田太郎氏による「第2回山田太郎のメディアフォーラム」。2015年に施行された児童ポルノ禁止法の運用に関する問題点や、春画を掲載した週刊誌4誌が警察から口頭指導を受けたことなど、2015年の表現規制に関する警察や政府の対応について語りました。

児童ポルノの単純所持、運用には問題も……

山田太郎氏(以下、山田):次、単純所持について少しいきましょうかね。2015年、もう1つは児童ポルノ禁止法。去年(2014年)の6月に参議院の法務委員会を通過して、7月に本会議を通過して、7月15日が施行1年後ということで、スタートしました。

これはまさかの逮捕劇ということだったんですが。児童ポルノ禁止法というのは、児童のポルノ画像を持っていると、それ自体で単純所持ということで逮捕されるということで、さんざん国会でも審議されたんですが。沖縄の迷惑条例違反の事件ですね。

水泳大会で不審な男がいて、住民の通報があって駆けつけた警察官が職質でスマホを調査したところ、児童のポルノ画像が出てきたと。これ、警察も困った顔を最初していて、やっぱり山田さんに呼ばれちゃったのかという感じで、警察庁も私の部屋に来たんですけど。私も合わせ技でやると思っていましたと。

どういうことかというと、児童ポルノ作って製造している販売業者が(児童ポルノが)家からも出てきたっていう形で、単純所持でやるんじゃないかなと思っていたんですが、あらあらっていう感じで。

これ下手すると別件逮捕です。迷惑条例違反で捕まえようとしたんだけど、それで調べたら児童ポルノ画像が出てきちゃった。どの程度の任意か知りませんが、一応任意だと警察は言っていますから。最初は悪い顔して、「所轄がやった」と。『踊る大捜査線』じゃあるまいし。「所轄のお巡りさんが捕まえちゃった」と。

なんで困った顔をしたかと言うと、これは迷惑条例で捕まえようと思っても、遊んでいた子供たちが水泳大会が終わってどこに行ったかわからない。撮った子たちの名前って画像に書いてないですよね。1件1件探すわけにもいかないということで、(事件として)あげることができなくなっちゃった。

これをあげれば、合わせ技として1本という感じなんですけど。別件で1本みたいな感じで、当初は「やべっ」とかいう顔して説明に来ましたが、その後立て続けに、宮城でも起こって。

これはなんでかというと、沖縄のケースを見たってことなんですよ。「これ捕まえても大丈夫なんだ」みたいな。だから、前例って怖いんですよ。

警察っていうのは、最初の前例はなかなかできないんですけど、ひょんなことで始まって風穴が開いてしまうと、「隣の所轄、本部じゃこういうことをやっていた」というと、「うちもオッケーだ」と。けっこうこういうことが怖いのかな、というような児童ポルノの単純所持によるスタート劇だったと。

職務質問で「スマホを見せろ」と聞いていいのか

(ニコニコ動画のコメントにて)「職質でスマホ見ていいのか?」

山田:ダメです。職質問題っていうのは、いろいろある。職務質問って何かというと、警察官職務執行法という法律があります。その中の2条の「質問」という項目があります。質問、つまり、「何々見せてください」「どうだったんですか」って聞けるのは、2つ要件が必要なんです。どっちかしかダメなんです。

1つは、「近くで事件が起きている場合」又は「明らかにその人が事件を起こそうとしている場合」だけなんです。この場合は、いわゆる別件逮捕になっているわけですから、結局は現行犯ではないんです。ということなので、現行犯じゃないのに、職質がもとになっているっていうのは本当は違法性が問題になりますが。

この職質問題というのは、最高裁で別の判決も出ていて厄介なんです。これは、交通違反を捕まえる為に検問をやっているんだけど、あれ自体違法なんじゃないかと。何もしてないのに止められるっておかしいよねって話の中で、警察法というものでやっていいということになっていて、穴が空いちゃっている。

とんでもない最高裁の判決だと思います。根拠法がないんで。警察法は組織法といって、警察法の2条に「警察官は社会秩序の維持のために努力しろ」と書いてあるんです。それだけの条文を使ってやっていいことになっている。

そんなこと言ったら、警察は何でもできるだろうということになります。この時の判決はとんでもないと思うんです。

そんなことを言ったら、国会議員は国政調査権が憲法にあって、一方で職務をやる為には国会法に縛られているのでそれに基づいてやらなきゃだめなんですけど。そんなことがいいんだったら、俺は職権でもって誰でも捕まえることができるってことが国政調査権からなっちゃうわけで。

でも、警察法の2条っていうのが最高裁で判例が出ているために、平気で警察は職質という名のまま、これが裁判になれば最高裁のその時の警察法の2条でやるということで、ちょっと問題だろうと思ってます。僕も内閣委員会に移ってきましてから、どこかでやろうかなと。

国会議員も職質にあう

山田:なぜかというと、私はかつて職質に国家議員として2回あったことがあります(笑)。恥ずかしながら、1回は車に乗っていて、交差点を曲がった所で、後ろのブレーキランプが消えていたので止められて。持ち物検査をしようとしてるので、「どうなっちゃうのかな?」と思ったんだけど、持ち物検査をずっとやってる。

交通違反と持ち物違反は違うじゃないですか。ちょっと待てよ、と思って。「国会議員なんですけど」って言ったら、「このにいちゃん、何馬鹿なこと言ってんの」って。私、汚い格好していましたから。後で大騒ぎになりました。警察の上層幹部を全部呼び出しましたけど。

もう1つは、公園の前で止まってて。止まってないと捕まっちゃうと思ったので、携帯で電話をかけていた。コツコツと所轄のお巡りさんに言われて、「ちょっと免許証見せて」って言われて、「見ればわかるじゃないの、電話してるんだよ」って。まさか向こうも僕が国会議員だと思わなかったと思うんですけど。

そのお巡りさんに、トランシーバーがあるから、「あんたの上の人と話したいから、ちょっと」って。「だいたい、あんたの上司誰なのよ」って。「警部補殿です」とかって言うから。「警部補って言ってもわからないよ」と。いろいろすったもんだがあって、その後も警察を呼んでけっこう大変だった。

あれ怖いですよね。僕、国会議員だから警察に「職質だ」って呼び止められても「なんだよ」って感じですけど。確かに私もついこの間まで民間だったので、警察に「職質だ」って言われて、動いたら「公務執行妨害だ」ってやられそうで怖いので。もしそういうあらぬことがあったら。

僕も1月1日から内閣委員会の委員になります。内閣委員会って国家公安員会も管理監督する委員会になりますので、警察の不祥事や悪さについては行政監視の役割がありますので、ちゃんと厳しくやっていこうって思っていますけども。職質は何やってもいいってことじゃないってことですね。

春画の週刊誌掲載 警察が4誌に口頭指導

次は、メディアの事情聴取みたいなことがあって、1つは春画問題ですね。こういうのもありました。春画そのものがエロなのか。

これ(注:葛飾北斎の「蛸と海女」)見て、エロいと思いますか? グロいと思いますよ。タコが女の人見つけてエッチしてる。これはエロさを超えてグロいと思いますけど。これ見て興奮します? 興奮したらかなりすごいですよ。尊敬します。わいせつかどうかって言われても、アウトオブスコープ(対象外)って感じですけど。

これすごいですよね。ヌード写真が載っている雑誌は、春画が載っているということで、いくつかの週刊誌の編集長が呼び出しを警視庁からくらうと。

理由がすごいよね。ともかく、一緒の雑誌に載っているっていうことだけでしょっぴかれた。なぜかというと、春画そのものは芸術作品であるが、ヌード写真と載ることで、よりわいせつ性が高まると。

どういう解釈だと、そんなこと言ったら、『婦人画報』とかに載ってたほうがよっぽどエッチだと思いません? そんなものを見たこともないおば様が、はしたないと思うわけでありまして。

普通にヌード見ている人たちが春画のこれ見たら大したことないよねって思うのですが、当局はそう思わなかったと。当局を呼んで。こういうことがありますとすぐ警察庁をうちに呼ぶんですけど、「またか」って顔してきました。坂井さんなんてもう顔見知り(笑)。

生活安全局っていった所が、少年指導、わいせつ、職質も全部。警察の組織は刑事局とか 警備局とかありますが、生活安全局っていうのがありまして、その他の全部の社会秩序系っていうのをやっていますけど。お知り合い状態で、同じような人が来て、「またか」って笑ってましたけど。笑ってすまないだろうって思いますが。

我々が呼べるのは、警察庁なんですよ。警視庁だと都道府県以下なんで、今日会場におときた都議(おときた駿氏)が来ていらっしゃいますので、警視庁は都議のほうにお願いしたいですけど。警察庁は私のほうでやります。

最初、「警視庁がやったことだから」って感じに言われたりしたんですけど。これはやっぱり圧力だと思いますよ。何紙かは圧力に屈しないで頑張るという声明だけは発表したようですが、その後に春画が載ることはなかったと。

官邸や自民党は相当な力を持っている

山田:あと、その他、ニュースステーションがどうだとか、岸井さんの問題がどうだとか言ってますけど。かなり私も国会にいて、官邸や自民党というものは相当なものだなと。良いも悪いもですよ。かなり力を持っているなというか。徹底的ですよね。そこまでやる? みたいなことがけっこうあるので。だから、あなどれないなと思います。

坂井:官邸行った時に記者の数が半端ないですよね。全部で150とか。

山田:先日、MANGA議連のアーカイブの話で菅官房長官と直接会う機会がありまして、さっき言った古屋さんと菅官房長官の官邸に入ったんですけど、まあすごいよね。

僕は早めに入って見学してこようと思って官房長官室のトイレ使ってみたり、ウロウロしていたら、記者から「山田議員は予定の時間よりも15分前に来たんですけど、長官とサシで何の話をしていたんですか」と疑われまして。「早めに着いちゃったもんで」って答えて。適当に言えばよかった。「政界再編の話です」とかだったら、嘘でもニュースになるし。

あの時の裏話をすると。官邸というのは、廊下の通りに総理だとか官房長官が自由に外に出入りできるようになっていて。外は記者だらけで、廊下にも記者がいる。だから内廊下っていうのがあって、そこに専用トイレがあって、それを使ってきた。ただそれだけの話です。

すごいのは、官邸は記者だらけで、何かワーッて言うと100人くらい集まってきちゃう。「何を話してたんですか?」とかってやりますので、マスコミもすごい大袈裟かな。

坂井:でもあのマスコミをコントロールできると思ったらすごいですよね。

山田:そうそう。うちなんか、野党で記者会見するって言ったら、5社もきませんからね。本当に。全然発信力が違っているんだなって思いました。

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