2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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田中紀子氏(以下、田中):森田先生どうですか? 依存症の人たち、アルコール、薬物、ギャンブル、みんないろんな特徴があると思うんですけど。診察されていてどんなふうに思ってらっしゃいますか? この問題についてもひと言。
森田展彰氏(以下、森田):そうですね、お二方の先生からも解説がありましたけれど。やっぱり道徳上の問題じゃなくて病気なんですよね。だから道徳的にしっかりしてないとか、例えば芸能人の方が覚せい剤とかするのはもちろん良くないと思いますけど、アルコールでもそうですけど、たくさんの方がそういうことで自殺をしたり、いろんなことになっていて。脳って賢さもあるけど、すごく賢くないところもあるので、あるバランスが崩れてしまうとなかなか戻せないわけです。
そういう状態まで1回はまってしまうと、一旦やめてもまたその状態に舞い戻ってしまい易いんですね。1回自転車乗れるようになったら、10年自転車に乗らなくてもまた乗れるみたいに、一旦そういう回路ができてしまうと、なかなかその時の回路は、だんだん使わないようにはできるんですけれども。そのことはとても大事なんですが。そういう危険性ってことでいうと、またスイッチが入れば同じようになってしまう面があるので。
その時にあまり糾弾したりするのは、全然役に立たないんです。叩いたり、悪く言ったり、ものすごく励ましたりとか、そういうのがほとんど役に立たないんですね。
それがもう全世界的には常識になっていて。そんな依存症になってしまった人たちに対して、ちゃんとそういうことからだんだん脳の働きを取り戻していくように、いろんな治療法とか、自助グループという回復の場なんかが工夫されてきて、ある程度それが効果を上げているわけですね。日本でも。
完全に治るというのとはちょっと違いますけども。自分の生活を立て直したり、自分の考え方が少し戻ってきて、リスクがあるにしろ、普段の生活のなかでは十分やれるようになっていくのがわかってるんです。
だから治療の方法は、ある程度確立している面があるんです。それを病気って名前でくくるのは、ちょっと心苦しい気もしますけれども。やっぱり道徳上しっかりしてない奴とか、なんかダメな人間だとかっていう言い方は不適切なんです。
そういうことを言っている人自体が、その人たちに対して非常にひどいことを言ったり、烙印を与えたりするっていうことじゃなくて、やっぱり病気なんですから、病気は治療しましょうという。その人の人格攻撃をする権利って誰にもないと思うんです。ちゃんと治療すれば治るわけですから。
特にどんどん攻撃すればするほど、社会に居られなくなってしまうので。例えば福田選手なんかも、これでダメな人間として、巨人軍が放逐するし、社会からも放逐し、みたいなことをするのはおかしなことで。そんなことをする権利は誰にもない。ちゃんと治療の場があるんですから。治療に繋がるようにしてあげないといけない。
日本はすごくしっかりした道徳感のある民族だとは思いますけれど、ある意味で外れてしまったときに、非常に容赦がないと言いますか、戻って来れなくするような、本当はちゃんと戻って来られるはずなのに、戻って来づらくしてしまう面があるので。やっぱり治療に向けて欲しいです。
その入口として貴闘力さんが強調されているように、まずお金が渡されないということ(が大切)で。どうにもならなくなったって思わないと、自分ではコントロールできない病気があるっていうことを自覚する上では、お金が使えないっていう状況がないとそういうふうにならないので。
その上で強制的に収容するっていうのは1つかもしれませんけど。刑務所なんかで、そういういろんなプログラムも僕やってるんですけど。強制的に収容していても、その時は何とかなりますけれども、本当の意味での回復はそれだけでは無理で……。舞戻った覚せい剤(受刑者)の半分は再収してますので、そういう回復するプログラムをちゃんと受けていかないと、ただやめているだけだと戻っちゃうんです。
ですから戻りにくいような、そして自分の心をもう1度……。いろいろ傷ついたりしていて、嘘をついたりして、周りの人も傷つけるし、自分も傷ついてますから、そういうことがまた次の依存のスイッチを入れやすくなってますから。
そういうことを含めて回復のところに進めていくっていう。理想で言えばそこを何とか徐々にわかっていただくということなので。
なかなか最初は家族が引っ張ってきても、最初は「違うんだ」と言って来たくないっていう話には大抵なりますし、続かない場合も多いんですけど。何回か繰り返すなかで、「やっぱりこれじゃあどうしようもない」ということで、しぶしぶ治療とか相談を受けていくなかで、だんだん変わっていくということです。
そういう実態をまず見ていただくということ、知っていただくことっていうのが重要だと思います。
田中:ありがとうございます。今、森田先生の話にもあった通り、人格否定とか、こいつはもうダメだみたいなことを言って、そういうことを言うことによって誰が得をするのかなって思うんですよね。
それで社会に居たたまれないと思ったときに、「その人はどうなるの?」「その周りの人たちはどうなるの?」ってなったときに誰も得をしない。それよりも、きちんと病気なんだっていうことで、再出発しやすい社会を目指して行くっていうことが大切じゃないかなと思うんです。
それと御本人たちも、じゃあそれだったらすぐに「そうなんだよ、病気なんだよ、だからやり直すよ」って堂々としていられるかって言ったら、そういうわけにもいかないというか、やっぱりきちんとしなきゃいけないところっていうのがたくさんあって。
貴闘力さんもそうだと思いますけれど、この人に会えないっていうような人がたくさんできちゃうじゃないですか。ギャンブルで、不義理を働くみたいな人がいろいろ出たりしてきますよね。
そうなってくると狭い世界に生きているので、そういう問題を起こしてしまったっていうことを、きちんと片付けていかないとなかなか復帰していくということも難しくなってきますよね。
貴闘力:やっぱり(お金を)借りてる人とかに会わす顔もないし。そういうのがありますよね。それを今、1歩ずつ、ちょっとずつ、お金の問題だけだから、性格が悪くて会えないわけじゃないから、ちょっとずつ返していけばみんなわかってくれているわけだから、それはちょっとずつ返していく。
トイチで金を借りたり、そんなところはダメでしょうけど、そうなるとふらふらになって殺されますけど、そういう感じです。
田中:そういう貴闘力さんが今言ったような、昔、不義理してしまった人たちにも、少しずつ返していくっていうことが実はギャンブラーにとっても、自尊心を上げていくためにも、社会が狭くなっていかないということでも大切なプログラムの1つなんですね。
だけどそれってものすごく勇気がいることなので、それを1人で、貴闘力さんみたいなもともとの実力があったり、たくさんの支援者がいる方たちっていうのはまた別だと思うんですけど。
我々のような一般庶民にとっては、それを1人で全部やっていくっていうのは、非常に難しいことなので、やはり同じ問題を解決していった人たちのサポート、「それはこういうふうに行って言った方がいいよ」とか。「その問題に対してはこういうふうにした方がいいよ」っていうようなアドバイスを受けながら、共に少しずつ解決していくっていうのが必要なのかなって。
だからGA(ギャンブラーズ・アノニマス)やギャマノンといったギャンブルの本人や家族が通う自助グループみたいなものが、これからもっと社会に認知されて、相互扶助みたいなものが日本のなかにも根づいていくと良いなって思っています。次のスライドをお願いできますか。
繰り返しになりますけれども例えば糖尿病だったら、「強い意志を持って、あなたは子供もできたのよ! 結婚もしたんだから血糖値を上げたらダメなのよ!」みたいなことを言われることって無いですよね。「強い意志を持って、血糖値を上げないようにしなさい」なんて言われ無い。
けれどもギャンブル依存症は、強い意志で治ると思われてしまう病気なんです。なのでこういう意思の問題では、やめ続けることはできないんだっていうことを社会の皆さんに知っていただきたいなってすごく思っております。
先ほど、森田さんが言ったように、回復もできるんだっていうことなんです。きちんとした適切なプログラムや、支援者や、そういうグループや、お医者様や、カウンセラーや、そういった支援をしてくださる適切な人たちに繋がって支え合っていくことで、回復していくことが可能なんです。
なのでそういった再スタートができる社会というものを目指していきたいと思っております。
今回の巨人軍の対応で、私たちがすごくこのことを検討していただきたいなと思っているのは、企業は解雇で終わりでも、家族はそこから地獄が始まって、場合によっては社会に悪影響ということも起こるわけですよね。
よく大きな大企業とか、特に警察なんかの組織ですと、借金がたくさんあるっていうことで監査が入ってクビになってしまうみたいなことがあるんです。
そうなって路頭に迷った人たち、そしてギャンブルをやめたくてもやめられない状況になっている人たちっていうのは、何をするかって言ったら、次は犯罪を犯してしまうかもしれないし、自殺をしてしまうかもしれないっていうことなので。
やはりそのことに企業が、自分たちは責任が及ばないように危ない人たちを切ってしまえ、ということだけで社会にツケを回す、今現在そんな風潮になっているけど、「いいのか?」っていうところを是非検討していただきたいと思ってるんです。
ヤンキースのサバシア選手がワールドシリーズを目の前にして、アルコール依存症の治療のために回復施設に入寮したんですね。
そこは強制収容所じゃなくて(笑)、一応回復施設というのがきちんとございまして、そこに行ってアルコール依存症を治してから、また復帰しますということを仰って、それをヤンキースは認めたんですね。
すごく賢明な措置ではないかなと思っていて、そのコメントのなかにサバシア選手が「隠し続けることに疲れた」って仰ってるんですね。
私もその気持ちがすごくわかって、依存症で苦しんでいる、隠し続けるということで本当に自分自身も辛いし、だからこそ余計に現実逃避をしてしまって、ギャンブルに行ってしまうというところがあるのかなって思うんです。
やっぱり辛かったですよね。貴闘力さんも大切な人たちにギャンブルを隠しているときっていうのは。すごく自分自身を責めてるし、苦しいと思ってましたよね?
貴闘力:嘘ばっかりついているとね。「またしているのか?」とか言われても、「いや、してません」とか言って。「してるだろう?」「いや、してません」とか。ずっとその繰り返しだったですからね。亡くなった師匠も、自分がギャンブルが好きなのに俺にいつも「ギャンブルをするな、ギャンブルをするな」って言われてましたけど(笑)。
自分の枠の範囲でできる人は、それは別にいいと思うんですけど。枠を超えて、人に迷惑がかかるようなギャンブルをする人はダメですよね。
自分が使える範囲が20万円あると。20万円の範囲のなかでみんなで楽しくギャンブルをしている分には別に迷惑がかからないわけだからいいけど。その20万円を(超えて)、それを借金をしてまでやろうとするようなそういう人間は、ギャンブルをする資格は無いですよね。
田中:そうですね。ギャンブル依存症になっているので、ギャンブルは楽しむ範囲ではもうできなくなっていることですね。
貴闘力:そうなんです。借金をしてやるようになったら、依存症だと思っておいたほうがいいですよね。
田中:はい。どうですか、明確なお答えですよね。森田先生が頷いてらっしゃいますけど。借金してまでやるようになったら、ギャンブル依存症っていうのは1つの判断になりますよね。
森田:はっきりした1つのサインですよね。
貴闘力:これは1つのサインだと思います。そうなってきたら皆で協力して、その人に金を貸さない。
田中:借金をするようになってまでギャンブルをやるようになったら、ギャンブル依存症が発症している兆候だっていうことは、本当に1つのサイン、経験談から、先生がたのご意見からあるので。
そうなったら周りの人たちは、絶対にお金を貸さないということが、1つ社会の啓発に必要かなと今、ご意見をいただいております。
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