2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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司会:どうもありがとうございました。貴闘力様にはステージ上に残っていただくということにしまして、続いてシンポジウムに移らせていただきます。
「体験者と医師による『ギャンブル依存症とはどんな病気なのか?』」というテーマでお届けするシンポジウムでございます。それでは、ご登壇いただく方をご紹介してまいりますので、お名前をお呼びいたします。どうぞ呼ばれました方、前にお進みくださいませ。
まず、筑波大学、医学医療系社会精神保健学准教授でいらっしゃいます、森田展彰先生。
司会:北里大学、ギャンブル依存症専門外来講師、蒲生裕司先生。
司会:成瀬クリニック院長、佐藤拓先生。
司会:そして、ただ今、基調報告をしてくださいました貴闘力忠茂様と、ギャンブル依存症問題を考える会代表、田中紀子でシンポジウムを行ってまいります。それでは進行を田中さん、よろしくお願いいたします。
(会場拍手)
田中紀子氏(以下、田中):はい、ありがとうございます。それではですね、ここからは司会を私がバトンタッチをさせていただいて、シンポジウムのほうに入っていきたいと思います。
今の貴闘力関のお話を聞いた人たちから、貴闘力関はギャンブル依存症界隈では引っ張りだこになるんじゃないかなと。講演依頼が殺到するんじゃないかなという、セオリー通りのお話をしていただいて。しかも、最後、対策についてもまとめていただき、大感激しております。
ギャンブル依存症っていうのは、さっき貴闘力関が仰っていたように、「なんでこんなことをしちゃうんだろうな」って、自分でも思っているのにまたやってしまうという不可思議な病気なんですね。
そのことを少し皆様にご理解いただけるような医学的なお話をさせていただきたいと思います。スライドの1枚目をお願いします。
ここにいらした方は皆さんご存知かと思いますが、2014年に厚労省がギャンブル依存症の推定罹患率536万人という発表をしました。男性が8.8パーセント、女性が1.8パーセントで、男性優位に発症する病気と言われております。次のスライドをお願いします。
ここにあるように日本が突出して高い有病率になっているということですね。
他国はだいたい2パーセント以内なんですね。それが日本ではすごく高い数字になっていて、これは一体なぜなんだっていうようなことが話題になっておりまして、それはシンポジウム2のほうで、またお伝えしていきたいと思います。ではまた次のスライドをお願いします。
これは佐藤拓先生のスライドからお借りしてきたんですが、ギャンブル依存症には脳の神経伝達物質ドーパミンが深く関わっていると言われております。この図について拓先生のほうからご説明いただいてもよろしいですか?
佐藤拓氏(以下、佐藤):この図に書いてあるドーパミンという物質は、脳の神経と神経の情報のやりとりをする神経伝達物質というものの1つなんですけれど。
例えば人が人を好きになったときにドーパミンという物質が出て、心地よく感じたりというようなことを引き起こす物質なので、これはどなたの頭のなかにでもあるものです。
このドーパミンという物質が例えばギャンブルで勝ったときとか、ギャンブル場にいたときとか、金銭を獲得したときとか、そういったときに放出されるということが研究で明らかになってきているんです。
当初はドーパミンが神経と神経の情報のやりとりのなかで、通常の分量で出されているんですけれども、ギャンブルが繰り返されていくなかでドーパミンが過剰に分泌されるような状況が引き起こされるのではないかというようなことが推測されているわけです。
田中:ありがとうございます。この図のところで見ていただくと、普通の人はこの程度のドーパミンしか出ないのに、ギャンブル依存症になるとこういうふうにたくさんドーパミンが出るようになってしまうんじゃないかと推測されている。そうすると拓先生、ドーパミンが増えるとどういうことになるんですか?
佐藤:私たちが通常、麻雀をしたりとか、何かギャンブルをして、例えばそこで勝った時に感じるような快刺激、勝って嬉しいと感じるようなそういう感覚とは違った、より強い刺激として感じられるということも起こりえるのではないかと考えられています。
田中:よくギャンブラーって、ビギナーズラックっていうことを話すんですけれど。その「やったー!」って感じるビギナーズラックみたいなことが、ギャンブル依存症になってくると、「やったー!!(大声)」みたいに、普通の人よりもすごく強く快感を感じているんじゃないかということですか?
佐藤:ギャンブラーの方、皆さんがより強い刺激に感じられるからはまっていくとは必ずしも限らないですね。
ただ、ある種の方々にとっては、私たちが一般にギャンブルで得られる快刺激、そういったものでは想像がつかないほどに強い刺激として感じられている状況が生じている可能性もあると。
田中:「やったー!!」っていう快楽ということだけではなくて、何かの強い刺激、普通の人には考えられないような強い刺激がギャンブルに対して感じられているんだってことですか?
佐藤:そういった方もいらっしゃるということですね。実際にギャンブルをして勝ってもそれほど嬉しいという感じは得られないんだけれど、はまっていくという方もいらっしゃるんですね。ただある種の方は、自分の頭のなかで生じる快刺激が、ほかの方には理解しがたいほど強いものだと仰る方もいらっしゃるということがわかっています。
田中:ありがとうございます。私なんかは勝てないことのほうがずっと多かったので、海外でバカラをやっているときでも、何時間もやってるんですけど、だんだん減ってきたり、負けて終わるということがすごく多いんですけど。そのギャンブルという刺激が無くなった後の生活がすごくつまらないような気がしてしまったんですね。
その刺激が無い暮らしに戻ることっていうことが、「果たして幸せなのだろうか?」みたいな気持ちになってしまって、その刺激が無い暮らしになることがものすごく怖かったんですね。
貴闘力関はどうでしたか? ギャンブルをやっている時の刺激っていうのは。外れることが多いじゃないですか。
貴闘力忠茂氏(以下、貴闘力):2種類あると思うんですね。自分が今、100万が命を懸ける限界のお金だと思って、100万一発勝負してドキドキする人間と、ずっと息してると同じ感覚でずーっと張り続ける人と、両方あるんですよね。
癖で、ただずっと生活のためにご飯を食べているようなのと同じような感覚でやってる人。これが1番治りづらいんですよ。息しているのと同じ感覚だから、毎日毎日の生活習慣だから。
一発勝負のギャンブルとして、「1,000万円、自分はここで負けたら死ぬ」という状況で賭ける人は、がんばったら取りあえず我慢できるんじゃないですかね。
パチンコとかそういうのを、毎日やらないとウズウズしてしまう人は、もう病気なんですね。生活習慣。これは抜け出せないから、何とかやめさせるにはお金を触らせないことが1番なんですよね。
そういうレベルまでなってくると、ここまでドーパミンが出ていることはないですよ。癖だから、はっきり言って。ギャンブラーでも本当のギャンブラーっていうのは、忍耐強いですからね。1日ずっと我慢して、ここだという時にポンッと掛けますからね。
でも俺らみたいに毎度毎度、マラソンじゃないですけど「参加することに意義がある」とか(笑)、そういうような人間は絶対に負けます! ギャンブルは。
(勝ち負けとかを)超越してしまってるんですね。ギャンブル依存症っていうのは。だから、癖にさせないとか、を癖にさせないようにするにはどうしたらいいかとか、1番はそういうことですよね。
田中:ありがとうございます。実際に536万人の調査をしたのは、たぶん生活習慣病のチームが調査をしてくださったと思うんですけれども。癖になるっていうと、私もそうですけど朝起きたらまず、今日何やってるかなみたいな感じでスポーツ新聞を見ることをやっていました。
貴闘力さんも言われたと思うんですけども「趣味を持て」とか、「何か他のことに興味を持て」とか言われるじゃないですか、私たちへのアドバイスとして。
でも持てないですよね。全然キャンブル以外に。
貴闘力:いや、ゴルフやっても全然面白くないし、ボーリングとかいろいろなことを全部……。「お茶やれ」とか、お茶なんか苦痛でしょうがなかったですよ(笑)。もういろいろなことをやらされましたよ。車とかいろいろありましたけど、全然楽しくも何ともなくて、ギャンブルしているときだけが1番楽しいんですよ。
勝ったときも楽しいし、負けたときは負けたときで反省もまた楽しいし。
(会場笑)
ほとんど反省でしたけどね(笑)。
田中:すごいその気持ちがわかります。本当に私も競艇のときとかも、「こことここは同郷だったのになぁ」といろいろ最もらしいうんちくを考えているほうが楽しかったです。
じゃあ、なぜ他のことが全く面白いと感じられなくなってしまうのか? 次のスライドをお願いします。
蒲生先生、この脳の画像診断というのができるようになったので、この右と左のスライドでは何を表しているのかを説明いただいていいですか?
蒲生裕司氏(以下、蒲生):私の研究じゃないのでよくわかんないですが(笑)。確か京都大学の鶴身(孝介)先生のご研究なんですけど、こちら(スライド右)が健常者で、こちら側(スライド左)が病的ギャンブラーと思われる。
田中:こっち(スライド左)が病的ギャンブラーですね。あちら(スライド右)が健常者で。
蒲生:光ってれば光っているほど、脳の活動が活発になっているということだと思います。何に対して光っているかというと、周囲の刺激に対して脳がどう反応しているかという画像だったと思います。
健常者の方に関しては、普通の環境で周囲の刺激等に対して脳の活動が活発化するんですけども、病的ギャンブラーになると周囲の環境に対する刺激について脳の反応が下がってしまう。
ギャンブルに関する刺激に対してだけは、脳が反応するようになっちゃうんですね。ですから普通の人であれば、ギャンブル以外の刺激に関しても脳は活発に反応するんだけれども、一度、病的ギャンブラー脳になってしまうと、ギャンブルに関する刺激だけにしか反応しなくなってしまう。
そういったことで、なかなかギャンブルに代わるものに対する興味や楽しみができにくくなるっていう、話だったかと思います。
田中:ありがとうございます。脳が、ギャンブル以外のことに興味を持てない脳みそになってしまうという恐ろしい病気だなと思うんですけれど。そういう状況になってしまっているので、私も(ギャンブル依存の)夫に「趣味を持て」とか、よく言ってしまうんですね。
ギャン妻、と呼んでるんですけど、私たちのようなギャンブラーの妻は、何としても夫のために尻拭いしたお金を取り返したいんですね。
だから私はうちの夫が法学部を出ていたというただそれだけの理由で、「あんたは弁護士になって一発稼いで来い!」と言って、法科大学院を受けさせたという、そういうことをやってしまうんです。
それで勉強に夢中になれば、ギャンブルをやらないんじゃないかとか、そういうことを考えるんですけど、そもそもギャンブル依存症を発症して、過渡期にあるときには、ほかのことに興味が持てない、ほかのものに脳が働かないという病気になってるんだっていうことを、今になってみればわかりますけれども、そうだったんだって思いますね。
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