自殺寸前まで自分を追い詰めた--アンドロイド研究を決意したきっかけを石黒教授が語る

スペシャルトーク「猪子寿之×石黒浩 -僕らのつくりたい、未来の人間」 #2/5

チームラボ代表の猪子寿之氏とアンドロイド研究の第一人者である石黒浩氏が、モデレーターに日本科学未来館の内田まほろ氏を迎え「僕らのつくりたい、未来の人間」をテーマに2人が企む未来への取り組みついて語ります。チームラボはなぜデジタルアートをつくるのか、石黒氏はなぜアンドロイドをつくるのか、そして2人がデジタルテクノロジーを通して実現したい未来とは? 本パートでは、大学院時代に首をつろう思うまで自分を追い詰めた末、アンドロイドの研究を決意したという石黒氏がその当時を振り返りました。(「猪子寿之×石黒浩トークセッションより)

自分は社会に出れないとわかり、研究者の道へ

内田まほろ氏(以下、内田):お二人とも、好きなことを職業にできてる人たちだと思うんですね。では、どこからこういう感じになっていったんですかね。そのまんま進んでいったから今があるのか。あるいはとてもいい人にあって、非常にショックを受けたとか、尊敬する大学の先生がいたとか。

石黒浩氏(以下、石黒):僕は、わりとはっきりしてるかも知れないです。2段階なんだけど、1回は、死ぬような目に3回ぐらいあってるんですよね。そのときから死ぬということが、わりと想像できるようになって、死ぬ気で頑張れって言われると、どういう状態になればいいのか何となくわかった気分になったというのと。

内田:わかると。すごいですね(笑)。

石黒:要するに、それで一番問題だったのは、やっぱり社会には出れないということはわかっていたので、博士に行くしかないと思って、博士に行ったんだけれども、博士で、自分で研究して、自分で論文を書かないといけない。

内田:すみません、社会に出れないとわかったのは、どうして、どういう理由で?

石黒:だって、とても人の言うことなんか聞けないと思ってたので(笑)。

内田:(笑)。結構、お二人は似てるんじゃないですかね。

石黒:大人は全員うそつきだってしか思ってないじゃないですか。大体うそつきで、社会のルールなんて何のためにあるか、あんまりわかんないでしょう。だから、はっきり言って、うそで塗り固めたようなルールしかないわけじゃないですか。子どもからすればね。

内田:はい。

石黒:ちょっと言い方はあれだけど、子どもからすれば、全部ほとんど、うそで塗り固めてますよ。

内田:大丈夫かな、お子さんいらっしゃってるけど(笑)。

石黒:ゆっくり、後で考えてください(笑)。

猪子寿之氏(以下、猪子):(笑)。

石黒:大きくなれば、わかるから(笑)。

首をつろう思うまで自分を追い詰めた

石黒:だから就職できないと思って、ずっと博士に行こうと思って、博士でドクター取らないと研究者としても、ごはん食べれないから。それで研究テーマを考え、なかなか最初は考えられなかった。それで死ぬほど考えて、体震えるような思いを半年ぐらいしてて、そうしたらあるとき、一切研究テーマに悩まなくなったんですよ。そこから自由ですね。

内田:それは何かが降りてきたんですか? 考え抜いて、見えるようになったということですか?

石黒:降りてきたというか、ものすごくわかりやすく言うと、アイデア出すっていうのが、どうやったらいいかがわかったというか。

猪子:もうちょっと教えてください。

石黒:例えばね、英語を勉強するのに3か月ぐらい行くと、わりとストレスなく聞けるようになるじゃないですか、アメリカに3か月ぐらい行くと。それと同じように日常生活いろいろやってて、研究テーマ、「あ、これもテーマになる、これもテーマになる」とか、そういうことが。

内田:見えてきたんだ、どんどん、どんどん。

石黒:そうそうそう、いろんなものが、つながるようになったんでしょうね。

内田:そういう意味では、石黒さんと話をしていると、世界中の全てが研究テーマですよね。いろいろな事がどんどんつながっていくっていうところはありますよね。

石黒:それまでは、すごく何ていうか、世界観が狭かった気がするというか、わかんないものが、わかんないままに独立してたやつが、わりとつなげられるようになったんです。

内田:なるほど。

猪子:ちょっと待って、ちゃんと聞いてなかったけど、どういう……。

内田:ちゃんと聞いていてくださいよ(笑)。

猪子:どういうプロセスを通して、そうなったんですか?

石黒:プロセスはなくて、要するに新しいものを発見しないといけないって、ものすごい強いプレッシャーがあったわけ。

猪子:強いプレッシャー。

石黒:強いプレッシャーで、本当に死ぬような思いで、体震えて、明日首をつろうというぐらいに自分を追い詰めたときに。

猪子:何で、そこまで追い詰めれたんですか?

石黒:だって、ほかに生きようがないもん。

猪子:研究するしか。

石黒:だって社会に出るの諦めちゃったから。

猪子:なるほど。それはじゃあ、食っていくために、ある種。

石黒:そうだし、何かあんまり他にどうしていいかわかんなかったからね。でも、そこから楽になりましたよ。そこからアイデアだけは。

内田:無尽蔵に。

石黒:困らなくなったというのは、ぶっちゃけ、そういう感じですよね。

猪子氏が今の仕事を選んだ理由とは

内田:猪子さん、結構いろんなところでお話されていますが、ずっと友達といたかった、それが会社をつくったきっかけだとか。その前は、どうやって社会に出ていこうと思ったんですか? 震えるような思いなどはしたことがあるんですか?

猪子:震えるような思いはしたことない(笑)。でも、いくつかポイントがあって、1つは中学のとき。今で言うと結果的には何らかの、人類がちょっとでも前に進むようなことになったらいいなみたいなことを何となく思ったんですよね。でも、大人になって、もうちょっと視野が広がって思うのは、すべての仕事は究極的にはそうなんだけど、人類が少しでも前に進んで、世界が少し変わったみたいな。

もし結果、自分が住んでる社会に貢献できるようなことにつながる仕事になったらいいなみたいなことを何となく思ったんですよね。それはいろいろあるんですけど、すごい省くと。

内田:はい。

猪子:もう1個は、ちょうど大学1年生のときにインターネットに初めてつないで、ちょうど僕が大学入ったのが96年だったので、「すげえ」と思って。

内田:それは大学で、もうネットが使われていた状態ですよね、大学で初めて触ったという感じですか。

猪子:家でね。

内田:家で。

猪子:上京して、すぐプロバイダーと契約してみて、ネットにつないでみたんですよね。「インターネット、すげえ」みたいに思って。別に当時からいろんな方々が、いわゆる大きな革命、情報革命だと。それは農業革命と産業革命に匹敵するような革命だみたいなことを、何となくいろんな人が言ってたんで。

自分もそんな気がしたので、いわゆる新しい社会で生きていこうと決めたんですよね。新しい社会で前に進めるって、なんだろうと思ったときに、究極的には一番インパクトがあるのはテクノロジーによってイノベーションが起こって、イノベーションによって社会が前に進むみたいなことか、何か文化的なこと。

アートで言うと、何らかのアートによって人類の価値感が変わって、価値感が変わることによって前に進むことってすごいあるので、宗教もそうだし文化っていうものが多分そういうもんだと思うんだけど、そういう文化的なことのどちらかをやりたいと思ったんですよね。

でもそれは、もちろん好きだったのもあるのかもしれないんだけど、テクノロジー好きかっていうと、わかんないですよね、別に。さっきの先生の話じゃないけど得意だったから好きだったような、別にすごいピュアな趣味で技術書とか読まないし(笑)。

内田:じゃあ回路を組み立てたりとか、そういう少年ではなかったんですよね。

猪子:ではなかったですね。だから、何らかの、その2つのどちらかに関わりたいなと思ったんですよね。でもそれは究極好きかどうかもわかんなくて、ただ何となく一番人類が前に進められそうだったから、そのどちらかにコミットしようと思ったんですね。それは究極、好きでかわかんないようなことなので、そこに向かうプロセスは楽しいほうがいいなと思って。

内田:なるほど。

新興宗教をやっていると思われた

猪子:昔から人間はどういうときに楽しいと思ったり、幸せだと思ったりするのかなっていうことは10代のときとかよく考えていて、どうも何かよくわかんないけれども、偶然目的が一致して、目的を共有してる人たちと、そこに何か、好きな人と目的を共有して、そこに進むプロセスそのものが人は多分楽しいと感じるんだろうなと思っていたので。

大学時代とか中高の友達とかを誘って、どうせ自分は人なんて夢なんかないと思ってるから、自分がそうだったから、その友達たちに夢を強制的に植え付けて、強制的に洗脳していくわけですよ(笑)。でも本当に共同創業者の1人は、親が自分の息子が新興宗教につかまったと思ったらしくて(笑)。

内田:(笑)。誘われちゃって、本当に。

猪子:本当の話で、親が奪還に来たんですよ。

内田:あらら……。

石黒:マジで?

猪子:うん。新興宗教に、どうもつかまったと両親が本当に信じて、奪還に来たりしてて、それで「お前、思春期は家出するもんだ」とか僕もわけわかんないこと言って、家出させたりして、新興宗教みたいですよね。

石黒:僕んちの研究室も、そう言われるからね。だから研究室……。

内田:お二人のところがですか?

石黒:研究室なんていうのは僕を信じないとできないでしょう。僕がテレノイドつくれとか、ハグビーつくれって言ったら、理由を聞かずに「やれ!」って言うだけだから、ハグビーつくれば、みんな幸せになれるみたいな感じでやっちゃうわけだから。

内田:そうですよね。後で皆さんハグビーをイベントとしてやりますよ。

石黒:このときは、でもね、そうだったんです。僕、これのときも、さっき上で遊んだテレノイドね、あのときにみんな集めて、これから俺が言うことは一切質問しちゃいけないと(笑)。理由も聞いちゃいけないと。とにかく我慢してつくれば、みんな幸せになれるんだからと言って。

内田:それ宗教ですよね、ほとんど。

石黒:でも、あれ夢に出てきちゃったんですよ。

内田:そうなんですよ。さっき猪子さんも抱っこしたテレノイドですね。

石黒:あれが夢に出てきて、あれをつくらないといけないってなって、それで2、3人、1週間ぐらいしてみんな集めて、そのまま夢をまず形にするために一生懸命。クレイモデルをコンピューターグラフィックスでつくるやつあるじゃん。

内田:はい。

石黒:500万ぐらいする。

猪子:はい。

石黒:あれで自分の形、あれつくって、それでみんな寄せ集めて、これをつくるぞと。

内田:だんだん、ものづくりのほうに話がきましたが、ちょっと話題を変えますね。

好きかどうかは本来わからないもの

石黒:さっきの夢の話で。

内田:さっきの夢の話?

石黒:好きかどうかがわからないですよね。好きなものを探してるっていうのは正しいような気がするんです。本当に夢中になれるものは、まだどこかにあるはずだっていう方向性は、ある程度決めてるけど、本当に好きかどうかはわからないっていうのは正しい気がして。

それが好きっていうのは本当に信仰宗教にはまったやつだけで、新興宗教にはまってないリードしてる我々としたら、まだ好きかどうかを探してる最中なんですよ。でも、ついてくる人は、ある程度はめとかないと、一緒に協力してくれないからね。

内田:そういう意味で2人ともタイプは違うと思うのですけど、石黒さんも研究員に「俺の言うこと聞け!」みたいな……。

石黒:でもそんなに強制してないですよ、僕。

内田:でも結構、怖いじゃないですか。

石黒:怖いのかもしれないけど、そんなに強制してないし、一応ちゃんと意見は聞くチャンスは。

内田:(笑)。チャンスは与えると。猪子さんはどんな感じのリーダーですか? 結構、怖いときもある?

猪子:いやいや。

内田:社員の方たちも結構来てますけど。

石黒:怖がってるよ、周りは。

猪子:えっ?

石黒:怖がってる。

猪子:いやいや、怖くないと思いますよ。僕、呼び捨てで呼ばれてます。

内田:確かに、呼び捨てですね。

石黒:いや、それでも怖いと思う(笑)。

制作協力:VoXT

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