2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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内田まほろ氏(以下、内田):早速ですけれども始めたいと思います。
猪子寿之氏(以下、猪子):はい。
内田:今日、お二人がここにいらっしゃる理由は、チームラボ展が絶賛開催中で、その関連イベント、ということなんですが、後で見ていただきたいんですけれども、石黒先生のアンドロイドの展示も未来館に常設展として2014年の夏から入っています。
この1年間、私はどちらの展示も担当させてもらったんですけど、お世話になったというか、お世話をしたというか、そのお二人がそろってくれたという形で、非常にうれしく思っています。
お二人のことを知っている人たちばかりではないと思いますので、新しい形で紹介をさせてもらえたらと思います。まず、石黒先生から、石黒先生が知ってるかぎりの猪子さんの紹介をしていただけますでしょうか。
石黒浩氏(以下、石黒):あんまりはっきり覚えてないんですけど、5、6年前に大阪でチームラボが何かするっていうので、それですれ違うようにして、僕も何かしてたような気がするんですね。
そこからずっとチームラボ、チームラボ、猪子、猪子で聞いてたんだけど、どっかで1回飲み会で一緒になって、そこから何回かトークが一緒になるようになったんですよね。最初は、あんまりアート系が少なかったんだけど、最近特にアート系がいっぱい増えてきて、楽しくなってきたなという感じです。
内田:チームラボって石黒さんからすると、どんな会社なんでしょう。
石黒:楽しそうにやってるんだと思うんですけどね。チームラボそのものが、メインを何でやってるかって、あんまり知らないんですよね、だからアート的な作品は目にするんですけど、普通は何かWeb関係とか、何か技術開発関係をやってるらしいぐらいにしか知らないです(笑)。
内田:大体あってますかね、猪子さん。
猪子:えっ?
内田:あってます? 大体。
猪子:何でも大丈夫です(笑)。
内田:じゃあ、猪子さんから石黒先生について、知ってるかぎりのご紹介をいただければと思います。
猪子:多分6、7年前か、ちょっと覚えてないんですけど、今から10年ぐらい前に共同創業者がいたんですけど、共同創業者が、もう何か疲れたとか言いだして、それで会社がちょっと大きくなるタイミングで、それでロボットが好きだからロボットをするって言いだして、ロボットの会社を始めたんですけど。
それから1年か2年たったときに、石黒先生と友達になれたと。もちろん僕も存じ上げていて、とにかくハンパないと。
内田:ハンパないと?(笑)
猪子:彼は僕に、ちょっと放送できない言葉で言ってきたんですけど。
内田:はい、はい、はい。
猪子:ハンパないから、とにかく友達になれたから会おうよみたいになって、俺も超会いたいみたいになって、会わせていただいた。そのとき聞いた話は、今日はほとんどしゃべれないですけど(笑)。
内田:残念ですね(笑)。
石黒:秘密事項だから。
猪子:そこから仲良くしていただいてるっていう。でも何だっけ、僕、めちゃくちゃおもしろかったのは、世界のマッドサイエンティスト3人とか。
内田:3人? 7人でしたっけ?
石黒:わかんないです。
猪子:何かね、それは世界の天才とかでしょう。
内田:世界の天才7人。
石黒:マッドサイエンティストのランキングか何かがあったんですよ。
猪子:マッドサイエンティストのランキングで1位とか、2位とか……。
内田:すごいですね。
内田:天才も7位ですよね、確か。
石黒:まあまあ、いろんなランキングがあるんです。
内田:ダライラマさんと、ランキングが一緒とかいう噂が。
石黒:あれは26位。あれは結構まともで、いろんな会社を再生してるコンサルティングの会社ですね。あれ、わりとまともなんです。
内田:ほとんど自己紹介になってない紹介でしたね(笑)。今日はお子さんが、こういう会にしては珍しく何人かいらっしゃっています。
あんまり聞かれたことがないと思いますが、ものづくりとか、会社をつくるとか、表現者になるとか、お二人が小さい頃にきっかけみたいなのがあったのでしょうか。
石黒:いや、ないですよ。
内田:ないですか(笑)。
石黒:うん。そんなの夢なんて持ってるほうがおかしいと、僕は思ってたんです。だから普通の子ですよね。ただ気になることはいろいろあってね。いつも、最近よく言うことを言うと、小学校5年生ぐらいのときに、誰だかに人の気持ちを考えなさいって言われて、すごいこと言うなと思ったんです。
人も、気持ちも、考えるもわかんないし、どうやったらいいかわかんないのに、そんなこと平気で言う大人は「すごい!」と思って。
猪子:何々、人も?
石黒:人もわかんないでしょう。
猪子:うん。人もわからない。
石黒:人はまだしも。
内田:「人の気持ちを考えなさい」なんて……。
石黒:気持ちって見たことない。
猪子:はい(笑)。
石黒:考えるって、どうしていいかわからない。それなのに大人は堂々と、人の気持ちを考えなさいって言うと。僕はね、大きくなったらこれは全部わかるんだと思って生きてきたのに、結局高校ぐらいになったら、全員うそをついてたっていうことがよくわかって、もう二度と大人になりたくないって、猪子もそう思うでしょ。
猪子:(笑)。
石黒:僕はだから、それ以来大人は信用できないって思って、あるとき、小説家の本を読んだら書いてあったんですよ。大人になるっていうことは子どもの頃の疑問に、適当な折り合いをつけることだって言って、要するに「大人=思考停止状態」って書いてあって、だったら大人にならなくってよかったなと。
だから、きょうの展示見て、チームラボの最後、みんな楽しそうな子どものあれを見てたら、だからそこら辺は、何か共通してるんじゃないかなという気がしました。
内田:猪子さんは?
猪子:でもまあ、先生と一緒で、僕も夢がなかったですね。夢を書かされるたびに、隣の女の子が花屋さんとか書いて、そんな一生花ばっかり切って楽しいのかな、今からそんなこと考えてとか、今となってはいいと思うんですよ。
内田:はい。
猪子:だから子どものとき知ってるかぎりの情報で、何が楽しいのかわかんなかったから……。
石黒:僕、本当にそう思う。夢なんか持つもんじゃないと思ってた。だって夢を持つっていうことは未来を狭くすることだから、おぼろげに何かやりたいぐらいで十分で、あれになりたい、これになりたいと、野球選手になりたいって言ったやつで、何人野球選手になってんだとか思うわけ。
猪子・内田:(笑)。
石黒:それと、例えばイチローは、例えば野球選手に、おぎゃあって産まれたら、「野球選手になります!」って言ったんですか? って聞きたいわけ。
内田:うん、うん。
石黒:わかる? だから、やりたいっていう気持ちが先なのか、やるのが先なのか、どっちか。やるから好きになるのか、好きになるからやるのか、どっちもどっちでしょう? だから嫌なことでも我慢したら、何か楽しいことになるかもしれないしね。それなら夢を持てとか、希望持てとか言い過ぎだと思う。
内田:世の中の人たちは。
猪子:この展示でも書いたんですけど、狭めるって、本当にそうだと思っていて。例えば自分が、今小学校1年生の子っていうと、ちょうど僕が30年前じゃないですか。
30年前の、僕が小学校1年生のときに、例えば30年後に僕が子どもが描いた絵で泳ぐ水族館をつくる仕事をしてるっていう、そんな職業があるなんて多分世界中、どの大人も想像できなかったと思うんですよね。
石黒:そうそう。
猪子:職業っていうものの概念っていうのが、すごい勢いで変わっていくから、小っちゃい頃にどんな職業になりたいかっていうのは、すごい、逆によくないなと思うんですよね。そのときに、例えば仮に本屋さんになりたいって30年前に、小学校の頃思って、でも今の本屋は……。
内田:本屋が変わっちゃってますもんね。
猪子:そうそう、例えば30年前の本屋っていうのはね、多分ちょっと今結構厳しくて。
内田:たしかに厳しい(笑)。
猪子:そう(笑)。ワンクリックしたら家にすぐ届くみたいな、わけわかんない本屋さんとか、カフェなのか本屋さんなのかわかんないみたいな、それカフェなんじゃないかみたいな、そういう本屋さんがメインの本屋さんになったりするわけじゃないですか。
だから、30年後の職業なんていうものを子どもの頃から決めるって、決めれないのが普通だし、決めたところで30年後が変わってんじゃないかなって思うんですよね。だから僕も本当に夢がなかったですよね。
石黒:みんなそんなもんなのに、あれ無理やり書かせるのはよくないなっていうことと、今って大学入学して大学院まで行って6年でしょう。半分ぐらい仕事の内容、もう変わってるので、だからいかにいろんなものに興味を持てるかというのが大事で。
僕がちょっと言いたいのは、やっぱり基本的に解かれてない問題ってたくさんあって、知らないことってたくさん。日常的なものほど、さっき言った人の気持ちを考えるみたいな話は、誰もまだちゃんとわかんないじゃないですか。そういうことに興味を持てと言いたいわけ。単純な夢なんか持つんじゃないっていうか。
猪子:確かに。ちょっと似てる、僕も大人になりたくなかったし、よく大人の言ってることがわかんなくって、すごい怒られてたんですよね。でも、何言おうとしてたんだっけ、忘れちゃったな、今。
内田:お二人が似てるって。単純化しちゃいけないっていう話でしたよ。
猪子:あれ、忘れちゃった。ま、いっか。
石黒:ま、いっか、まだ出てくる、まだ出てくる。
猪子:そうだ、気持ちで思い出した。
内田:よかった、思い出してくれた(笑)。
猪子:気持ちって何なのかわかんないって、おっしゃったじゃないですか。僕も高校のときですら、例えば悩みっていう単語は、文学の中に出てくるだけの単語。つまり、かめはめ波とかと一緒だった(笑)。何か文学的な素養、何かそういう舞空術とかそういう、浮遊術だっけ、かめはめ波とか、そういうのと同じたぐいで、文学的な何か。
内田:自分が使う言葉じゃないということ?
猪子:いや使うよ、だってかめはめ波とか使うから、そういう架空なものとして、みんな使ってんだと思ってた、ずっと。本当に!
内田:本当に「悩み」と思って……。
猪子:それでね、悩みっていう単語は文学的な「たらちねの」みたいな、そういう。
内田:ものすごく文学的ですね。
猪子:本質的な意味はないんだけど、何かそういうのあるじゃん。「たらちねの」って、別に意味はないんだけど、一応短歌の中では、一応使っとくとおしゃれみたいな。悩みっていうのも文学だから使っとくとおしゃれみたいな言葉だと思って。
石黒:だから、それはさっき言ったように悩みという言葉を使うから、悩んだ気分になれる。だから、それだけでしょう。それ以外に本当は悩みって何かわかってないんだけど、とりあえず言うところから始めるんじゃないですか、普通の人はね。
石黒:悩みじゃないんだけど、僕は怒るっていうことがすごくよくわからなかったんですよ。
猪子:へえ。
石黒:怒るって、何でみんな怒るのかがわからなかったですね、小さいときからずっと。結構、大学生までわかんなかった。だって、おなかすくし、イライラするし、いいこと何にもないんですよ。自分にとってメリットゼロでしょう、怒ることって。
内田:だから怒る意味がわからなかった?
石黒:怒る意味もわかんないし、怒らなくたって別に。
内田:いいじゃないっていうこと。
石黒:困らないですし、だってペナルティー決めたら、それやればいいだけでしょうとか思っちゃってたんですよ。
猪子:おもしろい。
石黒:でも悩みも似てるかもしれない。悩み、確かにわかんないね。悩むは、今は考えて、じゃあどうすることなのって。
内田:そんなふうな、多分ピュアなというか、いろんなことをちゃんと考える子どもだったってこと?
石黒:考えてないです。
内田:考えてないって(笑)。
石黒:要するに、答えがないものを納得できないのに、何でみんな納得してるかがわからないんです。普通のほかは、だから悩むという言葉を使うとわかった気分になるわけ。だから悩むっていう言葉をわかってないのに、わかった気分になって、その先に行っちゃう。でも、わかんないから、そのまま止まってるのが猪子ちゃんなんでしょう(笑)。
猪子:(笑)。
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