2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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内田まほろ氏(以下、内田):(今やりたいことについて)石黒先生はどうですか?
石黒浩氏(以下、石黒):何をやりたいかって?
内田:そうそう。
石黒:そうだね、街つくりたいと言われると、なるほどなと思うんですけどね。僕やっぱり、2つ答えがあって、1個は真面目な答えと、もう1個はもっと真面目な答えなんだけど。
真面目なほうは、5年後ぐらいを目処に意識とか、意図と欲求をちゃんと理解できる、非常に限られた範囲でもいいんだけど、そういう対話能力のあるロボットをつくるっていうのが目標になってますし、それはちょっとやらないといけないなと。
今まで、そこら辺をちゃんとやってなかったので、単なる一問一答の対話にしかならなかったんだけど、そこをなんとかしようと真面目に考えてると。
もっと真面目にというか、その先に本当にやりたいのは、何か宗教団体っていうと語弊が出てくるんだけれども、中途半端なモラル感とかアカデミアの基準みたいなものに縛られた世界じゃなくて、科学という宗教を本当に大事にできるような、そういうグループっていうか、そういう世界をつくりたいんですよ。
内田:もう世界や社会がそうなってるといいな、みたいな感じですか?
石黒:そうそう、今はね、何だか大学が生きるためとか、例えば教授というお仕事なんですよね。要するに何か新しいものをつくって発見してっていうことが、最も重要視されてるわけじゃないようなところがあって、教師というお仕事以前にやるべきことが、使命があるわけじゃないですか。
内田:はい。
石黒:そういう意味で、もうちょっと自由になるために、世の中どうなるかわかんないのに、それに向かってみんなで一生懸命考えて何かするっちゅうことは、考えるかまだどうかわかんないですけど、何かするっていうのは、いわば宗教みたいなものだと思ってるわけです。
内田:なるほど。
石黒:だから、そういうことをやりたいっていうのと、その中で特に、ちょっとだけややこしい話っていうか、あれなんですけど、これ多分芸術的な話にすごい近いんですけど、今までは客観性だけ重視した客観の世界なんだけど、主観の集合としての世界観をつくりたいと思ってるんですよね。
要するに一人ひとりの主観が社会を生み出してるわけなので、単純な今までの科学のような単純なひとつの客観的な法則だけを探すんじゃなくて、主観の集まりとして社会がどうなってるんだとか、人間がどうなってるんだとかいうようなことを考えたいなと。
そうなると多分すごい宗教っぽい、何か基準を持ち出そうと、何かを基準に考えないといけないとなると、ちょっと宗教っぽいかなとも思うんだけど。
内田:基準が、もっと緩やかになった社会、みたいな。
石黒:だから世の中には絶対的な客観がないんですよ。でも個人個人の主観の集まりとして、社会が成り立ってるんだと。
そういうところの原理が見つかると、何でみんながあんなに、さっきの猪子ちゃんのテーマパークみたいなところ、楽しいのかとか、みんなが動くのかとか、ここに集まってるのかとか、もうちょっとちゃんと説明できるような気がするわけです。
内田:そのパターンマッチングというか、いろいろ探しているところに戻ってくる。
石黒:要するに、単純な原理だけだけどね。
猪子寿之氏(以下、猪子):主観的だとされてる領域っていのうのは文化的なことで、サイエンス的なアプローチは今まで一切、まあ一切というと語弊があるけど、あまり取られてなくて、もうちょっと物理的な現象の、本当に物理的な人間以外の部分の現象に対してサイエンス的なアプローチが取られてきたけれども。
多分そういう主観的だとされて分断されてた領域も、それはもはやサイエンスと言わないかもしれないけれども、恐らくサイエンス的なアプローチ、それは多分、客観的な法則ではないんだけれども、何らかの抽象的な再現性があるものを発見できたり、みたいなことですよね。
石黒:そうそうそう。ずっとまほろが説明が下手って言ってる猪子ちゃんに全部説明してもらってて、恐縮(笑)。
猪子:僕もね、それだけ興味がある。
石黒:でも、そういうことなんです。
内田:超主観空間のね、やってることってまさに、空間認識っていうことだけど、そういうことですよね。
猪子:そう。
内田:抽象的な視点が、もしかしたら、ちゃんと……。
猪子:汎用的な。
内田:汎用的なものになるんじゃないかっていう。
猪子:抽象概念なり、法則があるんじゃないかみたいな、今までそうじゃなかったような領域。
石黒:今までの単純な物理法則だけに従った科学では説明できないことってたくさんあって、じゃあ心って説明しろよとか、感情って何かって、ちゃんと説明できるかって考えるとどういうことなのかとか、いろんなことって全然わかってないじゃないですか。
猪子:それって今まで「人によって違うよね」みたいな、すごいきれい事っていうか、人間は1人1人違うよねみたいな。
内田:それで、もういいことにする、みたいな。
猪子:そこで分断してたんだけど、人間は僕はそんな変わらないと思うんですよね。ただ、だから絶対サイエンス的なアプローチが入る領域のはずなんだけど、それは今までの単純なサイエンスの延長線上では多分ないんだと思うんですよね。
石黒:そう、同じ思いです。
内田:最近、流行のと言いますか、シンギュラリティとか人工知能が人間を越えるんじゃないかみたいな、そういうこと?
猪子:あれは、いわゆるサイエンスの延長みたいな。
内田:延長だけで。
猪子:はい。
内田:それともっと違う、何かブレークスルーみたいなものが起こったらいいなというのを、お二人とも願ってる。
猪子:いや、僕も興味の対象なんで。
石黒:そうそう。
猪子:自分の美術のアプローチに主観ってわざわざつけてるんですけど、超主観空間って。
内田:何か一致しましたね。
猪子:でも別にサイエンス的なアプローチが無意味だとは思ってないというか、それが今までのサイエンスからするとサイエンスと言われなくても、いいんですよ。
石黒:同じことですよ、同じように僕もそういう主観の問題、やりたいって言いながらも、やってることは普通の技術の延長を今やってるわけで、でもいつかは、もうちょっとジャンプしたいなという思いはずっとあるわけですね。やってることは、ちょっと違うんだけど、似たようなところ、方向性で、もがいてるような気はしますよね。
猪子:本当、そうです。僕もすごい、ずっとそうなんですよ、興味は。
内田:そんな、いい話の途中ですけど、ハグビーの時間になったので、ちょっとハグビーを配ってください。
石黒:これはチームラボバージョンです。
内田:チームラボのシールが貼ってあるほうからは、猪子さんの声が聞こえます。石黒さんは黄色を持ってください。
石黒:僕がこっちを持つの。
内田:はい。ちょっと石黒さん、これを説明してもらえますか。
猪子:でもチームラボのシールを貼ってますよ。
内田:だって猪子さんの声を聞くんだもん。
猪子:ああ、そうか。
内田:抱き方とかを説明してもらえますか。きょう、いらしてるお子さん、お客様の前列の人たちに、特別に体験していただきます。
石黒:これ、さっきのテレノイドの一番いいところだけを取ったやつなので、抱き方としては、これが正しい抱き方です。
内田:はい。つくった人みずからが、ハグビーの抱き方を説明するという(笑)。
石黒:反対側の手で、ここにスピーカーがあるんですけど、スピーカーの反対側の部分を……。
内田:はい、スピーカーが入っていて、仕組みを説明すると今石黒さんのお話しされている声が、前列にいる半分の人のハグビーからスピーカーで聞こえると。
石黒:僕の声、聞こえてる?
内田:猪子さんの声も。お話してください。
石黒:聞こえるやろ。
猪子:聞こえる。
石黒:あなたの声も聞こえる。
内田:今、2人こうやってしゃべっていたんですけど、いきなりもう……。
石黒:いい感じやろ。
内田:いい感じですか? 2人の今、多分コミュニケーションが変わったんじゃないかと思うんです。これ公開実験ですね。
石黒:なんか、いい感じやろ。あんまり笑わないように、これなかなか人間関係が変わるんですよ。
内田:変わるんです、ということを石黒さんは信じていて。
石黒:そうそう、変わった人が何組かいるからね。
内田:これはだから、サイエンティフィックなアプローチでもあるんだけど。
石黒:そう、一応、理屈はちゃんとついてる。
内田:体験としてはどうですか?
石黒:ミニマルデザインなんですよね、人間っていうのは2つの表現がつながったときに、わかったって、何かを感じるんですよね、わかったって気分になって、人の存在っていうのは、この場合だと声と触感なんですよね。それが特に触覚みたいな近いところで再現されてると、すごくいい感じになって。
ひとつは声がすごく人間らしいので、2つの表現があって、1個はすごく人間らしいモダリティと表現になってる。声ですよね。声から想像する人の声、声だけだとポジティブに想像するので、手がかりが少ないので。だからいい人を抱いてるような気分になります。
内田:どうですか? 今。
石黒:僕を見なきゃね。
内田:猪子さん、どうですか?
猪子:何か、めちゃくちゃいい声に聞こえてきたもん。
内田:聞こえてきたでしょう。
石黒:いい感じでしょう、これ、なかなか。
内田:もし聞こえない人いたら、ちょっと手を挙げてスタッフに言ってくださいね。皆さん、聞こえてますか?
石黒:なかなかこれ、いい感じになるんですよ。
内田:猪子さん、しゃべってくれないと(笑)。
石黒:愛をささやいて、猪子ちゃん、愛をささやいて。
猪子:いやいや。
内田:愛はささやかなくてもいいですけど。
石黒:愛をささやいたほうが……。
内田:普通に、このまま。ちょっと疲れるまで……。抱きかかえたままだと、ちょっとトークする気がなくなっちゃうと思うんですよ。
猪子:そうですよね、トークする気がなくなっちゃいますよね。
石黒:うん。
内田:マイク使ってください、みんなだんだん動きがむちゃむちゃになってます。
石黒:だんだん時間が遅くなってきて、眠くなって。
内田:そうなんですよ。
石黒:猪子ちゃん何かしゃべらないと、半分の人、聞こえてないよ。
内田:猪子さん、しゃべってくれないと。
猪子:確かに。
内田:そうそう。
猪子:難しい、これしゃべるの。
内田:そう、じゃあお二人はハグビーは外していただいて結構です。お話のまま、皆さんそのまま持っていただいて。
石黒:それは、そうだよね。
内田:はい。
石黒:僕ら抱いてると、話せないよね。
内田:そうそう、話せなくなっちゃうから。
石黒:お互いに抱き合って、しゃべってる感じになっちゃう……。
猪子:聞きあっちゃいますよね。
内田:はい。
猪子:聞いちゃいますよね。
石黒:でもこれ、なかなかおもしろいでしょう。人間、存在感を感じるには2つのモダリティが必要で、1つはすごく人間っぽかったら、その人間らしさから一番記憶に連想される一番いい感じの人を思い出して、でもこれ嫌いな相手同士だったらだめ、さすがに。
内田:なるほど。
石黒:でも、そこそこにいい感じの相手というか普通な関係だったら、いきなりお布団の中で抱き合うような感じになるので、人間関係一発で変わります。
内田:変わった人もいるんですよね。
石黒:ぜひ、こんな人のいる前ではなかなかあれだけど。
内田:そうですよね。
石黒:ぜひ買ってください。ハグビーっていう。
内田:これは商品なので。そうなんです、石黒先生もビジネスされてるんですよ、これで。
猪子:むちゃむちゃですね。
内田:どうですか? 石黒先生、何か。
石黒:ヴイストンから売ってます。
内田:ミュージアムショップでも売っています。
石黒:猪子ちゃん、何かしゃべってあげないとかわいそう。
内田:猪子さん、ちょっとボーッとなっちゃってるんですよ。
猪子:ボーッとなっちゃった。
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