家電の遠隔操作に可能性を感じたワケ

伊藤浩樹氏(以下、伊藤):金田さんに追加で一個お伺いしたいんですけど、さっきの「友達が自分の家電を遠隔操作をするようになって面白いじゃないですか」という話をされたかと思いますが、ずっとそれを続けていってもある種、周辺で盛り上がるだけになるじゃないですか? 

いつか多分それが「こういったプロダクトを作っていこう」という方向に変わっていったんですかね?

金田賢哉氏(以下、金田):最初は友達も欲しいっていう風になって、僕はウチの家電を操作されていたんで皆が使い始めると、皆でそれぞれの家を操作出来るようになるじゃないですか? そうするとちょっと面白いですよね。会場の共感は無いんですけど(笑)。

伊藤:面白いとしていきましょう(笑)。

金田:(笑)。すると量産しなくちゃいけなくなる訳ですよ。するといろいろ方法を考えるじゃないですか。きっかけはスマホの登場と、インターネットのスピードの高速化ですよね。

光回線が入ってネットの通信が速くなったり、スマホで操作性が上がったりして、ようやく何と言うか機械と人間のインタラクションが、もっとスムーズにつながっていく時代が来るなっていうのを感じて。これはもう少し考えると芽が生えるかもしれないっていう、1つのビジネスの種になった瞬間かな。その辺にあるのかもしれません。

伊藤:ありがとうございます。その時はあまり市場がどうこうとまでは考えずに「これは面白いことになるな」みたいな「トレンドになるな」みたいな、そういう感覚ってあったんですか?

金田:遠隔操作というのは、実は歴史的には日本のメーカーが40年位前から凄い努力をしている分野で、誰も成功していないって言うと関係者からしばかれるかもしれないんですけど(笑)、そんな流行っていない訳ですよ。

でもいろんな人がトライしてきた、成功はしていなかったかもしれないけどトライしてきたっていうのは、何かそこに面白みが絶対あるはずです。

一方で生活にそんなに必需品という訳では無いんですよね。だからマーケットの考え方っていうのはすごく難しいんですけど。でも、恐らく自分がワクワクして友達がワクワクするということは、その友達もワクワクするはずなので、わりとマーケットとしては大きいという感覚はありました。

学生時代の研究はビジネスに活きたのか

伊藤:ちょうど皆さん、ご自身が興味あるフィールドでプロダクトを作って行かれているという所で。まずは作って、金田さんの場合は周囲の友達にトライアルしてとかという所があるかと思いますけど。

御三方ともプロダクトを作っていく、自分で興味のあるフィールドを実践していくという所に当たって、それまでにやってきた研究とか知識みたいなものはある程度反映されているんですかね? 「ある程度必然性があってそこに行けた」という風に考えられるのか「実質は全然本当に関係なかった」のか、どう考えられますか? 

一応これ研究が話の流れになっていて、いやどっちでもいいとは思うんですよ。どっちでもいいんですけど、例えば私が同じ様なことを考えても私は法学部出身なのでまずどうやって作ったら良いか分からないんですよね。

例えば家電が云々と考えても難しいと。ヘルスケアと考えてもどういう風な技術を使って、どういう風にやることが良いのかが分からない。そうすると「やっぱり難しいのかな?」みたいに悩んじゃったりするんですけど。多分、それぞれ「自分でも出来る」ってことだと思うし、なんか多分頭の使い方が違うと思うんですよね。そのあたりをお伺いできればなと。じゃあ福島さん、南野さん、金田さんの順番でいくので考えておいて下さい。

お金を集めて、人を雇えば大体のものはつくれる

福島良典氏(以下、福島):そうですね。僕がよく思っていることでいうと、皆さんサービスを作っている中で何かしらを便利にしたいと思っているんですけど、それが「ガンの特効薬を作ろうとしているのか、そうじゃないのか」というのを―これは比喩なんですけど―結構僕は考えていて。

作れる作れない議論でいうと「ガンの特効薬」って作れた瞬間に恐ろしいお金持ちになれると思うんですよ。でも、そういう問題だったら「作れる」っていうことを心配したほうが良いと思うんですよね。そうじゃなく、例えば自動車を作るって言うことだったら僕は自動車の技術は全然分からないんですけど多分作れるんですよ。

なぜならみんなが作っているから、みたいな思考方法ってすごい大事なんじゃないかなっと思っていて。僕はGoogleも作れるんですよ。検索エンジンンなら。でもGoogleって会社は作れなくて、何かそういうことなんじゃないかな。

だから作れるか作れないかでいうとその問題って「ガンの特効薬」なの? みたいな考え方。それが「ガンの特効薬」なら作ることが超大事で、そうじゃなくて、作る事が大事なんじゃなくて、ウケるものを作る事が大事なケースって言うのがこの世の中ではほとんどかなと思っていて。

あんまりそこは関係ない。むしろこういうものを作るんだって決められる人が今一番足りてないんじゃないかな。スティーブ・ジョブズみたいな人が必要なんじゃないかなと。

どうやって作ったら良いかわからないと言われても、作れるんで普通に。お金とかを集めて人を雇えば。

伊藤:さらっとおっしゃいましたけど(笑)。

福島:そう思いません?(笑)

3年間、死ぬ気で取り組めば世界一になれる?

伊藤:それを受けての南野さんの。

南野充則氏(以下、南野):そうですね。僕は一個だけ、研究の時のことで今も生きていることがビジネスでもあるんですよ。それはですね、僕の元々の教授がずっと「研究したならその分野で世界一になれ」って言ってます。

「人間3年間死ぬ気でやると大体世界一になれる」という話をする教授で。今まで船の研究で世界一になって、その後物流の研究で世界一になってその後、エネルギーの研究で世界一になった、みたいな3個くらい分野をまたいでいる教授なんですけれども。

僕のシステム創世学科のCコースを作った教授です。その人が言っているのは要するに「やるなら世界一を目指せ!」と。それに対するアプローチ方法を考えて他の研究ではどんな事がされていて今どういう未来に向かっているのか。それに向かって面白い研究をするにはこういった研究をすれば未来にとってすごい良いから、じゃあこれをやるぞって言って。まさに先ほど福島さんが言われたように「これをやる!」って決める事が大事という教えをされていてですね。

元々僕、エネルギー研究だったんですけど、ヘルスケアが出来ているのも「ヘルスケアで今後どういう市場があって、どういう所に踏みこむともっとおもしろくなるか?」みたいなことを考える思考を植え付けてくれたのは、いま活きている部分ですね。

金田:今年で3年目が終わるんですけど、世界一ではないのがちょっと辛い(笑)。

(会場笑)

技術開発は、粘り強さが肝心

金田:まぁでも間違いなく目指していますよね。それを目指さなければベンチャーをやる意味がない。でも、研究というと直接的な関係はほぼ無い。研究のスタンスとか、そういうのってすごく大事だと思うんですよね。

やっぱり技術開発だし、ビジネスモデルを組むにしても、やっぱりこう目標設定して粘り強くやるとか。研究というより、その人の20年間とか30年間の全部がそこに詰め込まれるというか。粘りが無い人は昔から粘りが無いと思うので、そういうのが凄い大事だと思っていて。

特に航空宇宙って分野でいうと、僕はここの航空宇宙出身なんですけど、失敗できない分野なんですよね。ハードウェアって1回出すと、アプリサービスだとバグがあれば回収するじゃないですか? でも僕らの回収って、ガチで買い戻す方の回収になっちゃうんで、出来ないですよね。

誰が持っているかも分からないし。なので、そういうシビアさみたいな所は研究で叩きこまれた所かなと思います。学生時代にベンチャー始めたときは、東大生とか特に多分強いと思うんですけど、ライバルがメーカーだったりコンサル出身でベンチャー始めましたみたいなちょっと変な人だったりするんで。

2、3回会社を妄想で作ってみるとかをやって、こうやったらあいつに勝てるとか傾向と対策を繰り返して行くみたいなのはねぇ? 大学を受験した皆さんは得意なんじゃないかと思いますしね。思考トレーニングみたいなのは結構ありますよね。ワーストケースってのは必ず沢山洗い出さなきゃいけなくて。みたいなトレーニングはずーっとやっていたりはしました。