2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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伊藤浩樹氏(以下、伊藤):金田さんに追加で一個お伺いしたいんですけど、さっきの「友達が自分の家電を遠隔操作をするようになって面白いじゃないですか」という話をされたかと思いますが、ずっとそれを続けていってもある種、周辺で盛り上がるだけになるじゃないですか?
いつか多分それが「こういったプロダクトを作っていこう」という方向に変わっていったんですかね?
金田賢哉氏(以下、金田):最初は友達も欲しいっていう風になって、僕はウチの家電を操作されていたんで皆が使い始めると、皆でそれぞれの家を操作出来るようになるじゃないですか? そうするとちょっと面白いですよね。会場の共感は無いんですけど(笑)。
伊藤:面白いとしていきましょう(笑)。
金田:(笑)。すると量産しなくちゃいけなくなる訳ですよ。するといろいろ方法を考えるじゃないですか。きっかけはスマホの登場と、インターネットのスピードの高速化ですよね。
光回線が入ってネットの通信が速くなったり、スマホで操作性が上がったりして、ようやく何と言うか機械と人間のインタラクションが、もっとスムーズにつながっていく時代が来るなっていうのを感じて。これはもう少し考えると芽が生えるかもしれないっていう、1つのビジネスの種になった瞬間かな。その辺にあるのかもしれません。
伊藤:ありがとうございます。その時はあまり市場がどうこうとまでは考えずに「これは面白いことになるな」みたいな「トレンドになるな」みたいな、そういう感覚ってあったんですか?
金田:遠隔操作というのは、実は歴史的には日本のメーカーが40年位前から凄い努力をしている分野で、誰も成功していないって言うと関係者からしばかれるかもしれないんですけど(笑)、そんな流行っていない訳ですよ。
でもいろんな人がトライしてきた、成功はしていなかったかもしれないけどトライしてきたっていうのは、何かそこに面白みが絶対あるはずです。
一方で生活にそんなに必需品という訳では無いんですよね。だからマーケットの考え方っていうのはすごく難しいんですけど。でも、恐らく自分がワクワクして友達がワクワクするということは、その友達もワクワクするはずなので、わりとマーケットとしては大きいという感覚はありました。
伊藤:ちょうど皆さん、ご自身が興味あるフィールドでプロダクトを作って行かれているという所で。まずは作って、金田さんの場合は周囲の友達にトライアルしてとかという所があるかと思いますけど。
御三方ともプロダクトを作っていく、自分で興味のあるフィールドを実践していくという所に当たって、それまでにやってきた研究とか知識みたいなものはある程度反映されているんですかね? 「ある程度必然性があってそこに行けた」という風に考えられるのか「実質は全然本当に関係なかった」のか、どう考えられますか?
一応これ研究が話の流れになっていて、いやどっちでもいいとは思うんですよ。どっちでもいいんですけど、例えば私が同じ様なことを考えても私は法学部出身なのでまずどうやって作ったら良いか分からないんですよね。
例えば家電が云々と考えても難しいと。ヘルスケアと考えてもどういう風な技術を使って、どういう風にやることが良いのかが分からない。そうすると「やっぱり難しいのかな?」みたいに悩んじゃったりするんですけど。多分、それぞれ「自分でも出来る」ってことだと思うし、なんか多分頭の使い方が違うと思うんですよね。そのあたりをお伺いできればなと。じゃあ福島さん、南野さん、金田さんの順番でいくので考えておいて下さい。
福島良典氏(以下、福島):そうですね。僕がよく思っていることでいうと、皆さんサービスを作っている中で何かしらを便利にしたいと思っているんですけど、それが「ガンの特効薬を作ろうとしているのか、そうじゃないのか」というのを―これは比喩なんですけど―結構僕は考えていて。
作れる作れない議論でいうと「ガンの特効薬」って作れた瞬間に恐ろしいお金持ちになれると思うんですよ。でも、そういう問題だったら「作れる」っていうことを心配したほうが良いと思うんですよね。そうじゃなく、例えば自動車を作るって言うことだったら僕は自動車の技術は全然分からないんですけど多分作れるんですよ。
なぜならみんなが作っているから、みたいな思考方法ってすごい大事なんじゃないかなっと思っていて。僕はGoogleも作れるんですよ。検索エンジンンなら。でもGoogleって会社は作れなくて、何かそういうことなんじゃないかな。
だから作れるか作れないかでいうとその問題って「ガンの特効薬」なの? みたいな考え方。それが「ガンの特効薬」なら作ることが超大事で、そうじゃなくて、作る事が大事なんじゃなくて、ウケるものを作る事が大事なケースって言うのがこの世の中ではほとんどかなと思っていて。
あんまりそこは関係ない。むしろこういうものを作るんだって決められる人が今一番足りてないんじゃないかな。スティーブ・ジョブズみたいな人が必要なんじゃないかなと。
どうやって作ったら良いかわからないと言われても、作れるんで普通に。お金とかを集めて人を雇えば。
伊藤:さらっとおっしゃいましたけど(笑)。
福島:そう思いません?(笑)
伊藤:それを受けての南野さんの。
南野充則氏(以下、南野):そうですね。僕は一個だけ、研究の時のことで今も生きていることがビジネスでもあるんですよ。それはですね、僕の元々の教授がずっと「研究したならその分野で世界一になれ」って言ってます。
「人間3年間死ぬ気でやると大体世界一になれる」という話をする教授で。今まで船の研究で世界一になって、その後物流の研究で世界一になってその後、エネルギーの研究で世界一になった、みたいな3個くらい分野をまたいでいる教授なんですけれども。
僕のシステム創世学科のCコースを作った教授です。その人が言っているのは要するに「やるなら世界一を目指せ!」と。それに対するアプローチ方法を考えて他の研究ではどんな事がされていて今どういう未来に向かっているのか。それに向かって面白い研究をするにはこういった研究をすれば未来にとってすごい良いから、じゃあこれをやるぞって言って。まさに先ほど福島さんが言われたように「これをやる!」って決める事が大事という教えをされていてですね。
元々僕、エネルギー研究だったんですけど、ヘルスケアが出来ているのも「ヘルスケアで今後どういう市場があって、どういう所に踏みこむともっとおもしろくなるか?」みたいなことを考える思考を植え付けてくれたのは、いま活きている部分ですね。
金田:今年で3年目が終わるんですけど、世界一ではないのがちょっと辛い(笑)。
(会場笑)
金田:まぁでも間違いなく目指していますよね。それを目指さなければベンチャーをやる意味がない。でも、研究というと直接的な関係はほぼ無い。研究のスタンスとか、そういうのってすごく大事だと思うんですよね。
やっぱり技術開発だし、ビジネスモデルを組むにしても、やっぱりこう目標設定して粘り強くやるとか。研究というより、その人の20年間とか30年間の全部がそこに詰め込まれるというか。粘りが無い人は昔から粘りが無いと思うので、そういうのが凄い大事だと思っていて。
特に航空宇宙って分野でいうと、僕はここの航空宇宙出身なんですけど、失敗できない分野なんですよね。ハードウェアって1回出すと、アプリサービスだとバグがあれば回収するじゃないですか? でも僕らの回収って、ガチで買い戻す方の回収になっちゃうんで、出来ないですよね。
誰が持っているかも分からないし。なので、そういうシビアさみたいな所は研究で叩きこまれた所かなと思います。学生時代にベンチャー始めたときは、東大生とか特に多分強いと思うんですけど、ライバルがメーカーだったりコンサル出身でベンチャー始めましたみたいなちょっと変な人だったりするんで。
2、3回会社を妄想で作ってみるとかをやって、こうやったらあいつに勝てるとか傾向と対策を繰り返して行くみたいなのはねぇ? 大学を受験した皆さんは得意なんじゃないかと思いますしね。思考トレーニングみたいなのは結構ありますよね。ワーストケースってのは必ず沢山洗い出さなきゃいけなくて。みたいなトレーニングはずーっとやっていたりはしました。
伊藤:今、3人のお話をお伺いしていると「ガンの特効薬」の話じゃないですけど「もうこのプロダクトを作るんだ! やるんだ! それは現実的に出来ます!」と。「あとは何処まで粘り強く仲間を集めたりお金を集めたりするか、人を集めるか次第で、後はそれをやり切るだけじゃん!」と。
まぁシンプルに言い切り過ぎてますけど、みたいな事なんですかね? 「お金も人も集めれば出来るんで!」みたいな。それは、そこに行くまでの時間とか労力とか多分大変なことなんでしょうけど。福島さん、今さらっと仰いましたけどかなりの胆力がいるというか。
どっちかというとそれがあるからこそ、さっきの世界一を目指すという気概の支えになっているのかなという気はしました。その肝心の人やお金を集めてという所でお話をお伺いしたいなと思うんですけれども。
南野さんの場合は「いざ何のために今のCEOの方とご一緒されてプロダクトを作っているのか」とか、そういう話だと思うんですけれども。金田さんとか福島さんの場合は、プロダクトを作っていきながら仲間を集めて行ったとおもうんですけれども、そういう人との出会いであるとか、それに関わる資金調達といった所について、それぞれの方のターニングポイントをお伺いできたらなという風に思います。
南野:ちなみにウチは今年の3月にサービスをリリースして9月に資金調達を数億円やってます。そこに至った経緯を話すと、やっぱり良いメンターが付きました。僕らの会社は元々リアルな店舗をやっていて、パーソナルフィットネスジムを運営している会社です。そこにもっとオンラインを使ってスケールを立てようということで、去年の10月くらいに僕たちのエンジニアチームを組成して会社をちょっとずつスケール化してきた訳ですけど。
それで3月にリリースしました。最初うちの社長と出会った時に、すごいヴィジョナリーで。このトレーナー業界でウチの社長は日本一だって自分も自負している。それで世界を変えると。けど、そこってやっぱりまだヴィジョンしかなくて、「実際にどうやってやるのか?」とか「仲間どうやって集めますか?」とか、あと「どういうスピード感で会社大きくして行きましょう!」とか全然思いつかなくて。
例えば一個の目標として、IPOだったりとかエグジットとかあると思うんですけど「それを何年にやるのか?」とかそこに向けて「じゃあどうやって会社大きくするのか?」とかそれを僕たち「だいたい5年ぐらいでやればいいんじゃない?」みたいな適当な話しをしていた頃が10月くらいにありました。
夢を描いているとやっぱり仲間が集まってくるというか。最初はお金をもった良いお父さんみたいな人がメンターについてですね。その人は中古車販売の「ガリバー」っていうところで専務をやっている方で「2年間で上場した」と。1日3店舗つくって、1店舗つくるのにお金が8千万くらい要るみたいな、すごいスピードで拡大していったっていう話がありまして。
僕たちに「いつじゃあIPOとかを目指しているの?」って聞かれて「まぁ、5年くらいじゃないですか?」って言ったら「え、3年以内でしょ?」みたいなことを言われて。目標を設定して、そしてどうやって行くのかを描いてくれて。
というメンターと出会って会社が急激に伸び出したっていうことがあります。最初に、ヴィジョンを方向として落としてくれて、更に目標を高く設定してくれる人と出会えるかってすごい大事だなと僕はその時の経験から思ってますね。
今のCEOの岡野さんって方がいるんですけど、溝口、岡野、南野で最初は役員をやってまして。岡野さんのメンターがずっとそのガリバーの吉田さんって方なんですよ。その方を紹介してもらって話しているうちに「この人すごいぞ」みたいな。ぜひ入れさせて貰おうってことで、3人でどうやってこの人を仲間に入れるか作戦を練って仲間になって貰ったといった感じです。
金田:僕は、一番大きな出会いは今一緒に役員をやっている人で、もう1人はエンジニアの人。これはすごく大きくて、初対面で会った瞬間にすごいドキドキしたんですよ。まぁ 男同士なんで恋心とは言いませんが「家電よりも長い時間を共有するかもしれないヤツ」みたいなのっているじゃないですか。そういう感じ方するか分からないですけど(笑)。
(会場笑)
一生一緒にいるかもしれないヤツとかって人生の中できっと何人か出会うと思うんですよ。そういう直感って時々しか生まれないからすごく大事にしたいっていうか。それから、もしくはそういった感覚を一生懸命メンテナンスしなきゃいけないと普段から強く思っていて。で、ちょっとドキドキしたんですよ。初対面の時に。先生の紹介だったんですけど、こいつとならやれるかもしれないと思ったのが一番大きな出会いですね。なので、今もツーカーなんですよ。
伊藤:その「メンテナンスしなきゃいけない」ってお話、さっき仰っていましたけどそれって具体的にどういうことをするんですか?
金田:いろんな外からの刺激があるじゃないですか?例えば、紅葉が綺麗だと思うとか。そういうのを日常的に色んなことを感じるようにしていて。一時期忙しくてタクシー生活をしていたら自分がすごくクローズドになっていく感じがして。普段は自転車通勤とかよく歩くんですよ。一駅くらい歩こうとか。なるべく外を沢山歩くとか、美術館に行くとか、普段とは違う刺激を受ける。同じ道でも昨日とはちょっと色が違うとか。そういうのを僕は大事にして、電波が飛んできたときに赤外線じゃなくても受信できるみたいな(笑)。感じにしたいですね。
伊藤:なるほど。
伊藤:では、福島さん。
福島:基本的には資金だと思うんですけど、人の部分もあんまり真似をして欲しくなくて。さっきも言ったんですけど、今やるんだったら絶対違う方法で人を集めるっていうことですね(笑)。
伊藤:今と当時と2パターン教えてもらっていいですか?
福島:当時は大学の友人と始めました。で、これ超失敗するパターンなんで、皆さんあんまりやらないほうがいいと思います(笑)。
伊藤:皆さんチームで今日いらっしゃってますけどね (笑)。
福島:いや、今日は別に(笑)。これからもし起業とか考えるんだったら、偶々近くにいたからじゃなくて、必ず目的に対して必要な人材を集めるっていうアプローチでやった方が絶対に良いと思います。
幸運にもその友人が必要な人材であるパターンが稀にあって、それが多分ウチのパターン。金田くんの会社も多分そのパターンで、そうじゃない会社は多分ここにあがっている会社じゃなくて、消えてった会社のことを考えた方がいいかなと思います。
ほとんどの創業期でのつまずきって、サービスが上手くいかないとかじゃなくて人間関係が上手くいかずにモチベーションが無くなることが、僕が周りで見てたほとんどの会社での失敗例でしたね。
なので目的に対して必要な人材であり、必要な資金を集めるっていうことが大原則として大事かなと思います。その上で僕がどうやったかというと、創業メンバーである大学の友人とやりましたっていうのと、あと南野さんの会社と一緒で僕の会社にもメンターというか投資家がいまして。
それもこの東大の先輩なんですけど偶々Facebookで知り合って。本当にお薦めしないやり方なんですけど、フィーリングで決めたっていう感じですね(笑)。それは偶々良かったんですけど、やる時はもっと真剣にというか「この人は本当に事業を分かってるのか?」とか「本当にこの業界に対して詳しいのか?」とか「何をやっていけるのか?」とかを見た方が良いと思いますね。
福島:僕がエンジニアだったんで、エンジニア周りの人材は僕が集めたんですけど、そうじゃない人材とか資金の部分は投資家の方とか、メンターにかなり手伝って貰ったということがあって。皆さん若いですし、僕もまだ若いんですけど、ミスっちゃいけないっていうか。
よくあるのが自分はまだまだだからこういう人は連れて来ないとか、来られないんじゃないかとか、そういう無駄な固定観念をとにかく捨てることだと思いますね。
こんな人相手にしてくれないんじゃないかとか。例えばエンジニアであったら一番良い人を取るべきなんで。例えば、Googleにいるトップのエンジニアを取ってくるとか。「お前こいよ、うちの会社絶対伸びるぞ」という傲慢さみたいなのがあっても良いんじゃないか? かのスティーブ・ジョブズは何でしたっけ? ペプシの社長を連れてきたりとか、多分彼は必要に応じて集めてきているんですよね。
Googleの創業者ふたりもエリック・シュミットっていうサン・マイクロシステムズのCTOでしたっけ? 普通にGoogleの創業期として考えたらありえない人材をハイアリングしている訳で。
何かそういうことをやってくるベンチャーだとか、そういうちょっと傲慢な若者が出てくることの方が僕はいいのかなと思っていますね。大原則として明らかに経験を積んでいる人のほうがスキルは高いですし、お金に関しても詳しいですし、サービスに対しても詳しいですし。
でも本当のコアのコンセプトの部分は若い人にしか作れないっていう市場は必ず存在していて。そういうのをきちんと信じれる人、そういう人をきちんと説得していくこともすごい大事かな、と。
「なりゆきで人を雇わない、お金を集めない」というのがすごく大事かなと思います。個人的な反省として。
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