2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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東京・立川を拠点に起業に関連したさまざまなイベントを開催しているStartup Hub Tokyo TAMA。本記事では、『「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全』の著者で、伝える力【話す・書く】研究所の所長・山口拓朗氏が登壇したイベントの様子をお届けします。今回は、文章を読み返す時の5つのコツについて語られました。
山口拓朗氏(以下、山口):第4講は「文章の完成度を高める推敲・直しのススメ」です。途中でもお伝えをしましたが、書いている時に、自分の文章の良し悪しを判断することはなかなか難しいですし、書きにくいですよね。「一文一義に気をつけなきゃ」「具体的に書かなきゃ」「読点(テン)をちゃんと打たなきゃ」となっちゃうと、自分が言いたいことを言えなくなっちゃう。
なので、書いている時は若干書き手本位になってしまっても仕方がない。自分が伝えたいことを伝える。そこに情熱を持っていただきたいですね。ただ、書き終えた時に書きっぱなしにしてしまうのはNGです。
それこそグチャグチャの汚部屋状態の文章で仕上げてしまうことになりますから、しっかりと推敲する。推敲というのは中身を練り直すこと。そして必要に応じて直していくという作業が必要です。
1つ覚えておいていただきたい言葉があります。「情熱で書いて冷静で直す」という言葉です。書く時は情熱的に、自分が伝えたいという気持ちをたっぷり込めて、とにかく必要な情報がもれなく入るようにしていただきたいんですね。カットするのは冷静で直す時でいいんですよ。
なので、最初は必要以上に情報を入れる。つまり、A4・1枚で完成させたいのであれば、A4・1枚からはみ出すくらい。3分の1くらいはみ出しちゃってもいいでしょう。なんならA4・1枚とあと半分書いてもいいです。そのあとしっかり直せばいいんですね。直す時に不要な箇所を削って、削って、削っていく。
今日お伝えした、一文一義チェック。具体的に書けているかチェック。読点(テン)の打ち方チェック。同一情報がバラバラに入っていないかもチェック。見た目がわかりやすくなっているかどうかをチェック。すると、読む人にとってわかりやすい文章へと直っていくわけです。
この考え方を私はとても大切にしています。「書くだけではなく、直すところまでが文章を書くこと」という意識を持てる方は、文章力がどんどん伸びていくと思います。
山口:読み返す時のコツを5つご紹介します。
1つ目、「書いてから時間を空けましょう」。そうすると、より冷静にその文章を読むことができます。
もちろんみなさんの気持ちもわかります。「いやいや、そんな悠長なことは言っていられない」と。「締め切りが迫っているし、すぐ送らなきゃいけないから、書いたらすぐに完成させなきゃいけないんです」という方もいらっしゃると思うんですけど、「できる範囲で」ということですね。
例えば、午前中に書いたのであれば、ランチを挟んで午後にもう1回読み返す。それだけでもだいぶ気分が変わりますから、良い構成、良い推敲ができます。あるいは、それも難しい方は書いたら一度トイレに立って、帰ってきて読むとか、とにかくワンクッション何かを入れてください。1本違うメールを書いてから読むとかね。
そんなふうにして時間が空けば空くほど、良い推敲ができるので、その工夫をみなさんの中でしていただきたいと思います。
2つ目、「印刷する」。これはものすごく良い方法です。なぜかというと、デスクトップ上で見た文章と活字になって出た文章って、見え方がまったく違うからですね。やっていただくとわかります。
デスクトップ上で完璧だと思っても、活字で出てきたものを読み返すと、「あれ、1文長いや」とか、「これとこれはちゃんと揃えたほうがいいや」とか、「もっとここを具体的な言葉にしよう。専門用語は強すぎるから、そこを括弧書きで補足しよう」とか、いろんなことに気づけるんですよ。
もちろんすべての文章を印刷するのは、今の時代、資源の無駄と言われてしまうのでやってはいけないんですけど、勝負文章、大事な文章、決めの文章ってありますよね。絶対通したい企画書とか提案書とかありますよね。
そういったものは印刷していただきたい。そうすることで、誤字脱字を防げるのはもちろん、内容面においても非常にクオリティ高くブラッシュアップすることができるようになります。
山口:3つ目です。「音読する」。音読の習慣はありますか? もしあるという方はすばらしいです。音読すると、黙読する時よりも多くのことに気づけるんですね。どんなことに気づけるか。これまでに伝えてきたこと全部です。
一文一義になっていないことも気づけるし、具体的な言葉になっていないことも気づけるし、テンプレートがずれていることも気づける。言葉が難し過ぎるなとか、抽象的過ぎる、曖昧過ぎる、全部気づけます。
なぜかというと、音読は目から入った情報を口から出すわけです。頭を1回通しているんですよ。口から出した言葉をまた耳が聞いているんです。あるいは口から出した時に、骨伝導って言って、骨を通じて脳で聞いているんですよ。
その二重三重のアウトプット・インプットが行われているので、黙読する時よりもはるかに良い推敲・校正ができます。やってみてください。音読すると語彙力も高まっていきますし、言語化能力も高まるのでおすすめです。
4番目、「意地悪く読む」。赤文字で書きましたけど、意地悪く読むって大事なんですよ。私、冒頭で申し上げたとおり、赤ペンを3年間くらいたくさんくらってきました。「お前、なんて下手くそな文章を書いてんだ。ぜんぜんダメだよ」と言って、赤ペンで直されたわけです。
それは意地の悪い上司という言い方もできるけど、正直言うとありがたい上司ですよね。だって自分のダメな文章をちゃんと指摘してくれるわけです。それが自分でできたら理想的じゃないですか。
自分の書いた文章は、多くの方は甘やかしすぎですね。「まあ、こんな感じでいいんじゃないの?」としているんですけど、それは本当に伝わりやすい論理的な文章でしょうか。
そこに突っ込みを入れていくわけです。「もうちょっとわかりやすい言葉を選んだほうがいいんじゃないの?」「ここ、一文一義じゃないよね」「これ、言葉がかなり曖昧じゃない? 『とても』とか使ってるけど、『とても』って何?」とかね。
「『ほどほど』って書いてあるけど、『ほどほど』で相手に伝わるの? もっと具体的に書いたほうがいいよね」とか、「こっちの情報は冒頭に持ってきたほうがわかりやすいよね」。全部気づけるんです。自分が厳しくなればなるほど良い文章に変わっていきますので、意地悪く読んでください。自分の文章を甘やかさないのがポイントです。
山口:最後、「他人に読んでもらう」。これは一番良い校正の方法ですね。自分では自分の文章を完璧に直すことってなかなかできませんけど、他人に読んでもらうと、自分では完璧に仕上げたと思っていても「うん? これ、意味わかんないんだけど」と言われたり。
「これって誰が責任とるの? ここにそれ書かれていないよね」とか、「工期って何ヶ月でやるんだっけ。なんか漏れてない?」「この情報いる? 書かなくていいんじゃないの? 読む人は知っているよね」とか、いろんな指摘、フィードバックをもらうことで、自分の文章の至らなさに気づくことができます。
なので、文章力を伸ばしたいのであれば、他人の目、第三者の目を通してください。しかも、「まあまあいいんじゃない?」と言ってくれるような優しい方だとダメなんです。そうじゃなくて、本当にその文章をちゃんと見てくれて、忌憚のない意見・アドバイスをくれる人です。
そういう人はあなたにとって宝物です。大事にしてください。言われた瞬間はちょっと嫌かもしれないけど、客観的に見てもらうことで、「自分はどうしても一文が長くなる傾向にあるんだな」とか、「どうしても曖昧な言葉を使ってしまうんだな」とか、「理由はいつもぼんやりしちゃっているよね」と気づく。
自分の良いところも気づけますけど、ちょっと至らない文章の癖みたいなものを指摘してもらえると、「今度からそこを直していこう」という成長につながっていきます。フィードバックをもらって改善、フィードバックをもらって改善。これで成長していく。
スポーツや芸事と一緒ですね。文章もうまくいっていないところを改善することで伸ばしていく。会社員の方は、同じオフィスの方々とお互いの文章をチェックし合う風土を作ると、会社全体の文章力が一気に伸びていきますので、おすすめをしたいと思います。
山口:ということで、今日の研修、2時間半くらいの量を90分に凝縮しましたので、かなり駆け足だったことをお許しいただきたいと思います。ただ、みなさんに私がお伝えできるのは、もしかしたら一生に一度かもしれません。ですので、大事なエッセンスだけはどうしても受け取っていただきたかったので、このようなかたちにいたしました。
今日のまとめをもう1回お伝えして終わりにします。
プロローグでは、「文章作成における最重要マインド」ということで、「書き手視点」から「読み手視点」に移行しようと。これがすべてです。
読み手視点で書くために今日お伝えした2つのテンプレートがあるし、読み手視点になるためにお伝えをした5つの伝え方のポイントがあるわけです。今日は、全部が読み手視点というキーワードに串刺しにされたセミナーだったと思っていただきたいと思います。
第1講では、「列挙型」のテンプレートをご紹介しました。冒頭でテーマと数を伝えてから、それぞれのポイントを1・2・3と書いていく。1・2・3の中にも結論を先に書き、その次に「枝」「葉」を書くという流れを守っていただきたいと思います。
第2講は「伝わる文章の書き方 5つのポイント」。「一文一義で書く」「具体的に書く」「読点(テン)を正しく打つ」「同一情報はまとめて書く」、そしてストレスのない「読みやすい見た目にする」という5つをご紹介しました。
第3講では、「結論優先型」のテンプレートをご紹介しました。結論優先型は、結論、理由、具体例、まとめ。「幹」「枝」「葉」。そして最後に「幹」という構造を使っていただくだけでも、論理的でわかりやすい文章になります。
もちろん理由のところは、中身をがんばってください。根拠や理由を、例えばできるだけデータを持ってくるとか、「なるほど、そういうことね」という確固たる数字を持ってくるとか、あるいは論文から引用してくるとか。そういうことをすると納得度が高まっていきます。
最後、第4講では「推敲と直し」の話をしました。情熱で書いて、冷静で直しましょう。読み返す時の5つのコツもぜひ実践していただきたいと思います。
山口:というわけで、今日のセミナーはここで終了となります。オンラインでチャットいただいた方、ありがとうございます。
すみません、チャットを取り上げるのを忘れていました。「先日、パワポ芸人が自分への突っ込みについて『心のひろゆき(西村博之)を召喚する』と言っていました」。おもしろいですね(笑)。それ、いいですね。じゃあ「心のひろゆき」をみなさん登場させましょうか。
いろんな反論をしてきたり、突っ込みを入れてくるわけですよ。それに対してちゃんと答えられるかどうか。答えられなかったら、ちゃんと文章を修正したほうがいいわけです。いいですね。おもしろいです。心の中の厳しい文章の達人みたいなものを、常に自分の中に持っておきましょう。
最後に、みなさんへのメッセージとしては「あなたは書ける!」。この自信を今日つけていただけたんじゃないかなと、勝手に確信しています。必要なツール、テンプレート、あるいは基本的な考え方ですね。読み手本位で書くということ、伝わる文章の書き方の5つのポイントをお伝えしました。
冒頭で申し上げたとおり文章はスキルですから、基本とコツをしっかりと身につけた上で量をこなす。基本を身につけないで量をこなすと、悪いフォームのまま素振りをしているようなもので、もっと悪くなってしまう。だから危険なんですね。基本とコツを押さえた上で量を書くと、どんどん文章が伸びていきますので、ご自身に期待をかけていただきたいと思います。
最後に、私は本を28冊書いていますが、今日参加されたみなさんにおすすめしたい本が最新刊なんですね。
『「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全』。こちらの本は、文章と話し方の両方に対応しています。今日は文章の書き方、こういう書き方をするといいよとお伝えしましたが、その前の段階で「頭の中から情報を取り出すのが苦手です」「言葉にするのが苦手です」「どうしても『ヤバイ』しか出てきません」「できることなら文章を書きたくありません」という方は、この本が役立つと思います。
今、書店でもけっこう大きく展開していただいています。興味のある方はご一読いただき、文章作成にお役立てください。
列挙型と結論優先型も載せていて、その他にももう1個使える「ストーリー型」というテンプレートも載せています。これもめちゃめちゃいいテンプレートですので、この3つを持っていただくと、文章力、言語化力、そして話し言葉による伝え方もかなりアップしていきますので、おすすめしたいと思います。
チャットに「ポイントがわかりやすくて勉強になりました。ありがとうございます」と。こちらこそ、最後までご清聴いただきましてありがとうございました。みなさんの文章力が今日からメキメキと伸びることをお祈りしております。
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