2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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松下雅征氏(以下、松下):続いての質問なんですけど、高校生の男の子からですね。「高校生の時の理系・文系の進路の区分けに意味があるんでしょうか? 意味がある場合には、どうやって自分が得意か苦手かを判断すればいいんでしょうか?」という質問です。
私はちょっと専門外なので、どうやってこれを判断すればいいのか、西村先生にお聞きしたいんですけど、よろしいですか?
西村創氏(以下、西村):得意かどうかは、シンプルに学校と模試の成績ですよね。
松下:なるほど。
西村:どちらもそんなに差がなく、まさに文系・理系で選びきれないんだったら、どちらも受験科目にある国立大学を目指すという手もありますので。
松下:なるほど。まずはテストや日々の勉強の中で、どちらが得意か苦手かを判断しつつ、どちらも甲乙つけがたいのであれば、そんなに選ばずどちらもやるという選択もあるということなんですかね?
西村:そうですね。
松下:なるほど。
西村:やはり文系から理系への転向って難しいと思うので、迷ったら理系に進んで「後から文系に転向するのはあり」というのは、受験のセオリーとしてありますね。
松下:そうなんですね。実際に理系から文系に転向して、うまくいくパターンもあるんですか?
西村:理系から文系はありますね。
松下:なるほど。
西村:文系から理系は相当きついですね。
松下:そうなんですね。ありがとうございます。
松下:続いて、小学生のお子さまを持つ女性の保護者の方からの質問です。「小学生の段階で進路を決める考え方としては、『楽しそうだから』とかで大丈夫ですか? 現実的な話をすると、子どもの夢を壊してしまいそうな気がして迷い中です。お話をうかがいたいです」ということでした。
これはさっきの「好きか得意か」の議論と近しいなと思いますが。私からの回答としては、もし「楽しそう」というところを重視する場合には、「どうしてそれが楽しそうなのか」をもう一段深掘りすることで、「それだったら他の業界もあり得るんじゃない?」というのが見えてくると思います。
西村先生が言うところの、「海外に行きたい」(という目標)だけを切り取ると、「商社のほうがよかった」みたいな話はあるかもしれません。
でも、「なんで海外に行きたいのか」「いつから行きたいのか」みたいなところを深掘りしていくと、もしかしたら得意の受験業界で、今すぐは無理でも数年後に実現することもあり得ると思うので。
「楽しそう」を起点に夢を広げていくという、そんな関わり方ができるといいのかなと思っているんですけど。西村先生から補足や言いたいこと、何か伝えたいことはありますか?
西村:そうですね。「楽しそう」でいいと思うんですよね。
松下:なるほど。
西村:「現実的なほうか、楽しそうなほうか」ということなんですけど、今現実的だと思えることも、実はそこまで本当に現実的かどうかはわからなくて。今、「現実的だな」と判断した99パーセントの人は、結局、今考えている現実的な進路に進まないですよね。
松下:なるほど。おもしろい。
西村:10年後はどうなるかわからないですし、「こうしたい」と思って、それを実現する人ってすごく少ないと思うんですよね。
だから、どちらのほうが今前向きに思えるかというと「楽しいほう」だと思いますし、どっちがより現実的かという判断は、タイミングによって変わると思うので、「どちらのほうが楽しいか」という方向に考えてみていいかなと思いますよね。
松下:確かに10年前を振り返っても、10年後の生活がこうなっているとは予測できなかったですものね。なので、今ある情報で現実的な話をしても、それが現実になるかどうかはわからないからこそ、だったら「楽しそう」ということを起点に考えるのがいいんじゃないかなと。
西村:そうです。そっちのほうがいろんなやる気の原動力になりますので。
松下:確かに。ありがとうございます。
松下:続いて、小学生と中学生のお子さまを持つ女性の保護者の方からなんですけれども、「志望校選び、何からやればいいのか、何から促していけばいいのかわかりません。どうしましょう」という、ざっくりとした質問でして。
私は、やはり進路選びのドーナツ化現象がかなりいろんなところで進んでいるなと思っています。よく子どもたちが進路希望調査票を渡されて書くと思うんですけど、とりあえず志望校を5つ挙げる、みたいな。
進路先から「何をしたいか」が見つかる可能性もあるので、それ自体はぜんぜん間違っていないと思うんですけど、やはり選択肢同士を比較しても、どれがいいってないじゃないですか。
「こういう基準があるから、じゃあ選択肢Aのほうがいい」とか「この理由があるから、選択肢Bのほうがいい」というふうに、やはり人によって変わるものなんだと。
単純比較がどうしてもできないと思うからこそ、私は進路選びの軸が大事なんじゃないかなと思っているんですけど。もし西村先生に小学生、中学生のお子さまがいるとしたら、志望校選びにどう関わって、どう促しますか?
西村:そうですね。志望校選びというと、学校をそれぞれ吟味するところに視点が行きがちなんですけれども。それよりも、やはりその子本人の特性を見て、どういうことが得意で・どういうことが好きなのかが起点になっていないとうまくいきません。
あと、本人と対話をして、どういう方向に進みたいのかを考え、そこを起点にすることですよね。
松下:なるほど。
西村:小学生だったら、中学受験するかしないのか。中学生だったら、中高一貫校に行っているか、公立の中学校から外部の高校受験をするのかによってまた変わってくると思いますけど。あとは、大きな枠組みで私立なのか公立なのかによっても受験の仕方がだいぶ変わってくるので。
高校受験って受験のパターンがすごく多いんですよ。受験のパターンがいろいろあるということは、その子に合った受験の仕方があるわけなので、一番合致しそうな受験のパターンはどれなのかというのを、私のYouTubeチャンネル(にしむら先生 受験指導専門家)を見て確認してほしいですね(笑)。
松下:ありがとうございます。いや、間違いないですね。まさに「何からやればいいんだろう?」という疑問のアンサーが、西村先生のYouTubeチャンネルにあると思いますので、ぜひみなさん登録をお願いします。
西村:ありがとうございます。保護者の質問や疑問に思うことへの回答を、今まで動画150本分は出しているので、(何かしら役立つ情報は)あると思うんですよね。
松下:確かに。
西村:しかも、昨日でチャンネル登録が6万人に達しました。
松下:おお! おめでとうございます。すごい。
西村:Twitterで「6万人行きました。ありがとうございます」とツイートした途端にチャンネル登録者が減って、今5万9,994人なんですよ。
松下:なんと……(泣)。
西村:なので、ちょっとツイートを消そうかなと考えていまして。あと6人の方、登録していただけると。
松下:ぜひみなさん、お願いします。
西村:(笑)。
松下:もう1問、事前の質問があるので、こちらを紹介してから会場の質問にもお答えしていきたいんですが、大学生のお子さまを持つ保護者の方からですね。
「大学生の子どもとの関わり方を知りたいです。今は子どもが何かあれば話してくるので、その話を聞いてアドバイスをしているんですけれども、これから就職活動が始まるタイミングなので、親の心構えをぜひ教えていただきたいです」という話でして。
私としては、西村先生との対談の4つ目の話であった「子ども自身が選択のハンドルを握る」というのが、やはり何より大事かなと思っています。西村先生は進路選択について「後悔はない」とお話ししていて、私の場合もそんなに後悔はないんですけど、それでもあるんですよ。
「後悔した時としていない時の違いは何かな?」と思うと、やはり「選択のハンドルを自分で握っていたかどうか」ということだなと思っていて。後悔した時って、基本的に「誰かから言われたから」とか、何らか自分に言い訳がある状態でそれを選んでいるんですよね。
後悔しない時って、どれだけ失敗しても、自分が「こうしたい」と思っていたような成果が出なかったとしても、あんまりモヤモヤがないというか。「自分で考えて決めたし、しょうがないかな」と思えるので。
就職活動でいろんな会社や仕事があると思うんですけど、最後の選択のハンドルを子どもに握らせるのがポイントかなと思います。
松下:西村先生として、就職活動を控える子どもを持つ保護者の方にお伝えしたいことは何かありますか?
西村:そうですね。小中学生の受験指導に関わる保護者も一緒なんですけれども、あまり短い時間軸で考えすぎないことが大事かなと思っていて。どうせ最初に入った会社って、3年以内にほとんど辞めるんですね。7割が退職するし、(本人がやりたいことも)変わっていくんですよね。
だから、新卒入社時点の評価って、「有名な会社であれば成功で、そうじゃない会社だと失敗」という感じがあるかもしれないけど、ぜんぜんそうではなくて。
やはり5年、10年、20年と、その先も仕事って続いていくので、あまり早い段階で「これで失敗した」とか「成功した」とか考えないことですよね。受験もそうだと思うけど。
自分自身の後悔はないんですけど、やはり勉強が嫌いで、ぜんぜんしなかったことによって、かえって(生徒の気持ちがわかる分)生徒指導がうまくできているという、自分の強みになっていますし。
松下:そうですよね。
西村:ぜんぜん行きたくなかった商業科で商業を学んだのが、後に経理ができるレアな塾講師という存在になっているとか。
西村:あとは、小中学生の時に友だちや先生とあまり馴染めずに、学校の休み時間はずっと本を読んでいる少年だったんですね。居場所がなくて、馴染めなくて。だから、小中学生時代の友だちがいないんですよ。高校時代もですけど、ひたすら本を読んでいたんですね。
でも、本を読んでいたのが今は活きていて、自分がアウトプットできているのは、やはり膨大なインプットがあるからで、本を書くにしてもYouTubeで語るにしても、ネタとしゃべることが尽きないんですよね。
その時に「これ、かなり苦しい状況だな」「失敗しちゃったかな」と思ったとしても、それがすべてプラスにつながっているので。
だから、選んだ選択肢や今の結果をプラスにし続ける工夫と、諦めないことですよね。そういう精神や考えを伝えてあげることが大切だと思います。
あと、やはり親自身が自分の人生を充実させて前向きな姿勢を見せるのは大きいですよね。やはり自分が一番影響される人は自分の親なので、親が輝いていれば、子どもの希望とか夢も前向きになってきますよね。
松下:ありがとうございます。今のお話で、2つ印象に残ったことがあって。1つは、やはり選択の瞬間の評価を長い時間軸で考えるということですね。
就職活動であれば「どの会社に受かったか」みたいな話ですし、中学受験と高校受験を控える生徒・保護者の方で言えば、受験の勝敗みたいな合格・不合格に視点や意識が行きがちだと思うんです。
松下:人生は続いていくじゃないですか。普通に生きていったら、たぶん80年とかぜんぜん生きると思うので。そう考えると、一瞬に過ぎないと言いますか。「人生で見たら誤差レベル」と言ったらちょっと語弊があるかもしれないですけど、なんかそういう話だと思うので。
もちろん、瞬間瞬間を大事にするのはすごく尊いと思うんですけど、とはいえそこだけで評価するんじゃなくて、時間軸を長く持って、「トータルの人生で幸せですか? どうですか?」ということに目を向けるのは、大事なポイントだと思ったのが1つ。
あとは何より、子どものあれこれを気にする前に、親自身が自分の人生を充実させるということですよね。私も今、保育園に通う子どもがいまして、自分が子どもに言ったことじゃないことでもすごく覚えていたり、(真似して)しゃべろうとするので、「よく見ているな」と思っていて。
なので、これだけ小さい時から、「やはり子どもって親のことをすごく見ているな」というのを肌で感じているんですけど、子どもが大きくなればなるほど親のことを見ていると思うので。
その意味でも、「子どもに何か」って思う時は、それをまず親が実践・再現するというのは大事なポイントかもしれないですね。
松下:残り時間があと少しになってきたんですけど、今いただいている質問を2問だけ紹介して終わりたいなと思っています。まず、「中高時代に本を読んでいたとうかがいましたが、マンガは読んでいましたか?」という子どもからの質問です。
西村:私はめちゃくちゃ読んでいましたね(笑)。
松下:そうなんですね。では、小説もマンガも?
西村:はい、小説もマンガもどっちも読んでいました。
松下:ちなみに、好きなマンガは何かありますか?
西村:当時ですかね?
松下:当時ですね。
西村:当時は『ドラゴンボール』と『スラムダンク』ですね。
松下:おお、いいですね。私も『ドラゴンボール』は特に好きで、『ドラゴンボール』を読んでマンガ家になりたいと思って。
西村:おお、そうなんですね。
松下:実は部活で少林寺拳法をやっていたんですけど。
西村:おお、かっこいい。
松下:それも『ドラゴンボール』の影響を受けてました(笑)、雑談ではありますが。
松下:では最後の質問です。「現在、小6の男子の母親です。どれくらい先までを視野に入れて進路を考えたらいいでしょうか?」ということなんですけど、さっきの回答にも近いですかね?
私としては、その瞬間の合否もすごく大事だと思うんですけど、評価という意味では「長い目で見よう」というのが1つあると思います。それ以外で、もし西村先生から補足等があればうかがえますか?
西村:どれくらい長い……。そうですね、視野は長ければ長いほどいいですよね。やはり小6とかだと、最近は中学受験する人も全国で2割ぐらいなので、どんどん視点が近くなってきちゃうんですよね。中学受験しなかったら高校受験、みたいな感じで。
ただ、それではぜんぜん決まらないので、長い目で見ないと、たぶんしんどくなってくると思うんですよね。それこそ毎回のテストの結果でハラハラして、「こんなにできていない」と悪いところばかりに目が行ってしまうので。それはあくまで手段の1つにすぎないので、長い目で見れば見るほどいいと思います。
松下:ありがとうございます。それでは、もっと聞きたいことはあるかもしれないんですけど、ちょうどお時間になりましたので、今回のイベントは以上とさせていただきます。
あらためて、西村先生、お時間をいただきありがとうございました。会場のみなさんも、リアクションボタンがありますので、ぜひ大きな拍手をお願いいたします。
西村:ありがとうございました。
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