創立75年目、大分県の柳井電機工業の業務改善

菊地雄大氏(以下、菊地):それでは、ここからはASTERIA Warpユーザーのみなさまの事例講演に移っていきたいと思います。

ユーザー事例講演の1つ目は「YANAIクエスト~吉津美和の冒険~」と題して、柳井電機工業株式会社のCo-Creation-Design事業部主任・吉津美和さまにご登壇いただきます。それでは、こちらをご覧ください。

渡部かおり氏(以下、渡部):みなさま、こんにちは。ASTERIA Warpのユーザーグループ、通称AUG事務局担当の渡部と申します。ここからは柳井電機工業の吉津さまにご登場いただいて、事例をお話しいただきます。吉津さま、よろしくお願いいたします。

吉津美和氏(以下、吉津):柳井電機工業の吉津です。よろしくお願いいたします。今日は「YANAIクエスト~吉津美和の冒険~ ミッション:社員の行動を変えろ」というプレゼンをさせていただきます。

渡部:よろしくお願いします。

吉津:まず初めにアジェンダですが、会社概要と自己紹介、序章、本編、システム地図、番外編、終章となります。

会社紹介ですが、柳井電機工業の創立が1947年。今年で75年目になります。社員数165名で、本社は大分県大分市。拠点は中津市、福岡市、柏市、横浜市にあります。

ドローンを使った撮影画像解析や、ソフトウエア開発も

吉津:ほんの一部、事業内容のご紹介ですが、大分県で日立の特約店をしている関係で、日立製品を中心とした電気機器の販売・設計・施工・メンテナンス業務を行っております。

また、自治体に代わって、自治体が所有している水道事業の運営なども行っております。ほかにも太陽光などの設置をしておりますので、ドローンを使った撮影画像解析のソフトを作ったり、食品工場向けの異物検査画像解析を行っております。

ちょっと変わったところで、酒造りの製造業さま向けのIoTソフトウェアの開発なども手掛けております。弊社のSalesforce上のアプリも少し開発しておりまして、そういったこともやっています。

渡部:今日は大分からお越しいただいたんですね。遠くからありがとうございます。

吉津:こちらこそ、呼んでいただいてありがとうございます。私の自己紹介になりますが、弊社は「ニックネーム」という制度を導入しておりまして、日本人なんですが「Cloudy(クラウディ)と名乗っております。

担当業務ですが、主にPlatioや社内システム、ASTERIA Warpの開発やSFA(Sales Force Automation)のシステム管理者をしております。そのほかには、社内で「こんなシステムがあったらいいな」という場合の相談窓口にもなっております。勤務場所は福岡支店なので、福岡にいます。

入社後まもなく、社長から降ってきた依頼

吉津:簡単な経歴の説明にはなるんですが、「COBOLer」まではいってないんですけど、近い世代ではあるので、磁気テープも使ってデータのバックアップもやったことがあります。

4年ほど前、柳井電機に入社させていただきました。入社前までは、主にWindowsを使った業務用アプリの開発をやっていたんですが、柳井電機でドローンを使ったソフトを作るメンバーを募集していた経緯があって、「もしかして最新のアプリとかを作れるようになるんじゃないかな」と思って入社しました。

私が今好きなアプリはPlatioとInstagramなんですが、ドローンを使ったアプリは、ちょっとまだぜんぜんできていないです……(笑)。

渡部:すてきな自己紹介をありがとうございます。ここから本題に入っていければと思うんですが、アジェンダにあった「序章」ということで、吉津さんにどんなミッションが下ってきたんでしょうか。

吉津:入社してちょっとした頃に、社長から「どのお客さんにどれだけ時間を使っているか、どんなことに時間を使っているかをデータ分析し、社員に見せたいんだよね」という相談をされました。

その意図としては、「社員が意味のある毎日を過ごせるように、データを使って行動変化を促したい」という強い要望があって、それが突然私のほうに下りてきました。

スマホアプリ開発経験ゼロ、右も左もわからないままスタート

渡部:なるほど。いきなりハードルが高いミッションかなと思うんですが、どういうふうにクリアしていったのかをお聞かせいただければと思います。

吉津:はい。序章なんですが、うちは営業が多いので「スマホを使ってそういう仕組みを作れないか?」と言われたんですが、そんな仕組みを作ったことはなくて。

また、スマホのアプリを開発したこともなければ、どうしていいかわからなかったんですが、「Platioというアプリを使えば、どのように・どれだけ・どんな時間を使っているかを簡単に集計できるよ。そんなに開発スキルはいらないから」と、社長から簡単に言われて……。私に「やれ」って。

渡部:(スライド上で)矢が刺さってますね(笑)。

吉津:はい。突然やることになりました。

渡部:ちなみにちょっと補足なんですが、Platioというのは、弊社アステリアで提供しているモバイルアプリを簡単に作れるサービスなんですが、今日は説明を省略させていただきたいと思います。「社員の行動変容を促したい」というお話だったんですが、社員の方から反対の声はなかったんでしょうか?

吉津:「いつも日報を上げてるからいいじゃないか」という反応はあったんですが、それを集計して、どれだけ使ってるかということ自体は、社員自体も気づいてなくて。

「日報を入れる代わりにPlatioに入れてもらえれば、日報にも反映できるし、お客さんにどれだけ自分が時間を使ったかがすぐにわかりますよ」とお伝えしたら、「ちょっと見てみよう」という反応もあって、現在に至ります。

渡部:その時点では好意的に受け止められていたということで、安心しました。

本番稼働は1ヶ月後、その間にはさまざまなハードルが

渡部:Platioを使っていただいたとのことなんですが、まだ序章ということで、だんだんハードルが上がっていくのかなと思ったんですけど、どういったことがあったんでしょうか?

吉津:そうなんですよ。次(のスライド)を見ていただいたらわかるんですが、入力する画面はすぐにできたんですが、それを分析してグラフを出すような仕組みがPlatioにはなくて。

データを取ってきてExcelでやるというのも(手段として)あったんですが、リアルタイムで社員が好きな時に見られる仕組みができなかったんです。

(その時に)また社長から「ほかのBIツールにつなげれば、なんとかなるんじゃないか?」「PlatioもAPIを持ってるからつながるんじゃない?」みたいなことを言われたんですが、私自身はつなげたこともなくて、「どうやってつなげればいいんだろう?」という話になったんです。

渡部:「つなぐ」というキーワードがすごく出てきたんですが、もしかしてそこで出てきたのが……。

吉津:はい。……あっ、ただその前に、少しだけ自分でなんとかしようとして。「1ヶ月半ぐらいで本番稼働したい」という期限が先に決まっていて、1週間かけてPlatioのデータを引っこ抜いて。でも、加工してほかのBIツールに入れるのがどうしても難しかったんです。

“救世主”となったのは「ASTERIA Warp」

吉津:すると、なんと……。

渡部:あっ、出てきた(笑)。

吉津:「ASTERIA Warp、ありました!」ということで、ご紹介いただいて。なんと試用期間にもかかわらず、1週間ぐらいで全部つながり、見事にグラフ表示できました。ありがとうございました。

渡部:よかったです。1ヶ月半かかっていたのが、1週間に短縮できたと。

吉津:1ヶ月半しか猶予がなかったんですよ。まだつながってもいない段階で、もう稼働日が決まっているみたいな。

渡部:なるほど。ASTERIA Warpを使ってつないでいただいたということだったんですが、Platioのデータを取得して、活動自体はASTERIA Warpでグラフ化されたんですよね。

吉津:実際には、SFA、Salesforceのグラフ機能を持つところに、加工して入れさせていただいたんです。ASTERIA Warpの良いところが、コードでゴリゴリ書いてるのと違って、グラフのようにツリー構造でわかるので、つなぐ大変さを社長にもちょっと見せられたかなと思います。

渡部:よかったです。

工数を「見える化」することで、業務効率を改善

渡部:ちなみに、見える化されたことで業務の改善につながったことはあったんでしょうか。「資料の準備に時間がかかってるから資料を共通化しよう」「移動時間が長いので担当営業を変えよう」という話はありましたか?

吉津:一部の営業部隊だけがお客さんの活動データを入れていたんですが、なんとうちはサービス部隊も連携して、お客さんに対して工事を行っていて。

その活動自体も入れられるようになったことによって、1つのお客さんにどのくらいの時間をかけているのかを部署で把握することができました。

営業も「このお客さん(のところ)に何回修理に行っている」という情報をリアルタイムに把握できるようになって、どれだけ自分たちがこのお客さんに工数を使っているかが部署でわかるようになりました。

お客さんにかける時間の見直しとか、回る順番の分析を部署で行えるようになって、自分が次にどうアクションを持っていくかが把握できるようになりました。

渡部:改善につながったというお話を聞けて、すごくうれしいですね。ありがとうございます。

吉津:いえいえ、こちらこそ。日報だけだと報告で終わってたんですが、それが次のアクションにつなげていけるようになったのは、弊社としてもとても有益なことでした。

社員同士で「感謝」を送り合い、心理的安全性を確保

渡部:ちなみに、営業部隊からテクニカル部隊にまで拡大されたというお話なんですが、そのほかにもASTERIA Warpの利用範囲が広がったお話ってありますか?

吉津:はい。一応これで社内システムの連携図ができました。サービス部隊が入れているサービス時間を基幹業務(システム)に入れてるんですが、ここから取り出してASTERIA Warpを経由してSFAに集めるという(スライドの)赤い線の部分をASTERIA Warpで連携させました。

拡大した部分ですが、PlatioからSFAのソフトに連携させることの次に、SFAの中にChatterというSNSのような機能がありまして、そこで社員同士の感謝の気持ちを送り合って、ASTERIA Warpで集計させてダッシュボードで見える化しました。

「ピュアポイント」という、社員同士で感謝の気持ちを送り合うようなシステムを、ASTERIA Warpを使って実現しました。

渡部:すごい。ASTERIA Warpって、こんなこともできちゃうんですね(笑)。

吉津:はい(笑)。すごいなと思って。

渡部:すごくいい取り組みだなと思って聞いていました。ランキング集計されるということなんですが、上位の方は入れ替わったりされるんですか?

吉津:真ん中で区切ってあるんですが、左側の画面は社員しか見えなくて、こっちは管理者のメンバーしか見れない仕組みになっています。

社員自身は自分がどのランキングにあるかはぜんぜん把握してないんですけど、入れ替わりや変動を総務のメンバーとかが見て、上位ランキングの人には別途、会社から感謝の気持ちが出てると聞いています。

渡部:すごい、けっこう切磋琢磨していらっしゃる感じなんですね。

営業と技術の仕事をつないでいくために

渡部:ちなみに今、もう「そして伝説へ……」となっているんですけれども(笑)。

吉津:(笑)。

渡部:吉津さまが開発を進めていく上で、悩みや今後の展望があれば、ぜひお聞かせいただければと思います。

吉津:いろいろクラウドサービスとつなげていくと、新たに悩みが出てきて(笑)。今で言ったら、弊社ではPlatioとSFAのライセンスのバランスに偏りがあって。普通の営業部隊とか、一部の技術系のメンバーは2つ持ってるんですけど、入ったばかりの新人のメンバーはPlatioしか持ってないという現状があります。

「フィードバックできない」とか、システムをつなぐにあたっていろいろな問題がありました。これを解決したくて、一括で社員全員ぶんのライセンスを揃えたらいいんですが、「本当に必要なのか?」という議論がありました。そういったことを解決して、全社員を巻き込んでいきたいなと思っています。

渡部:たぶんライセンスの問題って、もしかしたら同じようなツールを使われている方だと、「うちはこうしてるよ」という知見をお持ちの方がいらっしゃるかもしれないので、ぜひADN slack(ASTERIA Warpデベロッパーのオンラインコミュニティ)で情報をお寄せいただければなと思います。

吉津:よろしくお願いいたします。最後にですが、短期間で社内システムを簡単に稼働させることができるASTERIA Warpは、今は弊社になくてはならないシステムの1つになっております。

ASTERIA Warpがシステムをつなぐように、これからも技術とそれ以外のメンバーも全社員巻き込んで、つなげていきたいなと思っております。本日はご清聴ありがとうございました。

渡部:ありがとうございました。

(会場拍手)

幅広い場面で役に立つ、ASTERIA Warpの有用性

菊地:吉津さま、ありがとうございました。吉津さまの冒険、いかがご覧いただけたでしょうか。「さまざまなシステムをつないでいただいているんだな」というのが伝わってきました。

この会場にも、ご講演いただいた柳井電機工業の吉津さまに来ていただいておりますので、ご登壇いただきたいと思います。それでは吉津さま、どうぞよろしくお願いいたします。本日は遠くからお越しいただきまして、ありがとうございます。

社員の行動確認、業務改善といったところから、社員同士のコミュニケーションでもASTERIA Warpをご活用いただいているということで、幅広くご活用いただいているんだなと非常にわかりやすい内容でした。ありがとうございました。

少しだけにはなってしまうんですが、ご講演いただいた内容について、吉津さまにいくつかご質問をさせていただきたいなと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

吉津:よろしくお願いします。

菊地:ありがとうございます。

使用したアダプターや、オプション機能の紹介

菊地:それでは、Slack上でいただいている質問を1つご紹介させていただきたいなと思います。「ASTERIA Warpだけではなく、つなぐためにアダプターも使っているなら、その情報も教えてほしいな」ということです。

実際にフローの中で利用されているアダプターは、Platioにつないでいるということでしたので、Platioコンポーネントをご利用になられているのかなと思うんですが、そのほかにオプションアダプターなどご利用になられているものはありますか?

吉津:SFAのSalesforceはAPIでもつながるんですが、オプションのSalesforce Connectのアダプターを導入して使っております。

菊地:では、オプションアダプターとしてお使いになられているのは、Salesforceアダプターだと。

吉津:はい、そうなります。

菊地:なるほど、ありがとうございます。オプションアダプターとしてはSalesforce、それからシステムとつなぐという意味では、Platioも利用していただいているということですね。ありがとうございます。

PlatioからASTERIA Warpまで、アステリア製品をご活用いただいて、本当にありがとうございます。

使いづらい部分は、トライ&エラーを繰り返して対処

菊地:会場のみなさまで、もしご質問のある方がいらっしゃいましたら、挙手をいただければなと思います。

質問者:「吉津さんの冒険」、本当にそう思いましたし、「吉津クエスト」という名前でもいいかなと思いました(笑)。質問なんですが、アステリアの製品にはCore+があったり、StandardやEnterpriseがあると思うんですが、どれを選びはったんですか?

吉津:やはり、導入しやすいCore+です。

質問者:あと、こういう新しい取り組みを進める中で、「スムーズにはいかずに変えられない」「これ、使いにくい」といったさまざまな弊害が出てきますよね。そのあたりはどうやって乗り越えていったんでしょうか?

吉津:初めての取り組みなので、なかなか最初は「使いづらい」とかもあったんですが、けっこう簡単に変更ができるので、プロト的に実装してやってみてもらうという、トライ&エラーを繰り返してやっております。

質問者:当社もASTERIA Warpを使ってるんですが、ASTERIA Warpはローコードのイメージがあんまりなかったんですけど、今日のお話を聞かせていただいて本当にそうだなと思いました。ありがとうございました。

丁寧なサポートによって、不明点もすぐに解決

菊地:ありがとうございました。私からもご質問よろしいでしょうか。1ヶ月半という期限の中で開発に着手されて、実際には1週間でAPIの連携ができるようになったということだったんですが、対象の業務がすべて開発し終わるまでのトータルの期間はどれくらいだったんでしょうか。

吉津:だいたい2週間ぐらいで全部終わって、残りの稼働までまた2週間ぐらいで評価して、本稼働しました。

菊地:じゃあトータルで言うと、1週間でAPIをつないで、1週間でメインの開発を終え、そこから2週間ほどでトライ&エラーを繰り返しながら本稼働に至ったんですかね。

吉津:はい、もう超特急でした。

菊地:そうですね。期間を聞いてもすごく短くて、さすがにびっくりしているところではあるんですが、そこまでスピード感を持ってやっていただいたんですね。ありがとうございます。

Platioを最初に導入をいただいて、そこからASTERIA Warpを導入していただいたということでした。これは私の口から聞くのはちょっと苦しいところもあるんですが、アステリア社のサポートはどんな感じだったんでしょうか?

吉津:本当につなぎ方すらわからなくて、「もうどうしましょう」というところから始まって。

「つなぐETL(Extract:抽出、Transform:変換、Load:格納の頭文字の略で、データ統合時に発生する各プロセス)のツールがありますよ」「うちにもあるので、よかったら評価して使ってもらって判断ください」と丁寧に言われて、わからないところはすぐ質問して回答をもらっていました。

(その時は)まだ本契約にも至ってなかったんですけど……(笑)。懇切丁寧に、ありがとうございました。