不平不満の種は、全部儲けの種

藤野英人氏(以下、藤野):今は、めちゃくちゃチャンスに溢れているんですよ。私は「自分があと10人ぐらいいたらいいな」と思っています。とにかくやりたいこと、できることが山のようにある。チャンスの塊にしか見えない。少なくとも私の目には投資したい会社がいっぱいあるし、可能性にあふれた社会にしか見えません。

どういうことかと言うと、とにかくムダなことや足りないことが多すぎるんです。でもこれは全部チャンスなんです。新しい産業、新しい会社、新しいコンセプトを作るチャンスが、そこらじゅうにあるように私には見える。

実際に今私が投資している会社には、上場・未上場も含めて、「藤野さん、チャンスがあふれて止まりません」と言う人がたくさんいるんですね。

一方で、世間には「毎日が暗い」とか「これから社会はダメになる」と嘆く人がやたらに多いこともよくわかっています。

「不平不満の種は、全部儲けの種だ」と思うことができるかどうか。

私は「新しい事業を作るとか起業するというのは、穴を見つけてその穴を埋めることだ」といつも言っています。「穴を見つける」というのは不平不満の種ですね。「世の中はこうだからダメだ」みたいに言っているのは全部穴なわけです。この穴がいろんなところに空いているわけですよ。

起業家や投資家の役割

「日本がダメなところを言ってみな」と言うと、わあっと出てくる。僕から見るとそれは全部チャンスであって、それを埋める人が起業家であり、投資家なんです。起業と言うと、多くの人は「何もないところから高いビルを建てるようなものだ」みたいに思うんですね。徒手空拳で何もないところに建てるのは大変だと思うんですよ。

私の感覚からすると、「そこに穴があるよね。見える?」「見えるよ」「あれを埋めようよ」「埋めよう」と言って、そこらへんの余っている土をぼこぼこ穴に入れればいいわけです。埋めて平らになったら、そこが道になって土地になって開かれていくので、「穴を見つけて穴を埋めよう」と言っています。とにかく日本は穴だらけなので。

例えば僕が投資している会社で、この1年間で急速に有名になったとある会社があるんですが、この会社はまだ上場していない会社で、会社を作ってこの間やっと1年経ったところです。できたてほやほやの会社ですね。

どんなサービスを提供している会社かというと、日本中には空き家がいっぱいあって、空き家問題で困っているんです。その空き家をリノベーションして、自由に泊まれるようにするサービスを提供しているんです。月4万円払ったら、彼らが登録している日本中にある空き家にいくらでも泊まれるんです。

これはまさに穴を見つけて穴を埋めたサービスですね。もちろんそういう会社やシステムを作ったりしないといけないけど、何もゼロから作ってないわけですよ。そこにあるものをつなげただけです。でもそれで多くの人が幸せになって、解決するんです。素敵なことですよね。

これはほんの一例ですけど、こういうのがめちゃくちゃたくさんあるんです。だからこそ私は、日本にはビジネスチャンスが溢れていると思うんです。